国内の梅毒患者は、2022年12月4日時点で11917人と依然として流行は収まっていません。
今回は女性の患者について見てみますと、梅毒に感染した女性の75%は20~30歳代で、当然のことながら患者の中には妊婦もいます。
要するに女性患者の増加とともに妊婦の患者数も増加しつつあります。
梅毒トレポネーマに感染した妊婦のうち4分の3は妊婦健診で見つかっています。
しかも本人に心当たりがなく、知らない間に感染しているケースが多いのが現実です。
残りの4分の1は、妊婦健診を受けていなかったり、受けていても不定期だったりする人です。
妊婦の感染者が多いことは、梅毒がすでに家庭内に広く侵入していることになります。
先天性梅毒とはどのようなものなのでしょうか?
新生児が梅毒トレポネーマに感染した状態で生まれた場合、この感染症は先天梅毒と呼ばれます。
妊婦が梅毒トレポネーマに感染すると、梅毒トレポネーマは胎盤を通じて胎児に感染し、死産になることもあります。
早産・死産にならなかった場合には生まれてきた場合は、生まれつき異常があったりします。
新生児の「梅毒抗体検査」で感染の有無が分かります。
妊婦が梅毒トレポネーマに感染してから日が浅い場合は、母子感染の確率が下がると考えられており、早期の検査や治療は非常に重要です。
疑わしい症状として、性器や校肛門付近の痛みのない出来物・潰瘍・痛みのないまたのリンパ腺の腫れなどが見られた時には必ず梅毒検査を受けてください。
妊娠がわかれば妊娠初期(4~12週)と妊娠後期(28~40週)に梅毒検査受けるのが先天性梅毒防止に効果があります。
先天梅毒に関しても梅毒合併妊婦に対しても国際的な標準治療薬は筋注のペニシリン系抗菌薬ベンジルペニシリンベンザチンですが、日本においてはアモキシシリンを中心とした治療が行われているのが現実です。