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2026年10月10日土曜日

🚨 【インフルエンザ緊急速報2026年10月10日号】:前年同期比約7倍の猛威!「かかる人・かからない人」を分ける科学的真実と最新対策

 



「まだ秋口だから大丈夫……」そう油断していませんか?


厚生労働省の最新発表によると、全国約3,000の定点医療機関から報告された直近1週間のインフルエンザ患者数は、1医療機関あたり「11.35人」を記録しました。前週から約1.6倍に急増し、今シーズン初めて全国的な「注意報」基準(10人)を超え、なんと前年同期比の約7倍という異例のハイペースで感染が拡大しています。


特に沖縄県では「37.07人」と全国唯一の「警報」基準(30人)を超えたほか、埼玉県(19.66人)や千葉県(18.72人)をはじめ全国各地で学級閉鎖や休校が相次いでいます。


同じ職場や学校、家庭にいても「自分だけ感染してしまう人」と「まったくかからない人」がいるのはなぜでしょうか? 最新の疫学データと科学的知見をもとに、その謎と今すぐ実践すべき対策を徹底解説します。


1. なぜ今、ここまで早い流行なのか?(疫学的動向)

例年は12月〜3月が本格的なシーズンとされていますが、近年は人の移動の活発化や免疫集団(集団免疫)の変動により、流行の早期化が顕著になっています。

今回のデータで特筆すべきは、昨年の同時期と比較して「約7倍」という圧倒的なスピード感で全国ライクにウイルスが潜んでおり、「まだ早い」という油断が最大の感染リスクとなります。


2. インフルエンザの本態と見えざる感染経路

インフルエンザは単なる「重い風邪」ではなく、インフルエンザウイルスへの感染によって引き起こされる急性呼吸器感染症です。

◎主な症状: 38℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感が“比較的急激に”現れ、喉の痛みや咳を伴います。

◎主たる感染経路: 感染者の咳やくしゃみの飛沫を吸い込む「飛沫感染」と、ウイルスが付着した手で口・鼻・目の粘膜に触れる「接触感染」がメインです。

ここで厄介なのが、「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」の存在で、これは感染しても必ずしも高熱が出るとは限らず、ごく軽い症状で済むため、本人が気づかないうちに周囲へウイルスを広げてしまうケースが後を絶ちません。


3. 「かかる人」と「かからない人」を分ける3つの科学的要素

同じ環境に身を置いていながら、なぜ感染する人としない人が分かれるのでしょうか? それは以下の医学・免疫学的には、主に次の3つの要素が関係しています。

① ウイルスに触れる機会(物理的防御)

鼻や喉の粘膜はウイルスにとって格好の侵入経路で満員電車や換気の悪い密室など、ハイリスクな空間で「マスクを適切に着用しているか」「こまめな手洗いで粘膜への接触を断てているか」が分かれ道になります。

② 免疫機能(生体防御力)

ウイルスが侵入しても、体内の免疫システム(マクロファージやNK細胞、抗体など)が素早く働けば、ウイルスの増殖を抑え込み、発症や重症化を防ぐことができ免疫力の差が、そのまま「発症の有無」に直結します。

③ 日々の体調管理と生活習慣(ベースラインの維持)

睡眠不足や栄養バランスの乱れ、慢性的な疲労は免疫細胞の働きを著しく低下させることから、基礎的な体調が万全であるかどうかが、ウイルスを寄せ付けない強靭な身体を作ります。


4. 今すぐ実践したい!科学に基づく具体的な予防と対策

異例の早い流行に対抗するため、日常の生活習慣と環境をアップデートしましょう。

◎生活基本の徹底(免疫の維持)

特定の栄養素だけに頼るのではなく、まずはバランスの良い食事と、疲労を回復させるための質の高い睡眠・休養が基本でまた、近年の研究では腸内環境と免疫機能の密接な関係も注目されており、体を冷やしすぎない工夫も有効です。

◎室内環境の最適化(粘膜防御の保持)

気温が下がり空気が乾燥する季節は、気道粘膜の防御機能が低下しますから、加湿器を活用して室内の湿度を50〜60%に保ち、こまめな換気を行いましょう。

◎ワクチンの計画的活用

ワクチンは発病や重症化を防ぐための極めて有効な手段です。

接種後約2週間で抗体が作られるため流行前の接種が理想ですが、今季のように早期から流行している地域では、医療機関の情報を確認して早めの対応を検討することが身を守る鍵となります。


💡 まとめ

全国で注意報が発令され、感染拡大の波はすでに私たちの身近に迫っています。

「手洗い」「マスク」「十分な睡眠」という基本の徹底、そして自身の免疫力を高める生活習慣こそが、インフルエンザから身を守る最大の盾となります。

今一度、日々の感染対策を見直し、万全の体制でこの流行シーズンを乗り切りましょう!

【参考資料】

『令和8年第39週(令和8年9月21日から令和8年9月27日まで)分のインフルエンザの発生状況』

『まだ10月なのに・・インフルエンザ流行?2026年は早めに注意』

2026年10月9日金曜日

感染症アレコレ3:狂犬病の真実:致死率100%のウイルスが潜む「見えない脅威」と現代の防壁

 


「狂犬病なんて、昔の病気で日本では関係ない」――そう思っていませんか?


確かに日本国内では1950年代以降、狂犬病の発生は確認されていませんが、世界に目を向ければ、現在でも毎年数万人が命を落としている「致死率ほぼ100%のキル・スイッチ」です。


この記事では、医学的・疫学的な最新知見を交えながら、狂犬病の恐ろしいメカニズムと、私たちが日常で直面している「見えないリスク」を徹底解説します。


※2026年現在、世界の狂犬病による死亡者数は年間約5万9,000人と推定されており、発症後の致死率がほぼ100%に達する極めて危険な感染症で、犠牲者の約40%は15歳未満の小児であり、公衆衛生インフラが途上にある地域において深刻な脅威となっています※


1. ウイルスによる神経ハイジャックの恐怖

狂犬病がこれほどまでに恐ろしいのは、単なる感染症ではなく、宿主の行動を巧みに操る「神経ハッキング」のメカニズムを持っているからです。

・侵入と潜伏: 噛まれた傷口から筋肉に入ったウイルスは、免疫システムの目をかいくぐりながら末梢神経の内部を逆行します。その速度は1日にわずか数ミリから数センチです。

・脳への到達: 足先よりも、脳に近い首や顔を噛まれた方が発症までのスピードが圧倒的に早くなります。

・恐水症と感染拡大: 脳に達したウイルスは咽頭の神経を麻痺させ、強い渇きを感じさせながらも水を飲むことを拒絶(恐水症)させこれにより口腔内にウイルスを含んだ唾液が充満し、他者に噛みつくことで感染を広げる――まさに人類の肉体を遠隔操作する究極のサバイバル戦略です。

◎中世ヨーロッパで恐れられた「狼男伝説」の背景には、この狂犬病の症状(恐水症、知覚過敏、狂騒状態)が深く関わっていたと考えられています。

また、19世紀の天才作家エドガー・アラン・ポーの謎の死も、近年のカルテ分析により狂犬病の末期症状と完全に一致することが指摘されています。


2. 現代疫学から見る狂犬病のリアル

「日本にいないから大丈夫」という油断は禁物でグローバル化が進んだ現代において、リスクは国内にも潜んでいます。

・世界的な流行状況: アジアやアフリカを中心に、今なお世界保健機関(WHO)の統計で年間約5万〜6万人が死亡して、・特に犬からの感染が全体の大部分を占めています。


日本におけるリスク:

国内の犬に対するワクチン接種率は法律で義務付けられていますが、近年は接種率の低下が懸念される地域もあります。

海外の狂犬病流行地域(渡航先での野良犬や野生動物との接触)からの持ち込みリスクや、海外で感染して日本国内で発症する輸入感染例のリスクが常に存在しコウモリなどの野生動物がウイルスを保有している地域もあります。


3. 私たちを守る「見えない防御壁」

発症してしまえば現代の医療でも救命が極めて困難である一方、「発症前の迅速なワクチン接種」さえ行えば確実に防ぎきれる病気でもあります。

1885年、化学者ルイ・パスツールが狂犬に噛まれた少年に対して世界で初めてワクチンを投与し、奇跡的な救命に成功しこの偉大な発見が、今日の予防医学の礎となっています。

私たちが平和な日常を送れているのは、ペットへの厳格なワクチン接種と、万が一の際の暴露後免疫(PEP)という「人間の知性が築いた見えない防御壁」が機能しているからで、この防御壁を怠った瞬間、致死率100%の脅威はいつでも牙を剥く準備をしています。


💡 知っておくべきアクション

海外の狂犬病流行地域へ渡航する際は、野犬や野生動物(サル、コウモリ、猫など)に不用意に近づかないことが鉄則です。

海外旅行の際には日本国内にいる時のように犬を見かけても触ったり、近寄らないようにして下さい。

万が一噛まれたり引っかかれたりした場合は、すぐに傷口を石鹸と水で徹底的に洗い流し、速やかに医療機関でワクチン接種(暴露後発症予防)を受けてください。


【参考資料】

『狂犬病(Rabies)』

『世界における狂犬病の発生状況(ヒト)』

『【2026年最新版】狂犬病|日本と海外のリスクの違い』

2026年10月8日木曜日

感染症アレコレ2:現代に潜む「見えない脅威」:結核集団感染事例から学ぶ、私たちが知るべき医学的真実

 


「結核なんて、昔の病気でしょ?」と、そう思っていませんか?


抗生物質の普及により過去の病気とみなされがちだった結核ですが、現代の日本、そして身近な地域社会において、いまだに私たちの油断の隙を突いて猛威を振るっています。


大阪府が発表した、救急搬送および医療機関を巡る結核の集団感染事例は、まさに現代社会が抱える感染症対策の脆弱性と、私たちが日常的に直面しているリスクを浮き彫りにしました。


医学的・疫学的な視点から、この事例が意味するものと、私たちが取るべき防衛策を紐解きます。


1. 結核集団感染事例の構図:何が起きたのか?

大阪府の発表によると、和泉保健所管内に住む50代男性が結核と診断された端緒から、緊密な接触者への疫学調査により広範な感染連鎖が判明しました。

・発端: 50代男性が結核を発症・診断。

・二次・三次感染: 男性の搬送に関わった消防機関の職員4人と、搬送先医療機関の職員2人の計6人の感染が確認されました。

・集団感染(アウトブレイク)の認定: 厚生労働省の定義において、同一の感染源から2つ以上の家族・集団にまたがり多数の感染者を生み出した場合、集団感染とみなされ、今回の事例では、患者1人から派生した感染連鎖により、厳格な計算のもとで26人の感染とみなされる大規模な事例として認定されました。


2. 医学・疫学から見る「結核(Tuberculosis:)」の脅威

結核菌(Mycobacterium tuberculosis:)は、インフルエンザなどのウイルスとは異なる特異な性質を持っています。多くの人が誤解している「結核のリアル」を確認しましょう。

🦠 空気感染(飛沫核感染)という強力な感染経路

結核は、咳やくしゃみに含まれる微小な飛沫核(ひまつかく)を吸い込むことによって空気感染しウイルスとは異なり、数時間もの間空気中を漂う性質があるため、換気が不十分な空間では、同じ部屋にいるだけで感染リスクが生じます。


🧊 「不顕性感染(潜伏感染)」の罠

結核菌に感染した人のすべてがすぐに発病するわけではなく多くの場合、免疫システムにって菌が抑え込まれ、症状のない「潜伏結核感染(LTBI)」の状態になります。

しかし、加齢、ストレス、免疫抑制状態(糖尿病、がん、免疫抑制剤の使用など)によって免疫力が低下すると、何年も経ってから菌が再活性化し、「肺結核」として発病します。


🏥 なぜ医療従事者や救急隊員が感染したのか?

今回の事例で消防職員や医療従事者が感染した背景には、「初期症状の非特異性」があります。

初期の結核は、単なる「長引く風邪」や「気管支炎」と見分けがつきません。

患者自身も結核と気づいていない状態で救急要請や受診が行われたため、標準的な感染防御(N95マスクの着用など)が徹底される前に吸入被曝してしまった可能性が極めて高いのです。

これは、医療現場が常に抱える「診断前の見えないリスク」の典型例です。


3. 日本、そして大阪の現状:私たちは安全なのか?

◎大阪府の現状: 全国的に患者数が減少傾向にある日本国内において、大阪府は依然として罹患率が高い地域の一つであり、昨年(前年比増)だけでも1,172人が結核と診断されています。

◎「過去の病気」ではない現実: 高齢者の免疫力低下に伴う発病や、若年層における免疫未獲得層への感染など、結核は現代の日本でも日常の隣り合わせに存在しています。


4. 私たちが取るべき「最大の防衛策」

結核は、「早期発見・早期治療」を行えば完全に治すことができる感染症で重症化を防ぎ、周囲への拡大を防ぐために、一人ひとりが以下のサインに敏感になる必要があります。


🚨 最も重要なチェックポイント

※「2週間以上、咳や痰(たん)が続く」:

もしあなたやご家族にこの症状がある場合、ただの風邪と自己判断せず、速やかに呼吸器内科などの医療機関を受診し、胸部X線検査等を受けてください。

医療従事者や救急現場のプロフェッショナルたちを守るためにも、私たち市民が「疑わしい症状の段階で早めに受診する」ことが、社会全体を守る防波堤となるのです。


💡 あなたの意見を聞かせてください

「結核は昔の病気」というイメージがまだ根強い現代において、こうした身近な集団感染のリスクや早期受診の重要性を、周囲の人々にどのように伝えていけばよいと思いますか?


【参考資料】

『2025年(令和7年)結核年報の概況』

『「結核」に注意!古くて新しい感染症、日本では毎年約10,000人が新たに発症!』

『結核罹患数・罹患率』

2026年10月7日水曜日

感染症アレコレ1(2026年10月7日号):いまなお猛威を振るう「亡くならない結核」の現実

 


無くなったと勘違いされる感染症についてシリーズで紹介していきますのでお付き合い下さい。


「結核は昔の病気であり、現代の若い人には無縁である」——そう考えていないでしょうか。


日本国内の結核罹患率は人口10万人あたり8.0人で低蔓延国の水準を維持していますが、年間1万人以上の新たな患者と1,400人以上の死者が発生しています。


しかし、日本国内における疫学的データや臨床現場の現状を振り返ると、その認識は大きな誤りであることが分かります。


結核は過去の遺物ではなく、現代の職場や家庭において、世代を超えて静かに猛威を振るう侮れない感染症なのです。


1. 若者や職場を襲う「集団感染」の現実

国内では結核の患者数は全体として減少傾向にあるものの、集団感染の事例は今なお後を絶ちません。

◎大阪市の事例では、40代の男性がせきや痰、呼吸困難、両手のこわばりなどの症状を経て受診し結核と診断された後、死亡する事態となり、同じ事業所で働く接触者ら14人にも感染が広がる集団感染が確認されています。

◎更に都内の病院に通う20代半ばの女性は、祖母の結核発症に伴う「接触者健診」で自身も罹患していることが判明し痰の中に結核菌を排出する状態であったため即入院となり、3カ月を超える休職や周囲への影響を余儀なくされました。

このように、若い世代であっても家庭内や職場の身近なところから感染が広がるリスクが潜んでいます。


2. なぜ高齢者の発症・重症化が目立つのか?(疫学的背景)

現在、日本国内で結核を発症する人の大部分を高齢者が占めています。

◎2024年に国内で新たに患者として登録された1万51人のうち、60.2%が70歳以上であり、日本で出生した患者に限れば74.5%が70歳以上に達しています。

◎結核研究所の加藤誠也所長によると、過去に国内で結核が広く蔓延していた時期に感染を受けた世代が高齢化し、加齢や基礎疾患の影響によって免疫力が低下したことで発症(再活性化)しているのが主な理由です。

◎高齢者はせきの症状があまり出ないなど、症状が徐々に進行して気付きにくいため、「熱が続いていたが風邪と診断されていた」「食欲低下や転倒を機に行なった検査で初めて発症に気づいた」というケースが少なくありません。


3. 治療の進歩と、現代ならではの新たなリスク


世界保健機関(WHO)のデータによると、多剤耐性結核でない場合の治療成功率は世界で9割に達しています。

一方で、日本の治療成功率が2024年時点で約67%と比較的低いのは、患者に高齢者が多く、合併症などが原因で亡くなるケースが含まれているためです。

さらに、現代特有の社会情勢も無視できません。

◎国境をまたいだ人の流れが活発化していることや、新型コロナウイルス流行期における受診・検査の遅れが生じた影響もあり、近年では欧米の低蔓延国の一部で結核の感染者が再び増加する傾向が見られます。

「過去の病気」という固定観念を捨て、長引く発熱やせきなどのサインを見逃さず、早期受診と適切な感染対策を行うことが、自分自身と大切な人の命を守るために不可欠です。

【参考資料】

『2025年(令和7年)結核年報の概況 新登録結核患者数と罹患率』

『2025年 結核登録者情報調査年報集計結果について 厚生労働省』

『2025年結核登録者情報調査年報集計結果‐記者発表』

2026年10月6日火曜日

【インフルエンザ流行速報:2026年10月6日号】:「ワクチンを打ったのにインフルエンザに…」症状や治りは本当に変わる?最新研究から医学的・疫学的に読み解く


「せっかくインフルエンザワクチンを打ったのに、かかってしまった…」


医師が患者さんやご家族から最もよく聞く不満の一つです。


ワクチンは発症や重症化(入院など)を防ぐために打つものですが、「万が一感染してしまった場合、症状が軽くなるのか、それとも早く治るのか」という疑問について、実際のところ医療現場でもはっきりとした答えに悩むことが少なくありませんでした。


今回は、米国で発表された最新の家庭内感染研究(Howaら, Clin Infect Dis 2026年8月13日オンライン版)をもとに、医学的・疫学的な視点からこの疑問に迫ります。


※研究の概要:小児と成人で異なるワクチンの「その後」※

本研究は、米国の複数地域において2017/18〜2022/23シーズン(2020/21を除く)に実施された、インフルエンザ家庭内感染データの解析で、検査でインフルエンザと診断された外来患者1,522例(小児869例、成人653例)を対象に、毎日の症状記録から以下の3点(①インフルエンザ様症状、②下気道症状、③全症状)をスコア化して評価しました。


1. 小児の結果:症状は少し軽いけれど、早く治るわけではない

症状の程度:ワクチン接種者は非接種者に比べ、インフルエンザ様症状スコアおよび下気道症状スコアが有意に低い(=少し軽い)という結果でした。

回復までの時間:しかし、症状が改善するまでの早さには有意な差は認められませんでした。


2. 成人の結果:症状は変わらないが、少し早く回復する

症状の程度:接種者と非接種者で症状スコアに有意差はなく、罹患時の症状が劇的に軽いとはいえませんでした。

回復までの時間:一方で、インフルエンザ様症状が改善するまでの時間は接種者で有意に短縮(ハザード比1.30)していました。

これを非常にシンプルにまとめると、「小児はインフルエンザにかかっても症状が少しマイルドになるが、治るスピードは同じ成人は症状の重さは変わらないが、少し早く治る」ということになります。


※専門的考察:臨床的な意義と疫学の視点※

① 統計学的有意差と「臨床的な実感」のギャップ

今回の研究では、小児の症状スコアの差や成人の回復時間の短縮において「統計学的有意差」が示されましたが、日々の臨床現場に立っている医師の感覚からすると、その差は非常に小さく、患者や家族が「ワクチンを打ったからこんなに楽なんだ」とはっきり実感できるほどの大きなインパクトがあるわけではありません。

また、日本の別個のウイルス量に関する研究(Influenza Other Respir Viruses 2023など)でも、有症状で受診した小児患者において、ワクチン接種回数によるウイルス量の有意な差は認められていないというデータもあり、発症後の体内環境の変化は複雑です。


② 混confounding(交絡因子)に注意が必要な理由

疫学的に重要な点として、本研究はランダム化比較試験(RCT)ではありません。

ワクチンを自発的に受ける人と受けない人の間には、年齢、基礎疾患、健康への意識、生活環境などの交絡因子(背景の違い)が存在します。

そのため、「ワクチンのおかげ」なのか「もともとの健康状態や行動様式によるもの」なのかを完全に切り分けることは難しいという限界があります。


結論:ワクチンは「無駄」なのか?

「ワクチンを打ったのにインフルエンザになった=ワクチンの意味がなかった」というのは早計です。

何より、「インフルエンザの発症そのものを防ぎ、重症化や入院、さらには致命的な脳症などを回避できた人々」がこの研究の母集団(=そもそもかからなかった人たち)からすでに除外されている点を忘れてはなりません。

かかってしまった後の症状の軽減や治癒スピードへの効果は、過度に劇的なものではないかもしれません。しかし、総合的な感染防御の盾として、そして最も怖い重症化を防ぐ一手として、ワクチン接種の価値が揺らぐわけではありません。

正しい理解を持ち、日々の予防と対策を続けていきましょう。

【参考資料】

『インフルエンザワクチン接種とインフルエンザ確定診断を受けた外来患者の症状負担:症例確認型家庭内感染研究からのエビデンス』


2026年10月5日月曜日

 【インフルエンザ流行速報:2026年10月5日号】:今季のインフルエンザ早期流行の真相:なぜ今猛威を振るっているのか?

 


「今年はなんだかインフルエンザの流行がやけに早くないか……?」


そんな違和感を覚えている方も多いのではないでしょうか。


実は今秋、例年よりも早いスピードでインフルエンザが関東を中心に猛威を振るい、学校での学級閉鎖が相次ぐなど異例の事態となっています。


なぜ、この時期にこれほどの感染拡大が起きているのでしょうか。疫学データをもとに、その背景にある医学的・疫学的要因と、私たちが取るべき対策を分かりやすく紐解きます。


1. 観測史上最長の「長雨」がもたらした感染の温床

今回の早期流行を引き起こした大きな要因の一つとして挙げられているのが、気象条件で東京都では、8月27日から10月1日まで、観測史上最長となる36日連続の雨が記録されました。

◎「三密」環境の常態化: 長雨によって外出を控える人が増え、屋内に多くの人が密集・密閉される状況が生まれました。

◎換気の不足: 窓を閉め切りがちな空間で換気が滞ったことが、ウイルスの拡散に絶好の条件を与えてしまいました。

実際、比較的雨の影響が少なかった地域に比べ、関東圏での感染者数の急増が目立っており、気象と密閉空間の組み合わせが大きなリスクとなりました。

インフルエンザは「乾燥した冬」に流行するイメージが強いですが、それ以上に「密閉・密集・換気不良」の環境が長期化することの影響が大きいのです。


2. インバウンドによるウイルスの持ち込みと「子ども」を起点とした広がり

流行の中心となっているのは、インフルエンザA型の「H1N1」というタイプです。

◎南半球や東南アジアからの流入: このH1N1は、南半球や台湾、香港、東南アジアなどで7月から9月にかけてピークを迎えるウイルスです。インバウンド(訪日外国人観光客)とともに、日本の夏場に海外から持ち込まれるのは毎年のパターンのひとつです。

◎子どもから大人への強力な感染ルート: 新型コロナウイルスが比較的全世代に広がりやすいのに対し、インフルエンザは「子どもから大人・社会へ広がる」という特徴があり、学校で集団生活を送る子どもたちの間でまん延し、休日に家族が屋内施設へ出かけることで、一気に家庭や地域社会へとウイルスが波及する構図が浮かび上がります。


3. 油断大敵!「第2波」や「別型への感染」のリスク

「すでにA型にかかったから今年はもう大丈夫」と思っていませんか? ここに大きな落とし穴があります。

◎異なる型への連続感染: インフルエンザには主にA型(2種類)とB型(1種類)が存在し、それぞれ独立した免疫が必要で、A型の「H1N1」に感染した人でも、その後ろに別のA型「H3N2」やB型が流行すると、再び感染するリスクがあります。

◎昨年の動向: 昨年も1月にA型がピークを迎えた後、春にかけてB型が流行しました。今年も今後「第2波」が到来する恐れがあり、油断は禁物です。また、一般的にA型は「強いタイプ」が多く、重症化しやすい傾向にあります。


4. ワクチンは今すぐ打つべき?「重症化予防」という本当の価値

「流行が始まってから打っても遅いのでは?」「3ヶ月で効き目が切れるのでは?」と迷う方もいるかもしれませんが、多くの専門家や学会は現時点でのワクチン接種を強く推奨しています。

◎感染予防ではなく「重症化予防」が主目的: ワクチンの有効率は30%〜60%程度であり、接種しても感染することはありますが、最大の意義は「症状を軽く済ませ、命に関わる重症化を防ぐこと」にあります。

◎恐ろしい合併症を防ぐ: インフルエンザが重症化した場合、子どもでは心筋炎や脳炎、大人では肺炎といった命に関わる合併症を引き起こすリスクがあります。

◎免疫の持続期間: ワクチンの免疫は概ね3ヶ月〜長い人で半年持続することからしていつ訪れるか分からない第2波に備えるためにも、今打っておくことに大きな意義があります。

今年の混合ワクチンは、A型2種類・B型2種類の計4種類に対応しています。


※鉄人からのメッセージ※

「まだ大丈夫だろう」「ワクチンを打ってもかかるなら意味がないのでは」と考えてしまいがちですが、インフルエンザの脅威は侮れません。

特に免疫力が低下しやすい高齢者や、基礎疾患を持つ方、そして子どもたちやそのご家族にとって、重症化リスクを抑えるワクチン接種は非常に有効な盾となりますので、本格的な冬の寒さとさらなる流行が訪れる前に、ご自身や大切な人を守るため、ぜひ早めのワクチン接種をご検討ください。


【参考資料】

『インフルエンザ患者数3万人超え 昨年同時期の10倍以上に』

『インフルエンザの発生状況令和8年第39週(令和8年9月21日から令和8年9月27日まで)』

2026年10月4日日曜日

【新型コロナ最新情報】:第5回:【ワクチン編】2026年度新型コロナワクチン定期接種スタート!3学会が「強く推奨」する理由とは?


こんにちは、「血液の鉄人」です。


10月を迎え、いよいよ2026年度の新型コロナウイルスワクチンの定期接種が始まりました。


これを受け、日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会の3学会合同で、対象者に向けて「強く推奨する」とする見解が発表されています。   


「本当に打ったほうがいいの?」


「最近のワクチンの効果や、高齢者のリスクはどうなっているの?」


そんな疑問や不安を持つ方に向けて、最新の疫学データや医学的知見を交えて分かりやすく解説します!


1. なぜ今、3学会は「強く推奨」するのか?(疫学データの現状)

「もうコロナは落ち着いたのでは?」と感じている方もいるかもしれませんが、客観的なデータを見ると、高齢者における脅威は依然として続いています。

◎死亡者の97%が65歳以上:国内における新型コロナ関連の死亡者は、高齢層に集中しています。

◎高水準の入院・重症化リスク:変異株による免疫逃避が続く中、高齢者や基礎疾患を持つ方にとって、感染は依然として命に関わるリスクがあります。

◎低い接種率への危機感:近年、高齢者の接種率が低迷傾向にあり、集団免疫の低下や感染拡大が懸念されています。

こうした背景から、専門医の立場から「重症化を防ぐためにぜひ打ってほしい」という強いメッセージが発信されています。


2. 最新ワクチンがもたらす確かな医学的効果

最新の研究では、オミクロン株系統などの流行株に対応したワクチンを接種することで、以下のような高い効果が確認されています。

◎入院予防・死亡予防効果:最新の知見では、65歳以上における入院予防効果は約60%、死亡予防効果は約70%と高い有効性が示されており、その効果は接種後数ヶ月にわたって持続することが分かっています。   

◎罹患後症状(Long COVID)のリスク低減:ワクチン接種により、長引く倦怠感や体調不良などの後遺症の出現率が約23%低下するという報告もあります。   

◎過去に感染した方への意義:一度コロナに感染したことがある方でも、時間とともに免疫が低下して再感染することが多いため、専門学会は過去の感染歴に関わらず接種を勧めています。


3. 2026年度 定期接種の概要

1)対象者:65歳以上の方:60〜64歳で、心臓・腎臓・呼吸器の機能障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の障害がある方(身体障害者手帳1級相当など)

2)接種時期:毎年10月〜翌年3月頃(秋〜冬のシーズンに合わせて年1回)

3)使用ワクチン:流行の中心となっている系統に対応した5種類のワクチンが用意され、各自治体の助成(自己負担額は自治体により異なります)を受けて接種が行われます。   鉄人からのメッセージ


「過去に副反応が心配だった」「本当に自分に必要なのか迷っている」という声もよく耳にします。

しかし、感染による重症化のリスクや、それに伴う生活の質の低下(QOLの低下)を防ぐメリットは、医学的・疫学的に非常に大きなものです。


ご自身や大切なご家族の健康を守るため、そしてこれからの秋冬シーズンを安心して迎えるために、定期接種の機会をぜひ前向きにご検討ください。


※鉄人からのもう一言※

新型コロナワクチン接種を推奨するのであれば、高齢者の接種費用を公的補助100%として無料にすべきです。

ワクチン全体の費用は1万5,000円〜2万円程度ですが、自治体の助成額によって実際の自己負担額は異なりますし、高額であることに変わりありません。

※実際の費用:具体的な自己負担額は市区町村や医療機関によって異なります(例:約3,000円〜11,000円前後に設定されているケースなど、自治体の独自補助により金額が異なります)。


【参考資料】

『3学会がコロナワクチン定期接種を「強く推奨」、高齢者のリスク依然高い』

『2026 年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解 』