血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2020年12月31日木曜日

新型コロナウイルスの変異について-2.国内初、南アフカ変異種検出!!-

 2020年12月28日厚生労働省は、南アフリカに滞在歴があった30代の女性から、空港検疫で南アフリカで流行してる新型コロナウイルスの変異種を確認したと発表した。

これは現在南アフリカで流行している新型コロナウイルスの変異種の国内最初の感染者です。

厚労省によると、30代女性は南アからカタールの首都ドーハを経由し、19日に成田空港に到着し、そのときには症状はなかった。

国立感染症研究所で詳しく調べた結果、南アフリカで流行している変異種が検出された。

従来種と比べ感染力が高い可能性があるりますが、現時点では詳細は不明という。

6人は10~40代の男女で、1~24日に羽田空港に到着した、24日に到着した40代男性は発熱などがあるが、残り5人は無症状。

また、空港検疫ではこのほか、英国滞在歴がある男女6人から、英国で流行中の変異種が確認された。30代女性を含めた7人に濃厚接触者はいないという。国内の変異種感染者は計15人となった。

イギリスや南アフリカで流行してる新型コロナウイルスの変異株の国内流行は 、避けられない状況となりつつあります。

【追加】

イギリス流行している変異株は「VOC 202012/01」と呼ばれてます。

南アフリカで流行している変異株は「501Y.V2」と命名され、南アフリカでの流行の割合80~90%に増加しています。

2020年12月23日、イギリスは、南アフリカからの渡航者との接触歴がある501Y.V2の2例を報告しています。

2020年12月27日日曜日

新型コロナウイルスの変異について-1.日本国内上陸-

 2020年12月13日、イングランド南部のケント州で新型コロナウイルスの変異種の感染者は急速に増え、入院患者数も急増している。

変異種の名称は「VUI-202012/01」と呼ばれています。

イギリスのボリス・ジョンソン首相は、2020年12月19日の記者会見で変異種について「致死率が高いことや、重症化しやすいことを示す証拠はないとし、ワクチンが変異種に対して効果が低いことを示す証拠も今のところない」と説明した。

さらに、ジョンソン首相は「かなり不確かではある」と前置きした上で、「変異種の感染力は、古い種よりも最大で70%高い可能性がある」と述べた。一方で、ジョンソン首相は「まだ分からないことがたくさんある」ことも強調している。

2020年12月20日イタリア政府は、英国で確認された感染力が非常に強い新型コロナウイルスの変異種がイタリアでも見つかったと発表しまた。

この変異種は、2020年12月26日時点で既にオランダ、デンマークやオーストラリアなど10ケ国・地域でも確認されていることも判明しています。

イギリスでの変異株の流行を受けてヨーロッパ各国は、旅客機や鉄道及び船を含めてイギリスからの旅行者の受け入れを一時的に停止する措置をこうじています。

新型コロナウイルスは小さな変異を繰り返しつつ変異することから、日本においても変異ウイルスが出現しても何ら不思議はありません。

仮に日本国内で変異したとしても、イギリスと同じ様になる可能性は低いと専門家は分析しています。

多少の変異を起こして今回開発されたワクチンは効果が認められると考えられていますが、さらなる大きな変異を引き起こせばワクチンの効果がなくなる危険性は指摘されています。

2020年12月5日、2020年12月18~21日にイギリスから帰国した10~60代の5人が新型コロナウイルスの変異株に感染していることが空港検疫で判明したと発表しました。

この5人の内4人は症状がなく、1人は倦怠感があるとのことです。

またこの5人との濃厚接触者は現時点では確認されていないとのことです。

厚生労働省が2020年12月26日にこの5人以外にも2020年12月16日にイギリスから帰国した30代の男性と渡航歴のない20代の女性家族の1人計2人の感染が判明した発表しています。

今後この変異ウイルスの日本国内での流行が危惧されています。

【予防対策】

変異株の予防対策も従来の新型コロナウイルスと同様です。


2020年12月20日日曜日

新型コロナウイルスと季節型インフルエンザの関連性

2020年は季節インフルエンザの流行が例年に比べて極端に少ないです。

2020年は季節性インフルエンザのワクチンが全国で品薄になり、接種したくてもできない人が出ています。

インフルエンザワクチンの製造には、およそ6ケ月を必要とすることから今年はもう接種できない可能性が高くなっています。

2020年は未だインフルエンザ流行していません。

2020年12月13日時点で、379人(2019年は223600人)と非常に少なくなっています。

※毎年年末から翌年2月にかけて流行のピークを迎えることから安心はできません※

その理由としては以下の3点が考えられています。

1.新型コロナウイルスの影響で国際的な人の移動が制限された結果、インフルエンサザ・ウイルスを持ち込む人が非常に少ない。

2.新型コロナウイルスの感染対策として、"3密"を避ける対策が功を奏した。

3.あるウイルスの流行が他の種類のウイルスの流行を妨げる「ウイルス干渉」の可能性がある。

インフルエンザと同様に呼吸器に感染する新型コロナが流行しているため、インフルエンザウイルスの侵入が抑えられていると推測されている。

新型コロナの予防ワクチン接種が始まり感染力が衰えてくると、インフルエンザの流行が復活する可能性があります。

今後多くの人が新型コロナワクチンの接種を受けた後にインフルエンザの大流行が起こると指摘する専門家もいます。

2020年12月13日日曜日

検査に対する疑問点-3.乳びした血液は検査には使用できないのか?-

 【乳びとは】

「乳び」とは血清などの検体が乳白色を呈している状態を言います。

【乳び血清・血漿】

血液を遠心分離した上層部の血清または血漿の色調は、乳白色になります。


【乳びの起こる原因】

食事として口から摂取される脂肪の大部分は中性脂肪で、リポ蛋白リパーゼなどの酵素により分解され、脂肪酸などに代謝されてしまいますが、食後に時間をおかないで採血した場合は、脂肪があまり分解されず血液中に残り、その脂肪分が白くみえるため検体が白濁して乳白色に見えます。

【乳びは健康人でも見られる】

乳びは健常な人でも見られます。

接種した中性脂肪は食後徐々に上昇し、4時間でピークとなり、以後低下します。

【病的な乳びとは】

食後かなり時間をおいて採血しても検体が乳びする場合がありますが、この場合は病的な乳びが疑われます。

これは、脂肪を分解・代謝する酵素が足りないか、またはうまく働いていない、いわゆる高脂血症などの脂質代謝異常の可能性が考えられます。

【乳びによって影響を受ける検査】

総蛋白、総ビリルビン、直接ビリルビン、TTT、ZTT、リン脂質、ベーターリポタンパク、中性脂肪、尿酸、無機リン、血清鉄、CPK、CRP、アルブミンなどの検査。

あまりにも乳びの程度が高い強乳びの場合は、検査ができなくなることもあります。

【乳びの影響を受けない検査】

・PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)

・IRMA(Immuno Radio Metric Assay:免疫放射測定法)

・EIA(Enzyme Immunoassay:酵素免疫測定法)

・ELISA(Enzyme-Linked immunosorbent assay:酵素免疫測定法)

・CLEIA(Chemiluminescent Enzyme Immunoassay:化学発光・酵素免疫測定法)

・FEIA(Fluorescence Enzyme Immunoassay:蛍光酵素免疫測定法)

・CLIA(Chemiluminescent Immunoassay:化学発光免疫測定法)

・ECLIA(Electro Chemiluminescence Immunoassay:電気化学発光免疫測定法)

などの測定法を利用した検査は乳び血清の影響を通常受けません。

【乳びを防ぐには】

検査前少なくとも12時間絶食した空腹時に採血されることをおすすめします。

2020年12月6日日曜日

検査に対する疑問点-3.溶血した血液は検査には使用できないのか?-

 【溶血はとは】

赤血球の細胞膜が物理的または化学的、生物学的など様々な要因によって損傷を受けて、壊れることにより赤血球の中にあるヘモグロビンが細胞の外で出ることを言います。

溶血することにより赤血球は壊れて死滅してしまいます。

赤血球より出たヘモグロビンにより血清または血漿は赤くなります。

溶血の度合いにより赤みの色調は異なります。

【溶血は検査にどの様な影響を与えるのか】

赤血球が壊れると、細胞内に含まれる赤色の色素、ヘモグロビンが漏れ出し赤くみえます。

溶血していても検査はできますが、溶血は赤血球などが壊れて細胞の中のいろんな成分が出てきた証拠なので採血項目によっては影響を受ける場合があります。

【溶血によって真の値より数値が高くなる検査】

ビリルビン、尿酸、総蛋白、カリウム、LDH、GOT、GPT、アルドラーゼ、鉄、葉酸などが該当します。

【溶血によって真の値より数値が低くなる検査】

ALP、ハプトグロビン、インスリン、BNPなどは赤血球から漏出したタンパク分解酵素により分解されるため、これらの値は低値になります。

【採血した血液が溶血した場合はどうするのか】

溶血による影響が疑われる検査結果は、注意をはらい保留する必要があることから、新たに採血し直す必要があります。

【溶血のない血液】

血液を遠心分離した上層部の血清の色調は、黄色の透明な状態となります。


【溶血したした血液】

血液を遠心分離した上層部の血清の色調は、赤くなります。

【採血時に起こる溶血の原因】

1.血管が細く血液の出が悪く採血に時間が長くと物理的溶血が起こる。

2.採血者の技術不足で採血時間が長くなると物理的溶血が起こる。

これらの血液は溶血していることから、再度採血して溶血していない血液を検査に使用することが正しい検査の値を得るためには大切です。


2020年11月29日日曜日

検査に対する疑問点-2.真陰性と偽陰性-

 【真陰性とは】

ある種の感染症検査で、感染していなくて陰性となる事を言います。

【偽陰性とは】

ある種の感染症検査で、感染しているにも関わらず検査が陰性となる事を言います。

真陰性は、感染していないので陰性となって当然で、確認検査や追加検査を実施する必要はありません。

しかし、偽陰性の場合は再度検査をする必要があります。

【偽陰性の起こる原因】

1)検査が正しく行われなかった場合。

2)検体の採取と取り扱い、保存の不備

3)検査が陽性となる時期の前に検査を受けた場合

検体中の抗体やウイルスの量が少なく検出できずに検査が陰性となる。

【偽陰性を回避するには】

1)検査を指示書通り正しく実施する。

2)それぞれの検査に適した採血方法で採血する。

3)それぞれの検査に適した最適な時期に検査を受ける。

※1)、2)は医療機関側の問題ですから、検査を受けるものとしては正しく実施してもらうしか対応はありません※

※3)については検査を受ける時期を正しく認識して検査を受ける必要があります、これは検査を受ける側の認識にかかってきます※

2020年11月22日日曜日

検査に対する疑問点-1.疑陽性と偽陽性の違い-

 検査を受ける時に疑問に思われることを簡単に解説し、その疑問を解決していきます。

疑問点を明確にして検査を受ける際の心配なことや疑問を解決していきましょう。

第1回目は、疑陽性と偽陽性の違いです。

検査を受けた時、特に感染症検査で「この人は疑陽性」、「私は偽陽性だった、どうしょう」などと聞かれることがあったり、ご自身経験されたことがあると思いますので、この点について解説していきます。

疑陽性と偽陽性は、どちらも発音すると同じ「ぎようせい」なのですが意味は全く違います。

それではどう違うのでしょうか?

疑陽性の「疑」は疑いですから「陽性の疑いがある」(陽性判定基準を満たさず、免疫がついたとは言い切れない)、すなわち「疑わしい状態」ということです。

偽陽性の「偽」は偽りですから、「偽り、間違い、あやまちでの陽性」(本当は陰性であるにも関わらず陽性結果となること)という意味となります。

この偽陽性の起こる原因は、特定できる場合と全く原因不明の場合があります。

これらが発生したときの対応としては、

1.同日に同じ検査法を再度実施する。

1)陰性の場合・・陰性と判定する。

2)陽性の場合・・陽性と判定し確認検査を行う。

2.同日異なる検査法で検査を実施する。

1)陰性の場合・・陰性と判定する。

2)陽性の場合・・陽性と判定し確認検査を行う。

3.日を改めて新たに採血し直して、同じ検査法を実施する。

1)陰性の場合・・陰性と判定する。

2)陽性の場合・・陽性と判定し確認検査を行う。

4.日を改めて新たに採血し直して、異なる検査方を実施する。

1)陰性の場合・・陰性と判定する。

2)陽性の場合・・陽性と判定し確認検査を行なう。

2020年11月15日日曜日

インフルエンザについて-3.インフルエンザワクチンの予防効果-

 18~64歳の健康成人については、70~85%程度のインフルエンザ感染が予防できたという報告があります。

子供や65歳以上の高齢者では予防できる割合がもう少し低いと報告されており、数10%から70%程度予防できたという報告が見られます。

ワクチンを接種していてもインフルエンザ感染がゼロになるわけではありません。

ワクチンに使用したインフルエンザの株とその年に流行したインフルエンザの株が異なれば、当然感染予防効果は低くなりますが、予想が外れても50~60%の予防効果があったと報告されています。

インフルエンザの流行タイプが外れても全く効果がないというのは間違いなのです。

インフルエンザは通常、初冬から春先にかけて毎年流行します。現在、Aソ連型(H1N1)、A香港型(H3N2)、B型の3種類が同時あるいは混在して、毎年それぞれが少しずつ変異しながら流行しています。

その流行株の予測は世界的には、WHOの専門家会議で次のシーズンに向けたインフルエンザワクチンに用いる候補株が毎年2回選定されます。

日本においてはWHOの推奨株と国内での流行状況などから予測を行い、ワクチンの製造に適した株を選択し、毎年5~6月頃に次のシーズン(その年の冬~)のワクチン株が決定されます。

その予測率は毎年高くなってますが、完全には予測することは不可能です。

【2020年のインフルエンザ流行の現状】

2020年全国的にも感染者はほとんど発生していません。

この理由としては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策が影響していると考えられています。

日本国内においては、COVID-19の感染拡大を防ぐため、3密(密閉、密集、密接)を避ける行動に加えて、マスク着用や手指消毒・手洗いの励行、さらに日常生活でのフィジカルディ・スタンス(物理的身体的距離)確保などの対策が推し進められて来た結果がインフルエンザの流行防止にも効果を示しているとの考え方です。

※※新型コロナウイルス感染防止対策として、2m以上の対人距離を呼びかける「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)」という言葉が定着しつつありますが、この言葉は「人と人との社会的なつながりを断たなければならないとの誤解を招きかねず、社会的孤立が生じさせる」おそれがあることから、世界保健機関(WHO)では「身体的、物理的距離の確保」を意味する「フィジカル・ディスタンス(物理的身体的的距離)」に言い換えるよう推奨しています※※

当サイトでもソーシャル・ディスタンスを使用せずにフィジカル・ディスタンスを使用致します。


2020年11月8日日曜日

インフルエンザについて-2.予防接種健康被害救済制度-

 ワクチンの予防接種は、私達個人や社会を感染症から守るために大切な予防的な方法です。

しかし、ほかの医薬品や食品などと同様に副作用が起こるリスクはゼロではなく、とてもまれですが健康に被害をおよぼすことがあります。

そのため、予防接種によって健康被害を受けた方に対して公的な救済制度が設けられています、これが予防接種健康被害救済制度です。

予防接種健康被害救済制度に付いて以下に簡単に解説しますと、

予防接種法の定期接種によらない任意の接種については、ワクチンを適正に使用したにもかかわらず発生した副反応により、健康被害が生じた場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律第192号)による医薬品副作用被害救済制度又は生物由来製品感染等被害救済制度の対象となります。 

即ち予防接種を受けた、ある原因があって、ある出来事がおこったとき、その原因と結果の関係を因果関係といいます。

ワクチン接種と健康被害との間に因果関係が認められた場合、つまりワクチン接種が原因で健康被害がおきたと認められた場合に救済給付が実施されます。

給付の種類には、

①医療機関での治療に要した医療費や医療手当(医療を受けるために要した諸費用)

②障害が残った場合の障害児養育年金または障害年金

③死亡時の葬祭料および一時金、遺族年金がありますが、各制度によって給付額は異なります。

ここ注意しなければならないことは、国内未承認ワクチン(いわゆる輸入ワクチン)に対しては、輸入業者が独自の補償制度を設定している場合もありますが、これらの公的な制度は適応されないことです。

以下に参考サイトを紹介しておきます。

厚生労働省-1-

厚生労働省-2-

2020年11月1日日曜日

インフルエンザについて-1.インフルエンザワクチンの副反応-

新型コロナウイルスの流行している現在、インフルエンザの流行も危惧されています。

数回に渡りインフルエンザについて解説していきたいと思いますので、お付き合いください。

感染症に対する免疫をつけるためにワクチンを接種した際に、免疫がつく以外の反応がみられることがありますが、これを副反応といいます。

比較的多くみられる副反応には、接種した場所が赤くなる(発赤)、腫れる(腫脹)、痛み(疼痛)等があります。

この副反応は接種をした人の10~20%に起こりますが、まず2~3日で収まります。

また全身の反応としては、発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などが接種を受けた人の5~10%に起こることがありますが、これも通常2~3日で収まります。

以上は軽い副反応ですが、まれにショック、アナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、発赤、掻痒感、呼吸困難等の副反応が起こることもあります。

重い副反応の出現頻度は、およそ100万人に1人とされています。

ワクチン接種後のショックやアナフィラキシー様副反応の殆どは、接種後30分以内に起こりますから、接種後は医療機関で30分は安静にして様子を見る必要があります。

日本国内でのインフルエンザワクチン接種による死亡例は、残念ながら毎年数例起こっています。

副反応検討部会において専門家による評価を行ったところ、死亡とワクチン接種の直接の明確な因果関係があるとされた症例は認められていません。

死亡した人のほとんどが、基礎疾患等がある高齢者であったことがわかっています。

インフルエンザワクチンワクチンを接種する際には、熱がある時は当然できませんが、基礎疾患がある人は、いろいろな外的要因により、病気の状態が悪化する可能性もありますので、必要に応じて、主治医及び専門性の高い医療機関の医師に対し、接種の適否について意見を求め、接種の適否を慎重に判断してください。

※接種できない体温とは、接種当日37.5℃以上の熱がある場合※

※よくインフルエンザワクチンを接種してインフルエンザを発症したということが囁かれますが、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンですから、ワクチンに含まれるインフルエンザウイルスはウイルスとしての働きはないので、ワクチン接種によってインフルエンザを発症することはありえません。

※不活化ワクチンは、インフルエンザウイルスの感染性を失わせ、免疫をつくるのに必要な成分を取り出して作ったもの※

【韓国での死亡例について】

2020年韓国でのインフルエンザ予防接種で死者が多く発生していますが、この原因は現在わかっていません。

※2020年10月29日時点で72人の死亡※

2020年日本国内におけるインフルエンザ接種での死亡例は報告されていません。


2020年10月25日日曜日

アレルギー検査について-9.食物アレルギー検査は何抗体で検査をするのか?-

最近新型コロナウイルスについての解説に偏る傾向にありますから、今回は新型コロナウイルスの解説は一旦休みアレルギー検査について解説させていただきますので、お付き合いください。 

食物アレルギーについて最近は多くの人が関心を持つようになってきていますが、食物アレルギー検査について正しい知識を持たれている人が少ないのが現実です。

さてそれでは食物アレルギーの検査は何抗体を検査するのがお分かりですか?

結論から申し上げますと食物アレルギー検査は、血液でIgE抗体を調べます。

巷度はIgG抗体を調べて、これが高い数値を示すから除去食(じょきょしょく)する傾向がありますがこれはのは間違いです。

※除去食とはアレルゲンとなる食品を使わないで作る食事のことを言います※

食べ物の除去食を考える上で食べ物に対するIgG抗体を検査することは、日本だけでなく、欧州も米国でも、一般に推奨されていません。

日本アレルギー学会の〔学会見解〕血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起を参照してみてください。

【学会見解の全文】

 学 会 見 解 

 血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起

 米国や欧州のアレルギー学会および日本小児アレルギー学会では、食物アレルギーにおけるIgG抗体の診断的有用性を公式に否定しています。

その理由として、以下のように記載されています。

すなわち、①食物抗原特異的IgG抗体は食物アレルギーのない健常な人にも存在する抗体である。②食物アレルギー確定診断としての負荷試験の結果と一致しない。③血清中のIgG抗体のレベルは単に食物の摂取量に比例しているだけである。④よって、このIgG抗体検査結果を根拠として原因食品を診断し、陽性の場合に食物除去を指導すると、原因ではない食品まで除去となり、多品目に及ぶ場合は健康被害を招くおそれもある。

以上により、日本アレルギー学会は日本小児アレルギー学会の注意喚起を支持し、食物抗原特異的IgG抗体検査を食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しないことを学会の見解として発表いたします。

 平成27年2月25日

 一般社団法人日本アレルギー学会

 理事長 斎藤博久

※参考URL:https://www.jsaweb.jp/modules/important/index.php?content_id=51

そもそもIgG抗体とは、感染症から感染するのを防ぐ抗体なのです。

アレルギーが悪化しているかどうかを調べる抗体はIgG抗体ではなく"IgE抗体"なのです。

例えて言いますと小麦アレルギーのある人は小麦に対する"IgE抗体"が高くなります。

4つあるIgG抗体のなかでも特にIgG4抗体は、食物アレルギーが改善してきているときに上がる抗体として研究目的で行われています。

※IgG抗体は、IgG1、IgG2、IgG3。IgG4の4種類のIgGのサブクラスがあり、IgG1はIgGの65%程度、IgG2は25%程度、IgG3は7%程度、IgG4は3%程度存在しています※

例えば、食物に対するIgG4抗体は、『症状が出ない量で少しずつ、アレルギーになっている食べ物を食べていると、食べられる量が増えていく』ことがわかっています。

その際に、IgE抗体はいったん上昇して、その後下がってきます。

一方でIgG4抗体は、一貫して上がっていくのです。

食物に対するIgG4抗体は、その食物が食べられるようになってきているかどうかの指標として使われています。

IgE抗体は、アレルギーが悪化しているときの指標して使われます。

そして

IgG4抗体は、すでに食べられている場合に上がりやすい値なのです。

普段から食べている食物なので、陽性であることが当たり前なのですから、"IgG4抗体が陽性"だから除去の指標をするのは間違っているのです。

しかし、『現実IgG4抗体の値が高いから除去しましょうと言われると心配だから除去しなければ』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは除去する必要はありません。

今まで食べられている食物をあえて除去をすることはないのです。

2020年10月18日日曜日

新型コロナウイルスについて-6.集団免疫とは-

 集団免疫とは、特定の集団や地域で、特定のウイルスに対する「総合的な免疫力(人が生まれつき持っている自然免疫と、特定のウイルスに感染してできる獲得免疫を合わせたもの)」を持つ人が一定の割合に達し、その人たちが壁になって感染が拡大しなくなった状態を言います。

例をあげますと、インフルエンザウイルスが原因だったスペイン風邪や香港風邪、コロナウイルスが原因だったSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)など、過去のすべてのウイルス感染症は「集団免疫」によって収束しており、新型コロナウイルスも例外ではなく集団免疫によって収束すると考えられています。

要するにある一定の割合に感染者が増えると集団免疫が成立すると考えられていますが、この一定の割合についてはいろいろと言われていて、確かな値はわかっていません。

・人口の70%程度

・50%以下

・40~45%

・10~20%

それでは集団免疫が成立したか否かはどうして判断するのか?

ウイルスに感染するとその感染したウイルスに対する抗体が体内にできることから、無作為に選んだ人を血液で抗体検査をすればわかります。

集団免疫獲得に反対意見を唱える人もいることは事実です。

例えば世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、2020年10月12日、新型コロナウイルス対策として「集団免疫」を獲得する方法は、「科学的にも倫理的に問題がある」と排除しています。

反面日本ではすでに感染が拡大しない状態になっていると指摘する専門家もいます。

集団免疫を獲得しても、高齢者、基礎疾患を持っていたり、あるいは体調が不調だったりして総合的な免疫力が弱い人は、ウイルスに感染して重篤な肺炎などになり、ごく少数の人は死亡することになります。

しかし死者の数は感染拡大期に比べてきわめて少なくなります。集団免疫状態であれば、不要不急の外出や県外旅行の自粛、集会の人数制限、マスク着用や社会的距離の確保などは、原則として不要となります。

アメリカ、ブラジル、イタリア、ルクセンブルク、スウェーデンなど多くの国々では、1日当たりの死者数がある時期を境に急減していることからして、これらの国々では既に集団免疫が獲得されていると指摘する専門家もいます。

多くの国の中でスウェーデンは、集団免疫を獲得したと考えられています。

それでは日本ではどうにのでしょうか?

未だ感染は拡大中なのか、集団免疫を既に獲得したのかは国や地方自治体の精力的な抗体検査にかかっています。

急いで国民の抗体保有率検査すべきと考えられますが、いずれにしても毎度のことながら動きは遅いのは否定できませんねぇ!!



2020年10月11日日曜日

新型コロナウイルスについて-5.新型コロナウイルスワクチンの接種についての問題点-

 2020年10月2日、厚生労働省は厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、新型コロナウイルスのワクチンは特例的に全員無料で接種できるようにし、接種費用の全額を国が負担する方針を示し了承されました。

本年10月下旬に召集予定の臨時国会に予防接種法改正案を提出するとしています。

今回の予防接種について国の考えていることを以下に解説してみます。

1.2021年前半までに全国民に行き渡る量のワクチンを確保する方針。

2.タイミングが良けれは2021年明けから接種が始まる見通し。

3.蔓延予防を考えて緊急の必要があるとして、予防接種法が規定する「臨時接種」の規定を準用する。

4.実施主体となる市町村は原則として住民に接種を勧奨し、住民には接種を受ける努力義務を課す。※現時点でワクチンの有用性と副作用についての殆どわかっていない時期に、接種勧奨と努力義務を付けることに強い抵抗感があるとの指摘もあります※

5.ワクチン接種の副作用で健康被害が生じた場合に医療費や障害年金などを支給する救済措置も臨時接種と同様、高水準とする。

6.救済措置の財源は全額国が負担し、訴訟となった場合に製薬企業などに代わって国が賠償金などを払うための法整備も行う。

7.新型コロナウイルスの予防接種については同法を改正し国が全額負担する。

今後法律提出までにどの様に加筆訂正されるのか、法案可決時にはどの様に法律になるのかをよく見極める必要がありそうです。

現在ロシアや中国で使用されているワクチンは、安全性が十分に確認されていませんし、予防効果もどの程度あるのかもはっきりしていません。

予防ワクチンが利用可能となるのは、「十分な感染予防効果がある」、「重い副作用がない」ことが最低求められています。

2020年10月4日日曜日

新型コロナウイルスについて-4.新型コロナウイルスのゼロ次予防とは-

 ゼロ次予防は、もともと循環器疾患の予防についての研究から生まれた発想です。

※ゼロ次予防とは、"primordial prevention"と呼ばれる発想※

WHOは、2006年に発行した『WHOの標準疫学 第2版』の中で改めて「primordial prevention」に言及し、日本語版で「ゼロ次予防」と訳されたことから、現在に至るまで訳語として定着しています。

"ゼロ次予防"とは、一人ひとりの体質に合わせて生活習慣などの改善を行い、病気の予防を推進するという考え方で、自分が親から受け継いだ遺伝子などを調べて、「どのような病気になりやすい体質なのか」を知ることで、効果的に生活習慣を見直すことを目指しています。

感染予防など意識する以前に、オフィスや住まいを健康的に整備し、そもそも感染症にかかりにくい環境を作るという取り組みのことを言います。

それでは1次予防、2次予防とは何なんでしょうか?

・1次予防とは、病気固有の原因やリスクファクターを減らすことで病気の発生を防ぐこと(病気にならないように気をつける)。

・2次予防とは、病気の初期段階において罹患期間を短縮し罹患率を減らそうということ(病気がひどくなる前に見つける)。

・3次予防とは、近年では、病気の後期で合併症の数や影響を減らす3次予防も注目されていいます(かかってしまった病気の悪化を防ぐ)。

千葉大学予防医学センターは、イオンモールや竹中工務店と協力し、ゼロ次予防に着目して、建築物などで利用者を知らず知らずのうちに健康に導く仕組みについて研究をしていることを報告しています。

2007年に長浜市長と京都大学医学研究科長が一体となってゼロ次予防コホート事業を展開してます。

ゼロ次予防の具体例としては、

・タバコの値上げや喫煙所の撤去などが分かりやすい事例で、健康に悪影響を及ぼすタバコを吸える環境を無くすことで禁煙を促していることになります。

・飲食店等でのカロリー表示も、その表示から適切な食事量を心がけるよう促す意味で同様の位置づけと捉えられます。

新型コロナウイルスの空気感染を防ぐ観点からも、こうした知らないうちにウイルスを消毒する仕組み作りは求められるに違いない。

健康でいることを目指すのではなく、意識しなくても人々を健康的な状態に導くにはどうすればよいのか?

ゼロ次予防の考え方は様々な場面で重要性を増してくるものと考えられます。


2020年9月27日日曜日

新型コロナウイルスについて-3.新型コロナウイルスに感染すると 重症化しやすい人とは?-

 新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいのは高齢者と持病のある人です。

20代くらいまでは死亡する人はほとんどいませんが、40代以降から徐々に致死率が高くなり、80歳以上では26.9%という非常に高い致死率となっています。

以下のような状態の人は、年齢に関係なく新型コロナに感染した際に重症化のリスクが高くなりますので注意が必要となります。

がん:重症化リスク3.6倍

慢性腎臓病:入院リスク増加

COPD(慢性閉塞性肺疾患):重症化リスク5.7倍

固形臓器移植による免疫不全状態:致命率上昇

肥満(BMI30以上):入院リスクが2.1倍、死亡リスクが1.5倍

心不全、冠動脈疾患、心筋症などの重篤な心疾患:重症化リスク3.4倍

2型糖尿病:重症化リスク2.3倍


【参考文献】

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/need-extra-precautions/people-with-medical-conditions.html#asthma

感染予防はやはり、「手洗い」、「うがい」、「屋内でのマスク着用」、「3密を避ける」といった基本的な対策です。


2020年9月20日日曜日

新型コロナウイルスについて-2.ユニバーサルマスクとは-

 無症状の人も含めてマスクを着用するという考え方をユニバーサルマスク(Universal Masking)と言います。

新型コロナウイルスが流行し始めた当初は、感染予防に役立つというエビデンスがなかったためにマスク着用は日本人以外殆どの国の人は着用してませんでした。

現在ではユニバーサルマスクは、新型コロナウイルスやその他の感染症予防に役立つというエビデンスが大勢を占め、全世界的に感染予防対策にマスクを着用する様になってきています。

しかし正しくマスクを着用しないと意味がありません。

このユニバーサルマスクの考え方が浸透することで、新型コロナウイルス感染師の重症度が下がっているのではないか、一部の専門家が主張しています。

米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、2020年7月中旬時点で感染者全体のうち無症候性感染者の占める割合は40%と見積もっていますが、ユニバーサルマスクによってこの比率が80%以上になると主張しています。

専門家の分析によると新型コロナの流行初期には、無症候性感染者の割合は15%程度と見積もられていました。

ダイアモンド・プリンセス号で発生した大規模なクラスターでも無症候性感染者の割合は18%と推測されています。

別のクルーズ船で発生した最近のアウトブレイクイベントの報告では、船内で最初の新型コロナウイルス患者が報告された後、すべての乗客にサージカルマスクが配布され、すべてのスタッフにN95 マスクが提供されています。

その結果最終的に乗客乗員217人のうち128人が感染しましたが、船内の感染者の大多数(81%)は無症状のままだったとのことです。

しかし、こうした無症候性感染者の比率は、集団の平均年齢や基礎疾患を持つ人の割合などが関連する可能性があり、一概にマスクの効果とは言えない場合もあり得ます。

マスク着用が全面的に表に出すぎて、着用できない乳幼児や基礎疾患を持つ人にまで強制的にマスク着用を押し付けるのは間違いです。


20

2020年9月13日日曜日

新型コロナウイルスについて-1.飛行機の中でのマスク着用は必要なのか?!

医学的に考えても飛行機の中では、マスクの必要はないと考えられています。

その理由としては、航空機では一般的に客室の空気は2~3分ごとに完全に入れ替わっています。

空気を50%は機外に出し、50%再循環させていますが、再循環させる際にはHEPAフィルターを通過させています。

新型コロナウイルスもこのHEPAフィルターで捕捉されると考えられており、機内での感染拡大は極めて少ないとされています。

また、エアロゾル感染と考えられる座席の離れた乗客への感染もほとんど報告されていません。

インフルエンザやSARSなどの他の呼吸器感染症の機内感染に関するこれまでの研究では、呼吸器感染症の患者の近くに座ることが感染の主要な危険因子であることが明らかにされており、例えばSARSの機内での感染事例では、感染源の乗客の周辺に限局していました。

機内でコロナに感染した「かもしれない」事例は海外で報告されています。

シンガポールから中国に飛んだ民間航空機に乗っていた325人のうち、12人が感染したと考えられる事例が報告されてますが、当時は乗務員は全員マスクを着けていたものの、2020年1月当時は乗客にはほとんどマスクを着けていた人はいなかったようです。

武漢からシンガポールに旅行していた人が感染源と考えられ、この人から11人に広がったものと考えられています。

この事例は本当に機内で感染したのか、例えば空港の待合で感染したのか、はっきりと断定することは出来ていませんが、感染源と考えられる人が機内でマスクをしていなかったことが一因である可能性は完全には否定できていませんし、感染したとも確定はされていません。

それでは飛行機内ではマスクを着用すべきなんでしょうか??!!

新型コロナでは、発症する前の症状がない時期にも感染するリスクがあることからして、人が密集した場所や屋内では症状がない人も含めてマスクを装着する「ユニバーサルマスク」という考えが新型コロナ以降定着してきており、それを支持する科学的根拠も集まってきています。

機内で大声で喋るような方や咳が出ている方は、周辺に飛沫が飛ぶ可能性がありますので、マスクを装着した方が良いと言えるでしょう。

しかし、咳などの症状もなく、喋ることもないようであれば、理論的にはマスクを装着しなくても換気の良好な機内では感染拡大のリスクは低いと考えられています。

しかし「機内ではマスクを着用しなくて良い」というほどのエビデンスは現時点ではありませんので、特にマスク着用に抵抗のない方は着けておく、マスクを着けたくない事情のある方は添乗員に事情を説明し食事中以外はできるだけ喋らない、などの対応で良いのではないかと思います。

何が何でもマスクを着用すべきと強要するのはいただけません。

航空会社の職員は、マスクの必要不要を医学的科学的に丁寧に説明できるよう勉強する必要があります。

殆どの職員がマスクが何故必要なのか、また必要でない場合はどうなのかを理解することなく、着用を一方的に乗客に押し付けているとしか言えないのが現状です。

いわゆるマニュアル人間としてしか対応していないのです、これではだめです。

航空会社も搭乗前にすべての乗客に何故機内でマスクの着用が必要なのかを丁寧に説明する必要があるのと、着用しなくても良い場合も説明する必要があります。

現実は、マスク着用の必要性については搭乗される航空会社によって異なることと、十分な対応をしていない航空会社もありますから、搭乗の際には必ず事前に確認をするほうが搭乗してから揉めることがなくなるはずです。

事前に問い合わせたり質問しても、納得の行く説明の出来ない航空会社はトラブルを防ぐためにも利用しないのが得策です。

納得のできる説明もしないし、利用者の話もろくに聞かずに威圧的に着用を押し付けてくる航空会社は、信用できません。

マスクの着用も重要ですが、それに加えて前述の事例のように環境からの接触感染も起こりえますので、トイレ後の手洗いなども重要ですよ。

2020年9月6日日曜日

新型コロナウイルスの検査につてい-3.抗体検査-

【何を調べる】

新型コロナウイルスに感染したという感染抗体と感染を防止する中和抗体の有無を調べる。

※どちらの抗体が検出可能かは現時点では、はっきりしていない※

【調べる目的】

現時点で新型コロナウイルスに感染したことがあるかを調べる検査。

【検査に要する時間】

迅速検査で15~30分程度

【検査検体】

血液で検査。

【受ける適切な時期】

感染してから9~12日では陽性率は50%、13日以降では、96.9%の陽性率

【感度・特異度】

多くの資料から分析した結果、キットによってかなりの差が見られます。

感度は66.0~97.8%、特異度は96.6~99.7%

IgGの感度 30/30 100% 特異度 89/90 98.9%

IgMの感度 27/30 100% 特異度 88/90 97.8%

【今後の展望】

抗体検査は、見つける抗体が感染抗体か中和抗体の区別がつかない・感度や特異度にかなりの差があることなどからしてまだまだ改良の余地があります。

2020年8月30日日曜日

新型コロナウイルスの検査につてい-2.抗原検査とは-

【何を調べる】

新型コロナウイルスの持つ特有のタンパク質を調べる検査で、ウイルスそのものを調べる検査ではありません。

【調べる目的】

現在新型コロナウイルスに感染しているか否かを調べる。

【検査に要する時間】

迅速検査で15分程度

【検査キット】

エスプラインSARS-CoV-2

【検査検体】

唾液で検査。

【受ける適切な時期】

新型コロナウイルス感染症 を疑う症状発症後 2 日目以降から9日目以内の者(発症日を 1 日目とする)。

※本キットで陰性となった場合は追加の PCR 検査等を必須とはしない※

※この時期に受けて陰性であれば新型コロナウイルス感染症ではないと言い切ることが出来ると言われています※

【感度・特異度】

感度は67%、特異度は100%

※PCR検査との比較検討結果※

【注意点】

検出に一定以上のウイルス量が必要であることから、現時点では、無症状者に対する使用、無症状者に対するスクリーニング検査目的の使用には適していない。



2020年8月23日日曜日

新型コロナウイルスの検査につてい-1.PCR検査-・抗原検査・抗体検査とは

新型コロナウイルスの検査法を正しく理解していただけるように解説していきます。

初回はPCR検査についてです。

【PCR検査とは】

PCR検査の正式名称は、Polymerase Chain Reaction; 核酸増幅法 といい、増やしたい対象のDNA断片を検査装置の中で選択的に増幅させ、ウイルスに感染しているかを調べる検査です。

【何を調べる】

新型コロナウイルスの遺伝子を調べる検査で、ウイルスそのものを調べる検査ではありません。


【調べる目的】

現在新型コロナウイルスに感染しているか否かを調べる。

【検査に要する時間】

4~6時間、最近では1時間で検査できる方法も開発されています。

【検査検体】

鼻の奥の粘膜を擦過して採取して検査するのと唾液からも検査可能。

※発症から9日以内であれば唾液からの検査も可能※
※唾液中の新型コロナウイルスは発症から10日を過ぎると減っていくからです※
※発症から数日間は、新型コロナウイルスは「のど」よりも唾液中の方に多く存在するというデータが確認されています※

【受ける適切な時期】

感染してから7~10日

【感度・特異度】

感度は70~90%、特異度は70~90%

【欠点】

PCR検査は難しく検査過程に々な試薬を混ぜる過程があり、かなりこの検査に熟練した臨床検査技師が行わないと、偽陽性反応の出現率が高くなることと、偽陰性も出現します。
結果が出るまでの時間が数時間と長い。

検査機器が高価。

【注意点】

今回のコロナウイルス感染症については、実際に感染していることの把握が難しいことから、実際の感染者に対してPCR検査がどれほど正しく診断できているかについての正確性の計算がまだできていません。

2020年8月14日金曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-31.クラスターの種類とは-

国立感染症研究所がこの度、7月までの半年間に各地で確認されたクラスターのおよそ100例を分析し、典型的なケースをまとめた事例集を公表しましたので、見てみましょう。

典型的なクラスターは、以下の6つとされています。

1.医療機関での院内感染

2.カラオケを伴う飲食店

3.職場での会議

4.スポーツジム

5.接待を伴う飲食店

6.バスツアー

要するにいずれの場合も3密の環境となっています、したがって3密防止が感染対策として重要となっています。

ほかのケースでも換気の悪い場所で、長時間及び近距離での会話や飲食をともにするなどして感染が広がっており、改めて、3密の環境を避けるとともに、消毒やマスクの着用や十分な換気をするなど基本的な対策を徹底することが大切であることが理解できます。

2020年8月7日金曜日

ポピドンヨードのうがいで新型コロナウイルスの感染予防ができる!!??

ポビドンヨード(Povidone-iodine)は、ヨウ素の酸化作用を利用した抗微生物成分です。

ポピドンヨードは、イソジンのうがい薬の中に入っている成分です。

※うがい薬でおなじみのイソジン改め【明治うがい薬】にポビドンヨードが含まれています※

ポピドンヨードは中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)などの大流行を引き起こしたMERS-CoVやSARS-CoVなどのコロナウイルスを含む広範なウイルスに高い効果を持つことが示されていますが、新型コロナウイルスに効果があるかどうかは2020年8月6日時点ではわかっていません。

ポビドンヨードは強力な殺菌性ゆえに、のどや口の中にもともといる『正常な細菌』をも殺菌てしまい、さらには粘膜なども痛めてしまうから長期には使用できません。

一般的には、ポビドンヨードのうがい薬の安全性は高いと考えられますが、長期使用に関しては甲状腺機能を障害する可能性も指摘されています。

確かにポビドンヨードによるうがいをすると、一時的に唾液中の新型コロナウイルスの量が減るということは間違いはありません。

これは検出されにくくなっただけなのかもしれないのです。

なお、新型コロナウイルスに関して、『予防的・定期唾液の中の新型コロナが減っても、その後の新型コロナによる悪化が防がれるという研究結果ではありません。

単に検査の陽性率が下がったという結果なのです。

新型コロナウイルスにポビドンヨードの使用が有効かどうかは、今後の研究に待たなければなりません

ここで再認識しておく必要があることとして、ポビドンヨードでうがいを続けると、口の中の良い常在細菌を殺してしまい、これによって逆に免疫力が低下して感染しやすくなということです。

要するにポビドンヨードを使いすぎると逆に喉への感染が起こりやすくなります。

今回ポビドンヨードを使用することによりPCRの陽性率が低下したのは、唾液腺から喉に排泄された新型コロナウイルスが一時的に殺菌されたからと考えるべきです。

ポビドンヨードが新型コロナウイルスに感染を低下させたり、症状を軽くするとは考えられません。

今回の検討結果は、検討症例が少なすぎ確かに効果があるとは言い切れません。

過去にポビドンヨードによるうがいは、『風邪予防に有効ではない』という研究結果があります。

1)水でうがいをするグループ

2)ポビドンヨードでうがいをするグループ

3)特にケアをしないグループ(対照群)

に分けてその後60日間でどれくらい風邪をひくリスクが変わるかというテーマで検討されました。

すると、水のみでうがいをすると、うがいをしないグループよりも風邪にかかる確率が下がったものの、ポビドンヨードでうがいをするグループは効果が認められなかったという結果が得られています。

ビドンヨードは確かに、細菌やウイルスを殺菌する効果がありますが、水のみのうがいのほうがポビドンヨードのうがいよりも有効だったという興味深い結果が得られています。
【参考資料】

American journal of preventive medicine 2005; 29:302-7.

2020年8月4日の大阪府の吉村知事の発言の真意は、ポビドンヨードのうがい薬で新型コロナウイルスの感染予防効果があるのではなく、ポビドンヨードが唾液腺から口の中に排泄された新型コロナウイルスを殺菌作用で一時的に減少させたことからPCR検査の陰性率が高くなったと考えるべきでしょう。

現在ポピドンヨードが新型コロナウイルスを殺すという医学的な確証は得られていませんので、更に多くの人を対象に検討していく必要があります。

今回の吉村大阪府知事の記者会見で、ポピドンヨードのうがい薬を使用するかしないかは、各人の考え方によりますが、絶対的に効果があると信じて使い続けることはよくありません。

今回の吉村大阪府知事の記者会見を否定したり、文句を言う政治家が多くいますが、血液の鉄人としては、具体的な対策を一切打ち出さず、文句ばかり言う政治や医療関係者より"成果が出るか出ないかは分からないが、やってみるだけの価値はあると思っている"と主張する吉村知事の考え方に賛成です。

松井一郎大阪市長も「結果が出たのに、黙っていろと言うのか」と不快感を示されるのも当然と思います。

残念なことは吉村大阪府知事の記者会見の真意を汲み取れなかったことが多く存在しポピドンヨードのうがい薬の買い占めに走ったことです。

2020年8月1日土曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-30.新型コロナウイルスは空気感染する??!!-

2020年8月時点では、空気感染する感染症は麻疹、水痘、結核の三種類しか存在していません。

よく間違われるのはインフルエンザは、空気感染するのではなく飛沫感染です。

新型コロナウイルスも2020年6月末時点では、空気感染するのではなく、飛沫感染しかしないと言われていましたが、今回の報告で空気感染する可能性が高いと指摘されましたが、果たしてどうなんでしょうか?

2020年7月6日、世界の科学者239人が新型コロナウイルスに関する共同意見書を発表し、世界保健機関(WHO)などの当局に対し、このウイルスが2mをはるかに超える距離で"空気感染"する可能性があることを認識し、それに応じて感染防止策を見直すよう訴えました。

※この意見書は英オックスフォード大学(University of Oxford)の学術誌「臨床感染症(CID)」に掲載されています※

科学者らは、新型コロナウイルスが空気中で数十メートル移動できることが「合理的疑いの余地なく」示されており、これが新型コロナウイルスについても当てはまることが複数の感染事例の分析で示されたとしています。

科学者たちは手洗いや対人距離の確保は適切ですが、感染者が空中に放出するウイルスを含む微小飛沫からの保護には不十分だと言明しています。

感染予防対策として、屋内では換気を良くすること、高効率エアフィルターと紫外線ランプを導入すること、建物内や公共交通機関での混雑を避けることを推奨しています。

新型コロナウイルスを含む微粒子の感染能力については、医学界や科学界で激しい議論が交わされてきていますが、世界保健機関(WHO)は今のところ、こうした感染は患者が人工呼吸器を装着した場合など、病院内の「特定の状況」でのみ起こるとの見解示していますが、現在の世界保健機関(WHO)の言うことはあまり説得力がありません。

一方、新型コロナウイルスの拡散事例に関する研究では、微粒子による感染が病院内に限定されないことが示されていることにも注視する必要があります。

米疾病対策センター(CDC)の専門誌「新興感染症(Emerging Infectious Diseases)」に掲載された研究によると、2020年1月に客の集団感染が起きた中国のレストランでは、新型コロナウイルスが空調によって複数のテーブルに運ばれたと見解を示してます。

今回の学者たちの新型コロナウイルスが空気感染するという見解を無視することなく、感染予防対策の一環として取り入れる必要はあると思います。

そして新型コロナウイルスが空気感染するか否かを十分検証することが求められます。

2020年7月7日世界保健機関(WHO)高官は、新型コロナウイルスの空気感染(飛沫核感染)の可能性を示す「証拠が出始めている」ことを認識し、「感染経路の一つである可能性を見極めている」と明らかにしました。

仮にこれが事実であれば、1~2メートルの間隔をあけるソーシャルディスタンスをはじめ、各国は対策の見直しを迫られる可能性もありえます。

しかし世界保健機関(WHO)は最終的な結論は出ておらず、今後数日のうちに新たな結果を報告する見通しだと付け加えた。

一方米国立アレルギー感染症研究所所長のファウチ博士は、エアロゾル化が新型コロナウイルスの発現に与える影響について、決定的な証拠は現時点では認められていないが、似たようなウイルスであるSARSでは、エアロゾルによる拡散の明確な事例があったことからして完全に排除はできない」と述べています
    
そしてファウチ博士は、これこそがマスク着用が必要な理由の1つだと発言しています。

新型コロナウイルスが空気感染するか否かは、今後の調査研究に待つしかありませんが、空気感染する専門家の意見にも耳を傾けて感染予防対策をする必要はありそうです。



2020年7月26日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-29.新型コロナウイルスには本当に感染予防抗体は存在するのか??!!-

2020年7月14日厚生労働省は、本年6月月に宮城、東京、大阪の3都府県で実施した新型コロナウイルスの疫学調査で、参加者から検出された抗体に、感染を防ぐ働きがある抗体すなわち中和抗体ことを確認したと明らかにしました。

国立感染症研究所の分析では、アボット社とロシュ社の二つのメーカーの検査手法でいずれも「抗体がある」と判定された場合に感染を防ぐ働きがあることが判明したとのことです。

どちらか片方だけが陽性では、こうした能力は確認できなかったとのことです。

今後、この中和抗体がどれだけ体内で残り続けるのかを調べていく必要があるとのペています。

ここでは以下の疑問点について解説してみます。

1.何故二社の検査で陽性になった場合のみの抗体が、中和抗体なのか?

2.アボット社とロシュ社の検査キットで見つけられる抗体の種類はどのようなものなのか?

3.本来はアボット社とロシュ社のどちらのキットでも中和抗体を見つけられるが、検査を実施する時期によって見つけられないのか?

いずれにしても中和抗体の存在の有無は今後もっと多くの検査を実施して、分析しないと確定的なことはわかりません。

【追加解説】

抗体には以下の二種類があります。

1.感染抗体
このウイルスに感染したという証拠となる抗体で、例を上げればHIV抗体がそうです。

この感染抗体は、感染した事実のみがわかる抗体で、感染予防の働きはありません。

2.中和抗体

感染予防抗体とも呼ばれます。

この抗体があると再び感染することはなかったり、感染しても症状が軽くてすみます。

風疹やおたふく風邪や麻疹などの抗体がこれに相当します。

2020年7月19日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-28.新型コロナウイルスに感染した時の共通の症状とは-

米国疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、2020年7月18日までに、新型コロナウイルスに感染した人の共通の病状について分析結果を報告しています。

それによりますと大半の感染者に発熱、せきや息切れのうち少なくとも1つの症状の共有があると報告しています。

新型コロナウイルス感染症は、新しい病気のため症状に関する情報は限定的で、尚且入院していない患者の症状についての知見も乏しいのが現実です。

今回の米国疾病対策センターによる分析によりますと、

・患者の96%に発熱、せきや息切れのうちの1つの症状が出た。

・3つの症状全てを抱えたとしたのは約45%であった。

・最も多かった症状としては咳の84%。

・次が発熱の80%。

・息切れは入院した患者の間でより目立っていた。

・他の症状も色々と見られ、筋肉痛、寒気、疲労感や頭痛が含まれた。

・調査対象の患者の半数は下痢を中心にした腹部機能の障害も報告されています。

・一部の感染者は腹痛、吐き気や嘔吐に襲われていた。

・入院の必要がなかった患者では高い比率で味覚や嗅覚の喪失が認められています。

※今回の米疾病対策センターの分析結果は、検査が特定の患者あるいは特定の時期に限られているため一般化出来る種類のものでは無いことと、調査の対象者の多数が入院の感染者に偏っていることも的確な症状の分析には程遠いとも考えられますが、医師が感染拡大の阻止を図るため検査や隔離が必要と診断する際に貴重なデータとなる可能性は十分あるデータとなっています※

2020年7月17日金曜日

「令和2年7月豪雨」により被害を受けられた皆さまへ

この度の「令和2年7月豪雨」によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆さまに心よりお悔やみ申し上げます。

また、被災された方々に謹んでお見舞い申し上げますとともに、一刻も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

2020年7月13日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-27.-新型コロナウイルスのワクチン製造は非常に難しい!!-

新型コロナウイルスは、インフルエンザウイルスやHIVと同じように、『DNA』ではなく、『RNA』を遺伝子に持つウイルスです。

このRNAウイルスの場合は、効果的なワクチンを作るのは極めて難しいことが知られています。

その理由は、二重らせんという安定的な構造を持つDNAに対し、一重らせんのRNAはその構造が不安定で遺伝子が変異しやすいからなのです。

HIVワクチンがHIVが発見されてもなお30年が経過した時点ても今で完成していないことや、インフルエンザウイルスが流行している間にウイルスの遺伝子が変異してウイルスに対するワクチンが効きにくくなったり、まったく効かなくなったりするのことからもワクチン開発の難しさが理解できるはずです。

新型コロナウイルスもインフルエンザ同様に遺伝子が変異するスピードが非常に速いことから、2019年12月中国で発生して以来、世界各地に広がっていく過程で変異を繰り返し、2020年7月ですでに数百の変異があるという報告があります。

そのためにワクチンが完成しても、開発当初とは異なる遺伝子のウイルスが蔓延していれば、せっかく出来上がったワクチンも一部のウイルスにしか効かないことも十分にありあり得ることです。

2018年に『免疫を抑制するたんぱく質「PD-1」を発見し、がん治療薬「オプジーボ」の開発に大きく貢献した功績』でノーベル生理学・医学賞(2018年)を受賞した本庶佑京都大学特別教授(1942~)も上記の理由で新型コロナウイルスワクチンの日本でのワクチン開発、治験など現実離れした話と警鐘を鳴らしておられます。

予防ワクチンが可能な限り早く出来上がるのを願う次第です。

2020年7月5日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-26.COVID-19ワクチンは何時頃できる-

ワクチンの歴史を見てみますとこれまでに歴史上最速で完成したワクチンは、風疹ワクチンですが、これも4年の歳月を必要としました。

一部の専門家はバイオ技術の発展や認可過程の短縮化などにより、うまくいけばCOVID-19ワクチンは、1年~1年半で出来上がると発言していますが、そう簡単には完成しないと発言している専門家もいます。

確かにHIVワクチンは、HIVが発見されてから30年も経過していますが未だに完成はしていませんし、完成の目処も立っていません。

現在COVID-19ワクチンは、全世界で150種類以上が研究途上にあり、2020年7月時点で17種類が臨床試験に入っていますが、使用可能なワクチンは未だ完成はしていません。

2020年6月28日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-25.蚊は新型コロナウイルス(SARS-CoV2)を媒介するのか?-

マラリア・デング熱・日本脳炎などの多くの感染症が蚊によって媒介されることから、新型コロナウイルスもそうではないかという心配がされていましたが、蚊は新型コロナウイルスを人に感染させることはないという報告がされています。

2020年6月25日イタリア・高等衛生研究所(Istituto Superiore di Sanita: ISS)とイタリア・ベネチア動物予防試験所(Istituto Zooprofilattico Sperimentale delle Venezie:IZSVe)は、ヒトスジシマカもイエカも新型コロナウイルスを媒介できないと報告しています。

新型コロナウイルスに感染した人の血液を吸血しても新型コロナウイルスは、蚊の体内では増殖できなことからして、蚊からの感染は起こらないと報告してます。

この報告から蚊に刺されることで新型コロナウイルス感染に感染する可能性を排除したことになります。

世界保健機関(WHO)も、吸血昆虫の蚊が新型コロナウイルスを媒介する可能性があるという証拠は何もないとすでに発表していますが、今回の研究はこれを裏付けたことになります。

現時点では新型コロナウイルスは蚊などの吸血昆虫からの感染は起こらないようです。

2020年6月21日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-24.次亜塩素酸水についての再認識-

次亜塩素酸水の製法については、電気分解によるものと次亜塩素酸ナトリウムなどを酸で中和したものの2つが主流です。

他にも数種類の製造法があるようです。

厚生労働省の告示では、「次亜塩素酸水」と表記できるものは塩水を電気分解したものに限られますが、身の回りで販売、使用されている「次亜塩素酸」「次亜塩素酸水」を名乗る製品でこの製法表記のある製品は殆ど存在していません。

まして濃度表記のないものが大部分であることからすなわち如何わしい物があるということです。

更に「安定型複合塩素」と表記されたものは、一体何が入っているのか全く分かりません。

次亜塩素酸は、不安定なために製造後時間がたつと分解してしまい有効性は失われてしまいます。

従って製造年月日が分からなければいつまで使えるかがわからないにもかかわらず、とこ製造年月日を明記した商品は見当たりませんでした。

使用期限表記は当然殆どの製品に無く、あってもいつからいつまでかがわからないような製品は安心して使用できません。

従って今出回っている次亜塩素酸水は、使用しないのが得策です。

次に注意しないといけないことは、有効性に付いての表示なのですが、現在市中で販売されている次亜塩素酸製品(主成分を次亜塩素酸とするもの)は、基本として雑貨であって、消毒薬として販売されていません。

これは厚生労働省において薬機法の審査、承認を受けているものがないからなのです、要するに従って消毒薬としての効能を記載することは、薬機法などの法令違反になる可能性があります。

安全性や効能については、まず科学的、医学的合意がなされる必要があります。

○○大学で検査した、✕✕試験センターで試験したと言ってもそれは根拠(エビデンス)にならないのです。

安全性や効能については、まず科学的、医学的合意が形成され、その上で担当省庁による承認を得て初めて製品として成り立ちます。

現時点での「次亜塩素酸水」あくまで私的試みの読み物であっても有効性について医学的・科学的根拠となり得るものはまず無いです。

安全性についてもこれも医学的、科学的根拠がなく全く話しにはなりません。

「弱酸性」であるから安全と謳う製品がたいへんに多いのですが、弱酸性であることは安全性の根拠にならないことを理解しておいてください。

2020年6月14日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-23.次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水の使用を間違えないように-

新型コロナウイルスの感染予防対策として次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水が広く使用されていますが、誤った使用をすると人体に悪影響を与えるので注意が必要です。

1.次亜塩素酸ナトリウムの使用について

次亜塩素酸ナトリウムの溶液は、家庭用塩素系漂白剤(ハイター・キッチンハイターを薄めた溶液)を指し、除菌や抗菌をうたうスプレーなどに含まれる「次亜塩素酸水」とは全く別物です。

次亜塩素酸ナトリウムの溶液は、ドアノブや手すりなどの消毒には使用できますが、その場合も皮膚を保護するためのゴム手袋が必須で、水拭きでぬぐう必要もあます。

次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒薬の噴霧は、吸引すると有害となり、嘔吐などの症状を引き起こす可能性があることから、絶対に噴霧してはいけません。

【次亜塩素酸ナトリウム液(希釈)の作り方】

1.原液濃度が5%?6%の塩素系漂白剤を用意。

2.500mlのペットボトル1本の水に、5ml(ペットボトルのキャップ1杯)の塩素系漂白剤を入れる。

3.ペーパータオルなどに十分に薬液を含ませて拭いた後、水拭きをしますが、直接手に触れないようゴム手袋をはめて使用するなどご注意ください。

2.次亜塩素酸水

次亜塩素酸水は、塩酸や食塩水を電気分解して作ることができます。

※次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)を水で薄めても次亜塩素酸水は出来ません※

経済産業省の独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)が、2020年5月29日、次亜塩素酸水の消毒の有効性について「判定に至らず、引き続き検証実験を実施する」と発表しています。

世界保健機関(WHO)も「消毒剤を人体に噴霧することは、いかなる状況であっても推奨されない」とする見解を示しています。

次亜塩素酸水の噴霧器について、有効性や安全性が明確ではない現時点では人のいる空間での噴霧はしてはいけません。

しかし市場に出回っている次亜塩素酸水の消毒商品の多くが「空間除菌」を謳っていますが、その効果は疑問視されています。

※独立行政法人・製品評価技術基盤機構によると、販売状況を確認できた81品目中、少なくとも66品目が空間除菌をうたっていますが、効果は疑問視されています※

2020年6月9日現在、「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスに対する効果については、検証試験が継続中であり、まだ結論は出ていません。

「次亜塩素酸水」で手指消毒に関しても、独立行政法人・製品評価技術基盤機構は手指、皮膚での利用の是非について何らかの見解も示していません。

あらゆる感染症に共通となりますが、新型コロナウイルスの感染対策としては、石鹸と流水による念入りな手洗いが基本となり最も有効な対策です。

次亜塩素酸水は紫外線に弱く揮発性が高いため有効期間が短く、ボトルなどで保管すれば半日程度で効果がなくなるものもあります。

食品工場などで使用される際にはその場で製造して使用されており、この場合は効果がなくなっていないので有効ですから、仮に使うなら使う直前に製造してすぐに使用する方法が間違いないということです。

各メディアの報道に振り回されることなく、何が正しいかを見極める必要があります。

2020年6月8日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-22.-新型コロナウイルスを予防すると表示している商品にご注意!!

新しい感染症が流行すると必ずと言ってその感染症の予防・治療効果があるなど効能を謳った商品が出現します。

例を上げると、免疫力向上によるウイルス対策などと表示された黒にんにくなどの健康食品や、光触媒と銀イオン新型コロナウイルス対策用コーティング剤などとしたスプレー剤や、感染しにくくなる食品などです。

新型コロナウイルスへの予防効果をうたった健康食品などには、その根拠がないので、くれぐれも騙されないように気をつけてください。

消費者庁も注意を呼びかけています。

消費者庁は、"免疫力を高める"などとして新型コロナウイルスに予防効果があるようにうたった黒ニンニク、ミカン、海藻類、お茶などを用いた健康食品や除菌スプレーなどを販売する35の事業者に対し、景品表示法違反などのおそれがあるとして改善要請などを行いました。

消費者には「効果を裏付ける根拠があるものはない」と注意を呼びかけていますので、騙されて購入しないようにしてください。

また、最近話題の次亜塩素酸水はついても、消費者庁は消毒・除菌をうたう商品情報を5月に公表し、名前の似ている「次亜塩素酸ナトリウム」も「噴霧して吸ったり目に入ったりする健康に害を及ぼす可能性がある」と注意喚起をしています。

※「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスに対する効果については、検証試験が継続中であり、まだ結論は出ていません※

※参照サイト
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20200515_2.html

世界保健機関も消毒剤の人体への噴霧は推奨しないと、注意を呼びかけています。

経済産業省は、2020年5月29日、次亜塩素酸水の噴霧についてまとめた資料を公表し、「新型コロナへの有効性は確認されていない」ほか、世界保健機関の「消毒剤の人体への噴霧はいかなる状況でも推奨されない」という見解のほか、目の腫れや呼吸困難など健康被害とみられる国内の報告2例も紹介しています。

2020年5月31日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-21.次亜塩素酸水 噴霧使用は控えて-

独立行政法人製品評価技術基盤機構(National Institute of Technology and Evaluation:NITE)は、新型コロナウイルスの消毒目的で利用が広がっている「次亜塩素酸水」について、2020年5月29日時点では有効性は確認されていないとする中間結果を公表しました。

独立行政法人製品評価技術基盤機構では、噴霧での使用は安全性について科学的な根拠が示されていないなどとして、控えるよう呼びかけています。

検証では、2つの研究機関で酸性度や塩素の濃度が異なる次亜塩素酸水が、新型コロナウイルスの消毒に有効かどうかを試験した結果、一部にウイルスの感染力が弱まったとみられるデータもありましたが、十分な効果がみられないデータもあるなどばらつきが大きく、有効性は確認できなかったということです。

今回特に注意を呼びかけていることとしては、次亜塩素酸水は噴霧することで空間除菌ができるとして販売されるケースが少なくないことについて、人体への安全性を評価する科学的な方法が確立していないことや、国際的にも消毒液の噴霧は推奨されていないことなどを紹介する文書を合わせて公表しました。

独立行政法人製品評価技術基盤機構は、"加湿器などで噴霧すること"、"スプレーボトルなどで手や指、皮膚に使用すること"は、安全性についての科学的な根拠が示されていないことから使用しないように呼びかけています。

そもそも消毒薬を空気中に噴霧して使うことはありませんし、本来の使用目的は「物の表面」の消毒です。

空気中に噴霧すると人が吸い込む可能性があり危険ですから行うべきではありません。

一部の販売業者は、"次亜塩素酸水は次亜塩素酸ナトリウムと違って安全です、食品にも使えるくらいですから"というセールスをしているようですが、食品に使った場合も食べる前には残留しないように除去することが決められており、完全に除去されています。

次亜塩素酸水は口に入れることを前提に使われるものではありません。

このように間違った宣伝をしているのは、次亜塩素酸水そのものの効能を理解していないのか、儲け主義で誤ったことも平然と言っているのかは定かではありませんが、使用者として我々は気をつけなければいけません。

最近では居酒屋チェーン店でも、入店前に次亜塩素酸水を浴びる謎の装置をくぐることを求められるお店もあるようですが、これは全く殺菌効果がない上に健康被害が出る恐れがあり危険ですし、更に企業や自治体においても次亜塩素酸水の噴霧器を置いて加湿器のようにミストで“空中除菌”をしているのを見かけますが、これは全く効果がなく、健康被害が起こるリスクが高いことです。

厚生労働省の結核感染症課は、「もし物に対する効果があるとしても、噴霧に効果はない」と効果を否定していますし、また「空中を漂う有効成分がウイルスと出合う確率は極めて低い」としたうえで、「感染予防に役立つ見込みがなく、濃度など条件次第では有害になりうるので使用はやめてほしい」と求めています。

実際病院での使用例も確認していないそうです。

その上現時点において、「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスへの有効性は確認されていません。

以上のことをまとめますと、

1.消毒剤を人体に噴霧することは、いかなる状況であっても推奨されない。これは、肉体的にも精神的にも有害である可能性があり、感染者の飛沫や接触によるウイルス感染力を低下させることにはならない(WHOの見解)。

目の腫れや呼吸困難など健康被害とみられる国内の報告2例があります。

2.消毒剤噴霧は、空気や表面の除染のためには不十分な方法であり、一般衛生管理には推奨されない(CDCの見解)。

3.消毒液噴霧による人体への安全性については、確立された評価方法が存在していない。

4.液体の販売にあたって、製法(電気分解、混和等)や原料が明記されていないものが多い(品質に問題があるものが多く存在している)。

5.販売にあたって、製造日及び使用可能期間、使用可能期間中における次亜塩素酸濃度の低減について明記していないものが多い。

6.食品添加物であることを根拠として、人体への安全性を謳っているものがある(間違い)。

7.有人空間での「次亜塩素酸」等の噴霧によるウイルス対策が、公式に認められていると誤認させるような表示を行う例がある(過大広告)。

8.亜塩素酸水として販売されている製品は、製法(電気分解、混和等)や原料が明記されておらず、液性をpH値によって明記しないものも多く、安全性も根拠不明なものが多いと専門家や専門機関が指摘していますから、飛びついて使用することは避けるべきです。

9.次亜塩素酸水と従来から新型コロナウイルス対策として物品の消毒に使用することが推奨されている「次亜塩素酸ナトリウム」とは別のものです。

2020年5月24日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-20.新型コロナウイルス感染は発症前から発症5日が最多、6日以後はほとんど感染しない!-

台湾衛生福利部疾病管制署(台湾CDC)からJAMA Internal Medicine(2020年5月1日オンライン版)に「台湾のCOVID-19感染ダイナミクス」という論文が出ました。

100人の感染確定者と2,761人の接触者について追跡を行い、その時期による感染力の違いが明らかにされています。

この論文の最大のポイントは「COVID-19感染は発症前から発症5日が最多で、6日以後はほとんど感染しない!」ということです。

まとめますと、

1.接触者追跡は発症4日前までさかのぼれ

2.COVID-19は発症前から発症5日までに感染リスクがあり、6日以降はない!
COVID-19の二次感染までの期間(serial interval)は4~5日、SARSは8.4日

3.すなわちCOVID-19患者が肺炎を起こして入院するころにはもう感染しにくくなっているというのです。

これら3点には医療者にとっては非常に有益なこととなります。

発症6日以後にCOVID-19患者に接触した852人で発症はなんと0(95%CI 0~0.4%)という結果が得られています。

多くの国においても、医療従事者は病院でなくて家庭で感染する方が多かったというのです。

ドイツにおいても発症1週以後、生存新型コロナウイルスは分離されていません。

この論文の内容に関してもさらなる検証が必要となりそうです。

2020年5月17日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-19.抗体検査が陽性となっても第三者に感染させないという保証はない!!-

世界的に新型コロナウイルス抗体検査を実施する傾向にありますが、抗体検査が陽性となっても人に感染させないという保証はありません。

その理由としては、見つける抗体の種類によって異なります。

1.見つける抗体が感染予防抗体すなわち中和抗体であれば、この抗体を持つ人は既に体内の新型コロナウウイルスを駆逐していることから人へ感染させることはなく、当人も治癒していると考えられます。

しかし持つ中和抗体の量が少ない場合は、感染防御は出来ず再感染したり、他人に感染させてしまうこともあります。

中和抗体の量が問題となります。

2.見つける抗体が感染予防抗体すなわち感染を示す抗体であれば、体内にウイルスが存在していて、自分も感染していて他人へ感染させる状態です。

これはHIV抗体と同じことです。

現にWHOも新型コロナウイルスに感染して回復した人など抗体を持つ人が2度目の感染を阻止できるという根拠は、現時点(220年4月26日)ではないという見解を示しています。

要するに見つける抗体が、感染予防に役立つ中和抗体か、感染を示す感染抗体かが重要なのです。

一部の国で抗体が確認された人々への「免疫証明書」の発行を検討していますが、完全な安全性の証明にはならず、感染拡大のリスクを高めるおそれがあるとWHOは警告しています。

2020年5月10日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-18.新型コロナウイルスの生命力-

2020年4月23日米国土安全保障省の高官は、新型コロナウイルスは日光が当たる場所や高温・高湿度の環境下では、より短い時間で威力が弱まる傾向が示されたと発表しました。

政府の研究者らは、新型コロナウイルスが最も生存しやすいのは屋内の空気が乾燥した環境下で、気温と湿度が上がれば威力を失い、特に日光に弱いとの研究結果を報告されました。

インフルエンザなど他の呼吸器系疾患と同様に、新型コロナウイルスの感染力が夏季に弱まるとの期待を強める内容となっていますが、現実はシンガポールなどの温暖な場所でも強い感染力を発揮していることから一概には信用はできません。

暗くて湿度が低い環境では、新型コロナウイルスはステンレス鋼など通気性のない素材の上で、18時間かけて威力を半減させるが、高湿度の環境ではこの時間が6時間に減り、高湿度の環境で日光に当てれば、2分に短縮されるという結果が得られています。

空気中の新型コロナウイルスは、暗い室内で1時間かけて威力が半減したのに対し、日光に当てた場合は90秒に短縮されたことも明らかにしています。

この発表が信頼できるか否かは、今後の追試が必要となります。

新型コロナウイルスの感染予防は、やはり3密を避けて、うがい・丁寧な手洗い・マスク使用が大切なことは言うまでもありません。

2020年5月3日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-17.死亡率と致死率-

よく死亡率と致死率という言葉を耳にしますが、これらについてわかりやすく解説します。

【死亡率】

死亡率とは、人口学において、一定人口に対する、その年の死亡者数の割合を言います。

【致死率】

致死率は、致命リスク、致命率ともいい、疫学における、特定の疾病に罹患した母集団のうち死亡する割合のことを言います。

ある地域社会で同じ病気と診断された1000人のうち90人が死亡したとしますと、これは正式に病気と診断された1000人のうち90人が死亡し、910人は回復したことを意味しています。

従って致死率は9%ということになります。

分母が患者数である致死率は、しばしば死亡率と混同されていますが、死亡率と致死率は全く異なります。

死亡率は、人口に対する死亡者数を調査したもので、人口数と期間を定めて計算し分母は人口です。

例えば人口10000人あたり1年間にインフルエンザに起因する50人の死者が生じた場合、糖尿病の死亡率は 10000:50 または 1000:5 になります。

【致命率と生存率と死亡率の関係】

致死率=死亡数/患者数

生存率=1-致命率

死亡率=死亡数/人口数


2020年4月26日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-16.布マスクは有効は本当に有効なのか??!!-

新型コロナウイルスの大流行に伴いマスクが品不足となっています。

新型コロナウイルスの感染拡大防止の一環で、安倍晋三首相が洗濯して繰り返し使える布マスクを5千万余りある全世帯に2枚ずつ配る方針を表明しましたが、布マスクの効用をめぐっては、専門家の間でも懐疑的な見方が多いのが事実です。

※このマスクは異物の混入やカビが生えて生えていたりして不良品が多く、回収され未だ行き渡っていません※

その理由としては、布マスクは織り目のサイズが大きいため、を防ぐ効果が小さい。

また繰り返し洗って使う場合、管理が悪いと雑菌がはびこる可能性があり、かえって不衛生になる可能性が指摘されています。

2015年に英国の医学誌に発表された論文では、1607人の医療従事者を、医療用マスクをつける人と、布マスクをつける人、マスクをつけたり外したりする人にわけて感染リスクを比べた結果、布マスクをつけた人がもっとも呼吸器疾患やインフルエンザ症状を示した人が多かったと報告されています。

WHO(世界保健機関)は、新型コロナ感染拡大期における布マスク使用について「いかなる状況においても勧めない」と公言しています。

WHO(世界保健機関)は、現在でも症状のある人や介護や医療現場に従事する人以外のマスクの着用は推奨していません。

一方、米国疾病予防管理センター (CDC)も、一般の方にはこれまでマスクを推奨しないとしてきましたが、ガイダンスを変更し布製フェイスマスクの使用を一般の人に勧めるという勧告を出した上、サイト上で布製フェイスマスクの作り方も掲載しています。

CDCは、あくまでも、人と社会的距離をとる(少なくとも1.8メートル程度)ことが重要で、追加の感染拡大防止策として、布マスクの使用を勧めるというスタンスです。

布マスクには他者からの感染を防ぐ効果はまったく期待できないことは、多くの専門家もして指摘しています。

要するに布マスクがどれほど効果があるかのエビデンスは少ないために効果があるとは言いにくいわけです。

大きな飛沫をせき止め、のどを保湿する可能性はあるため他人にうつさないという目的を考えれば、つけないよりつけたほうが良いということになります。

布マスクをつけるだけでコロナウイルスの感染が防止できると思いこむのは危険なことです。

布マスクが感染拡大予防に効果がある可能性もあるかもしれませんし、鼻や口を物理的に何かで覆って飛沫飛散を防ぐことは一理ありますが、やはり大切なことは手洗いが重要となります。

2020年4月19日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-15.日本国内におけるPCR検査の現状-

PCR(polymerase chain reaction)検査は、遺伝子の検査に用いられる手法のひとつの検査法で、特定のDNA断片(数百から数千塩基対)だけを選択的に増やして調べやすくするために用いられる遺伝子増幅技術です。

これは、遺伝子そのものをコピーして増やす酵素を使って、直接遺伝情報を読み出してやろうという革命的かつ画期的な方法なのです。

PCR検査はウイルスそのものを増やして検査するのではなく、ウイルスの遺伝子を増やして検査するのです。

そのため検査技術が未熟であったり、検査をする部屋が不潔であったりすると外界の何らかの遺伝子が混入してこの混入した関係のない遺伝子を間違ってコピーして増やしてしまうことからニセの陽性反応が起こってしまいます。

要するに検査検体には新型コロナウイルスはいないのにも関わらず、外界から混入したDNAのかけらが増幅され検査結果は陽性(偽陽性反応)となってしまう訳です。

更に新型コロナウイルスのPCR検査では、新型コロナウイルスの遺伝子だけを調べていることから、新型コロナウイルスのカプセルが破壊されて機能していなくても(感染性のない新型コロナウイルスの死骸)PCR検査で陽性となることもありえます(偽陽性反応)。

従ってPCR検査は、外界からの遺伝子の購入を防ぐ施設、熟練した技術者が検査を実施しないと、偽陽性反応や偽陰性反応の出現率が極めて高くなってしまい信頼できない検査となってしまいます。

現在日本国内において実施可能なPCR検査の実施件数は、1日現在1日地方衛生研保健所約4900件・民間検査会社約3600件・検疫所約1800件など合わせて約1万2800件と言われています。

現在のように急激な新型コロナウイルスの感染者発生に伴い場当たり的に検査件数を増やすことは信頼性を低下させることになってしまいます。

施設の拡充は出来てもPCR検査に熟練した技師を短期間に養成することは不可能です。

日本国内で急激に検査件数を増やして検査を実施する体制はできないということなのです。

検査は出来るが、信頼性の低い検査を実施しても意味がありません、混乱を招くだけです。

2020年4月13日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-14.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の主な症状-

【潜伏期間】

2~12日(平均7日)

【症状】

初期症状は、鼻水や咳、発熱、軽い喉の痛み、筋肉痛や体のだるさ(倦怠感けんたいかん)など、風邪のような症状が生じ、特に、37.5℃程度の発熱と強い体のだるさを訴える人が多いという特徴があります。

初期症状では比較的軽症で、発熱や咳など風邪のような症状がみられるほか、嗅覚・味覚障害が生じることがあります。

人によっては鼻詰まりや鼻水、頭痛、痰や血痰けったん、下痢などが生じることがあります。

発熱やせき、それに息苦しさや、呼吸困難といった呼吸器の症状が出現し、重症化すると、肺炎を引き起こしたり、腎臓の機能が低下したりして、死亡することもあります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初期症状に結膜炎があることも理解しておく必要があります

ただし、これらの症状は感染した人全員にみられるとは限らず、無症状で経過する例もありますし、軽症の段階でも重症化した段階でも感染力があり、人に感染させると考えられていますが、無症状の人から感染する可能性は高くはないと考えられています。

初期症状はおよそ5~7日間程度続き、重症化しなければ次第に治っていきます。


【致死率】

世界保健機関(WHO)によると致死率は3%から4%程度と考えられていますが、10%を超えている国もあります。

2020年4月10日時点で世界全体の致死率は6.1%と報告されています。


【重症化する人】

これまでに死亡した人のほとんどには、高血圧や糖尿病、それに心臓や血管の病気といった、免疫を低下させるような持病があったということです。

しかし最近では若年層の人も重症化して死亡しています。

2020年4月5日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-13.新型コロナウイルスの感染経路について-

※ここで言う新型コロナウイルスとは、「重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2」(SARS-CoV-2)のことです※

呼吸器系の感染症の感染は、空気感染・飛沫感染・接触感染が考えられます。

これら感染について解説いたします。

1.空気感染

飛沫として空気中に飛散した病原体が、空気中で水分が蒸発して5マイクロメートル以下の軽い微粒子(飛沫核)となってもなお病原性を保つものは、単体で長時間浮遊し、3フィート(91センチメートル)以上の長距離を移動し続けます、呼吸によりこの粒子を吸い込むことにより感染することを言います。

埃や粉塵と一緒に、ウイルスを吸い込む場合でも感染します。

要約しますとウイルスが入っている飛沫が、気化して5ミクロン以下の大きさとなる飛沫核が空中を浮遊するということです。

麻疹(はしか)・水痘(水ぼうそう)・天然痘・結核が代表的な空気感染をする感染症です。

※※新型コロナ空気感染の可能性が示唆されていますが、2020年4月現在その確証は得られていません※※

2.飛沫感染

咳やくしゃみをすると、口から細かい水滴が飛び散りますがこの細かい水滴を飛沫と言います。

この飛沫に病気の原因となる細菌やウイルスが含まれていた場合、これを吸い込むことで感染するのが飛沫感染です。

風邪やインフルエンザを始め、上気道炎症状を伴うウイルス感染症(RSウイルス、ジフテリア、猩紅熱、発疹熱、発疹チフス、風疹など)の多くや細菌性肺炎が代表的感染症です。

新型コロナウイルス、SARSやMERSの原因となったコロナウイルスについても、この経路が主体だと考えられている。

3.接触感染

皮膚や粘膜の接触、または医療従事者の手や聴診器などの器具、手すりやドアノブなど、患者周囲の物体表面を介しての間接的な接触で病原体が付着しその結果感染が成立する事を言います

流行性角結膜炎など眼科疾患が代表的な感染症ですが、精液や膣分泌液をを介した性行為感染症もこの感染様式を取ります。

新型コロナウイルスも接触感染で感染します。


2020年3月30日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-12.オーバーシュートとは何?-

予測の範囲を超えた突発的な感染者数の急上昇のことを意味する言葉としてオーバーシュートという言葉が使用されます。

言い換えますと爆発的拡大をオーバーシュートと呼びます。

どこかで感染に気付かない人たちによるクラスター(患者集団)が断続的に発生し、その大規模化や連鎖が生じ、オーバーシュート(爆発的患者急増)が始まっていたとしても、事前にはその兆候を察知できず、気付いたときには制御できなくなってしまうというのが新型コロナウイルス感染症対策の難しさなのです。

日本国内での新型コロナウイルスの感染者は、2020年3月20日時点では何とか持ちこたえており、拡大防止の取り組み強化が必要性が強調される一方で、感染が確認されていない地域では学校活動や屋外スポーツなどの再開も奨励しています。

政府は、臨時休校などの自粛要請の一部を解除する方針です。

北海道においては、週末の外出自粛やイベント自粛、休校などの対策が進み、クラスター感染を把握して制御下に置くことができた結果、ある程度の新規感染者の増加を抑えられていると評価されているようですが、どのような対策や市民の行動の変化が最も効果を上げたかははっきり分かっていないのが現実です。

北海道以外においては、感染者1人からの2次感染者数の平均値(実効再生産数)が3月上旬以降は1を下回っていますが、感染経路不明の感染者が増えるとオーバーシュートが起きかねない状況です。

今後は、全国一律の対策を講じるのではなく、患者推計に基づく医療提供体制を整えた上で、感染状況別にバランスを取った対策を各地域に求めていく必要があります。

それは感染が拡大中の地域は一律自粛の必要性などの検討し実施していく。

一定程度に収まっている地域はリスクの低い活動から徐々に解除することを検討し実施していく。

感染が確認されない地域では学校活動などの再開していく。

症状が軽い患者や症状がない人は自宅療養とするなど重症者を優先する医療体制の準備必要となります。

感染者全てが医療機関を受診すれば現在の医療体制では対応できなくなり、医療体制が崩壊していきます。

2020年3月22日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-11.-新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は二種類存在する!!??

新型コロナウイルスは、2種類のタイプがあり感染力が違う可能性があると、北京大などの研究チームが2020年3月6日までに中国の英文科学誌ナショナル・サイエンス・レビューに発表しています。

国の内外で解読された103例の新型コロナウイルスのリボ核酸(RNA)を解析し、遺伝子を構成する塩基配列の違いから、L型とS型の存在が確認されたとしています。

L型が70%を占めるS型は30%存在していると報告しています。

そしてL型はS型から変化して出現し、感染力が強い可能性があり、中国武漢市ではL型が大半を占めたと報告しています。

L型(ロイシン)はS型(セリン)から変化して出現し、感染力が強い可能性があるとも報告しています。

L型はこのうち70%を占めてS型に比べて感染力が強く、「S型」は遺伝子の特徴がコウモリから検出されたウイルスに近く、「L型」より古い型とみられるとしています。

研究チームは地元メディアの取材に対し、「『L型』が、どうやって『S型』から進化したのかや、どちらのほうが毒性が強いのかはまだ分かっていない」としています。

また、多くの患者は1つの型にしか感染していませんが、湖北省・武漢に旅行歴のあるアメリカの患者など2人は、両方の型に感染した可能性があるとしています。

研究チームは、今後、突然変異が起きる可能性は排除できないとして、さらに遺伝子の分析を進める必要があると指摘しています。

今回の調査に直接関与していない専門家らは、調査結果は興味深いが、こうした暫定的な調査をもとに結論を急ぐべきではないとの指摘を行っています。

いずれにしても今後更に多くの新型コロナウイルスのリボ核酸(RNA)を解析し、遺伝子を構成する塩基配列の違いを調べる必要があります。

2020年3月15日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-10.クラスター感染とは-

これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の人は、他の人に感染させていない一方で、一定条件を満たす場所においては、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています発表しています。

これは具体的にはどのようなことなのでしょうか?

具体的に言いますと、ライブハウス、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウスなどクラスターの屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上交わることによって、クラスターが発生する可能性が示唆されます。

そして、クラスターが次のクラスターを生むことによって感染の急速な拡大を招くと考えられます。

※クラスターとは集団という意味で、クラスター感染=集団感染という意味で使用されています※

クラスター発生の三条件とは

1.近距離での会話

2.手の届く距離に多くの人がいる

3.密閉された空間で換気が悪い

上記の三条件がすべて重ならなくても、これらのうちの1つないし2つの条件があれば、なにかのきっかけに三条件がそろうことがあります。

クラスターの発生のリスクを下げる三原則とは

クラスターの発生のリスクを下げるための原則としては以下の三原則があります。

1.換気を励行する

2.人の密度を下げる

3.近距離での会話や発声、高唱を避ける

窓を開け換気を励行するとクラスターの発生は抑えられることは分かっていますが、どの程度の換気が十分であるかの確立したエビデンスはまだ十分にはありません。

人が多く集まる場合には、会場の広さを確保し、お互いの距離を1~2メートル程度あけるなどして、人の密度を減らす。

周囲の人が近距離で発声するような場を避ける、やむを得ず近距離での会話が必要な場合には、自分から飛沫を飛ばさないよう、咳エチケットの要領でマスクを装着する。

そして何よりも大切なことは、こまめに石鹸を使って流水での手洗いです。

2020年3月9日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-9.「飛沫感染」と「空気感染」の違いについて-

最初に結論を言いますと「飛沫感染」と「空気感染」は全く異なるものです。

それでは「飛沫感染」と「空気感染」の違いについて解説していきます。

咳やくしゃみをすると、口から細かい水滴が飛び散りますこの細かい水滴を飛沫と言い、この飛沫に病気の原因となる細菌やウイルスが含まれていた場合、これを吸い込むことで感染するのが飛沫感染です。

飛沫は最大でも2m程度しか飛ぶことができませんので、飛沫感染する病原体に感染した人がいたとしても、その人から2m以上の距離を保てば感染しないのです。

医学的にクシャミをすると約およそ0,000個以上の飛沫が飛び散り、5分間話す、咳をすると3,000個の飛沫核が飛び散るといわれています。

しかし、実際には口や鼻から飛び出す飛沫や飛沫核の数については、咳やくしゃみの程度によって異なりますので一概には言えません。

飛沫感染する病原体としてはインフルエンザ、百日咳、おたふくかぜなどがあります。

新型コロナウイルスも飛沫感染します。

感染者の体内から体外に新型コロナウイルスが放出される時は、"飛沫(水分)"に包まれて飛び出します。

唾液や鼻汁などの"飛沫(水分)"に包まれて新型コロナウイルスは体の外に放出され、第三者の顔や手指などの体やその他の手すり・ドアノブ・机などに付着することななります。

このとき飛沫に含まれたウイルスを医療用語で"飛沫核"と呼びます。

飛沫感染するウイルスの場合、飛び出た飛沫の水分が蒸発してしまうと、飛沫核(ウイルス)は感染力はなくなります。

要する新型にコロナウイルスは、飛び出た飛沫の水分が蒸発してしまうと、感染力はなくなり感染しなくなるということです。

飛び出た飛沫の中の新型コロナウイルス感染力を持っている時間は、完全に判明していないので、インフルエンザウイルスなどを参考にして平均で2~8時間と考えられています。

反面空気感染するウイルスは、飛沫の水分が蒸発して"飛沫核"となってもウイルスの感染力はありますので感染するということになります。

これが「空気感染」で、"飛沫核"は小さいし、水分がなくて軽い訳ですから、空気中にふわふわと漂いこれを吸い込んだ人は感染するというわけです。

新型コロナウイルスは、2020年3月9日現在「空気感染」はしないと確認されています。

一方空気感染とは、別の呼び方として飛沫核感染ともいいます。

飛沫核とは、飛沫の水分が蒸発した小さな粒子のことでこれを吸いこむことで感染するのが飛沫核感染、つまり空気感染ということなのです。

飛沫は水分を含んでいるためそれなりの重さがあり、体内から放出された後、すぐに地面に落ちてしまいますが、飛沫核は水分が無いぶん軽いため、長い時間たっても空気中に浮遊し、しかも遠くまで飛んでいくことができます。

病原体の中には、飛沫に含まれる水分が蒸発するとそのまま空気中を漂うものがあります。

しかも感染力を保ったまま空気中をプカプカ浮いている状態で存在していますから、このタイプの病原体は同じ空間にいると感染者から遠い場所にいても感染してしまう危険があるのです。

空気感染できる感染症は、麻疹、水痘、結核の3つしかありません。

これら3つ病原体は「空気感染」することから感染力が非常に強いということなのです。
部屋を換気して空気を入れ替えればウイルスを含んだ飛沫は乾燥して蒸発して飛び散り、そこで伝染性を失いますから、部屋の換気は十分にする必要があります密室は感染を広げますから、このことはライブハウスなど空気の入れ替えがなく空気の淀んだ閉鎖空間での新型コロナウイルス感染者の報告からも明らかなことです。

部屋を閉鎖空間とすることなく十分に換気を行うことにより新型コロナウイルスの感染は予防可能となります。

2020年3月1日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-8.新型コロナウイルスの家庭における消毒について-

ウイルスはその構造からエンベロープ(脂質性の膜)のあるウイルス(エンベロープウイルス)と、エンベロープのないウイルス(ノンエンベロープウイルス)に分けられます。

エンベロープウイルスは、アルコール消毒剤によりダメージを受けやすい特徴があります。

新型コロナウイルスは、エンベロープウイルスですから消毒用アルコールで死滅させることが出来ます。

【消毒用エタノール】

消毒用エタノールの濃度は、76.9~81.4 vol%のエタノールが、殺菌として最も強い作用を有していることから、この濃度のものを使用します。

日本薬局方では消毒用エタノールは、76.9~81.4 vol%と規格が定められています。

【イソプロピルアルコール】

イソプロピルアルコールはエタノールに比べて、脱脂作用が強く、やや毒性と刺激性が強いため、手指が脱脂されて手指が荒れる欠点があります。

消毒には50~70%のものが使用されています。

イソプロパノールはエタノールとほぼ同等の消毒効果を示すものの、親水性ウイルス(ノロウイルス、アデノウイルスなど)に対する効果はエタノールに比べて劣っています

【おまけ】

次に市販されている"ビオレu 手指の消毒液はエタノール"にはアルコールも含まれておりますが、有効成分はベンザルコニウム塩化物であることから新型コロナウイルスへの効果は確認できておりません。

【消毒用アルコールの作り方】

無水エタノールは、アルコールの一種で主に電気製品の掃除に使われます。

無水エタノールを76.9~81.4 vol%になるように調製すれば消毒用エタノールとして使用できます。

無水エタノールの注意事項に、「用途以外には使用しないでください」とありますが、希釈すれば「手指や皮膚の消毒液」として使うことができます。

作り方は以下のとおりです。

100ml作る場合を例に紹介しておきます。

無水エタノール80mlに精製水20mlを加え十分に混ぜる

これで無水エタノールと水の割合は、おおよそ8:2となります。

手作り消毒液を入れる容器は「高濃度のエタノール(アルコール)対応」の商品を使用します。

無水エタノールや精製水は薬局で購入出来ます。

消毒用エタノールが品不足で買えない場合は、無水エタノールと精製水で消毒用エタノールを家庭で作ってみてください。



2020年2月23日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-7.市中感染症と院内感染症の違いについて-

新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19)が原因で神奈川県の80代の日本人女性が死亡、東京都の70代タクシー運転手や、和歌山県の50代男性外科医ら日本人3人が感染し、感染者が増加しています。

そして北海道内で2月19日までに4人が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、この4人の間に濃厚な接触がなく、いつどこで感染したか追跡できないことから"市中感染"の可能性が出ています。

市中感染とはどのようなことなのでしょうか?

市中感染とは病院外で体内に入った微生物によって発症した感染症を指す用語です。

健康な社会生活をしている人に起こる感染症の多くは、体外から侵入した病原体により発症する「外因性感染症」です。

要するに市中感染症とは、社会生活をしている健康人に起こる感染症で、多くは外因性感染症を指します。

一方院内感染とは、病院内で体内に入り込んだ微生物によって引き起こされる感染症を指す用語です。

院内感染は病院内での感染対策すれば感染防止は可能ですが、市中感染は何にどう気を付けていいか分からないことから、一般市民の間には不安が募ることになります。

一般市民が市中感染を防ぐ対策としては、以下のことがあります。

1.電車の吊り革、エスカレータの手すり、ドアノブを触った後には石鹸を使い流水で手洗いをする、手洗いができないときには携帯用アルコール消毒液で良く消毒する。

2.マスクは基本的には感染を広げないために着用するもので、混み合った場所や、屋内や乗り物などの換気が不十分な場所では1つの予防策と考えられます。

3.使い捨てマスクをそのまま再利用するのは、衛生的な観点から推奨できません。

4.マスクを外すときにはマスクの表面に触れないようにする、触れたときには十分に手洗いをする。

5.ウガイも感染予防にはあまり役立たないと言われていますが、しないよりするほうが良いでしょう。

2020年2月16日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-6.新型コロナウイルスの正式名称決定-

2020年2月11日、世界保健機関(WHO)は、中国武漢を中心に流行している新型コロナウイルスによる病気の正式名称を"COVID-19(コービッド・ナインティーン)"に決定したと発表しました。

COVID-19(コービッド・ナインティーン)は「コロナ(Corona)」、「ウイルス(Virus)」、「病気(Disease)」という単語と、この病気がWHOに報告された「2019年」の組み合わせでできています。

この新型ウイルス自体の名前は、国際ウイルス分類委員会(International Committee on Taxonomy of Viruses:ICTV)によって"SARS-CoV-2(Severe Acute Respiratory Syndrome CoronaVirus 2)"と名付けられています。

国際ウイルス分類委員会とは、分類学的見地から、ウイルスの分類と命名法の認可を行なっている組織のことです。

ウイルスの分類と命名は国際ウイルス命名委員会で決めます、これは大原則であり、ここで決定されない限り正式名称にはなりません。

国際ウイルス分類委員会の分類では、全部で3万種くらいのウイルス存在しています。

まとめますと、新型コロナウイルスによる病気の正式名称は"COVID-19(コービッド・ナインティーン)で、これを引き起こすウイルスは"SARS-CoV-2(Severe Acute Respiratory Syndrome CoronaVirus 2)"ということになります。

2020年2月10日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-5.新型コロナウイルスはマスクで感染防止できるのか-

基本的にマスクではかぜやインフルエンザそして新型コロナウイルスの感染予防はできません。

そもそもマスクは、感染予防のために使うものではなく、感染してしまった人が周囲に広げないために使うものなのです。

せきやくしゃみをすると、医学的見地からして1mから2mも唾液などの飛まつが飛ぶと言われています、そのため感染者の飛まつがウイルスを広げる大きな要因となります。

これはインフルエンザや通常のコロナウイルスそして新型コロナウイルスなど多くのウイルス性感染症で共通する特徴なのです。

従ってせきやくしゃみの症状がある人が正しくマスクをつけることは、他の人に感染させない、感染を広げないための"基本原則"と理解しておく必要があります。

では健康な人がマスクを付けることにはどの様な意義があるのでしょうか?

専門機関のホームページで確かめてみました。

1.WHO(世界保健機関)

マスクだけでは感染を防げる保証は無いとして、貴重な資源をむだにせず、また間違った使い方をしないためにも、症状のある人だけがマスクをするよう呼びかけています。

さらに「マスク使用のアドバイス」には、マスクで予防できるという科学的根拠は無いため、症状が無い場合はマスクは必要ないと記載されています。

※新型コロナウイルスの患者の看病などをする場合はマスクをつけるべきだとしています※

2.CDC(アメリカ疾病対策センター)

特別な状況にないかぎり、感染を避けるという目的で症状のない人がマスクを着用することは推奨しないとしています。

人混みを避けられない場合や、妊婦や高齢者など発症するとリスクが大きい人や、家族などでそうした人と接触する場合は、マスクを使用してもいいと記載しています。

結論としては、マスクだけでは、予防効果はあまり期待できないけれど、人混みの中など一定の環境では、ある程度の予防に役立つ可能性は否定できないが、感染予防に役立つという科学的なエビデンスは存在しないと解釈できます。

マスクで感染予防が出来るというエビデンスはなぜないのでしょうか?

その理由は以下のように考えられます。

マスクで感染予防が出来るということを確かめるには、統計処理の出来るできる多くの人たちを2グループに分け、必ずマスクをつけて生活するグループとマスクを全くしないグループで、どれだけ感染するかを調べる必要があります。

当然その調査期間は、長くなり感染症の流行している間ずっと続ける必要があるかもしれません。

そしてマスクをしたグループとしなかったグループにおいての感染者数を統計処理する必要がありますが、現実この様な調査は不可能で実施されていないことから、マスクによる感染予防のエビデンスはないというわけです。

最後にマスクの確かな効果についてまとめてみますと、

1.症状の無い人は、マスクはしないよりはした方がマシ程度に考えるべき。

2.マスクが無いならば、あまり気にせず、手洗いや睡眠をしっかりとって体調を整えておくなどの対策に力を入れるべき。

3.持病があったり、高齢であったり、またウイルスに感染しやすくなっている妊婦であったり、感染症のハイリスクとされる人たちは、マスクをつけるほうがつけないよりまし。

4.いくらマスクを使用しても正しく付けられていないマスクは感染予防の意味がまったくないことを理解しておく。

※マスクをしていても鼻が出ていたり、あごにかけているだけだったりと間違った使い方をしていると予防効果は無い※

5.以上のことからして現在、マスクが品薄と報じられていますが、パニックになる必要はありません。


2020年2月3日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-4.新型コロナウイルスの実質感染者とは-

今回武漢からの帰国者の1.4%が新型コロナウイルスに感染していたことになり、このことは武漢の人口が1108万人ですから、単純計算で武漢では10万人くらいの感染者がいるということになります。

ランセットに発表された論文によりますと武漢市での感染者数は75815人と推定しています。

Nowcasting and forecasting the potential domestic and international spread of the 2019-nCoV outbreak originating in Wuhan, China: a modelling study

ランセット(The LANCET)2020年1月31日DOI:https ://doi.org/10.1016/S0140-6736(20) 30260-9

今後感染者は、減ることはなく更に増加すること多くの専門家は分析しています。

こと更に怖がらず正しい知識を身に着けて感染予防をするしか現時点では対策はないようです。


【感染予防対策】

最も大事なことは手洗いです(アルコール消毒を含む)、外出して帰宅した際には念入りに手洗いをする必要があります。

手洗いは、流水で洗うか、アルコール消毒薬で手を消毒するかですが、家庭なら石鹸で洗い流水で念入りにすすげばよいでしょう。

手またなどは70%消毒用アルコールでの消毒、環境表面をふく場合は同様にアルコール消毒薬や次0.1%亜塩素酸ナトリウム(台所用亜塩素酸ナトリウムを薄める)などが有効とされています。

【マスクは感染対策に有用か】

感染予防にマスク着用を勧める人がいますが、症状のない人が予防的にマスクを着用することに確かなエビデンス(証拠・根拠)が少ないというのが国内外の専門家の認識です。

マスクを着用しても鼻が出ていたり、皮膚に密着していなかったりすると感染を防ぐことはできません。

更にマスクの着脱で触った手が最も汚れているので、その手で色々な環境表面を触ると、そこで2次感染が起きます。

多くの人たちは、マスクをして守られていると思っている人が多い様ですが、効果は限定的であることを理解して使用すべきです。

またマスクは飛沫を飛ばさないための「咳エチケット」と考えておくことです。

感染対策に粒子状物質の吸入防止に用いるN95マスクは、本来製造・建設現場のマスクとして使用されるマスクです、が結核・SARSなどの感染症防止に効果を上げたことからこのマスクを感染予防に使用することをすすめる人がいますが息苦しく気分が悪くなることから一般の人が使用することは適切ではありません。

医療専門家の間で一般的にN95マスクを着用するのは、はしかなどの空気感染するウイルスに対応する医師だけです。

2020年1月28日火曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-3.新型コロナウイルス感染症についての速報(2)新型コロナウイルスの感染力とは-

便宜上感染症の人から人へのうつりやすさを「感染力」とします。

感染症の人への感染のやすさの指標として、"基本再生産数"がよく使われます。

【基本再生産数とは?】

基本再生産数(R0; R naught)とは、簡単に言うと「1人の感染症患者から何人に感染させるか」を表す数です。

正確には1人の感染者が生み出す2次感染者数の平均値のことを指し、感染症別の感染性の指標として利用されています。

これまでの患者の発生状況などから、推測して新型コロナウイルスの基本再生産数は1.4~2.5と暫定的に見積もられています。

1人の感染者からだいたい2,3人に感染するということになります。

その他の感染症の"基本再生産数"

インフルエンザは、1.4~4(1人のインフルエンザ患者から1人、最大4人に感染させる)

SARSは2~5人(1人のSARS患者から2人、最大4ー5人に感染させる)

麻しん(はしか)は、12~18人(1人の麻しん患者から12人、最大18人に感染させる)

風疹は、6~7人1人の風疹患者から6人、最大7人に感染させる)

以上のことからして、現時点では新型コロナウイルス感染症はSARSよりは広がりにくい性質を持っている考えられています。

しかし、今後この新型コロナウイルスが変異して、今以上に感染力が強くなる可能性も否定できていません。

※世界保健機関(WHO)や各国の疾病予防管理センターなどから収集した情報をもとに、米国ジョンズ・ホプキンス大学は、新型コロナウイルスの感染状況を地図上で可視化できるWEBページを公開していますので紹介しておきます※





2020年1月22日水曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-2.新型コロナウイルス感染症についての速報(1)-

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症患者増加に伴い急遽"中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について"の現状をお知らせしておきます。

【発見日時】

2020年1月7日、新型コロナウイルスと特定されています。

【命名】

初期段階では原因不明であるため、「原因不明の肺炎」と呼ばれていましたが、2020年1月7日、香港の保健機関は「重度の新型感染性病原体呼吸器疾患」と命名しています。

世界保健機関(WHO)は、このウイルスを正式に「2019年の新型コロナウイルス」(2019-nCoV)と命名。

中国側は「新型コロナウイルスの感染による肺炎」と呼んでいます。

【最初の報告】

新型肺炎の最初の発症報告は2019年12月12日で、病原体の候補として新型のコロナウィルスが検出されたのが2020年1月9日。

魚市場の関係者が感染したという事実以外、まだ潜伏期間や感染経路は十分に解明されておらず、そんな中、春節を迎えて大量の帰省客が武漢を訪れ、そのまま中国各地に戻っていくこと、さらにその後日本をはじめとする海外へ渡航することを考えると、場合によってはそれがパンデミックにつながる可能性が危惧されていました。

【中国政府の対応】

武漢市当局によると、新たに発症したのは25~89歳の男女136人、1月18日までに発症した計198人の患者のうち、3人が死亡、35人が重症で、25人が退院したと発表していますが、本当の患者数を発表しているとは考えにくいです。

以前から中国は自国(中国共産党)のためにならないことは、隠したり、偽ったりする傾向があることから今回の新型コロナウイルス感染患者数の発表も信頼できません。

現にイギリスインペリアル・カレッジ・ロンドンのチームは、2020年1月19日中国の湖北省武漢市で集団発生している新型コロナウイルスによる肺炎患者は公式発表よりはるかに多く、1700人を超えている可能性があるとの研究結果を発表しています。

2020年1月21日に習近平国家主席が対応を支持すると、国民は感染を期にし始め、行政当局も感染者が増加していると報告し始めています。

前回のSARSの時も中国政府の対応が遅く感染が広まった経緯があります。

【人から人への感染は】

この新型コロナウイルスは人から人へ感染することが明らかになっています。

そして人から人に感染するため、帰省や旅行で人の往来が増える春節(旧正月)の連休(24~30日)に、さらに発症者が増えるとの見通しも示しています。

【感染予防対策はどうすればよいのか】

この新型コロナウルスは、SARSウイルスやインフルエンザウイルスよりも感染力が弱く、重症化しにくいと言われていますが、手洗い・マスク着用・うがいなどをして予防するしかありません。

間違った情報などに振り回されることなく、日本国内で発表される報道をしっかりと読み正しく対応することです。

※信頼できる情報が入り次第逐次紹介します※

2020年1月19日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-1.コロナウイルスについて-

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について解説していきますが、第一回目としてはコロナウイルスについての解説です。

【コロナウイルスとは】

風邪などの呼吸器感染症を起こすウイルスで、表面に花弁状の突起があり、太陽のコロナのように見えることからコロナウイルスと呼ばれています。

飛沫感染や接触感染で伝播し、一般的には軽度から中等度の呼吸器症状を起こすが、SARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスのように重症化するものもあります。

コロナウイルスは人や動物の間で広く感染症を引き起こすウイルスで、人に感染症を引き起こすものはこれまで6種類が知られています。

風邪を引き起こす4種類のウイルスと、動物から感染する重症肺炎ウイルス2種類が知られていましたが、2020年1月中国武漢で新種のコロナウイルスが発見されています。

風邪を引き起こす4種類のコロナウイルス(HCoV:Human Coronavirus)は、、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1です。

風邪の10~15%(流行期35%)はこれら4種のコロナウイルスを原因とする事が多く、冬季に流行のピークが見られ、ほとんどの子供は6歳までに感染を経験すると言われています。

多くの感染者は軽症ですが、中には高熱を引き起こす場合もあります。

特に深刻な呼吸器疾患を引き起こすことがあるSARS-CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)とMERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)以外は、感染しても通常の風邪などの重度でない症状を起こすだけです。

次回は重症急性呼吸器症候群(SARS:Severe acute respiratory syndrome)
について解説していきたいと思います。


2020年1月12日日曜日

正しく知ろうインフルエンザ-3.抗インフルエンザウイルス薬-

2020年1月現在、抗インフルエンザウイルス薬は、内服薬としてタミフル・ゾフルーザ、吸入薬としてはイナビル・リレンザなどが使用されています。

2018年のインフルエンザ流行シーズン、一度の内服で効果が得られるとのことで、ゾフルーザが話題になりましたが、このゾフルーザが効かない耐性ウイルスの出現が問題になっています。

【インフルエンザの治療開始時期と方法】

抗インフルエンザウイルス薬は、患者の状態や年齢などに合わせて選択されます。

また、インフルエンザ治療薬とは別の薬が処方される場合もあります。

これは肺炎や気管支炎を合併したり、重症化させたりしないための抗生物質、熱を下げる解熱剤、その他、鼻水や咳がある場合に症状を抑えるための薬などでず、これらの薬はインフルエンザウイルスに直接作用はしませんが、症状を改善させたり、合併症防止のために必要に応じて処方されます。

インフルエンザの時の発熱に対しては、医師が解熱剤を必要と判断した場合はアセトアミノフェンが処方されます。

解熱剤には多くの種類がありますが、誤った使い方をすると悪化の恐れや脳炎発症のリスクがあります。

※必ず受診して医師の指示のもとに解熱剤を使用する必要があります、素人判断で解熱剤を使用してはいけません※

市販薬もしくは処方薬であっても以前に他の病気に対して処方された解熱鎮痛薬などは、絶対に服用しないことです。

本来、抗インフルエンザ薬を飲まなくても多くの場合は安静にしていれば数日で症状は軽快に向かいます。

1歳以下の子供は抗インフルエンザ薬ではなく、漢方薬で対応することもあるようです。

【インフルエンザ治療薬の効果】

インフルエンザ治療薬は、発症から48時間以内に服用を開始すると、発熱などの症状が1~2日間短くなりますが、症状が出てから時間がたって服用し始めても(発症後48時間以降)十分な効果が得られません。

【インフルエンザ治療中の注意点】

インフルエンザになると急に走り出す・部屋から飛び出そうとする・ウロウロするなどの異常行動がみられる場合があります。

過去にこうした異常行動が抗インフルエンザウイルス薬の服用後に起こったと報告があったため、これらの異常行動は薬の服用が原因という見解もありましたが、 これまでの調査結果などからは、抗インフルエンザ薬と異常行動との因果関係は明らかにはなっていません。

むしろ、インフルエンザウイルスに感染すると、抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無やその種類に関係なく、同じような異常行動を起こすことが報告されています。

インフルエンザ罹患時には、薬の服用の有無に関わらず異常行動に対しての注意が必要となります。

事故につながるような異常行動は発熱から2日以内に現れることが多いと報告されています。

異常行動による事故を防ぐために、発熱から数えて少なくとも2日間は大人が見守り、患者を一人にしないように気を配る必要があります。

こうした事故の割合は、就学以降~未成年の男子で多くなっていますので特に注意が必要となります。

2020年1月2日木曜日

正しく知ろうインフルエンザ-2.インフルエンザ検査の正しい受け方-

【インフルエンザ検査を受けるタイミング】

インフルエンザの治療薬(抗インフルエンザ薬)は、発症から48時間以内に投与(内服か吸入)しないと効果がないことから、通常は受診したその場で感染の判定ができる「迅速抗原検出キット」を使用して検査を行います。

一般的に検査キットの陽性率は、発症後 0~12 時間で70~80%、13~24 時間で 70~90%と言われていますので、理論的には12時間以上経過すればキットで検知できるウイルス量が得られることから陽性となる確率は高くなります。

また抗インフルエンザウイルス薬の投与が発症から 48時間以内であることを考慮すると、検査を受けるタイミングは発症後(発熱後)12時間から48時間の間が最適と考えられています。

【受けるタイミングを間違うとどうなるのか】

検査を受けるのが早すぎるとインフルエンザウイルスの量がまだ少なく、陰性となり診断がつかない場合もあります。

インフルエンザに感染すると体内でウイルスが増殖しますが、そのピークは発症から48時間です。

治療薬はウイルスの増殖を抑える薬なので、48時間以内に投与しないと効果がないのはそのためです。

発症から12時間以上経過すれば必ずインフルエンザなら必ず陽性になるということでもありませんし、逆に12時間以内ならインフルエンザでも全く検査が陽性にならないということでもありません。

可能性として12時間以内でも陽性になることはいくらでもあります。

※従って検査結果だけで判断するのではなく、患者の状態を観察して判断する必要があります※

【迅速診断キットとは】

綿棒のようなものでのどや鼻の奥をこすって組織を採取し、そこにインフルエンザウイルスがいるかどうかで陰性・陽性を判断する非常にシンプルな検査法です。

判定に要する時間も15分(キットによって判定時間は3~15分以内)もかからずとても使い勝手がよく、受ける患者さんのほうも待ち時間も少なくて済むというメリットがあります。

日本国内でも血液の鉄人の知る限り20種類の迅速診断キットが販売されており、ほとんどのキットがはインフルエンザウイルスのタイプもA型かB型かの判断ができます。

【その他のインフルエンザ検査法】

1. 血清抗体検査

血液で調べる血清抗体検査があります。

この検査はインフルエンザが発症して1週間以内の時期の血液と、治った時期の計2回、採血を行い、インフルエンザウイルスに対する抗体ができているかどうか検査を行うものですが、検査結果が分かるまでには、約2週間かかることが多いことから、治療のタイミングを逃してしまうことからして現在、この検査はほとんど行われていません。

2. ウイルス分離検査

ウイルス分離検査と呼ばれる方法です。

この検査は発症してから約72時間以内を目安に、喉や鼻の奥などを拭った液からウイルスだけを分離して検査を行う方法です。

ウイルスの種類などが詳しく分かり、感度もとても高いのですが、高度な技術を要し、ごく限られた機関でしか行われていないので一般的には行われませんし、結果が出るまでには1週間前後かかり、やはり治療のタイミングを逃すことになります。

3. PCRを用いた検査

PCRを用いたインフルエンザの検査がありますが、これは鼻やのどの奥からとった拭い液を検体として、インフルエンザの遺伝子を検出する方法です。

遺伝子レベルでウイルスを検出するので、非常に正確で細かいウイルスの型や構造までわかり、たとえば新型ウイルスであるかどうかなどの判定まで行えます。

しかし、この検査も高度な技術を要するので、公的な検査機関などで行われることが多く、市中病院やクリニックなどで行われることはほとんどありません。

【検査費用】

一般的なインフルエンザ検査にかかる費用は、診察料に薬代も含めて4,000~5,000円程度(3割負担の場合)になることが多いです。

【48時間以内の検査、治療開始が重要とされる理由】

インフルエンザは、急激な発熱、全身倦怠感(だるさ)、筋肉痛、関節痛などのつらい症状だけでなく、重症化して肺炎や急性脳症などの合併症を起こす危険があることと、感染力が強く周囲の人に感染させやすい特徴もあります。

このため、抗インフルエンザウイルス薬の服用で治療を迅速に行い、なるべく軽症で済ませ、さらに周囲への影響も少なくすることが大切なのです。

インフルエンザウイルスは発症して48時間までに増殖し、症状が悪化しますが、発症後48時間までに抗インフルエンザウイルス薬を服用することでウイルスの増殖が抑えられ、症状が重くなるのを防いだり、周りへの感染の影響も少なくすることができるのです。

発症後48時間以降では、抗インフルエンザウイルス薬を服用しても、増殖したウイルスの勢いを抑えることはできなくなってしまいます。


2020年1月1日水曜日

新年のご挨拶

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

旧年中は当サイトをご利用いただきありがとうございました。

本年も皆様方のお役に立てるよう頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。

血液の鉄人