ゼロ次予防は、もともと循環器疾患の予防についての研究から生まれた発想です。
※ゼロ次予防とは、"primordial prevention"と呼ばれる発想※
WHOは、2006年に発行した『WHOの標準疫学 第2版』の中で改めて「primordial prevention」に言及し、日本語版で「ゼロ次予防」と訳されたことから、現在に至るまで訳語として定着しています。
"ゼロ次予防"とは、一人ひとりの体質に合わせて生活習慣などの改善を行い、病気の予防を推進するという考え方で、自分が親から受け継いだ遺伝子などを調べて、「どのような病気になりやすい体質なのか」を知ることで、効果的に生活習慣を見直すことを目指しています。
感染予防など意識する以前に、オフィスや住まいを健康的に整備し、そもそも感染症にかかりにくい環境を作るという取り組みのことを言います。
それでは1次予防、2次予防とは何なんでしょうか?
・1次予防とは、病気固有の原因やリスクファクターを減らすことで病気の発生を防ぐこと(病気にならないように気をつける)。
・2次予防とは、病気の初期段階において罹患期間を短縮し罹患率を減らそうということ(病気がひどくなる前に見つける)。
・3次予防とは、近年では、病気の後期で合併症の数や影響を減らす3次予防も注目されていいます(かかってしまった病気の悪化を防ぐ)。
千葉大学予防医学センターは、イオンモールや竹中工務店と協力し、ゼロ次予防に着目して、建築物などで利用者を知らず知らずのうちに健康に導く仕組みについて研究をしていることを報告しています。
2007年に長浜市長と京都大学医学研究科長が一体となってゼロ次予防コホート事業を展開してます。
ゼロ次予防の具体例としては、
・タバコの値上げや喫煙所の撤去などが分かりやすい事例で、健康に悪影響を及ぼすタバコを吸える環境を無くすことで禁煙を促していることになります。
・飲食店等でのカロリー表示も、その表示から適切な食事量を心がけるよう促す意味で同様の位置づけと捉えられます。
新型コロナウイルスの空気感染を防ぐ観点からも、こうした知らないうちにウイルスを消毒する仕組み作りは求められるに違いない。
健康でいることを目指すのではなく、意識しなくても人々を健康的な状態に導くにはどうすればよいのか?
ゼロ次予防の考え方は様々な場面で重要性を増してくるものと考えられます。
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