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2013年4月1日月曜日

尿検査-No.5尿蛋白検査.その1.異常蛋白-


尿中に蛋白が存在するかを調べる検査です。

健常な人でも蛋白が尿に排泄されていることがありますが、テステープでの定性法で検査する場合では、陰性になるくらいの微量(150mg以下/日)です。

一般的には、アルブミンのような大きい蛋白は、腎臓の糸球体と呼ばれる濾過器を通過できないので、尿の中にはほとんど排出されません。

小さな蛋白の場合、糸球体を通過することができますが、糸球体より下部にある尿細管と呼ばれる器官で吸収されることから、これも尿の中にはほとんど排泄されません。

腎臓に障害が発生して、糸球体や尿細管に障害が起きると、蛋白を濾過・吸収する能力が低下するため、尿中に蛋白が排泄され尿蛋白が陽性となります。

【テステープによる尿蛋白陽性と定量との関係】

1+ : 尿蛋白が30~99mg/dl相当
2+ : 尿蛋白が100~299mg/dl相当
3+ : 尿蛋白が300~999mg/dl相当
4+ : 尿蛋白が1000~  mg/dl相当

※テステープの種類によって若干の違いが起こることがあります※


【基準値】

定性法 陰性(-)

定量法 20~120mg/日

※基準値は施設ごとで異なる場合があります※

【尿蛋白検査が陽性(高値)を示す】

腎臓より前の段階で異常があり、尿蛋白が陽性になるものを"腎前性"、腎臓に異常があるために陽性となるものを"腎性"、腎臓より後の臓器(例えば膀胱など)が影響して陽性となるものを"腎後性"と区別します。

1.腎前性蛋白尿

腎臓自体には異常がなく、腎臓以外の臓器の障害や感染症・悪性腫瘍などにより、血液中に低分子蛋白の増加がおこり、その結果、尿細管での蛋白の再吸収が追いつかなくなる病態で起こります。

【疑われる疾患】 多発性骨髄腫・溶血性貧血・膠原病・心不全など

2.腎性蛋白尿

腎臓の障害部位によって以下のふたつに分類されます。

1)糸球体性蛋白尿

糸球体は、血液をろ過する働きがあり、アルブミンのような大きな蛋白は通常、糸球体を通過することはできません。

しかし、糸球体に障害が起こると、アルブミンが糸球体を通過できるようになるため、蛋白が尿の中に通常時よりも多く出現します。

2)尿細管性蛋白尿

尿細管では通常、糸球体でのろ過作業によって通過してきた低分子の蛋白を体内に再吸収する働きがありますが、尿細管が障害を受けると、蛋白の再吸収ができなくなるため、蛋白が尿の中に通常時よりも多く出現します。

【疑われる疾患】 急性又は慢性腎炎・ネフローゼ症候群・アミロイド腎・カドミウム中毒・ビタミンD中毒など

3.腎後性蛋白尿

前立腺炎や膀胱炎、腎臓より下部の腫瘍などの影響により、血液や粘液などが尿に混入し、これらの影響で蛋白が尿の中に通常時よりも多く出現します。

【疑われる疾患】 膀胱炎・前立腺炎・腫瘍(膀胱、前立腺など)・膀胱や尿管結石など