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2013年5月27日月曜日

尿検査-No.10 尿沈渣-

採尿した尿を5分間低速で遠心分離しますと、尿の液状成分と固形成分とが分離します。

下に沈んだ固形成分を顕微鏡で観察し、赤血球、白血球、尿酸結晶、細胞、細菌などが顕微鏡の一視野の中に幾らあるかを調べる検査が尿沈渣です。

【尿沈渣の目的】

尿沈渣の数の増加や有無を調べて、腎臓などの異常の診断や病状の経過観察を行います。
尿沈渣は、尿タンパク、尿糖、尿潜血などの定性検査で陽性となった場合に実施します。

【尿沈渣で何が分かる】

尿が腎臓でつくられ膀胱や尿路を通って排出される間には、それぞれの上皮細胞など剥がれ落ちて尿中に混入するものを調べることで、腎臓や尿路系の病気の種類や異常部位を推測することができます。

【基準値】

赤血球…1視野に1個以内

白血球…1視野に3個以内

上皮細胞…1視野に少数

円柱細胞…1視野に陰性

結晶成分…1視野に少量

【判 定】

健康人でも、赤血球やその他の固形物がごくわずかは見られますが、数が多い場合はどこにどのような異常があるを判断することができます。

赤血球や白血球が存在すれば出血があると考えられ、白血球が多い場合には炎症が起こっていると考えられます。

また、炎症があると上皮細胞は粘膜などをつくっている細胞剥がれ落ちて尿中に排泄されます。

尿細管に異常があると、腎臓の尿細管を鋳型にして出来た円柱細胞が尿中に排泄されます。

結晶は尿酸などの成分が多い場合に固まって尿中にできます。

【異常が見られた場合】


赤血球の増加:急性糸球体腎炎、腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎、腎腫瘍、腎結石など

白血球の増加:腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎など

円柱細胞の増加:慢性腎炎、糸球体腎炎、腎盂腎炎、ネフローゼ症候群など

上皮細胞の増加:膀胱炎、尿道炎など

結晶成分の増加:腎結石、急性肝炎、閉塞性黄疸、痛風など

細菌:腎・尿路系の細菌感染症など

赤血球や白血球は体調の変化などにより一時的に多くなることもありますから、正確な診断のためには必ず再検査を行ない、再び異常値が見られれば感染症を疑い、細菌培養検査で原因となっている菌を調べます。

その他の異常値では、おもに腎臓内科や泌尿器科で尿中成分の定量検査、尿素窒素、クレアチニン、電解質などの血液検査、超音波検査、X線CT検査、腎盂造影、腎生検などの詳しい検査を実施します。

また、結晶成分が多く肝炎や黄疸が疑われる場合は、肝機能検査やエコー検査を実施します。