クラミジア感染症は、我が国においては性行為感染症の中で一番多く見られる感染症です。
クラミジア感染症の検査の中で血液で検査されるクラミジア抗体検査について解説してみます。
クラミジア抗体検査は、IgA、IgGの2つの抗体を検査します。
これら抗体の検査結果の解釈としては、クラミジアに感染した直後はIgA抗体、IgG抗体とも陰性ですが、少しするとIgA抗体が陽性になってからIgG抗体も陽性になります。
まとめますと、
クラミジア感染→IgA抗体産生→IgG抗体産生→そしてIgA抗体はIgG抗体が産生された後しばらくして消失という状態となります。
治療によってIgA抗体が陰性化し、最後にIgG抗体が陰性化しますが、陽性化、陰性化するまでの期間は個人差があり一概には言えません。
また、完治してもIgG抗体の陰性化は10年近くかかる場合もありますし、一生陰性化しない場合もあります。
一般的に保健所では、無料でクラミジア抗体検査をしています。
しかし、このクラミジア抗体検査が問題になることが多くあります。
クラミジアに感染するとクラミジアに対する感染抗体が身体の中に出来ます。
この感染抗体を調べるのがクラミジア抗体検査ですが、この検査はクラミジアそのものを見つける検査ではありません。
本来感染病原体のクラミジアその物を見つけてこそ感染していると言えますが、感染抗体があれば、即感染しているとはいえません。
特にクラミジア抗体検査は、特異性(信頼性)が低いことから、感染していないのに陽性(偽陽性)となることが多くあります。
従って、クラミジア抗体検査は信頼性が低くあまりお薦めできる検査ではありません。
問題となるのは、一度も性交渉していないにもかかわらずIgA抗体陽性、IgG抗体陰性という人もいますし、IgG抗体陽性という人もいます。
「保健所でクラミジア抗体陽性と言われた」人の中に上記のような人が多く見られ、実際にクラミジアに感染している人はそのなかで20~30%程度です。
その逆に実際にクラミジアに現在感染しているのにもかかわらず、クラミジア抗体検査では陰性(偽陰性)となることもあります。
この原因は、クラミジア感染抗体が出来ていない時期に検査を受けたことです。
クラミジアに感染して感染抗体が出来る時期は、かなりの個人差があり感染後、数週間で抗体が出来る人もいれば、3ヶ月たっても出来ない人も存在します。
従って、血液を採取して信頼性の低い抗体検査をおこなうより、感染の可能性がある粘膜(咽頭、子宮頸部、尿道、肛門など)から検体を採取し、その抗原(クラミジア)を調べるのが一番信頼出来る結果が得られます。
大切なことは、クラミジア抗体検査の結果はあくまでも”参考”と考えるべきで、抗体検査が陽性になっても必ずしも現在感染しているわけではないということと、陰性と出たからといって(特に危険な性交渉から時間がたっていないときは)100%安心できるわけではないことには注意すべきです。
現在一部の進歩的な保健所は、クラミジア抗体検査の不備を認めて抗原検査に移行しているようです。