血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2021年2月28日日曜日

新型コロナウイルスについて-15.その2.二重マスク着用は二重かどうかよりも「フィットするかどうか」が重要-

前回の続きです。 

今回の実験の結果からは"二重がマスク最高!"ということではなく、飛沫が入り込む隙間をいかに減らすかが重要である、ということが理解できると思います。

二重マスクをする理由は「両端の隙間をなくしフィットさせるための方法」としてのものですので、重ねれば良いというものではありません。

1. マスクはノーズワイヤー(マスクの上部に沿った金属片)付きのものを選ぶ。

ノーズワイヤーを鼻の上で曲げて顔に密着させることで、マスク上部からの空気の漏れを防ぎます。

2. マスクフィッターやブレースを使用する。

サージカルマスクなどの使い捨てマスクや布製マスクの上にマスクフィッターやブレースを使用して、マスクの端の周りに空気が漏れないようにします。

3. 鼻、口、顎の上にぴったりとフィットすることを確認することが重要です。

マスクの両端に手を当てて隙間がないか確認してください。

目の近くやマスクの側面から空気が流れていないことを確認してください。

結論としては、顔にフィットさせるために二重マスクを使用することは浴びる飛沫の量を減らすためには有効なようです。

小顔の方は参考にして良いでしょう。

ただし、通常のマスク着用でも十分な効果が確認されています、これを二重マスクにしてよりフィットさせることでどれくらい実際の感染者が減るのかは未知数なのです。

実際には感染リスクは「マスクなし⇒⇒⇒マスク1枚⇒二重マスク」と考えられますので、二重にするかどうかよりも、会食などのマスクを装着していない場面での感染リスクをいかに減らすかの方が重要となるのです。

また、今は冬なので問題ないですが、夏に二重マスクをすれば熱中症のリスクも高くなるのではないかと推測されます。

マスク着用が推奨されるのはいまのところ換気が不十分となりやすい屋内や混雑した場面のみであり、人との距離が十分に保たれている場合は屋外でのマスク着用は推奨されていません。

メリハリをつけてマスクを装着するようにしましょう。


2021年2月21日日曜日

新型コロナウイルスについて-14.その1.二重マスク着用は感染防御効果大!!??-

 2021年2月10日、米国疾病予防管理センター(CDC)は二重マスクの効果に関する研究結果を発表し、これを受けて各メディアは 米国疾病予防管理センターは二重マスクを推奨と報じましたが、これは本当にマスク二重にした方が良いのでしょうか?

この事について分析してみます。

要するにこの論文は、着用時マスクをフィットさせることの重要性を強調しています。

ここで検証された三種類のマスクとは、

1.普通のサージカルマスクで、両側に隙間ができていることが強調されています。

2.二重マスクで、サージカルマスクの上に布製マスクを覆うことにより隙間がなくなっています。

3.結び目マスク(本文中では"knotted/tucked mask")で、両側に結び目を作ることで隙間をなくしています。

この三種類のマスクを使用して飛沫を排出する側と飛沫を浴びる側がそれぞれマスクを着けた場合、着けなかった場合の飛沫を浴びる量を比較しています。

この結果、排出する側/浴びる側がどちらもマスクを装着していた場合、普通のマスクではマネキンが浴びる飛沫の量が84.3%減ったのに対し、二重マスクでは96.4%、結び目マスクでは95.9%減ったとのことです。

確かに二重マスクと結び目マスクでは、普通のサージカルマスクよりも飛沫を浴びる量が減るようです。

普通のマスクの84.3%という結果も立派なものだとは思いますが・・・。

【つづく】

2021年2月14日日曜日

新型コロナウイルスについて-13.抗体依存性感染増強(Antibody-dependent enhancement:ADE)とは-

ワクチンの接種などにより起こりうる現象で、「抗体依存性感染増強(ADE)」と呼ばれます。

本来、ウイルスなどから体を守るはずの免疫抗体が、免疫細胞などへのウイルスの感染を促進し、その結果ウイルスに感染した免疫細胞が暴走し、あろうことか症状を悪化させてしまうという現象です。

それではこの抗体依存性感染増強はどの様なメカニズムで発生するのでしょうか?

抗体依存性感染増強の詳細なメカニズムについては、現時点では明らかになっていないことが多いのが現実です。

詳しい原因は不明で、中途半端な抗体ができたためともいわれています。

ただこれまでに、複数のウイルス感染症で抗体依存性感染増強に関連する報告がなされています。

実例をあげますと、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)に対するワクチンの研究では、フェレットなどの哺乳類動物にワクチンを投与した後、ウイルスに感染させると症状が重症化したとの報告があり、この現象は抗体依存性感染増強と考えられています。

人の免疫機構としては、抗体というたんぱく質を作ることで病原体に直接作用して生体を守る機能と、免疫細胞に取り込ませて処理をさせる液性免疫と、リンパ球などの免疫細胞が病原体に感染した細胞を処理する仕組みである細胞性免疫が存在していて、この機能によって人はウイルスなどの病原体から体を守っています。

これらの免疫は、本来はウイルスなどの病原体に感染した時の体の防御システムであり、再びと同じ病原体にかからないようにする仕組みです。

ワクチンはその仕組みを使っているのです。

ワクチン接種による大きな懸念として抗体依存性感染増強があるのです。

過去のワクチン開発でも動物実験のレベルでこの抗体依存性感染増強が発症して開発中止となった例もあります。。

免疫反応を確認しながらワクチンは開発されることから、その分だけ時間がかかります。

また上記のようにウイルスに対する抗体も、その機能を確認したうえで判定する必要があります。

抗体があるからといって、一概に安全とは言えないのです。

抗体依存性感染増強のように生体を危険にする抗体もあるということです。

2021年2月7日日曜日

新型コロナウイルスについて-12.各種マスクの予防効果について-

 ・不織布マスク

吐き出し飛沫量カット 80%

吸い込み飛沫量カット 70%

・布マスク

吐き出し飛沫量カット 74%

吸い込み飛沫量カット 40%

・ウレタンマスク

吐き出し飛沫量カット 50%

吸い込み飛沫量カット 35%

・フェイスシールド

吐き出し飛沫量カット 20%

吸い込み飛沫量カット 小さい飛沫に対しての効果はなし(エアゾルは防げない)

・マウスガード

吐き出し飛沫量カット 10%

吸い込み飛沫量カット 小さい飛沫に対しての効果はなし(エアゾルは防げない)

※各専門家・専門機関のデータから算出した平均値※

マスクの素材によって防御効果に差がかなりありますが、使用する場所や注意点を守れば問題はないと専門家も指摘しています。

不織布マスク以外は一切認めず、その他のマスクは認めないというのは間違いです。

不織布マスク以外は一切認めないという根拠は、理化学研究所などの研究チームが行ったスーパーコンピューター「富岳」のシミュレーションが影響しているようです。

確かに不織布に比べウレタンや布のマスクは飛沫の遮断性能が劣りますが、フェースシールドやマウスガードほどではなく、理研の担当者は「特徴の差で、使うなという意味ではない」と強調していることを理解する必要があります。

結論としては、どれも一般的な使用なら問題は無く、密な場所や病院など、より注意が必要な場所では不織布マスク、換気の良い場所で長時間使う場合はウレタンマスクと使い分けをすれば良いことです。

鼻を覆わないなど誤った着用で性能は大幅に低下することの方が重要で、材質より正しく使う方が大切です。

注意することとしてはウレタンマスクは繰り返し力が加わったりすると劣化するため、多くの製品で洗濯回数に制限が明記されていますからよく説明書を読んで使用してください。

何度も洗濯すると、見た目はきれいであってもフィルターの能力が落ち感染予防には役に立ちませんので注意が必要です(説明書に記載されている洗濯回数が来れば新品に交換)。