赤血球恒数とは、赤血球の大きさ、赤血球に含まれるヘモグロビンの量を調べる検査のことを言います。
この赤血球恒数には、以下の三種類があります。
1.MCV(平均赤血球容積):血中に含まれる赤血球の大きさを表す。
2.MCH(平均赤血球血色素量):血中に含まれる赤血球1個あたりのヘモグロビンの量を表す。
3.MCHC(平均赤血球血色素濃度):血中に含まれる赤血球1個あたりのヘモグロビン濃度を表す。
貧血になる疾患には、その病態によって特徴的な赤血球恒数の異常を示すものがありますから、赤血球恒数を調べることによって、「小球性低色素性貧血」、「正球性正色素性貧血」、「大球性高~正色素性貧血」の3つの型に分類して鑑別診断を進めることがてきます。
【赤血球恒数の計算方法】
1.MCV(平均赤血球容積)= ヘマトクリット値 / 赤血球数 × 1000
※ヘマトクリット値、つまり容積を 赤血球数で割ったもので、赤血球の1個あたりの容積の平均値。
2.MCH(平均赤血球血色素量) = 血色素量 / 赤血球数 × 1000
※一定量の中の血色素量を、赤血球数で割ったもので、赤血球の1個あたりのヘモグロビン量の平均値。
3.MCHC(平均赤血球血色素濃度)= 血色素量 / ヘマトクリット値 × 100
※個々の赤血球の容積に対する血色素量の比を%で表したもので血色素濃度の高低、すなわち低色素性、高色素性の程度を表す。
注:これらの計算は、自動血球計算機で血液検査を行うことにより、自動的に計算されます。
【基準値】
MCV 男性:84.9~99.6 女性:80.6~98.7 (fl )
MCH 男性:27.5~32.3 女性:25.0~31.9 (pg)
MCHC 男性:31.2~33.8 女性:30.3~33.4 (g/dl)
※使用する自動血球計算機の種類により若干数値が変動します。
基準値を外れた場合
・MCV:79fl以下、MCHC30%以下の場合
小球性低色素性貧血で、鉄欠乏性貧血、鉄芽球性貧血、セラセミアの疑い。
・MCV:80~100fl、MCHC31~35%の場合
赤血球とヘモグロビン数に異常がない貧血で、溶血性貧血、急性出血、腎性貧血、再生不良性貧血などの疑い。
・MCV:101fl以上、MCHC31~35%の場合
大球性貧血で、巨赤芽球性貧血、腎性貧血の疑い。