代表的な迅速検査法のエスプラインTPについて解説します。
【測定原理】
酵素免疫測定法を測定原理としたイムノクロマト法による血清または血漿中のTP抗体検出用試薬です。
この検査法は、TPの主要抗原と考えられているTpN47とTp15-17の2種類のリコンビナント抗原を使用しています。
検体滴下部に滴下した血清または血漿中にTP抗体が存在すると、酵素標識抗原〔アルカリホスファターゼ(ALP)標識リコンビナント抗原(TpN47)およびアルカリホスファターゼ(ALP)標識リコンビナント抗原(Tp15-17)〕と反応した後、展開液によりメンブレン上を移動し、判定部に固定されたTP抗原と結合して、血清または血漿中のTP抗体を介した3者のサンドイッチ複合体を形成し青色のラインが出現します。
反応確認用のレファレンスラインは、メンブレン上のTP抗原と異なる位置(下流側)へ抗ALP抗体を固定化したもので、固定化TP抗原とのサンドイッチ複合体形成に関与しなかったALP標識抗原と結合し、標識抗原の酵素反応によりラインが出現を確認することにより、血清または血漿、標識抗原、基質の展開および酵素反応が正常に行われたことを確認できます。
【操作上の注意】
血清または血漿を滴下後15分で判定する。
15分を経過後に青色のラインが出現しても陽性と判定しない。
必ずレファレンスラインに青色のラインが出現していることを確認する、レファレンスラインに青色のラインが出現していないときは再度検査を実施する。
【 判定方法 】
シート上に出現する青色ラインの有無を肉眼で判定します。
反応過程は複雑ですが、原理自体はいたってシンプルな方法を用いているため、従来の方法に比べ短時間で結果が得られます。
【判定ラインの画像】
1.陰性の画像
青色のレファレンスラインが認められ、青色の判定ラインが認められなかった場合。
※レファレンスラインの画像は省略しています※
2.陽性の画像
青色のレファレンスラインが認められ、青色の判定ラインが2本または1本認められた場合。
※レファレンスラインの画像は省略しています※
【検査のデメリット】
1.肉眼で判定するため、判定者個人による判定誤差が見られる。
2.測定時間を厳守しないと、陰性、陽性の判定が異なることがある。