血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2020年8月7日金曜日

ポピドンヨードのうがいで新型コロナウイルスの感染予防ができる!!??

ポビドンヨード(Povidone-iodine)は、ヨウ素の酸化作用を利用した抗微生物成分です。

ポピドンヨードは、イソジンのうがい薬の中に入っている成分です。

※うがい薬でおなじみのイソジン改め【明治うがい薬】にポビドンヨードが含まれています※

ポピドンヨードは中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)などの大流行を引き起こしたMERS-CoVやSARS-CoVなどのコロナウイルスを含む広範なウイルスに高い効果を持つことが示されていますが、新型コロナウイルスに効果があるかどうかは2020年8月6日時点ではわかっていません。

ポビドンヨードは強力な殺菌性ゆえに、のどや口の中にもともといる『正常な細菌』をも殺菌てしまい、さらには粘膜なども痛めてしまうから長期には使用できません。

一般的には、ポビドンヨードのうがい薬の安全性は高いと考えられますが、長期使用に関しては甲状腺機能を障害する可能性も指摘されています。

確かにポビドンヨードによるうがいをすると、一時的に唾液中の新型コロナウイルスの量が減るということは間違いはありません。

これは検出されにくくなっただけなのかもしれないのです。

なお、新型コロナウイルスに関して、『予防的・定期唾液の中の新型コロナが減っても、その後の新型コロナによる悪化が防がれるという研究結果ではありません。

単に検査の陽性率が下がったという結果なのです。

新型コロナウイルスにポビドンヨードの使用が有効かどうかは、今後の研究に待たなければなりません

ここで再認識しておく必要があることとして、ポビドンヨードでうがいを続けると、口の中の良い常在細菌を殺してしまい、これによって逆に免疫力が低下して感染しやすくなということです。

要するにポビドンヨードを使いすぎると逆に喉への感染が起こりやすくなります。

今回ポビドンヨードを使用することによりPCRの陽性率が低下したのは、唾液腺から喉に排泄された新型コロナウイルスが一時的に殺菌されたからと考えるべきです。

ポビドンヨードが新型コロナウイルスに感染を低下させたり、症状を軽くするとは考えられません。

今回の検討結果は、検討症例が少なすぎ確かに効果があるとは言い切れません。

過去にポビドンヨードによるうがいは、『風邪予防に有効ではない』という研究結果があります。

1)水でうがいをするグループ

2)ポビドンヨードでうがいをするグループ

3)特にケアをしないグループ(対照群)

に分けてその後60日間でどれくらい風邪をひくリスクが変わるかというテーマで検討されました。

すると、水のみでうがいをすると、うがいをしないグループよりも風邪にかかる確率が下がったものの、ポビドンヨードでうがいをするグループは効果が認められなかったという結果が得られています。

ビドンヨードは確かに、細菌やウイルスを殺菌する効果がありますが、水のみのうがいのほうがポビドンヨードのうがいよりも有効だったという興味深い結果が得られています。
【参考資料】

American journal of preventive medicine 2005; 29:302-7.

2020年8月4日の大阪府の吉村知事の発言の真意は、ポビドンヨードのうがい薬で新型コロナウイルスの感染予防効果があるのではなく、ポビドンヨードが唾液腺から口の中に排泄された新型コロナウイルスを殺菌作用で一時的に減少させたことからPCR検査の陰性率が高くなったと考えるべきでしょう。

現在ポピドンヨードが新型コロナウイルスを殺すという医学的な確証は得られていませんので、更に多くの人を対象に検討していく必要があります。

今回の吉村大阪府知事の記者会見で、ポピドンヨードのうがい薬を使用するかしないかは、各人の考え方によりますが、絶対的に効果があると信じて使い続けることはよくありません。

今回の吉村大阪府知事の記者会見を否定したり、文句を言う政治家が多くいますが、血液の鉄人としては、具体的な対策を一切打ち出さず、文句ばかり言う政治や医療関係者より"成果が出るか出ないかは分からないが、やってみるだけの価値はあると思っている"と主張する吉村知事の考え方に賛成です。

松井一郎大阪市長も「結果が出たのに、黙っていろと言うのか」と不快感を示されるのも当然と思います。

残念なことは吉村大阪府知事の記者会見の真意を汲み取れなかったことが多く存在しポピドンヨードのうがい薬の買い占めに走ったことです。

0 件のコメント:

コメントを投稿