1)ヘモグロビン量(Hb)
ヘモグロビンは赤血球に含まれ、酸素を運搬する働きをすることから、この量が低下すると貧血となります。
反対にヘモグロビン量の増加は赤血球の増加に伴って見られます。
【基準値】
男性 13.8-16.6g/dL
女性 11.3-15.5g/dL
減りすぎている場合
・鉄欠乏性貧血:鉄分の不足による貧血で特に若い女性に多くみられます。
・病気や傷口からの出血が原因の貧血:痔、胃潰瘍、子宮筋腫など、日々気付かないほどの少量の出血でも、長期に続くと貧血になります。
・悪性貧血:ビタミンB12の不足。
・再生不良性貧血:骨髄の造血機能の低下。
・溶血性貧血:赤血球の寿命が短くなって、骨髄での赤血球の製造が間に合わない。
増えすぎている場合
・激しい運動後など身体が脱水状態の場合、循環血漿量が減少するため、見かけ上高値となります。
・高地居住者の場合、酸素濃度が少なく、その状況下で体内に酸素を必要量取り込む必要があるために高値となります。
・喫煙者では高値を示すことがあります。
2)ヘマトクリット値(Ht)
血液中に占める血球の割合を示します。
貧血があるとヘマトクリット値は低下し、多血症では増加します。
【基準値】
男性 40~52%
女性 35~47%
減りすぎている場合
・貧血:大部分は女性に多い鉄欠乏性貧血、悪性貧血、再生不良性貧血、白血病やがんの転移による貧血です。
増えすぎている場合
・脱水症状:全身の衰弱がひどく、飲食物を口からとれない、日射病、熱射病など。
・多血症:赤血球が徐々に増え、白血球や血小板も増えてくる。
※赤血球数やヘモグロビン量の検査結果を加味して赤血球恒数(次回解説予定)を求めれれば、貧血の種類や性質をおおよそ診断することができます。
※ヘモグロビン量とヘマトクリット値は、現在では自動血球計算機で赤血球数とともに自動的に測定されます。
※使用する自動血球計算機の機種によって基準値は若干異なります。