梅毒トレポネーマに感染するとおよそ4週間でカルジオリピンに対する抗体が陽性となり、6週間以降にはTP抗体が陽性となります。
梅毒トレポネーマに感染してTP抗体が体内に出来る前に治療を開始しないと、一旦TP抗体が体内に出来としまいますと、体内の梅毒トレポネーマが無くなってもTP抗体が消えることなく残るので、いつまでもTP検査が陽性なり続けます。
そのために梅毒治療の判定にはTP検査は使用できません。
従って治療の判定にはSTS検査を行います。
完治後のTP抗体陽性は感染の名残みたいなもので、人には感染させませんし、自身の臓器にも悪影響を与えることはありません。
昔梅毒に感染したという名残にほかなりません!!
しかしこのことを知らない医師も結構います、そのために必要のない治療を続けていることをよく見かけます。
また、老人が老人ホームなどに入所の際に梅毒検査を受けてTP検査のみが陽性(既に治癒した梅毒で自分自身も問題なくヒトにも感染させません)となり入所を断られている事例を多く見かけるのも事実です。
これも検査を解釈する医師の無知による弊害の一つです。
TP抗体を残さないためには、TP抗体ができる前か、TP抗体が出来て抗体価が低いうちに早期に治療を開始することです。
TP検査の意義がわからずTP検査が陰性になるまで治療を続ける誤った治療を実施する医師がいることは、残念なことです。
2022年1年間の梅毒の新規感染者の累計は1万2966人でした。
今後も流行は収まらなてと考えられています。
梅毒治療にはペニシリン系抗菌薬が有効で、日本国内ではアモキシシリンの経口投与や神経梅毒と診断された場合にはベンジルペニシリンカリウム点滴静注による治療が日本性感染症学会により推奨されています。
2021年9月には、梅毒の世界的な標準治療薬であるベンジルペニシリンベンザチン筋注製剤の国内での製造販売が承認されました。