多くのウイルス感染は、病原体であるウイルスに感染すれば、
1.感染指標となる感染抗体
感染の判断をするために調べる抗体(HCV抗体)
2.次回感染時にウイルスを無毒化する中和抗体(感染防御抗体)
が産生されます。
HCV の場合はHCVの外殻(エンベロープ)の一部が非常に変異を起こしやすいため、HCV に感染した宿主(人)がこの部分に対する抗体を作った時には、すでにHCVエンベロープのタンパク構造に変異が起こっているため、うまく抗原抗体反応を行うことができません。
このように、HCV には宿主に中和抗体(感染防御抗体)を作らせず、自分自身の身の保全を図っています。
このようにHCVは、エンベロープの変異を繰り返しながら持続感染状態を維持しています。
動物実験においても、感染させたHCVはエンベロープを次々と変化させて、生体の免疫機能の攻撃からうまく逃れて生存することが確認されています。
HCV はこのようなエンベロープの急速な変異を付く返す特徴を持っているため、現在のところ、感染を予防するために有効なワクチンや免疫グロブリンはまだできていません。
これは、HIVについても同じことが言えます。