最近良く目にするエンデミック、ハイパー・エンデミック、エピデミック、 アウトブレイク、パンデミックの違いと定義について解説いたします。
・エンデミック(endemic:特定感染)
定義・・ある感染症が一定の地域で一定の患者が発生したり、一定の季節に繰り返し発生すること
【例】アフリカの一部の地域で一年を通じて流行しているマラリア。
・ハイパー・エンデミック(hyperendemic:特殊感染)
定義・・特定の地域の集団で他の地域と比較して感染症がより高い確率で持続的に流行していること。
【例】A国において患者が300人に1人なのに対し、他の一部のBやCの地域では、5人に1人が患者が発生している場合、A国でハイパーエンデミックが起こっていると言える。
・エピデミック(epidemic:過感染)
定義・・ある集団や一定の地域の中で予想以上に感染症の患者数が増加すること。
【例】毎年発生する季節性のインフルエンザ
・アウトブレイク(outbreak:感染症集団発生)
定義・・ある一定期間内に、ある限られた範囲内あるいは集団の中でたちの悪い疾患や感染症感染者が予想よりも多く発生すること。
医療施設内で起こる院内感染によるアウトブレイクは「院内アウトブレイク」と呼ぶこともある。
【例】2018年に福岡県内で発生した医療機関の接触者を中心とした麻疹患者の発生
2010年5月に始まり2011年10月に終息宣言が出された藤沢市民病院での「バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)によるアウトブレイク」
・パンデミック(pandemic:人獣共通感染症の世界的大流行を表す意味)
定義・・世界各地の国や地域でエピデミックが発生すること。
【例】現在の新型コロナウイルスの流行
【アウトブレイクとパンデミックは似た概念】
アウトブレイクは限られた範囲における感染の流行を言いますが、パンデミックは感染が世界的規模に発展した状態を言います。
両者は相対的な表現であるためパンデミックとアウトブレイクの境界はそれほど明確ではありません。