Doxy PEP(ドキシペップ:Doxycycline Post-Exposure Prophylaxis)とは、リスク行為後の24~72時間以内にドキシサイクリン(ビブラマイシン)を内服することで、梅毒やクラミジア、淋病を一定の効果で予防する性病の予防法です。
ビブラマイシン(一般名:ドキシサイクリン塩酸塩水和物)とは、グラム陽性菌・グラム陰性菌をはじめクラミジア属の細菌に対しても幅広く抗菌作用を発揮するテトラサイクリン系の抗生物質です。
Doxy PEPは日本国内ではまだあまり馴染みのない予防法ですが、徐々に知名度が上がってきており、その有効性を実感している人も増加しつつあります。
Doxy PEPが推奨されない理由としては、以下があります。
理由1:薬剤耐性菌の増加
Doxy-PEP(ドキシペップ)の広範な使用により、性感染症を引き起こす細菌だけでなく、その他の細菌に対しても抗菌薬耐性が増加する懸念があり、これにより以前はこれらの薬剤で管理可能だった感染症の治療が困難になる可能性があります。
理由2:副作用と細菌叢への影響
抗生物質の濫用は副作用があり、体の正常な細菌叢(例えば、消化管、皮膚などの元々いる細菌で体の中でバランスを保っているもの)を乱すことがあります。
これは性感染症の予防を超えて他の健康問題を引き起こす可能性があります。
理由3:国による推奨の違い
Doxy-PEP(ドキシペップ)の使用に関するガイダンスは、米国では有効性が認められて推奨されていますがイギリスやオーストラリアなどでは抗菌薬耐性の懸念と長期的なデータの不足を理由にその実施を推奨していません。
理由4:日本における抗生剤市販の歴史
日本でも以前に内服の抗生剤が市販されていたことがあり、容易に手に入れやすいということがありましたが、現在は全て中止されています、その理由は薬剤耐性菌が生まれやすくなるためです。
今回は医師が処方するという違いはありますが、現在自己輸入で抗生剤(正規の安全なものかどうかは不明)を購入することも出来ることからして、このような内服方法が正しいと誤解を与える流れを医療機関や医療者が作るべきではない指摘する専門家も多数存在します。
理由5:感染拡大のリスク
薬剤耐性菌を作り出した場合、自分だけの問題ではなく、パートナーにもその薬剤耐性菌を感染させてしまうことになります。
以上の理由からDoxy-PEP(ドキシペップ)を勧めない医療機関も存在しています。
以上により、個々の医院の考え方によってDoxy-PEPが実施されないこともあります。