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2023年11月26日日曜日

梅毒速報-3.先天性梅毒が増加中-

梅毒トレポネーマに感染した妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」と診断された子どもの数が、2023年10月4日の時点で32人と、現在の形で統計を取り始めてから最も多くなっていることが国立感染症研究所のまとめで分かりました。


先天梅毒の子ども 32人と過去最多に!!(2023年10月4日時点)


先天性梅毒は、梅毒トレポネーマに感染して治療を受けなかった妊婦から胎児に感染し、皮膚の異常や難聴といった症状が出たり、最悪の場合死産につながったりします。


これは現在の形で統計を取り始めてから最も多かった2019年1年間での23人をすでに上回り、これまでで最も多くなっています。


ここ数年来梅毒患者が著しく増加していることから、当然のことながら若い女性の患者がも増加した結果先天性梅毒も増加したことになります。


先天梅毒の子どもの報告も今後、さらに増える可能性があると危惧されています。


過去に梅毒トレポネーマに感染して気付かないまま治療を受けずに妊娠すると、先天梅毒につながるリスクがより高く、そのような人が年々増えていると推測されていますい。


妊婦健診で気付いて治療しても先天梅毒になる可能性があり、妊娠前に治療することが大切であることから、梅毒を疑う症状や感染リスクのある性行為をしてしまった場合は、必ず男女ともに検査を受ける必要があります。


2023年11月米疾病対策センター(CDC)は、米国で先天梅毒の新生児の数が「深刻な水準」に達しているとする報告書を発表しています。


CDCによると、先天梅毒の新生児はここ数年の間に急増し、2021年には過去27年で最も多い2000件以上が報告された。2017年と比べ、3倍以上の数となっています。


【参考文献】

米国での先天性梅毒

2023年11月19日日曜日

医学豆知識-19.脂質異常症の検査のLH比とは-

【 LH比とは】


血液検査におけるコレステロールのバランスを示す指標で、LDLコレステロール値をHDLコレステロール値で割った数値で、血管の状態を評価するための指標としても用いられます。


【L/H比の基準値】


血液検査におけるL/H比の基準値は、1.5以下です(日本人間ドック学会の数値をもとに計算)。


【L/H比は何を判断するために実施するのか】


LH比は、正反対の働きをするLDLコレステロールとHDLコレステロールの比率を示すため、動脈硬化のリスクを評価する指標として用いられます。


LH比が1.5以下であれば、血管の状態は良好で動脈硬化のリスクが低いと考えられ、一方LH比が2.0を超えると、血管内壁にコレステロールが蓄積して動脈硬化が進んでいる可能性があり注意が必要となります。


LH比は、血液検査で簡単に調べることができますので、定期的に血液検査を受けることで、自分のLH比を把握し、動脈硬化のリスクを早期に発見・予防することが大切です。


具体的には、次の方法でLH比を計算することができます。


LH比 = LDLコレステロール値 ÷ HDLコレステロール値


例えば、LDLコレステロール値が130mg/dL、HDLコレステロール値が50mg/dLの場合、LH比は130÷50=2.6となります。


【善玉コレステロール・悪玉コレステロールとは】


LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれ、血管壁に溜まって動脈硬化を引き起こす原因となり、一方HDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれ、血管壁に溜まったLDLコレステロールを回収して肝臓に運ぶ働きがあります。


【基準値】


HDL(善玉)コレステロールは男性40~80、女性40~90が正常範囲、LDL(悪玉)コレステロールは70~139が基準値(正常範囲)です


【 L/H比を改善する方法】


悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすことの両方が大切です。


【LH比を改善するには】


1.食生活の改善:コレステロールの多い食品を控える、野菜や海藻類を積極的に摂る


2.運動:適度な運動を継続する


3.禁煙・節酒:喫煙や過度の飲酒は動脈硬化を進行させる


【追加事項】


高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある場合は、これらの病気の治療をしっかりと行うことによりLH比の改善が可能となります。




2023年11月12日日曜日

医学豆知識-18.脂質異常症とは-

脂質異常症の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は、220万5,000人で、性別では男性63万9,000人、女性156万5,000人で、女性は男性の2.4倍も多い結果となっています。

【脂質異常症とは】

脂質異常症の一種で、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が基準値より高い状態を指します。

脂質異常症は以前、高脂血症と呼ばれていましたが、コレステロールの中でも善玉のHDLコレステロール値については高いほうがいいことが判明し、現在は多くの病院で脂質異常症という名称になっています。

【脂質異常症になるとどうなるのか】

LDLコレステロールが過剰になると、血管壁に沈着してプラークと呼ばれる塊を形成し、動脈硬化を引き起こす可能性があります。

【脂質異常症の症状は】

脂質異常症の症状は、ほとんどないことから、健康診断などで指摘されるまで自覚症状がないまま進行してしまうこともあります。

【脂質異常症の治療は】

脂質異常症の治療は、食事療法と運動療法が基本となります。

【脂質異常症を放置すると】

脂質異常症を放置すると、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な心血管疾患を発症するリスクが高まることから早期発見と早期治療が重要となります。

【脂質異常症の予防】

以下のことに気をつけましょう。

1.バランスの良い食事と適度な運動を心がける

2.肥満の予防

3.喫煙の禁煙

4.定期的に健康診断を受ける

【コレステロールの基準値】

HDL(善玉)コレステロールは男性40~80mg/dL、女性40~90mg/dLが正常範囲、LDL(悪玉)コレステロールは70~139mg/dLが正常範囲です。

2023年11月5日日曜日

単純ヘルペスウイルス抗原検査キットについて

単純ヘルペスは、主にヘルペスウイルス(Herpes Simplex Virus:HSV)によって引き起こされる感染症で、HSVにはHSV-1とHSV-2の2つのタイプがあり、それぞれ異なる症状を引き起こすことがあります。


HSV-1は通常、口唇ヘルペスとして知られる感染症を引き起こし、唇や口の周りに発症することが一般的でこれは一般的に軽度で、発症後に症状が消失することがあります。


HSV-1は主に接触によって広がり、感染拡大を防ぐために注意が必要です。


一方HSV-2は通常、性器ヘルペスとして知られ、性器やその周りに発症することが一般的で、性的接触を通じて広がることがよくあります。


性器ヘルペスは再発することがあり、症状が治まることがありますが、完全に治療することは難しいことがあります。


※※最近ではHSV-1は口唇ヘルペス、HSV-2は性器ヘルペスとの区別が出来なくなってきています※※


単純ヘルペスの症状には、発疹、水疱、かゆみ、痛みなどが含まれることがあります。


治療法としては、抗ウイルス薬が一般的に使用され、感染症の症状を緩和するのに役立ちます。


感染拡大を防ぐためには、適切な衛生対策と性的行動の注意が重要となります。



【単純ヘルペスウイルス抗原検査の種類】


1.ツァンク試験(Tzanck test)


水疱性の病変から塗抹標本を作ってギムザ染色で細胞診を行う検査で、ツァンク細胞(多核巨細胞)を探すために、小水疱を擦過して採取して顕微鏡で検鏡します。


この検査は、単純ヘルペス感染症と水痘・帯状疱疹ウイルスの区別ができません。


2.蛍光抗体法


単純ヘルペスウイルス(HSV-1/-2)に対するFITC((Fluorescein isothiocyanate))標識モノクローナル抗体を使って染色し、蛍光顕微鏡で蛍光を調べる検査ですが、感度は70%とあまり高くない。


3.血清学的検査


血液中のHSVに対する抗体を調べる検査ですが、陽性となっても過去の感染によるものか、現在感染しているのかの区別が付きません。


4.補体結合検査


補体がHSVの抗原抗体複合体に結合して、溶血素と共同して溶血反応('赤血球が壊れる)を調べる検査ですが、過去の感染と現在の感染の区別が付きません。


5.エライザ検査


HSVエライザ検査は、ヘルペスウイルスの感染を検出するための検査方法の一つで、この検査は、血清中の抗体(IgGやIgM)を測定し、感染の有無や感染の状態を評価するのに使用されます


HSVに感染したかどうか、感染が初感染か再感染か、またウイルスのタイプ(HSV-1またはHSV-2)を特定するのに役立ちます。


6.PCR検査


HSVをPCR(核酸増幅検査)で調べる方法です。


7.単純ヘルペスウイルス抗原検査キット


イムノクロマト法を利用してHSVの抗原調べる検査キットで『デルマクイックHSV』です。


『デルマクイックHSV』は、HSV感染症患者の検体採取部位を問わない皮膚擦過物[皮疹(水疱・膿疱)の内容物又はびらん・潰瘍のぬぐい液]を検体とするHSV抗原の迅速検出キットを開発しましたです


HSVキット「デルマクイックHSV」は、皮疹(水疱・膿疱)の内容物又はびらん・潰瘍のぬぐい液を検体とし、1試薬1ステップの検体抽出操作で、HSV抗原を検出することができます。


検査時間は5~10分で終わります。


検査の感度(PCRと比較)


・陽性一致率 78.8%


・陰性一致率 99.2%


・全体一致率 88.4%


※PCR検査と比べて陽性一致率はやや低いですが遜色のない検査キットで、今後臨床現場でその威力を発揮するものと期待されています※