血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2014年3月27日木曜日

血 圧-1.血圧とは-

【血圧とは】

ポンプの役目をする心臓が血液に圧力をかけて血管へ送り出すと、血液は動脈を通って網の目のようになっている全身の細胞に酸素や栄養分を運び、やがて静脈を通って全身の細胞から老廃物などを回収し心臓に戻ってきます。

血液の圧力によって血管壁が押される力のことを言います。

要するに、心臓から送り出される血液の量(心拍出量)と、血管の硬さ(血管抵抗)によって決まることなにります。

従って心拍出量が大きくなれば血圧は上がり、血管抵抗が小さくなれば、血圧は下がるという関係となります。

全身の狭い血管のなかに血液を流し、全身の組織へと送り届けるためには、圧力をかける必要があるわけです。

血圧は以下の式で表されます。

血圧 = 心拍出量× 総末梢血管抵抗

【血圧の単位】

動脈の血圧を表し、血圧測定では、その圧力により持ち上げられる水銀柱の高さを"mmHg"単位として用います。

【血圧の上と下とは】


血圧は"上"と"下"との数値で表されます。


"上"は収縮期血圧(最大血圧)、"下"は拡張期血圧(最小血圧)と呼ばれます。

要するに心臓が収縮したときには、血液が大動脈に送り出され、血管に高い圧力がかかりますが、これが収縮期血圧(最大血圧)と呼びます。

逆にに、血液を送り出した後に心臓が拡張して、肺などから血液を吸い込まれるときには血圧は最も低くなりますが、これを拡張期血圧(最小血圧)と呼びます。

2014年3月16日日曜日

ASO検査

【ASOとは】

腎炎や猩紅熱、扁桃炎、中耳炎などを引き起こす溶血性連鎖球菌に感染すると体内に出来る抗体で「抗ストレプトリジン-O」の略称です

【溶血性連鎖球菌とは】

成人のほとんどはこの細菌の感染歴があり、体内に抗ストレプトリジン-O抗体を持っています。

従って健康な人からも抗ストレプトリジン-O抗体は検出されますが、その数値の大きさから、現在も溶連菌に感染中か否かを診断することができます。

【ASO検査をする意味】

溶血性連鎖球菌に感染すると、咽頭炎、扁桃炎、中耳炎などを起こし、続いて急性糸球体腎炎やリウマチ熱、敗血症などを起こすこともあります。

これらの病気の原因が溶血性連鎖球菌であるかを調べるために実施します。

【ASOの基準値】

ランツランドル法

成人 166ToddU以下

乳幼児 100ToddU以下

小児 256ToddU以下

※年齢により変動します※

※ラテックス免疫比濁法などその他の検査法によって基準値が異なります※


【判定】

170ToddU以上の高値なら、溶血性連鎖球菌に感染中。

【異常値の場合疑われる病気】

高値 急性リウマチ熱、急性糸球体腎炎、急性咽頭炎、中耳炎、しょう紅熱、急性扁桃炎、関節リウマチなど

低値 免疫不全症候群など

【注意】

抗生物質を服用していると数値が低くでる傾向あり。

年齢や感染の程度などによって結果が左右されやすいので、1回の検査で判断するのは出来ないので、繰り返し検査をする必要がある。

2014年3月7日金曜日

出血時間

【どのような検査なのか?】

体の耳たぶをランセットで傷つけて出血させ、出血から止血までの時間を測定する検査です。

よく実施されているのはデューク法という検査方法で、耳たぶに2mm程度の小さな傷をつけて出血させ、30秒おきに濾紙で血液を拭き取り、血液が濾紙に完全に付着しなくなるまで続け、出血が止まるまでの時間を計ります。

一般的に手術前に調べられるひとつの検査で、出血して血が止まりやすいかを調べます。

【検査の目的】

出血が自然に止まるまでの時間を測定することによって、血液凝固作用を持つ血小板の機能と毛細血管の状態を検査します。

【基準値】

2~5分

【出血時間の延長する病態】

1.血小板数の低下

2.血小板機能の低下

3.血管壁の脆弱性の存在

が考えられますが、中でも2の意義が最も大きいです。

※血小板の数が正常であるにもかかわらず、血小板機能が低下している病態は多く見られますので、血小板機能の低下をスクリーニングする検査が出血時間ということになります※

【検査上の注意】

必ずしも正確な数値が出るとは限らないことから、最近は血小板数やプロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間など、客観的な数値の得られる検査を行なう傾向にあります。

【最近の動き】

かなり以前から術前検査には、出血時間は不可欠の検査とされてきましたが、術前検査に出血時間が必要かどうかは、専門家の間でも意見が分かれてきています。

術前検査として出血時間は不要と考える専門家は、出血時間と手術関連出血量は全く関連しないというもので、このことを証明した論文が実際に存在します。

反面術前検査として出血時間は必須と考える専門家も多く存在します。

その理由の一つとして、いいわゆる"隠れvon Willebrand病"が相当数存在するという意見です。

von Willebrand病のスクリーニング検査は、出血時間とAPTTですが、APTT検査が正常になってしまう軽症~中等症von Willebrand病がかなり存在するという考え方によってやはり出血時間は必要とされるわけです。

現実、術前検査から出血時間を削除した施設もかなりあります。


【異常があった時の対応】

血小板数やプロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間などの検査をするとともに、その他の精密検査を受け、原因を見つけて治療します。

【異常な場合に疑われる病気】

血小板減少性紫斑症
全身性エリテマトーデス
血管内血液凝固症
血小板無力症
骨髄腫
尿毒症
フォン・ウィレブランド病
非ステロイド系消炎鎮痛剤の内服時
抗血小板薬内服時(アスピリン、プラビックス、パナルジン、プレタール、プロサイリン、ドルナーなど)