2024年4月に世界保健機関(WHO)が先日発表した報告書によりますと、日本だけでなく世界的に性感染症が急増していると指摘しています。
梅毒、淋病、クラミジア、トリコモナスの4種類の性感染症に、世界で毎日約100万人が新たに感染していて、更に悪いことに抗生物質に耐性を持つ、つまり治療薬の効かない淋菌も増加しているという。
この報告書を読み解いてみますと、
1.15歳以上への性感染症が依然増加傾向にある
世界中で毎日、100万人以上の15歳から49歳の人々が梅毒、淋病、クラミジア、トリコモナスの4つの感染症に新規感染していて特に梅毒の新規感染症例が急増している。
この年齢層における梅毒の新規感染者は2022年に800万人に到達(20年から90万人増加)、梅毒関連の死亡者数は23万人であった。
最も増加したのは、南北アメリカとアフリカだった。
アメリカにおける感染状況は、世界的な傾向を映し出していると指摘され、アメリカ疾病対策センター(CDC)が今年初めに発表した報告書によると、2021年から2022年にかけて梅毒の総感染者数は17%以上増加し、20万7255人に到達し、これは1950年以来最大の感染者数を記録した。
また欧州疾病対策センター(ECDC)が3月に発表した最新の年次データ報告によると、2022年に欧州で性感染症が急増し、淋病感染者は前年比48%増、梅毒感染者は34%増、クラミジア感染者は16%増と危機的状況となっています。
こうした状況を受け、一部の国はすでに種々の感染対策対策を導入しています。
2.抗生物質が効かない淋菌が増加
抗生物質への耐性を持つ淋菌の増加も報告され2023年の時点で、淋菌の抗菌薬耐性サーベイランスが強化された87ヶ国のうち、9ヶ国が「治療の最終ライン」とされるセフトリアキソンに対する耐性レベルの上昇(5%から40%)を報告しています。
世界保健機関はこの状況を監視しており、感染拡大を抑えるために推奨治療法を更新しています。
【これらのことから】
1.性感染症は予防対策が重要ですから、コンドームの使用は感染リスクを低下させる効果がありますが、予防できない性感染症もあることを念頭に置く必要があります。
2.危険な行為をしてしまったときには必ず適切な時期に検査を受けて、早期治療を受けることが重要となります。