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ラベル シリーズ緑内障の話ー第2回:「眼圧正常」は免罪符ではない。日本人の目が抱える宿命ー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2026年8月5日水曜日

シリーズ緑内障の話ー第2回:「眼圧正常」は免罪符ではない。日本人の目が抱える宿命ー

 


エボラの話で2日間休みましたが、『緑内障の話』に戻させていただきますので、よろしくお願いいたします。


【数値の裏に潜む「個別の限界」:日本人に多い真実】


「健康診断の眼圧測定で『18mmHg』だったから、私は緑内障の心配はない」……その安心感こそが、実は最も見落とされやすい危険な落とし穴です。


一般的に、眼圧の正常値は10〜21mmHgとされていますが、大規模な疫学調査(多治見スタッツなど)において、驚くべき事実が判明しています。


なんと日本人の緑内障患者のうち約7割が、眼圧がこの「正常範囲」に収まっている「正常眼圧緑内障」なのです。


つまり、眼圧が正常であっても、私たちの目は決して油断できない宿命を抱えています。


【「目の体力」には個人差がある】


血圧に人それぞれの適正値があるように、眼圧にも「その人の視神経が耐えられる限界値(耐容眼圧)」が存在します。


たとえ一般的な統計的正常値の範囲内(例えば15mmHgなど)であったとしても、もともと視神経の血流が弱い人や、構造的にストレスへの耐性が低い人にとっては、その圧力が過度な負担(暴力)となってしまい、自分の神経がどれほどの圧力に耐えられる「体力」を持っているのか――それを知る発想こそが、現代の眼科医療における個別化アプローチの第一歩です。


【OCT(光干渉断層計)という文明の利器:データで先手を打つ】


「眼圧が正常なのに、どうやって見つければいいのか?」


かつての眼科診療は、医師が眼底鏡で覗き込む主観的な診断に頼る側面が強くありましたが、現代医学には「OCT(光干渉断層計)」という極めて強力な味方があります。


OCTは近赤外線を利用して、網膜や視神経乳頭の断面をミクロン単位で非侵襲的にスキャンし、自覚症状や視野の欠損が現れる何年も前の「神経の痩せ細り(層の厚みの変化)」を科学的・定量的にあぶり出すことが可能です。


もはや勘や思い込みの医療ではなく、高精度なデータで病の芽に先手を打つのが現代の正解です。


【知のひとくちメモ:近視という無視できないリスク】


なぜ日本人はこれほどまでに正常眼圧緑内障が多いのでしょうか?その大きな要因の一つとして挙げられるのが「近視」です。


強度の近視は、単に「遠くが見えにくい」という屈折異常だけではありません。


眼球が物理的に前後に引き延ばされる(眼軸長が長くなる)ことで、網膜や視神経の出口である「視神経乳頭」が引っ張られ、構造的な歪みや脆弱性を生じやすくなります。


近視の強い方は、構造的に緑内障の予備軍になりやすいという自覚を持ち、自覚症状がなくとも定期的な眼科検診を習慣化することが自分の光を守る盾となります。


【参考資料】

『眼圧ってなんですか?』

『眼圧』