血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2023年4月30日日曜日

サル痘についての再認識-4.流行国と非流行国でのサル痘患者の実態-

 従来から流行している地域と今回新たに流行が始まった非流行国でのサル痘患者の症状と感染経路は異なっています。


1.非流行国のサル痘患者は、発熱や悪寒の前駆症状がなく突然皮疹が現れ、皮疹が現れたあとから発熱・悪寒・リンパ腺の腫れなどが現れる場合と、皮疹が1~数カ所に出るのみで他の症状が現れない患者も存在します。


2.流行地でのサル痘の皮疹は、顔め手のひら・足の裏が好発部位ですが、非流行地の患者では性器・肛門周囲に皮疹が現れ、顔や手足にはあまり現れません。

更に流行地でのサル痘は、直腸炎を伴う直腸痛を訴える患者が多くいます。


3.この様に昔からアフリカで流行していたサル痘と症状が異なるのは、患者の多くがゲイや両性愛者で男性と性交交渉のある男性であり、感染経路がアフリカでの感染経路と異なる事によることによると考えられています。


4.また、非流行国の初期症状によっては梅毒やその他の性感染症と誤診される可能性が高いことも指摘されています。


上記のごとく従来のサル痘と新たに流行が始まったサル痘とは異なった所見が見られます。

2023年4月23日日曜日

サル痘についての再認識-3.サル痘は性感染症に分類されるのか-

 世界16カ国528例の報告では、症例のうち98%が男性とセックスをする男性(MSM)であり、年齢の中央値は38歳でした。


この528例のうち95%が性交渉に関連した接触による感染が原因と考えられており、これらの感染者は性交渉のパートナーが多いという特徴があります。


サル痘は性感染症には分類されていませんが、米国で報告された症例のほとんどに、何らかの性行為がかかわっていたとされています。


WHOは男性同士の性的接触による感染が拡大していることを受け、パートナーの数を減らして新しいパートナーとの性的関係を再考するよう呼びかけています。


WHOの報告によると、感染者のほぼ全員が男性で、かつ男性同士の性的接触が原因となっていたとされています。


しかしながら女性の患者も報告されています。


WHOによると、現在報告されている患者の大部分は男性ですが、小児や女性の感染も報告されています。


報道を見ると確かにMSMの人が多いようですが、それは発見当初のエイズがそうであったように、たまたま目立っているだけで、男女間のセックスでも感染すると考えるべきでしょう。


【参考資料】

『16カ国におけるヒトのサル痘ウイルス感染 — 2022年4月~6月』

2023年4月16日日曜日

サル痘についての再認識-2.サル痘ウイルスの種類-

サル痘ウイルスは、ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属のウイルスで、遺伝子的に異なる2種類が存在していてましたが最近では更にもう1種類存在していることが判明し3種類に分類することが提唱されています。


【1.コンゴ盆地型】


ザイールで流行しているもので、致死率は最大で15%前後です。


クレードⅠ(clade Ⅰ)と分類されています。


【2.西アフリカ型】


小児・妊婦・免疫不全者が感染すると重症化するリスクはありますが、感染者の殆どが軽症で回復して致死率は1%以下です。


クレードⅡa(clade Ⅱa)と分類されています。


【3.西アフリカ型と遺伝子的に少し異なるウイルス】


2017年からナイジェリアで流行していて致死率は、0~3.3%です。


クレードⅡb(clade Ⅱb)と分類されています。


※現在非流行国でヒトからヒトへの感染によって流行しているサル痘は、ナイジェリアで流行しているclade Ⅱbのサル痘ウイルスで、比較的軽症例が多いですが免疫不全者は重症化します※


※サル痘ウイルスは、アフリカのげっ歯類が宿主と考えられね人獣共通感染症であることからして、多くの動物に顕性感染することから根絶は困難と考えられています※


【げっ歯類とは】


物をかじるのに適した歯と顎を持ち、上顎・下顎の両方に伸び続ける2つの門歯と、犬歯を持たないことを特徴とする哺乳類で、ネズミ・ハムスター・ヤマアラシ・シマリス・モルモットなどですが、ウサギはげっ歯類ではありません※


2023年4月9日日曜日

サル痘についての再認識-1.日本国内でのサル痘増加!!-

サル痘についての正しい知識を得ていただくために再度サル痘について解説させていただきますのでお付き合いください。


2023年に入ってサル痘(エムポックス)の日本国内の感染者が急増し、2022年夏以降の累計で100人に迫っています。


サル痘は2022年、欧米を中心に拡大し世界保健機関によると、2023年4月4日までに86000人以上が感染、112人が死亡しています。


2022年夏のピーク時には1週間当たり7000人超の感染が確認されていましたが、最近では100人前後で推移しています。


現在報告されている患者の大部分は男性ですが、小児や女性の感染も報告されています。


日本国内では2022年7月25日に初めて感染者を確認ご、昨年は計8人でしたが、2023年1月以降、海外渡航歴がない人の感染が増加し、4月4日時点で昨年からの累計は95人と増加しています。


感染経路は、飛沫感染と接触感染です。


サル痘患者の発疹や水疱、かさぶたに触れる、それらの病変部と接触した物や衣類、寝具に触れる、感染者の唾液や体液に触れる等の行為で感染する可能性があります。 


サル痘の潜伏期間は6~13日(最大5~21日)とされており、潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などの症状が0~5日続き、発熱1~3日後に発疹が出現、発症から2~4週間で治癒するとされています。


発熱、発疹等、体調に異常がある場合には身近な医療機関に相談するとともに、手指消毒等の基本的な感染対策を行ってください。

2023年4月2日日曜日

2022年1年間のHIV感染者といきなりエイズの現状

 全国の保健所や医療機関などでHIVへの感染が確認された人は速報値で870人でした。


前の年より187人、率にして18%減少していて、過去20年で最も少なくなりました。


この減少は本当に減少しているのか、それとも新型コロナウイルス流行に伴う検査を受ける人の減少による減少なのかは分かっていません。


現在梅毒の大流行が続いていることからしても、HIV感染者数は本当に減少しているとは言い切れません。


また、2022年1年間に"いきなりエイズ"の数がおよそ30%も存在していました。


このことはHIVに感染するような危険な行為をして、検査を受けずに放置して体調が悪くなった時までHIV検査を受けない人が多いということになります。


当然のことながらHIV感染が判明したときにはすでにエイズを発症してしまっていたということになります。


HIVに感染するような行為をしてしまったときには、必ず適切な時期に検査を受けて"いきなりエイズ"だけは防ぐことです。


早期に発見して早期に治療することによりエイズの発症は抑えることが可能となっています。


一度エイズを発症してしまうと治療の効果が悪くなってしまいます。