「血圧は上が140いってないから大丈夫」——その認識は、2025年8月に発表された最新の『高血圧管理・治療ガイドライン2025』によって明確に否定されました 。
今回の改訂の最大の目玉は、これまでの複雑な基準を整理し、「診断」と「目標」を分けた「二段構え」の考え方を導入したことです 。
1. 「診断」の基準:140/90 mmHg 以上
医学的に「高血圧症」という病名がつく基準自体は、実はこれまでと変わりません 。
◎診察室血圧: 140/90 mmHg 以上
◎家庭血圧: 135/85 mmHg 以上 この数値を超えると、血管への負担が明らかに大きく、医学的な介入が必要な「病気」の状態と定義されます 。
2. 「目標」の基準:130/80 mmHg 未満(今回の劇的な変更点)
今回、最も大きな転換点となったのが、診断された後に「どこまで下げるべきか」という降圧目標値でこれまでは年齢(75歳以上かどうか)や持病によって目標値がバラバラでしたが、最新の知見に基づき、原則として一律「130/80 mmHg 未満」に一本化されました 。
◎診察室での目標: 130/80 mmHg 未満
◎家庭での目標: 125/75 mmHg 未満 「高齢だから少し高くてもいい」という考え方は、最新の研究で「きっちり下げたほうが脳卒中や認知症のリスクを抑え、健康寿命を延ばせる」というデータが裏付けられたことで、過去のものとなったのです 。
3. 「130〜139」は血管のメンテナンス開始サイン
最新の定義では、140に達していない「130-139 / 80-89 mmHg」を**「高値血圧」**と呼び、すでに脳卒中や心臓病のリスクが高まり始めている「イエローカード」の状態として警鐘を鳴らしています 。
「まだ病気(140)じゃないから何もしなくていい」のではなく、「目標値(130)を超えたから、血管を守るための生活習慣改善(メンテナンス)を始める」という意識の切り替えが求められています 。
今回のガイドラインの名称が『高血圧治療~』から**『高血圧管理・治療~』**へと変わったのも、薬に頼る前の「自己管理」の重要性を強調するためなのです 。
まずは、あなたの「いつもの数字」が130/80を超えていないか、正しく知ることから始めましょう 。
続く





