夏本番を迎え、子どもたちの間で「手足口病」の感染が急拡大し全国的な流行は2024年以来、2年ぶりの大規模なものとなっており、保護者の間で警戒感が強まっています。
国立健康危機管理研究機構(JIHS)の最新の統計データによると、全国約2,000か所の小児科から報告された手足口病の患者数は、2026年7月12日までの1週間で2万557人を記録し、1医療機関あたりの患者数は9.12人と、前週の7.03人からさらに増加しました。
都道府県別では、千葉県(15.4人)、奈良県(14.83人)、埼玉県(14.78人)をはじめ、全国35都府県で国の定める「警報レベル」の目安(定点あたり5人)を超過し、まさに全国的な大流行の様相を呈しています。
■ 医学的・疫学的に見る手足口病の特徴
手足口病は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどの腸管ウイルスを病原体とする、主に乳幼児を中心とした感染症で、疫学的な特徴と注意すべきポイントは以下の通りです。
1)主たる罹患層(1歳児を中心とした乳幼児)
免疫を持たない乳幼児、特に1歳前後の子どもを中心に感染が広がり保育園や幼稚園などの集団生活の場ではクラス単位での集団感染が起きやすいため注意が必要です。
2)典型的な臨床症状
発疹: 手のひら、足の裏、口の中の粘膜などに、2〜3mmの水疱性(水ぶくれ状)の発疹が現れます。また、ひざや肘、お尻などに生じることもあります。
3)発熱: 38度以下の微熱〜中等度の発熱であることが多いですが、発熱しないケースもあります。
4)経過: 通常、感染から3〜5日程度で自然軽快することが多く、予後は比較的良好です。
5)まれに見る重篤な合併症:
「軽い夏風邪」と油断されがちですが、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの重篤な中枢神経系合併症を引き起こすことがあり特に「高熱が続く」「激しい頭痛」「嘔吐を繰り返す」「ぐったりして意識がぼんやりしている」といった症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
■ なぜ今、感染が拡大しているのか?(疫学的背景)
コロナ禍以降、人々の移動制限や衛生意識の変化により、子どもの間で流行のサイクルや免疫獲得のタイミングに乱れが生じまその結果、感受性者(ウイルスに対する免疫を持っていない人)の蓄積が生じ、条件が揃ったタイミングで一気に大流行につながる傾向がみられます。
さらに夏から秋口にかけてはウイルスが活発になる季節であり、今後も注意が必要です。
■ 家庭でできる効果的な予防と対策
厚生労働省をはじめとする公的機関では、以下の対策を徹底するよう呼びかけています。
1)こまめな手洗いの徹底:
アルコール消毒が効きにくいウイルス(ノンエンベロープウイルス)が含まれるため、石けんと流水による入念な手洗いが最も効果的で特にオムツ交換の後や、食事の前には必ず行いましょう。
2)タオルの共用を避ける:
家庭内や保育施設などでは、タオルを介した接触感染を防ぐため、タオルの共用は厳禁でペーパータオルを活用するのも感染防御に有効です。
3)排泄物の適切な処理:
症状が治まった後も、便の中に数週間〜数か月にわたってウイルスが排出されることがありまので、オムツ替えの際は手袋を着用するなど、衛生管理に気を配りましょう。
これからの季節、子どもの体調の変化に細心の注意を払い、万全の感染対策で大切な家族の健康を守りましょう。
【参考資料】
