2024年6月、山梨県の小学校で給食の「生のビワ」を食べた児童200人以上が、一斉に口の痒みや喉の違和感を訴えるという衝撃的なニュースが報じられ「花粉食物アレルギー症候群(PFAS)」の集団発症として全国的に注目されました。
1. 事例の概要:給食の「生ビワ」で一斉発症
発生状況: 給食に出された「生のビワ」を食べた直後、児童たちが口の中の痒み、喉の違和感、腹痛などを訴えました。
規模: 2つの市を合わせて200人以上の児童が症状を訴えるという、異例の規模でした。
原因の特定: 山梨県や保健所の調査の結果、細菌性の食中毒ではなく、ビワによるアレルギー反応であると断定されました。
なぜ「集団」で起きたのか?
通常、食物アレルギーは個人の体質によるものですが、これほど多くの児童が同時に反応したのは、山梨県という地域の**「花粉の飛散状況」**が深く関係していました。
2. 医学的背景:シラカンバ・ハンノキとの関係
この事例の鍵を握っているのは、ビワそのものではなく、児童たちが共通して持っていた**「カバノキ科(シラカンバやハンノキ)」の花粉症**です。
似たもの同士のタンパク質: カバノキ科の花粉に含まれるアレルゲン(PR-10というタンパク質)は、バラ科の果物(ビワ、リンゴ、モモ、サクランボなど)に含まれるタンパク質と構造が非常に似ています。
地域性: 山梨県を含む内陸部や寒冷地には、シラカンバやハンノキが多く自生しています。そのため、無自覚であってもこれらの花粉に対する抗体を持っている児童が多く、一斉に「ビワ」に反応してしまったと考えられています。
3. この事例から得られた教訓
この騒動は、アレルギー専門医の間でも「PFASがこれほど大規模に、かつ顕在化していなかった子供たちに起こり得る」という警鐘を鳴らすものとなりました。
◎注意すべき「バラ科」の果物◎
ビワで反応した児童は、以下の果物でも同様の症状が出る可能性があります。
なぜこれらが危険かというと、カバノキ科(シラカンバやハンノキ)の花粉アレルゲンと、バラ科の果実に含まれるタンパク質(PR-10)の構造が極めて似ているからです。
リンゴ、モモ、ナシ、イチゴ、サクランボ
【重要なポイント】
PFASの原因タンパク質は熱に弱いため、**「ジャム」や「コンポート(煮たもの)」、あるいは「缶詰」**であれば、この時の児童たちも症状が出ずに食べられた可能性が高いとされています。
教訓: 「自分は花粉症じゃない」と思っていても、体の中では準備が進んでいるかもしれません。「口の違和感」は体からのサインです。

