「まさか自分が……」
健康に気を遣っているつもりでも、日本の女性にとって身近で、そして最も警戒しなければならないのが「大腸がん」です。
実は厚生労働省や国立がん研究センターの統計によると、女性の部位別がん死亡数において、大腸がんは第1位となっています。
男性の方が罹患率や死亡率の数値自体は高いものの、女性における死因のトップが他ならぬ大腸がんであるという事実は、あまり知られていません。
今回は、なぜ女性に大腸がんが増えているのか、そしてどうすれば命を守れるのかを医学・疫学的視点から紐解きます。
1. なぜ女性の大腸がんは発見が遅れやすいのか?
大腸がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどないめ、気づいた時には進行していたというケースが少なくないのですが、特に女性特有の社会的背景や身体の傾向が、発見を遅らせる要因になっています。
◎多忙なライフステージと受診控え
発症リスクが顕著に高まるのは50代以降。この世代の女性は、仕事での責任、家事、育児、さらには親の介護などが重なり、自分の健康診断や医療機関への受診が後回しになりがちです。
◎「便秘・痔だから」という自己判断
女性に多い慢性的な便秘や、痔による出血。「いつものことだから」「恥ずかしいから」と、血便や便通異常を放置してしまい、がんの発見が大きく遅れてしまうケースが後を絶ちません。
◎閉経後のホルモンバランスの変化疫学的な背景として、女性ホルモン(エストロゲン)の急減が関係して閉経後はインスリンの働きや内臓脂肪の蓄積に影響が出やすくなり、これが生活習慣病だけでなく大腸がんのリスクを押し上げる一因になると考えられています。
2. 便潜血検査だけでは不十分?知っておきたい検査の真実
「会社の健康診断で便潜血検査が陰性だったから大丈夫」――そう安心していませんか?
ここに大きな落とし穴があります。
便潜血検査は、自覚症状のない人を対象としたスクリーニング(ふるい分け)としては非常に有効ですが、「出血していない初期の大腸がん」や「小さめのポリープ」の多くは、便潜血検査では陰性になってしまいます。
大腸がんは、大部分が「良性のポリープ」が何年かかけて大きくなり、その一部ががん化して発生します。つまり、ポリープの段階で発見して切除できれば、大腸がんは「予防できるがん」そのものなのです。
※一度も大腸カメラを受けたことがない方へ
特に「今まで一度も大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けたことがない50代以上の方」は、症状がなくても一度検査を受けることが強く推奨されています。
3. 放置厳禁!見逃してはいけない「体のサイン」
次のような症状がある場合は、「いつものこと」と片付けず、早めに消化器内科や胃腸内科を受診してください。
1)血便・便に血が付く(痔と決めつけない)
2)便が急に細くなった、形が変わった
3)便秘や下痢を繰り返す、ひどい便秘になった
4)おなかが張る、残便感がある
5)原因不明の貧血症状がある
「血便がある」「便潜血で陽性だった」「家族に大腸がんの人がいる」といった場合はもちろん、少しでも不安な点があれば、日本消化器内視鏡学会認定の「消化器内視鏡専門医」がいる医療機関に相談しましょう。
まとめ:自分の体を後回しにしない選択を
大腸がんは、早期発見でき極めて高い確率で治すことができるがんです。
忙しい日々のなかで、自分の体の小さな変化を無視していませんか? 「これくらい大丈夫」という油断を捨て、定期的な検診と、必要に応じた大腸内視鏡検査を受けることこそが、未来の自分と大切な日常を守る一番の近道です。
今日をきっかけに、ご自身の体の声に耳を傾けてみませんか?
【参考資料】
