尿中のスクリーニング検査は、テステープ(試験紙法)による定性法で実施されます。
尿に専用のテステープを浸し、色の変化で判定します。
尿中ウロビリノーゲンは、肝臓や胆のうの機能の異常を診断する尿検査の一種です。
ウロビリノーゲンは、古くなった赤血球が肝臓で分解されてできるビルビリンという成分が胆汁となり腸に排出され、そこで腸内細菌により分解されたものです。
ウロビリノーゲンは、腸から少量吸収され、肝臓でビリルビンとなりますが、すべてがビリルビンとはならず、一部は腎臓から尿中へ排泄されます。
従って健康な人でも微量のウロビリノーゲンが尿中に検出されるのが普通で、多く検出される或いは検出されない場合は異常と判断します。
【便秘・下痢とウロビリノーゲンの関係】
頑固な便秘の場合、便が長時間腸内に停滞しているため、ウロビリノーゲンが吸収される量がふえるために、陽性を示すことがあります。
下痢の場合、腸内の内容物が留まっている時間が短くなり、腸内細菌によってウロビリノーゲンに変換されにくくなるため、陰性を示すことがあります。
【ウロビリノーゲンの生理的変動】
1.年齢による変動
新生児の場合、腸内細菌叢が未発達なためにビリルビンをウロビリノーゲンに変換できないために陰性となります。
2.日内変動
一般的にすべての人は、ウロビリノーゲンが尿中へ排泄される量には日内変動があり、夜間や午前中には排泄が少なく、午後に増加して午後2時~4時頃に排泄量がピークとなります。
【検査の目的】
1.尿のスクリーニング検査として
2.肝障害や胆道系疾患を疑う時
【基準値】
プラスマイナス (±)
※基準値は施設ごとで異なる場合があります※
【ウロビリノーゲンが異常値を示す病態】
1.陽性の場合
胆道が閉塞され、ビリルビンを含む胆汁が腸に排泄されないため陰性となります。
肝疾患(肝炎、肝硬変など)・溶血性貧血・心不全・腸閉塞・過度の便秘など
2.陰性の場合
※テステープでは判定不能※
重度の肝障害によりウロビリノーゲンの前段階であるビリルビンが作られないため陰性となります。
胆石・胆管閉塞・腎機能障害(高度)・下痢・抗生剤の長期使用など
【検査時の注意事項】
ウロビリノーゲンは、放置しておくと酸化されてウロビリンに変化してしまうので、新鮮な尿で検査する必要があります。
陽性または陰性反応が出た場合は再検査・精密検査受ける必要があります。