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2018年10月31日水曜日

甲状腺検査-2.遊離トリヨードサイロキシン(FT3)-

遊離トリヨードサイロニン(Free triiodothyronine:FT3)は、甲状腺ホルモンです。

TSH(甲状腺刺激ホルモン)は脳から分泌される甲状腺のホルモン分泌を促すホルモンでT3、T4の調節をしています。

T3(トリヨードサイロニン)、T4(総サイロキシン)とは血液中の甲状腺ホルモンのことで、糖の代謝や蛋白質の合成など、エネルギー代謝を行うために分泌されています。

血液中では蛋白質と結合しホルモンとしては作用していません。ホルモンとして作用しているのは結合してこないFT3(遊離トリヨードサイロニン)、FT4(遊離サイロキシン)です。

これらの甲状腺ホルモンの分泌を見ることによって甲状腺の働きと亢進症と低下症の異常がわかります。

T3もT4同様、血中では大部分が蛋白と結合し、FT3は総T3の約0.3%しか存在しません。

しかしT4よりもT3の方が優れた甲状腺機能の指標となります。

体内での必要に応じ、T3、T4が結合蛋白から離れて遊離T4(FT4)や遊離T3(FT3)になりますが、末梢組織においてはT4がT3に変換されることも知られています。

甲状腺疾患の診断にはTSHとFT4(またはFT3)の測定が重要です。

【検査方法】

電気化学免疫測定法(Electro Chemiluminescence Immunoassay:ECLIA)

【基準値】

2.1~4.1pg/ml

※検査に使用する機器や施設によって異なることがあります※

【異常値】

高値:甲状腺機能亢進症(バセドウ病、プランマー病)、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎(急性期)、TSH産生下垂体腺腫、T3甲状腺中毒症など

低値:原発性甲状腺機能低下症(粘液水腫、クレチン病)、二次性(下垂体性)甲状腺機能低下症、慢性甲状腺炎(橋本病)、低T3症候群など

【検査値に影響を及ぼす要因】

1.薬物の服用(甲状腺ホルモン剤、ヨード剤など)の影響を受ける。

2.測定方法によっては、抗T3自己抗体や抗マウス抗体の影響を受ける。

3.低アルブミン血症の場合も影響を受ける。

【附則】

1.通常、FT4, FT3は一緒に変動するので、一方のみを測定すれば十分。

2.しかし両者が一致しない病態があるので、その場合は両者とも測定する必要がある。

例えば以下のことが考えられます。

①FT4が正常なのに、FT3が低い場合をlow T3症候群という。この場合は両方測
 定する。

②抗甲状腺剤治療中にFT4は正常になっても、FT3が高いことがあり、この場合、
 TSHは低く、甲状腺機能は亢進状態にある。

③橋本病で甲状腺機能低下が軽度のとき、FT4だけが低値で、FT3は正常値のこ
 とがある。