腎臓やその他の器官が悪くなくても尿中に蛋白が排泄されることがあります。
これを、『生理蛋白』、『正常蛋白』、『良性蛋白』と呼びます。
今回は、『生理蛋白』のひとつの『起立性蛋白尿(別名 体位性蛋白尿)』について解説致します。
起立性蛋白尿とは、寝ていたり、横になっていたりして、直立していないときには尿中に蛋白は排泄されませんが、立っている時や、腰を曲げたりしている時に尿中に蛋白が排泄されます。
起立性蛋白尿は、10歳代の若年者に多くみられ、長期間持続する場合もありますが、予後は良好です。
【起立性蛋白尿の原因】
起立性蛋白尿は、腎臓の血管の尿をつくる部分である糸球体での腎臓の静脈が圧迫されて、うっ血を起こしそのために、尿中に蛋白が排泄されると考えられています。
【起立性蛋白尿の検査】
起立性体位によって尿中に蛋白が認められるが、横になることにより採取した尿中から蛋白が認められなければ、『起立性蛋白尿』と判断されます。
起床時尿で3日連続で蛋白が認められなければ、起立性蛋白尿と判断されます。
【起立性蛋白尿の対応】
起立していることにより、腎静脈が圧迫されて起こるものですから病的なものではありません。
小児などに多く背骨が曲がっていることから腎臓の血管が圧迫され、尿中に蛋白が排泄されますが、成長するに従い尿中への蛋白の排泄はなくなりますから心配はありません。
蛋白が大量に出ることはなく,顔や体がむくむ,尿の量が減ることもありません。
【注 意】
※起立性蛋白尿が成人以降に出現する可能性は低いので、病的な蛋白尿であるとの前提で臨む必要があります※