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2012年3月25日日曜日

炎症マーカー検査-2.赤血球沈降速度検査-


赤血球沈降速度検査とは、赤血球が試験管内を沈んでいく速度を測定する検査で、一般に血沈、ESRとも呼ばれます。

抗凝固剤を使用して固まらないようにした血液をガラス管に入れて一定時間放置すると赤血球が下へ沈み、その上部に淡黄色の血漿が残ります。

液の上端から赤と透明の境界線までの長さが赤血球の沈んだ距離に相当し、1時間に何mm沈んだかを測定します。

この検査は、主に身体の中に炎症をともなう病気の有無や程度がわかりますが、異常がなくても異常値を示すことがあり、逆に、明らかに病気であるのに正常値になることもあるため、この検査だけで診断を下すことはできません。

また、特定の病気を診断する事もできません。

当然HIV感染の判断もできません。

【基準値】

男性…1~10mm(1時間後)
女性…2~15mm(1時間後)

軽度亢進:<25mm
中等度亢進:25~50mm
高度亢進:>50mm

※変動範囲は、個人差があることから20mm以内であれば、あまり問題にはなりません。
※女性では軽い貧血があるときや妊娠後期、生理時に沈降が進み、やや高値になります。

【異常な場合に疑われる病気】

1.高値の場合

感染症…肺炎、結核、腎盂腎炎など
心臓病…心筋梗塞、心内膜炎、心筋炎など
消化器病…肝炎、胆のう炎、膵炎、潰瘍性大腸炎など
免疫の異常…全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチなど
血液疾患…多発性骨髄腫、白血病、悪性貧血など
がん…ほとんどの進行中のがん

2.低値の場合

多血症、異常ヘモグロビン症、播種性血管内凝固症候群(DIC)、低フィブリノゲン血症など

最近では、自動測定機器を使用して、1時間値及び2時間値を計算上から求めることが出来る自動赤沈測定装置が利用されています。




2012年3月18日日曜日

炎症マーカー検査-1.CRP検査-

身体の中に炎症の有無を調べる検査です。


今回はその中のひとつのCRP検査(C反応性蛋白)について解説します。

CRPとは、「C-リアクティブ・プロテイン」の略で、炎症や組織細胞の破壊が起こると血清中に増加するタンパク質の一種です。

肺炎血球(ストレプトコッカスニューモニエ)が持っているC多糖体に反応するため、C反応性タンパクと名づけられました。

体内で炎症反応が起こり、組織が破壊されると血液中のC反応性蛋白が増え、炎症が収まると正常値に戻る性質を持っています。

CRP検査では、単に体内で炎症が起こっていることしか分からず、その炎症の程度が重大かそうでないかということは分かりません。

「HIVに感染すると身体の中に炎症が起きることから、CRPでHIVに感染の判断はできるか?」と言う質問をよく受けますが、CRPは単に身体の中で炎症があることしか分からず、その炎症の原因を特定できないことから、HIVの感染の判断指標にはなりません。


【CRPの基準値】

定  性

(-) :陰性
(±) :偽陽性
(1+) :弱陽性
(2+) :陽性
(3+) :強陽性

定  量

基準値:0~0.3mg/dl

基準値外

軽度   :(0.3~1mg/dl)
中程度 :(1~10mg/dl)
重度   :(10mg/dl~)
 
※定量値の値は、検査に使用する機器によって若干異なります※

陽性反応が強い場合は、結核などの細菌感染症、膠原病、リウマチ熱、心筋梗塞、肝硬変、敗血症、悪性腫瘍などが疑われます。

弱陽性の場合は、ウイルス性疾患、急性肝炎、脳炎、内分泌疾患などの疑いがあります。