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2019年12月9日月曜日

血液型について-6.マラリアと血液型の関係について-

血液型と疾患の関係は昔から多く論じられてきましたが、生化学的に証明されたものはなく大部分は数字を使用したこじつけ的なものです。

寄生虫と関連を持つ血液型については、これを生化学的に裏付けるものがあります。

数ある血液型の中のひとつのDuffy(ダフィー)式血液型は、三日熱マラリア原虫の感染に対して抵抗性があることが証明されています。

Duffy式血液型とは、Fy(a)とFy(b)のふたつの抗原から成り立っていて、Fy(a)とFy(b)には遺伝的優劣はありません。

この血液型の表現型は、Fy(a+b+)、Fy(a+b-)、Fy(a-b+)、Fy(a-b-)の四型からなり、Fy(a)とFy(b)の両方の抗原を持たないFy(a-b-)の人は三日熱マラリア原虫には感染しません。
しかしFy(a)とFy(b)を持つFy(a+b+)、Fy(a+b-)、Fy(a-b+)の人は、三日熱マラリア原虫に感染します。

Fy(a-b-)は非常にまれな表現型で、白人と日本人の発現頻度はほぼゼロです。

アフリカ系黒人ではFy(a-b-)の発現頻度は、68%と高頻度です。

北アメリカ大陸在住のアメリカ・インディアンにもFy(a-b-)の人は存在し、やはり三日熱マラリア原虫の感染に対して抵抗性があることが確認されています。

このDuffy式血液型と三日熱マラリア原虫の関係は、特定の地域においては自然淘汰の重要な要因であったものと考えられています。

Fy(a-b-)型はアフリカのサブサハラの三日熱マラリア流行地に遺伝的起源を持つ人に非常に多いのに対して、それ以外の地域に起源を持つ人にはほとんど存在しません。

タンパク分解酵素を使用して赤血球上のFy(a)抗原とFy(b)抗原を壊すと三日熱マラリア原虫は赤血球に感染しなくなることから、Fy(a)抗原とFy(b)抗原には三日熱マラリア原虫が感染する受溶体が組み込まれていることが明らかにされています。

要するに三日熱マラリア原虫は、赤血球上にあるFy(a)抗原とFy(b)抗原から赤血球の中に入り込み感染するということです。

【追加事項】

マラリア原虫には、熱帯熱マラリア原虫・卵形マラリア原虫・四日熱マラリア原虫・三日熱マラリア原虫の四種類がありますが、Duffy式血液型と関係があるのは三日熱マラリア原虫です。