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2011年11月30日水曜日

感染症検査-1.B型肝炎検査⑦HBV検査のまとめ-


⑦HBV検査のまとめ

各種HBV検査のまとめとして、検査結果の解釈を簡潔に解説します。

1.HBs抗原 陽性

HBVに感染していることを意味します。

2.HBs抗体 陽性

HBV感染の既往があり、その結果身体の中にHBV感染防止防御として働く中和抗体が出来ているので、以後HBVが身体の中で活動することも、第三者にも感染させることがありません。

3.HBc抗体 陽性

HBV感染の既往があったことを意味し、とくにHBc抗体の著増は現在HBVに感染していることを意味します。

4.IgM型HBc抗体 陽性

低抗体価の場合は、B型急性肝炎の回復期、あるいはB型慢性肝炎の増悪期を意味します。
高抗体価は、B型急性肝炎の発症期を意味します。

5.HBe抗原 陽性

血液中のHBV濃度が高いとされ、感染力が高いことを意味します。

6.HBe抗体 陽性

感染性は低いか、あるいはほとんど無く、HBs抗原陽性でHBe抗体陽性の場合は、血中にはHBVがほとんど認められず、感染性は低いことを意味します。

7.HBV-DNAとHBV関連DNAポリメラーゼ 検出

HBV増殖のマーカーで、血液の中のHBV量を示します。
この検査で血液中のHBVの量を調べて、抗ウイルス剤投与後の治療効果の指標とします。


2011年11月28日月曜日

感染症検査-1.B型肝炎検査⑥HBe抗原とHBe抗体検査-


⑥HBe抗原とHBe抗体検査

HBVに感染すると、血液中にHBV-DNAのほかに、体にとって異物となるHBV由来の蛋白質である抗原や、抗原を排除するために免疫機構によって作られた抗体が造られます。

HBVの抗原にはHBs、HBe、HBcの三種類があり、HBe抗原が陽性の場合、血液中にHBVが多量にあるか、またはHBVが増殖中であることを意味します。

その為に、HBe抗原が陽性の場合は第三者へ感染させやすい状態であるため注意が必要となります。

更にHBe抗体が陽性の場合は、HBVの量や活動性が低下しており、他者への感染力は弱いことを意味します。

基準値

HBe抗原 陰  性

HBe抗体 陰  性

異常値の解釈としては、

1.HBe抗原陽性の場合:HBVの活動性が高く、体内でHBVが増殖していることから、血液中にHBV量が多い状態で、感染力が強い。

2.HBe抗体陽性の場合:HBVの活動が低下して、HBVの量が減少していることを意味しますが、HBV無症候性HBVキャリア、B型慢性肝炎の非活動期の可能性もあります。

2011年11月27日日曜日

感染症検査ー1.B型肝炎検査-⑤HBV-DNA検査-


⑤HBV-DNA検査

HBVは、DNA遺伝子をもつDNAウイルスで、HBVに感染してるか否かを血液中のHBV量を直接検出する方法がHBV-DNAの測定です。

測定方法にはいくつかの種類がありますが、現在行われている検査は、HBV-DNA 定量法《TaqManPCR 法》です。

この検査方法は、今までの核酸増幅検査よりも感度がよく、特に定量下限が1.8Log コピー/mL まで拡大したことでこれまで以上に抗ウイルス療法薬の治療効果の判定に有用となります。

今までの検査法と検出限界を比較しますと、

  TaqManPCR 法       1.8 ~ 8.8Log コピー/mL
  PCR 法            2.6 ~ 7.6Log コピー/mL
  TMA 法            3.7 ~ 8.7 LGE/mL
  HBV DNA ポリメラーゼ    30 cpm ~(6Log コピー/mL~)

この検査法の感度がいかに優れているか分かります。

 
基準値外の場合は、B型肝炎、無症候性HBVキャリアである可能性が考えられます。

この検査は、HBV感染の判断をするより、HBV感染者の治療によって血液中のHBVの量そのものを調べるのに用いられています。

即ち、抗ウイルス剤の治療効果や投与を終了する時期の判断などに利用されています。

2011年11月23日水曜日

感染症検査ー1.B型肝炎検査-③HBc抗体検査-


③HBc抗体検査

HBc抗体は、HBV由来の蛋白HBc抗原に対して身体が免疫反応をして作られた物質で、感染の比較的早期から血中に出現し、ほぼ生涯にわたって血液中に認められます。



基準値 陰性

陽性の場合は、以下の二通りの場合があります。

1.高力価の場合

HBV感染の比較的早期から血中に出現し、ほぼ生涯にわたって血液中に認められます。

2.低力価の場合

HBVに過去に感染したか、一過性感染の場合が疑われます。

※CLIA法では10.0以上を高力価、以下を低力価※

HBs抗原陰性でHBc抗体陽性の場合は、HBs抗体が認められなくても、過去にHBVに感染したと解釈します。

その理由としては、身体の中にHBVが潜伏感染していて、健常者では臨床上全く問題は発生しませんが、何らかの原因により免疫能が低下するとHBVが再増殖し、B型肝炎が再燃することがあります。

従って、HBc抗体の検査はHBVの感染の判断をする上で極めて有用で、HBVキャリアではHBc抗体量は非常に高値を示します。

HBs抗原が陰性でHBs抗体は陽性であっても、HBc抗体陽性の場合には血中あるいは肝組織中にごく微量のHBVが存在していると解釈します。

2011年11月21日月曜日

感染症検査ー1.B型肝炎検査-②HBs抗体検査-


②HBs抗体検査

HBs抗原に対する中和抗体(感染防止抗体)で、これが血液中にあれば、過去にHBVに感染したことがあることを意味します。

HBVに感染しますと、急性肝炎を発病する人もあれば、ほとんど症状を起こさずにHBs抗体が出来ている人もいます。

HBVに感染して体内にHBs抗体が出来れば、体内のHBVは無毒化された事になり、以後肝硬変や肝がんになる心配はなくなります。

HBs抗体が陽性であれば、以後HBVに感染する心配はありません。

検査を受ける時期としては、HBVの感染がわかった時点で、定期的(検査をする時期は人それぞれによって異なることから専門医が総合的に判断します)に検査を続けていきます。

検査法には、化学発光免疫法(CLIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、電気化学発行免疫測定法(ECLIA)、酵素免疫測定法(EIA)、ラテックス凝集法(LA)、イムノクロマト法(IC)、凝集法(赤血球およびゼラチン)がありますが、これらの検査法によっての大きな差はありません。

2011年11月20日日曜日

感染症検査ー1.B型肝炎検査-①HBs抗原検査-


1.B型肝炎検査(HBV)-①HBs抗原検査-

HBs抗原はB型肝炎ウイルスのコア(芯)を覆っているサーフィス(殻)の部分
で、血液中にこれが存在すれば(陽性)であればHBVに感染していることになります。

しかし、HBVに感染していても、その90%は肝障害がない無症候性キャリアで、残りの10%が肝臓を障害されて慢性肝炎や肝硬変、肝ガンになっています。

HBs抗原を持っているキャリアは、日本人の2~3%を占めるとされています。

検査法としては、エライサ法、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)及びIC法による迅速検査があります。

●検査を受ける時期●

HBs抗原検査法の感度によって異なりますが、外国の文献によれば感染後約59日経てばHBs抗原検査は陽性となると言われていますが、チンパンジーを使った実験では、HBV量が極めて少ない血清をチンパンジーに接種した場合、HBs抗原が検出できるようになるまでに約3ヶ月かかったと記録されていることからして、3ケ月後に受けることが推奨されています。

近年、性行為に伴うHBV感染が拡大する傾向にあり、これまでの日本ではあまり見られなかったジェノタイプAのHBV感染が若い年齢層を中心に広がりつつあります。

このジェノタイプAのHBVに感染した人は、その10%前後がキヤリア化することから、専門家の間では危惧されています。

HBVもコンドームの正しい使用で感染予防が可能となりますから、コンドームを正しく使用して感染予防対策を剃る必要があります。

性行為によるHBVの感染を調べるHBs抗原検査は、行為から3ケ月が経過してから受ける必要があります。