薬の種類は多くあり飲みにくい薬もあります。
そのことから最近では薬を砕いて服用する人が増加しています。
果たして薬を砕いて服用してもなんの問題もないのでしょうか?
結論から言いますと砕いて飲んではいけない薬は存在します。
【薬の種類】
腸溶錠や徐放錠、舌下錠など、表面がコーティングされている薬や、胃への刺激性がある薬など多種あります。
【砕いてはいけない薬の理由】
・腸溶錠:胃酸によって変化したり、胃を刺激するために、胃では溶けにくく腸で溶ける膜が施されていることから粉砕すると胃に負担がかかります。
・徐放錠:薬の成分がゆっくりと溶け出し、効果が長く続くように加工されていることから粉砕すると、一気に成分が吸収され、血液中の薬の濃度が上がりすぎてしまい危険です。
・舌下錠:口の粘膜から吸収されるように作られているので、粉砕して飲み込んでしまうと効果がありません。
※コーティング錠とは、錠剤の表面をフィルムや糖衣でコーティングした製剤で苦味や臭いのマスキング、光や湿気による安定性の向上、粉落ちの防止、体内での溶ける時間の調節などの効果があります。※
【砕いても良い薬】
口腔内崩壊錠(OD錠、チュアブル錠、 素錠)
・口腔内崩壊錠(OD錠)とは、口の中で唾液や少量の水で溶ける錠剤で水なしで服用でき、高齢者や嚥下機能が低下した患者、水分の摂取制限が必要な患者などに適しています。
・チュアブル錠とは、口の中で噛み砕いて服用する錠剤です
・素(裸)錠 :薬の成分を錠剤の形に圧縮し、表面は何も加工していないもの。
※苦味や臭いをマスクしているため、嚥下機能低下患者に粉砕し調剤することで、苦味 が強く服薬が難しくなる可能性がありますし、薬の有効成分がゆっくり溶け出すようにした製剤のために砕くとその効果が発揮できません。
近年錠剤の薬を飲みやすくするため砕いて粉にする「便利グッズ」として「お薬クラッシャー」があり、ネット上では数多くの製品が販売されていて、すべての薬が砕くと飲みやすなるような宣伝がされていますが、砕いてはいけない薬を砕いて服用すると効果減少したり、思わぬ副作用が起こることがあります。
確かに服用しにくい薬もあったり、錠剤を飲み込むのが苦手な人のほか、飲み込む力が衰えた高齢者や錠剤に慣れない子どもいることは事実ですが、あくまでも薬は副作用が起こりにくく、そして効果があるように服用する必要があります。
そのためにはそれぞれの薬の服用方法を厳守して服用する必要があります。
飲みやすくなるから何でもかんでも砕いて服用することはやめてください。