2026年5月初旬、大西洋を航行中のクルーズ船でハンタウイルスの集団感染が発生したというニュースが入ってきました。WHO(世界保健機関)などの報告に基づき、ニュースの概要とウイルスの正体について解説します。
1. ニュースの概要:クルーズ船での集団感染(2026年5月)
現在報告されている主な状況は以下の通りです。
まる発生場所: アルゼンチンから南極などを経て大西洋を北上中だったクルーズ船「MVホンディウス(Hondius)」
◎被害状況: 2026年5月4日時点で、3名が死亡、2名が確定診断、その他5名の感染が疑われています。乗客には日本人も1名含まれているとのことです。
◎現在の状況: 船は西アフリカのカーボベルデ沖に停泊しており、感染拡大を防ぐため乗客・乗員は船内隔離などの措置が取られています。
2. ハンタウイルスとは?
ハンタウイルスは、主にネズミなどのげっ歯類が媒介するウイルスです。
◎感染経路
・空気感染が中心: 感染したネズミの尿、糞、唾液に含まれるウイルスが乾燥し、ホコリと一緒に舞い上がったものを吸い込むことで感染します。
・接触・噛傷: ネズミに直接噛まれたり、排泄物に触れた手で口や鼻を触ったりすることでも感染します。
・ヒトからヒトへの感染: 基本的にヒトからヒトへは移りにくいですが、南米の「アンデスウイルス」という種類では、ごく稀に濃厚接触による家族内感染などが報告されています。
◎主な症状
潜伏期間は通常1〜8週間で、初期は風邪やインフルエンザに似ています。
・初期: 発熱、頭痛、筋肉痛、腹痛、吐き気。
・進行後(重症化): 肺に水が溜まる「肺症候群(HPS)」や、腎不全や出血を引き起こす「腎症候群(HFRS)」に発展し、致死率は種類により1%〜35%と非常に高くなる場合があります。
3. なぜクルーズ船で発生したのか?
現在調査中ですが、以下の可能性が検討されています。
・環境への接触: 船が南極や離島などの「野生動物が豊かな地域」に寄港した際、乗客が野生動物の生息地に立ち入って感染した可能性。
・船内環境: 船の中にネズミが入り込み、換気の悪い場所でウイルスが飛散した可能性。
4. 予防と対策
現時点で有効なワクチンや特効薬はありません。早期の対症療法が生存率を高める鍵となります。
・ネズミを寄せ付けない: 食べ物を密閉し、ネズミの侵入経路を塞ぐ。
・掃除の際は注意: ネズミのフンがある場所を掃除するときは、乾燥したまま掃かない(ウイルスが舞うため)。消毒液や水で湿らせてから拭き取ることが推奨されます。
今回のクルーズ船のケースは非常に珍しい事例ですが、一般的な旅行者が過度に恐れる必要はありません。ただ、野生動物の排泄物があるような古い小屋や換気の悪い場所には近づかないよう注意が必要です。
【参考資料】
『疾病発生ニュース ハンタウイルス集団感染はクルーズ船旅行に関連、複数国に及ぶ』








