この行為は、主に以下の手順で行われます。
1)Aさんが薬物を摂取: 覚醒剤などの違法薬物を注射し、薬理効果(ハイな状態)を得る。
2)血液を抜く: Aさんがまだ「ハイ」な状態にあるうちに、自分の腕から(薬物成分が含まれているであろう)血液を注射器で抜き取る。
3)Bさんに注入: その抜きたての血液を、そのままBさんの体内に注入する。
名前の由来は、無線でデータを飛ばすブルーツース(Bluetooth)のように、**「人から人へ、直接(薬物の効果を)転送する」**という発想から来ています。
2. なぜこのようなことが行われるのか?
医学的には「他人の血液を少量入れたところで、薬物効果はほぼ得られない」とされていますが、フィジーなどの貧困地域で広まっている背景には、以下の理由があります。
・極度の貧困: 新しく薬物を買うお金がないため、誰かが使った「残り」を分け合おうとする。
・シェアの精神(歪んだ連帯感): 記事にもあった通り、仲間内で快楽を分かち合うという文化的な誤解が根底にある。
・注射器の不足: 道具が足りないため、一つの注射器で血液をやり取りしてしまう。
3. 医学的な危険性(なぜ「死の行為」なのか)
ブルートゥーシングは、単なる薬物乱用よりも遥かに高いリスクを伴います。
① HIV・肝炎ウイルスの「ダイレクト感染」
通常、注射器の使い回しは「針に残った微量の血液」がリスクになりますが、ブルートゥーシングは**「ウイルスが大量に含まれた血液そのもの」**を血管に入れるため、相手が感染者であれば、ほぼ確実に感染します。
② 急性拒絶反応(輸血ミスと同じ状態)
人間の血液には血液型やRh型があり型が合わない他人の血液を直接入れることは、病院での**「輸血ミス」**と同じ状態を招きます。
溶血反応: 赤血球が破壊され、腎不全やショック状態に陥り、最悪の場合は数分で死亡します。
③ 敗血症・細菌感染
不衛生な環境で血液をやり取りすれば、細菌が直接血流に乗り、全身の臓器が不全に陥る敗血症を引き起こします。
4. 日本での状況
幸いなことに、日本国内で「ブルートゥーシング」が流行しているという確かな報告は今のところありません。
しかし、海外の貧困層や薬物汚染地域では、これが**「HIV感染者を爆発的に増やすエンジン」**となってしまっています。
フィジーで感染者が3,000人に急増した最大の要因の一つが、この異常な摂取形態にあると言えます。
「ハイな気分を共有する」という言葉の響きとは裏腹に、その実態は**「死に至る病と、命に関わる拒絶反応を共有する」**極めて凄惨な行為です。
