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2026年10月30日金曜日

「2026-27年シーズンのインフルは本当にヤバい」!! 🛡️ 第4回:重症化を防ぐワクチンと「予防投与」、今日からできる粘膜免疫ケア


 1. ワクチンの本当の目的は「発症予防」ではなく「重症化阻止」

「ワクチンを打ったのにかかったから意味がない」という誤解が多く見られますが、医学的な最大の目的は「脳症や二次性細菌性肺炎による入院・死亡リスク(重症化)を下げこと」にあります。

抗原変異株(サブクレードK)が相手であっても、T細胞免疫などを介した重症化予防効果は十分に期待できます。


2. 【自費診療】重要なイベントを守る「抗ウイルス薬の予防投与」

どうしても休めない受験、結婚式、海外出張などの前には、医師の処方による予防投与(タミフルやゾフルーザの予防的服用)も選択肢となります。

◎仕組み:感染リスクが高まる期間(10日前後)にあらかじめ服用しておくことで、体内に侵入したウイルスの増殖を初期段階でブロックします。

◎※全額自己負担(自費診療)となりますが、感染を水際で防ぐ有効な手段です。


3. 今日から実践!免疫力を最大化する3つの生活習慣

1)40℃のお湯に15分入浴

深部体温を一時的に上げることで血行を促進し、免疫細胞(NK細胞やリンパ球)の循環を活性化させます。

2)8時間以上の良質な睡眠

睡眠中に成長ホルモンや免疫調律サイトカインが分泌され、傷ついた粘膜組織や免疫系が修復されます。

3)1日1.5〜2Lのこまめな水分補給

気道粘膜の乾燥を防ぎ、ウイルスの侵入を防ぐ「繊毛運動」と「IgA抗体」のバリア機能を正常に保ちます。


おわりに

今年のインフルエンザは、「変異株による免疫の効きにくさ」「夏からの早期流行」「二峰性ピーク」と、いくつもの脅威が重なっています。

「いつもの風邪」と油断せず、正しい時期のワクチン接種、適切なタイミングでの医療機関受診、そして毎日の生活習慣で、ご自身と大切な人の健康をお守り下さい!


【参考資料】

『抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドライン 』

「2026-27年シーズンのインフルは本当にヤバい」!! 完

2026年10月29日木曜日

「2026-27年シーズンのインフルは本当にヤバい」!! ⏰ 第3回:受診は「早すぎても遅すぎてもダメ」!検査と治療薬の48時間ルール

 


1. 早すぎる受診が招く「偽陰性」の罠

熱が出た瞬間に病院へ駆け込んでも、正しく診断できない場合があります。



※発症初日に「陰性」と出ても熱や症状が続く場合は、翌日に2回目の検査を受けることが医学的に推奨されます。


2. 抗ウイルス薬(タミフル・ゾフルーザ等)の「48時間の壁」

逆に、受診が遅れすぎると特効薬が効かなくなります。

◎48時間ルール:インフルエンザ抗ウイルス薬(ノイラミニダーゼ阻害薬など)は、「体内でのウイルスの増殖を抑える薬」であって、すでに増えてしまったウイルスを直接退治する薬ではありません。

◎48時間を過ぎると…:体内でウイルスが増殖しきってしまうため、薬を服用しても病期短縮や重症化予防の効果が著しく低下します。


【参考資料】

『インフルエンザ検査はいつから?発熱後すぐでは早い?検査のタイミングを解説』

2026年10月28日水曜日

【緊急分析 2026年10月28日号】インフルエンザ流行前倒しの真相!「サブクレードK」の脅威とワクチンの真価


例年よりはるかに早いペースで猛威を振るうインフルエンザ。「前年の7倍」「10月にして注意報レベル突破」というニュースを目にして、「今年はなぜこんなに早いの?」「今すぐワクチンを打つべき?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。


今回は、厚労省のデータや話題の変異株「サブクレードK」の正体、そしてワクチンの正しい活用法について、医学的・疫学的な視点からわかりやすく紐解いていきます。


1.なぜ今年はこんなに早いの? 早期流行を招いた「2つの要因」

厚生労働省の発表でも示されている通り、今シーズンは例年より約1か月早く感染の波が訪れてこの「異例の早期化」には、疫学的に明確な2つの理由が存在します。

① 人流の急増と「海外からのウイルス持ち込み」

水際対策の緩和やインバウンドの増加、海外渡航の活発化に伴い、南半球などで先行流行していたウイルスが日本国内へ速やかに持ち込まれました。

② 主犯格:A/H3N2(香港型)の変異株「サブクレードK」

最大の要因は、主要な流行型であるA/H3N2(香港型)の遺伝子が変異した「サブクレードK(系統名:J.2.4.1)」の台頭です。

ウイルスの表面にあるスパイクタンパク(HA:ヘマグルチニン)の形がわずかに変化した(=抗原ドリフト)ため、「過去の感染体験」や「前年までの免疫」をすり抜けやすいという性質を持っています。

そのため、集団免疫が十分に機能せず、早い段階から感染が広がりやすくなったと考えられます。


2. 変異株に「ワクチン」は効かないのか? 医学的ファクト

「変異株なら、今期のワクチンを打っても意味がないのでは?」という声をよく耳にしますがしかし、ここには重要な誤解があります。

※ワクチンの真の目的は「重症化(肺炎・脳症など)の防止」

インフルエンザワクチンの第一目標は「100%感染を防ぐこと」ではなく、体内にあらかじめ抗体を作っておくことで、ウイルスが侵入した際に素早く叩き叩き、重症化を防ぐことです。

・高齢者への効果データ:厚労省の知見でも、ワクチン接種により「高齢者の発病を約34〜55%阻止」「死亡リスクを約82%減少」させる効果が示されています。

・変異株への交差免疫:サブクレードKに対して感染予防効果(中和抗体)がやや低下する可能性は指摘されているものの、重症化を防ぐ細胞性免疫などの防御メカニズムはしっかり働きます。

※接種のベストタイミングは「11月中」※

ワクチンを打ってから十分な抗体(免疫)ができるまで約2週間かかり、効果の持続期間は約5か月(約半年)です。

12月〜1月に迎える感染のピークに備えるならば、遅くとも11月中旬〜下旬までの接種が最も理想的です。


3. 「打つべき人」と「気になるリスク」を整理

自分や家族は打つべきかどうか、メリットとデメリット(副反応)を正しく比較してみましょう。

※特に接種が強く推奨される方

・ハイリスク群:65歳以上の高齢者、心疾患・呼吸器疾患・腎疾患などの基礎疾患がある方(重症化・入院リスクが著しく高いため)。

・家庭・職場環境:乳幼児や高齢者と同居している方、換気の悪い密閉空間で長時間働く方。


※副反応と「アレルギー」の真実※

・副反応:接種部位の腫れ・痛み、軽度の発熱やだるさなどが1〜2割の方に見られますが、通常2〜3日程度で軽快します。

一部で不安視されるmRNA型(新型コロナ)ワクチンとは製法が異なり、インフルエンザワクチンは長年使われてきた不活化ワクチンのため、強い後遺症リスクは極めて低いとされています。

・卵アレルギー:製造工程で鶏卵が使用されるため、重度の卵アレルギーがある方はアナフィラキシー等の注意が必要ですが、精製技術が進んでいるため軽度であれば可能な場合も多く、事前の問診で医師と十分に相談することが大切です。


4. もし感染してしまったら? 「予防投与」と治療の考え方

どれだけ気を付けていても、感染を完全にゼロにすることは困難ですが、現代医学には確実な対処法があります。

◎発症したら「48時間以内」の迅速な治療

抗インフルエンザ薬(タミフル、ゾフルーザ、イナビルなど)は、発症から48時間以内に服用を始めることで、ウイルスの増殖を効果的に抑え、発熱期間を1〜2日短縮できます。無理をせず早めに医療機関やオンライン診療を受診しましょう。


◎重要な仕事を控えている場合の「予防投与」

受験や絶対にはずせない仕事がある場合、医師の判断のもとで抗インフルエンザ薬を事前に服用する「自費での予防投与」という選択肢もありますが、基本は「日頃のうがい・手洗い・適切な湿度保持(50〜60%)」と「事前接種」が王道です。


まとめ:正しい知識で「安心」を選ぼう

今年のインフルエンザは「変異株サブクレードK」と「早期流行」という2つの特徴を持っています。

だからこそ、「かかったら薬を飲めばいい」と楽観視するのではなく、重症化を防ぐためのワクチン接種と日頃の感染対策のダブルガードが極めて有効です。

65歳以上の方であれば多くの自治体で助成金(公費負担)が出ます。

「自分と大切な家族の健康を守るための安心料」と考え、ぜひ早めの行動を検討してみてください!

【参考資料】

『感染症週報』

『季節性インフルエンザ - 世界情勢』

『インフルエンザA(H3N2)の進化を理解する:香港インフルエンザからサブクレードKまで』



2026年10月27日火曜日

「2026-27年シーズンのインフルは本当にヤバい」!! 🦠 第2回:脅威の変異株「サブクレードK」と恐怖の「二峰性流行(ダブルピーク)」

 


1.免疫をかいくぐる変異株「A/H3N2 サブクレードK」とは?


今年の流行で最も警戒すべき医学的要因は、A香港型(A/H3N2)の抗原変異株「サブクレードK」の台頭です。


◎抗原漂移(Antigenic Drift:アンティジェニック・ドリフト)の罠:ウイルスの表面タンパク質(HA:赤血球凝集素)の構造が変化したため、「過去に感染して得た自然免疫」や「従来のワクチンで作られた抗体」がウイルスを認識しにくく(中和しにくく)なっています。


◎重症化リスクが高いA香港型:A香港型は、A/H1N1pdm09(比較的軽症で推移しやすい型)に比べて高齢者の肺炎合併症や小児の「インフルエンザ脳症」を引き起こしやすく、ワクチンによる中和抗体誘導も難易度が高いという特徴があります。


2. 年に2回襲ってくる「二峰性(ダブルピーク)流行」のメカニズム


昨シーズン同様、今シーズンも「秋口」と「年明け(2月頃)」の2回、大きな流行の山が来る二峰性流行が想定されています。


【二峰性流行の基本パターンとは】


・第1波(秋~冬):A香港型(A/H3N2 サブクレードK)メイン ➔ 重症化に注意


・第2波(晩冬~春):B型メイン ➔ 1度かかった人でも型が違うため再感染!


※「1度かかったから安心」は間違い:A型に感染して得た免疫は、B型にはまったく通用しません。

※ 型が異なるウイルスが連続して流行するため、ワンシーズンに2回インフルエンザに罹患するリスクが現実化しています。


【参考資料】

『インフルエンザ変異株「サブクレードK」とは|ワクチン効果や症状は?』

『インフルエンザウイルスのサブグレードKについて』

2026年10月26日月曜日

「2026-27年シーズンのインフルは本当にヤバい」!! 🎨 第1回:なぜ夏から流行?「下水」が捉えた異変と亜熱帯化する日本のリスク

 


2026-27年シーズンのインフルエンザが「本当にヤバい」と騒がれている最大の理由は、


1999年以降で2番目となる異例の早さ(8月下旬)で全国的な流行入りを果たし、秋冬に向けてさらなる「二峰性(2回)の大流行」や「ワクチンの効果切れ」が懸念されているからです。


今回は「2026-27年シーズンのインフルは本当にヤバい」理由を分析し、の対策をしていきましょう。


1. 史上2番目の早期流行!下水サーベイランスが暴いた「目に見えない感染拡大」

これまでのインフルエンザ対策といえば、医療機関の定点報告に基づく「患者が病院に行ってからのデータ」が頼りでした。しかし、2026年は8月下旬という異例の早さで全国的な流行入りが発表されました。

これを早期に捉えたのが、「下水サーベイランス(下水疫学調査)」です。

◎なぜ下水なのか?:感染者は発症前や無症状であってもウイルスを排出し、地域の下水処理場でウイルスのRNA濃度を測定することで、受診前の潜在的プレ感染者を含めた「リアルタイムな地域感染密度」を網羅的に把握できます。

◎従来の常識との乖離:コロナ禍前は夏場に検出されなかったウイルスRNAが、近年は7月時点で検出されるように変化しています。


2. 日本の「亜熱帯化」と室内密閉空間のリスク

従来の日本(温暖湿潤気候)では、「冬の低温・乾燥期」にウイルスが安定化し流行するのが典型でしたが、近年の気候変動による連日の猛暑が、流行メカニズムを一変させています。

◎エアコン密閉による換気不全:過酷な暑さにより室内でエアコンを長時間稼働させ、換気が不十分な「密閉空間」が夏場から形成されます。

◎夏バテによる自然免疫(粘膜バリア)の低下:自律神経の乱れや睡眠不足が、気道粘膜のIgA抗体分泌や繊毛運動を低下させ、ウイルスの侵入を許しやすくします。


🔬 疫学的まとめ

下水サーベイランスによる早期察知と、気候変動に伴う室内環境の変化が合わさり、「インフルエンザは冬の病気」という概念は過去のものとなりつつあります。

【参考資料】

『2026年夏季におけるインフルエンザの流行入りとインフルエンザウイルスについて』


2026年10月25日日曜日

【正しく知ろうインフルエンザワクチンのこと2026年10月25日号】「フルミストを打った子からインフルがうつる」は本当?専門医が明かす噂のウソ・ホントと正しいリスク対策

 


はじめに:学級閉鎖ラッシュ!気になるあの噂


学級閉鎖が相次ぐインフルエンザ流行シーズン。


痛くない鼻スプレー型のワクチン「フルミスト(FluMist)」を選ぶご家庭が急速に増えています。


しかし、SNSや保護者の間でこんな声を聞くことはありませんか?


「フルミストって生ワクチンでしょ?接種した子から自分の子どもにインフルがうつるんじゃない…?」


わが子が熱を出したとき、「もしかしてあの子のせい…?」と不安になってしまうお気持ちはとてもよく分かります。


今回は、実際の医学データや疫学研究をもとに、この噂の「真実」を分かりやすく紐解いていきます!


【結論】「うつる可能性」はゼロではないが、極めて稀!


まず結論からお伝えすると、「接種した子どもから周囲の人にワクチンのウイルスがうつる(伝播する)可能性はごく僅かにあるが、発症したり重症化したりするリスクは極めて低い」のが事実です。


なぜそう言えるのか、実際のデータを見てみましょう。


1. 保育施設での疫学データ


保育園などの集団生活において、フルミストを接種した子どもから他人にウイルスが伝播した確率を調べた研究があります。


◎1人の接触によりワクチンウイルスが伝播する推定確率は 約0.58%。


◎仮に「由来が不明なケース」をすべて伝播と見なしても 2.4%程度 です。


◎さらに、うつったと確認された1名も症状はごく軽微でした。


2. 「接種した子のせい」と思ったら、実は街の流行株!?


ここが一番のポイントです!


同研究において、フルミストを接種していない(偽薬を受けた)子どもたちからもインフルエンザウイルスが検出されました。


その内訳を調べると、ワクチン由来のものはわずか1件で、多くは「地域で流行していた普通のインフルエンザ(野外株)」だったのです。


また、米軍人を対象とした研究でも、流行期に発症した接種者から検出されたウイルスは100%が「地域の流行株」でした。


👉 つまり:「フルミストを打った子の近くにいたから感染した」のではなく、「単に街中で流行している普通のインフルエンザにタイミング悪くかかってしまった」ケースがほとんどなのです。


⚠️ ここでハマりやすい「3つの勘違いトラップ」


医学的に正しく状況を理解するために、絶対に分けて考えたい3つの視点があります。


トラップ①:「陽性=人にうつしている」ではない!


フルミスト接種後しばらくの間は、本人の鼻の中にワクチンの弱毒化したウイルスが存在しそのため、病院で通常の迅速検査(抗原検査)を受けると「陽性」と判定されます。


しかし、通常の検査キットでは「ワクチンウイルス」なのか「街の流行ウイルス」なのか区別がつきません。


「検査で陽性反応が出たこと」と「周囲へ感染させる力があること」はイコールではないのです。


トラップ②:「接種のあと」と「接種のせい」は別物


A(接種したこと)の後に、B(誰かが発熱したこと)が起きた。


これを人間は無意識に「AのせいでBが起きた!」と結びつけてしまいがちです(因果関係の誤認)が、感染源が特定できない以上、誰かを責めたり不安を煽ったりすることは厳禁です。


トラップ③:生ワクチン=危険、ではない


フルミストに使われているのは「冷感順応・弱毒生ウイルス」で人間の体温(約37℃)では増殖しにくく、鼻腔内(約33℃前後)でしか増えられないよう特別に作られています。だからこそ、体内で悪さをしたり強烈なインフルエンザを発症させたりすることはあり得ないのです。


💡 私たちが知っておくべき「正しい予防と配慮」


フルミストは痛みがなく、鼻粘膜の粘膜免疫(IgA抗体)もつけられる非常に優れたワクチンで過度に怖がる必要はありませんが、以下の配慮だけは知っておきましょう。


1)重度の免疫不全があるご家族・関係者がいる場合


添付文書に基づき、接種後1〜2週間は密接な接触(同じベッドで寝る、至近距離での長時間の会話など)をできるだけ避けましょう。


2)受診時には「フルミスト接種日」を医師に伝える


接種後に熱が出たり検査を受けたりする場合は、必ず「〇月〇日にフルミストを接種しました」と医師に伝えてください。


まとめ:正しい知識で感染症シーズンを乗り切ろう!


◎フルミストから他人にうつる確率は1%未満〜数%程度と非常に低い。


◎伝播しても症状は軽いことがほとんど。


◎近くの子が発熱しても、原因の多くは「街の流行株」。


◎「誰のせいか」を探すのではなく、手洗いや十分な休養など基本の対策を!


不確実な情報や噂に惑わされず、正しい知識を持って子どもたちの健康を守っていきましょう✨


✍️ 今回のリライトのポイント(解説)


1)行動経済学・心理学的な視点(因果関係の誤認)を言語化


「接種のあと」と「接種のせい」の混同(Post hoc ergo propter hoc:後順の謬論)を、一般の読者にもピンとくる「勘違いトラップ」として噛み砕きました。


2)医学的メカニズム(冷感順応株)の補足


なぜ弱毒生ワクチンなのに安全なのか(鼻の温度33℃でしか増殖できない仕組み)を補足し、根拠のある安心感を提供しました。


3)読者の不審感・他責思考の軽減


「〇〇ちゃんのせいでうつった」という悲しいコミュニティ内の摩擦を防ぐため、倫理的な呼びかけと科学的データの双方からアプローチしました。


【参考資料】

『経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方  日本小児科学会』

『フルミスト点鼻液』

『小児に対するインフルエンザワクチンについて』

『【質問箱】フルミストを接種した子からインフルエンザは広がる?』


【参考文献・科学的根拠データ】


Vesikari T, et al. Pediatr Infect Dis J. 2006; 25(10): 861-867.(保育施設におけるフルミスト伝播率 0.58% を示した臨床試験)


U.S. Food and Drug Administration (FDA). FluMist Quadrivalent Prescribing Information.


厚生労働省・PMDA「フルミスト点鼻液 添付文書・インタビューフォーム」(第一三共株式会社)




2026年10月24日土曜日

【緊急警鐘 2026年10月24日号】世界初!ウシのウイルス「シャモンダウイルス」がヒトへ感染、そして死亡例へ

 


「まさか、家畜のウイルスがヒトの命を奪うとは――」


2026年10月下旬、フランス保健当局およびWHO(世界保健機関)から、世界の医学・疫学関係者に大きな衝撃を与える発表が行われました。


これまで「ヒトには感染しない」とされていたシャモンダウイルス(Shamonda virus)のヒトへの感染が世界で初めて確認され、さらには患者が死亡したというのです。   


現場の臨床医、そして感染症の最前線を見つめてきた立場から、このニュースが持つ真の意味、そして今後の疫学的なリスクについて冷静かつ徹底的に読み解いていきます。


1. シャモンダウイルスとは何か?(これまでの常識)


シャモンダウイルスは、オルソブニヤウイルス科(Orthobunyavirus:オルソブニヤウイルス)に属するアルボウイルス(節足動物媒介性ウイルス)の一種です。


◎主な宿主: ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマなどの家畜   媒介者: 吸血性の小型昆虫である「」   


◎歴史: 1960年代半ばにナイジェリアで初めて確認されて以来、アフリカ大陸や、日本を含むアジア諸国の家畜の間で流行や抗体保有が報告されてきました。


これまで、本種は「家畜特有の病原体」であり、牛などの間では流産や先天異常を引き起こすことが知られていたものの、ヒトに対しては自然感染の報告がなく、完全な「動物由来の非病原性(ヒトに対して)」ウイルスとみなされていました。


※※ヒトへの感染は2026年10月にフランスで世界初の症例が報告されたばかりであり、まだ確立された「一般的な病期」のデータはありません※※


2. 何が起きたのか? フランスでの衝撃的な症例


フランス当局の発表によると、今回の事例の概要は以下の通りです。   


◎患者像: フランス・リヨンの病院で重い基礎疾患の治療を受けていた、免疫機能が著しく低下(免疫不全)していた患者。   


◎感染経路: 2026年春から夏にかけて、家畜の間で同ウイルスが活発に循環(流行)していたフランス東部に滞在しており、そこで感染したヌカカに吸血された可能性が極めて高いとされています。   


◎経過: 10月上旬に不幸にも死亡、死因や病態の精査が進められていますが、死亡前に確認された重度の脳合併症に対し、シャモンダウイルス感染が強く関与(あるいは直接の原因)していると見られています。


3. 医学的・疫学的分析:なぜ「ヒト感染」が起きたのか?


臨床医学および疫学の視点から、今回の事象をどう捉えるべきかのポイントは「日和見感染(ひよりみかんせん)の拡張」と「ベクター(媒介蚊・ヌカカ)の生息域の変化」にあります。


① 免疫不全者における「種の壁」の突破   


健康な免疫システムを持つヒトであれば、仮にシャモンダウイルスが微量に侵入したとしても、強力な自然免疫や獲得免疫によって排除されますが、今回の患者のように免疫機能が著しく低下した状態では、通常はヒトに感染しないはずのウイルスが「種の壁」を越えて細胞内へ侵入・増殖し、神経系(脳)などの標的臓器で猛威を振るうことが可能になってしまいます。

これは、昨今問題視されている「動物由来感染症の思わぬスモーク(潜伏リスク)」が、免疫不全というハイリスク群において現実化した典型例と言えます。


② 気候変動とヌカカ(媒介昆虫)の生態変化ウイルスを媒介する「ヌカカ」は非常に小さな吸血昆虫で、地球温暖化や環境変化に伴い、こうした吸血性節足動物の活動期間の長期化や生息域の拡大が世界各地で起きています。

家畜の間でウイルスが広く循環していた背景には、ベクターの媒介活動が活発化した環境要因があったと推測されます。


4. 過度に恐れる必要はあるか?(現時点の見解)


新しいウイルスや「世界初」のヒト感染と聞くと、パンデミックを連想して不安になるかもしれませんが、現時点でのWHOおよび各国保健機関の見解は以下の通り、冷静なトーンを保っています。


◎例外的なケース: 今回の感染は、あくまで「重度の免疫不全」という特殊な背景を持つ個人に起きた極めて例外的な事象(孤発例)である。


◎一般社会へのリスク: 現時点において、一般の健康な人々への健康リスクは確認されておらずヒトからヒトへと感染が拡大する(人トヒト感染)性質を示す証拠もなく、直ちに広範囲な流行につながる可能性は低いと評価されています。   


5. 血液の鉄人からの考察:私たちが学ぶべき教訓


今回の事例は、「これまで安全だと信じられていた動物由来ウイルスが、条件次第でヒトの命を脅かす病原体になり得る」という自然界の厳しさを改めて突きつけています。


未知のウイルスや、家畜の間で流行するアルボウイルスに対しては、今後も以下のような「ワンヘルス(人と動物、環境の健康を一つと捉える視点)」に基づくサーベイランス(監視体制)が不可欠です。


1)家畜と媒介昆虫のモニタリング強化(特にヌカカなどの防除と流行状況の把握)


2)ハイリスク者(免疫不全者など)における感染症対策の徹底(農村部や流行地域への立ち入り、昆虫への曝露防止)


ニュースの表面的な「世界初・死亡」というショッキングな言葉だけに惑わされず、冷静に科学的ファクトを見極めながら、今後の動向を注視していく必要があります。


【おまけの話】


「ヌカカ」は糠粒のように小さいことから「糠蚊(ヌカカ)」と名付けられ蚊と同じハエ目に属する昆虫です。


体長1~2mmと網戸を通り抜けるほど小さく、気づかないうちに衣服の中に入り込んでくることから、「スケベ虫」「エッチ虫」などとも呼ばれています。


刺されると患部が赤くなり、かゆみや腫れが1週間以上続くこともあります。


【参考資料】


『仏でシャモンダウイルスのヒト感染確認、世界初 患者は死亡』

『家畜の新型オルトブニヤウイルスがもたらすヒトへの健康リスク評価』

『ヌカカとは?ヌカカに刺された時の対策と対処法は?』