腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis:TV)は、男性では尿道炎、女性では腟内のかゆみやただれを引き起こす原虫で、世界的に最も感染者数の多い性感染症の原因です。
症状が強いものから無症状まで多様な臨床像を呈し、無症状のパートナーからの性行為やオーラルセックスで感染によるものが少なくありません。
従来診断に用いられてきた培養法では、結果を得るまでに1週間以上を要することから、腟トリコモナスの感染に対する高感度かつ迅速な確定診断法の確立が強く望まれていました。
またマイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium:MG)は、淋菌やクラミジアと並んで、女性では尿道炎、子宮頸管炎や骨盤内炎症性疾患を引き起こし、男性では主に尿道炎を引き起こす細菌で、マイコプラズマ・ジェニタリウムの検査については、これまで確立した診断法がなく、信頼性の高い体外診断用医薬品による診断方法の確立が求められていました。
この度TVおよびMG感染症の診断補助を目的として新規保険収載された同時核酸検出検査が承認されましたので紹介します。
【キット名】
コバス TV/MG(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)
【承認】
1922年6月
【測定方法】
リアルタイムPCR法
【使用機器】
全自動遺伝子検査装置 コバス 6800 システム および コバス 8800 システム
【検査の精度】
1.膣トリコモナス
・女性尿 感度 100% 特異度 96.9%
・女性膣擦過検体 感度 100% 特異度 97.5%
・男性尿 感度 100% 特異度 99.5%
2.マイコプラズマ・ジェニタリウム
・女性尿 感度 88.2% 特異度 98.7%
・女性膣擦過検体 感度 81.8% 特異度 99.7%
・男性尿 感度 89.3% 特異度 100%
※マイコプラズマ・ジェニタリウムに関しては感度が低いように感じられますが、臨床検査剣士役として十分使用できるとの評価を受けています※