現在中国で小児を中心に呼吸器系疾患が大流行しています。
その結果医療体制が崩壊して大変な状況となっています。
数回に渡って現在中国で流行している呼吸器系疾患について判明していることを紹介していきます。
最初は呼吸器合胞体ウイルスについてです。
呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)は、正式には「Respiratory syncytial virus(レスピラトリーシンシチアルウイルス)」と呼ばれ接触や飛沫を介して気道に感染し、2~5日の潜伏期の後に症状が現れます。
中国で2023年5月以降、小児を中心に呼吸器感染症の患者が増加しています。
このうち、呼吸器合胞体ウイルス感染症は、患者数の約半数を占めるとされています。
水のような鼻水
鼻づまり
ひどい咳
むせるような咳
呼吸数が多くなる多呼吸
肋骨の下がへこむ陥没呼吸
呼吸をさぼる無呼吸
RSウイルスは年齢を問わず風邪などの症状を引き起こしますが、通常1~2週間で軽快しますが、2歳以下の乳幼児では上気道炎から下気道炎に進展して細気管支炎や肺炎を発症することがあり特に6ヶ月以下の乳児では入院加療を必要とすることが珍しくありません。
RSVは、世界中で最も一般的な呼吸器ウイルス感染症の1つで、5歳以下の子どもの急性下気道感染の原因となる最も重要なウイルス病原体でが、通常は軽度の発熱、咳、鼻水などの症状で済みますが、重症化すると肺炎や気管支炎を引き起こすこともあります。
中国当局は、この流行の原因として、新型コロナウイルス感染症対策の解除や、寒い季節の到来、さらにはインフルエンザ、マイコプラズマ肺炎、新型コロナウイルス感染症などの既知の病原体の流行によるものとしています。
具体的には、新型コロナウイルス感染症対策の解除により、人々の外出や接触が増えたことで、RSVなどのウイルスの感染が拡大したと考えられ 、寒い季節になるとウイルスが活動しやすくなることも、流行の要因となっていると考えられます。
中国当局は、RSV感染症の予防対策として、手洗いやうがいの徹底、マスクの着用、換気の促進などを呼びかけ早期発見・早期治療の重要性も強調しています。
日本でも、RSV感染症の流行は毎年冬になると起こりますので特に、5歳以下の子どもは、重症化しやすいため注意が必要となります。
RSウイルスは日本を含め世界中に分布していて、何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています)。
RSウイルスの重症化を防ぐには、RSウイルス流行期に毎月1回筋肉内投与を行う予防注射(シナジス)があり、妊娠中の母親がワクチンを接種することでおなかの赤ちゃんに免疫をつけることができます。
※2023年9月25日60歳以上を対象としたRSウイルスワクチン「アレックスビー筋注用」の製造販売承認が認められました※
【参考資料】
※現在の世界保健機関(WHO)は信用できかねますので、中国での情報はproMEDを参照して下さい。※