HIVに関する医療は目を見張るものがありますが、日本国内のHIV報告件数は7年ぶりに増加しています。
現在HIV感染を早期に発見し、早期に適切な治療を続けていればエイズの発症を防ぐことができ、これまで以上に長く健康的な社会生活を送れるようになってきています。
HIV感染を未然に防ぐ対策と果ては、当然のことながらコンドームによる予防がありますが、PrEP(曝露前予防内服)の効果は世界に認められ使用していますが、日本国内でおいては未だに保険適応が認められていません。
しかし現実としてゲイの間では、PrEPを利用している人が多く存在していることは周知の事実です。
今回新しいHIV感染症の予防薬のレナカパビルが、臨床試験においてHIV予防で100%の有効性を示したとの報告があり期待されています。
それではレナカパビルとは、どのような薬なのでしょうか?
米国リフォルニア州フォスターシティに本社を置く世界第2位の大手製薬会社であるギリアド・サイエンシズが開発したHIV感染症の予防薬です。
このレナカパビルは、年2回投与のHIV予防薬で経口投与と皮下投与の両方に対応しています。
従来からあるHIV予防薬であるツルバダは、1日1回服用する必要がありますが新しいレナカパビルは年2回の服用か皮下注射で予防効果が発揮されるという画期的なHIV予防薬です。
レナカパビルはレナカパビルナトリウムで、HIV-1のカプシドタンパク単量体間の界面に直接結合して、HIV-1のカプシド機能を多段階で選択的に阻害する抗ウイルス薬です。
他の抗レトロウイルス薬との併用により、多くの治療歴を有する多剤耐性HIV感染者に対するHIV治療薬として使用されます。
多剤耐性HIV-1感染症治療薬・レナカパビルは、2023年6月2日日本で承認申請され、
2023年8月1日に日本国内で多剤耐性HIV-1感染症の治療薬として製造販売承認を取得しました。
レナカパビルはHIV-1感染症に対する初のクラスとなる「カプシド阻害薬」に分類される薬剤で唯一の年2回投与の治療選択肢となります。
このレナカパビルがどのようにして、HIV予防に寄与するかは次回詳しく述べたいと思います。