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2017年10月17日火曜日

出血時間検査は必要か??!!

出血時間については当ブログ(『出血時間』)でも紹介していますが、今回は"出血時間検査は必要か??!!"について解説してみたいと思います。


出血時間は一次止血を反映する検査として知られており、出血性素因のスクリーニング検査として手術前検査などで実施される事が多のが実情です。

しかし以前から検査手技に関わる問題点が指摘されており、感度や再現性が低いとされているのも事実です。

また出血時間の結果と術中・術後の出血量との相関が乏しいとする見解もあり、術前検査の意義が疑問視されています。

この検査では、いつも一定した測定値が得られるとは限らないため、最近では血小板数や血漿を用いた凝固検査(プロトロンビン時間や活性化部分トロンボプラスチン時間)で、その能力を推定する方向にあります。

【出血時間検査を実施する理由】

出血時間の延長する病態は、以下の三つがあります。

1.血小板数の低下
2.血小板機能の低下
3.血管壁の脆弱性の存在

1の血小板数が低下している場合には、出血時間は延長しているに決まっているので、あえて出血時間をすることはまずありません。

2の血小板数が正常であるにもかかわらず、血小板機能が低下している病態は少なくありません。

この場合には、血小板機能の低下をスクリーニングする検査が出血時間ということになります。

3の血管壁脆弱性の存在は、たとえばオスラー病などですが、この病気は極めて稀で血液内科においても数年に1例遭遇するか否かですのであえて出血時間で見つける為に実施することはありません。

【出血時間検査は必要なのか】

従来術前検査に出血時間は不可欠の検査とされてきましたが、術前検査に出血時間が必要かどうかは、専門家の間でも意見が分かれています。

術前検査として出血時間は不要と考える専門家の意見は、出血時間と手術関連出血量は全く関連しないというものです。

このことを証明した論文が実際に存在します。

逆に術前検査として出血時間は必須と考える場合は、隠れvon Willebrand病が相当するあるという考え方からvon Willebrand病を見逃さないために実施するという考え方です。

しかしvon Willebrand病をスクリーニングするのは出血時間とAPTTですが、APTT検査が正常になってしまう軽症~中等症von Willebrand病があることからして出血時間とAPTTの両者でスクリーニングした方がより安心という考え方です。

【出血検査の現状】

術前ルーチン検査として漫然と出血時間検査を実するのではなく、出血のリスクがあるか否かは術前の診察・問診で見極めて必要性があると判断した場合に出血時間とその他の追加試験を実施する様になりつつあります。

現実管理人の知る医療機関の90%以上で出血時間検査を廃止しています。