血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2021年10月31日日曜日

新型コロナウイルス-43.マスクの種類別の新型コロナウイルスの予防効果-

 まずマスクの正しい使用法とは、


1.マスクは鼻にフィットさせてしっかりとした着用を徹底し、感染リスクの比較的高い場面では、過能な限りフィルター性能の高い不織布マスクを着用し、三密のいずれも避け、特に人と人との距離は十分に取る。


2.いくらマスクをしっかりと着用していても、室内で会話時間は可能な限り短くし、大声は出さないように心がける。


3.当然換気には注意する。


国立研究開発法人・理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」によるシミュレーション結果から判明した、マスク着用者が吐き出す飛沫のカット率は以下のとおりです。


【マスク着用者が吐き出す飛沫のカット率】


1.不織布マスク・・80%


2.ウレタンマスク・・50%


3.布マスク・・66~82%


【他人から吐き出される飛沫のカット率】


1.不織布マスク・・70%


2.ウレタンマスク・・35~45%


3.布マスク・・30~40%


この結果からして不織布マスクとそれ以外のマスクの性能差、とりわけ頻用されているウレタンマスクの性能の低さは明白となっています。


この差からして感染力の非常に強いデルタ株でこの差はかなり大きいと推測されます。


※敏感肌や皮膚疾患があるため、かぶれ防止で不織布以外のマスクを選択している方は、不織布マスクと皮膚の間に綿ガーゼを挟む・マスクの接触部分の汗をこまめに拭くなどで、一定のかぶれ防止効果が得られます※


マスクでの感染予防において装着法が重要となります。


不織布マスクを着用する際には鼻の部分をフィットさせ、着用時はまずノーズピースをきちんとフィットさせ、そこを抑えたままプリーツを引き延ばして顎にかけ、最後に耳ゴムをかけることでマスクと顔面の隙間を過能な限り少なくすることが感染対策して重要となります。


外出は必要最低限しかしなかった、更に外食もせず、職場でも常にマスクをしていたが感染してしまったと嘆く話をよく耳にすることがありますが、これは何故なんでしょぅか?


これらを分析しますと以下のことが明らかになっています。


1.勤務先でマスクをしていたが、窮屈になり顎マスクにした時に隣席の人と会話をした。


2.休憩所や更衣室でマスクを外した時に他の人と会話をした。


3.混み合っていた喫煙所に入ってタバコを吸った時。


デルタ株が流行している現在1~3の行為は当然感染リスク高い行為となってしまいます。


また、ウイルス量が多いデルタ株の場合、当然ながらマイクロ飛沫感染のリスクが高まるため、室内の換気も今まで以上に重要となります。


換気を行う場合は、窓や扉を2ケ所以上開けて空気の流れを作ることが重要です。


窓が1箇所しかない場合は、空気の流れを作るために扇風機や換気扇を併用して空気の流れを作り換気できるようにすることです。

2021年10月24日日曜日

2021年冬インフルエンザ大流行の可能性!!??

 新型コロナウイルスが猛威を振るった昨季(2020~2021)はインフルが全くと行って良いくらい流行せず、今季(2021~2022)も2021年10月現時点で患者はほぼ報告されていません。

しかし日本感染症学会関連学会は、今季は流行の可能性があると予測していて、ワクチン接種を検討してほしいと呼び掛けています。


厚生労働省は2020年、秋から春にかけて全国の医療機関から届出があった患者数は9人で、流行の兆しは見られていないとしています。


ところが世界保健機関は、バングラデシュやインドなどで今夏に流行が確認されていて、海外では今後の流行を警戒する動きが出ており、英国政府は今年は例年の1.5倍の流行になる可能性があるとして注意を呼び掛けています。


日本感染症学会は、新型コロナウイルス感染防止で2020年から定着したマスク着用などの感染対策が効果を発揮したと指摘しています。


反面今季については、海外からの人の往来が再開されれば、世界中へインフルエンザウイルスが拡散されると懸念しています。


現時点ではインフルエンザと新型コロナウイルス感染症との症状の見分けがつかないことから、治療の遅れも懸念されています。


2019~2020年シーズン、インフルエンザに罹患した人は極めて少なかったことからして社会全体の集団免疫が形成されていないことから、一度流行が始まれば大流行する危険性が指摘されています。


個人的な意見となりますが、2021~2022年シーズンにおいても、インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨します。


ただしインフルエンザワクチンを接種するか否かは、メリット、デメリットを良く判断して決めてください。


日本感染症学会の『2021-2022年シーズンにおけるインフルエンザワクチン接種に関する考え方』のリンクページを以下に記載しておきますから、よくお読みください。


https://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=44


日本感染症学会 https://www.kansensho.or.jp/

2021年10月17日日曜日

新型コロナウイルス-42.新型コロナウイルス抗原検査キットについて-

 現在ネット等で販売されている新型コロナウイルス抗原検査キットは、国が承認した体外診断用医薬品ではなく、研究用として販売されている検査キットです。


この研究用検査キットは、感度や特異性など検査キットが本来有する性能等が確認されていません。


研究用検査キットは、新型コロナウイルス感染の有無を調べることを目的としているものではありません。


研究用検査キットの中には、あたかも国が承認したものであるかのような表示をしている物もあることから購入時には十分注意して体外診断用医薬品を購入してください。


【購入時の注意点】


薬局にて薬剤師に相談して必ず「体外診断用医薬品」と表示されたキットを購入してください。


2020年5月エスプラインSARS-CoV-2(富士レビオ)、2020年8月クイックナビ-COVID19Ag(デンカ株式会社)、2020年10月イムノエースSARS-CoV-2、キャピリア SARS-CoV-2(株式会社タウンズ)が順次承認を受けた、2021年10月現在14社16製品のイムノクロマト法による抗原簡易検査キットが承認されて薬局で販売されています。


【特徴】


・感度はPCR検査に比べてかなり低い。


・特異性は非常に高い。


【検査検体】


鼻の奥、鼻咽頭の中に綿棒を入れる「鼻咽頭ぬぐい液」の採取がもっとも感度がよい方法ですが、一般の人にはなかなか難しい手技であるため、「鼻腔ぬぐい液」を採取するのが一般的です。


【判定】


15~30分で結果が分かります、この時間はメーカ添付文書に記載された時間を厳守する必要があります。


・陰性・・・抗原検査陰性即ち感染していないことを正しく判定できる感度は約40~90%と製品ごとにばらつきがあります。


※無症状の場合、ウイルス量がとても少ない可能性があるので、感染していても陽性とならない「偽陰性」が起こることは否定できません※


※検査が陰性であっても新型コロナウイルス感染症の症状がある場合は、迷わず医療機関を受診してください※


・陽性・・・抗原検査陽性即ち感染しているを正しく判定できる特異度はほぼ100%です。


・判定保留・・・陰性又は陽性の判断がつきにくい場合ですが、再度検査をする必要があります。


【抗原検査を薬局販売した目的】


厚生労働省の承認を受けた新型コロナの抗原検査キットは、現時点では「健康なときに薬局であらかじめ購入しておき、症状が出た場合に自宅で検査をおこなう」という使い方を想定していますので、体調不良時に近所の薬局へ抗原検査キットを買いに行くのではなく、このような場合は薬局ではなく医療機関を受診する必要があります。


【購入時の注意点】


承認された抗原検査キットを購入する場合、薬剤師から検体の採取方法などの説明を受け、最後に内容を理解したかどうか確認する書類に署名が必要です。

2021年10月10日日曜日

新型コロナウイルスについて-41.デルタ株“空気感染”する?!-

 感染力が強いデルタ株の流行が主流になるにつれ"新型コロナは空気感染する"と考える人が多く出てくるようになりました。

新型コロナウイルスは本当に空気感染するのでしょうか??!!

今、わかっていることをまとめました。

2020年2月当初は新型コロナウイルスの感染対策にあたっていた日本の専門家は、下記のような感染の特徴に気付きました。

新型コロナウイルス流行の最初の頃、世界保健機関や各国の権威ある研究機関は、新型コロナウイルスの感染は、以下の2つと考えていました。

1.咳をしたり、大声を出した際に出される飛沫に含まれるウイルスからの"飛まつ感染"。

2.ウイルスが付着した手で鼻や口を触ることで感染する"接触感染"。

その後の感染経路を調査した結果、密閉された空間で一定の時間、ウイルスが含まれたごく小さな飛沫がしばらく漂い、それを吸い込むことで感染することが分かりました。

咳などで口から出た飛沫は、空気中に漂わずすぐに落ちてしまいますが、空間を漂う"マイクロ飛沫"による感染があることに気付いたのです。

この発見をもとに、日本で考え出された感染対策として、手洗いや消毒・マスク無しでの会話を避ける・「密閉・密集・密接」の3密を避けるという対策が生まれ、世界保健機関や世界各国の研究機関などでも紹介されるようになった訳です。

それでは感染力が強いと言われているデルタ株が主流になった現在、さらに感染しやすくなって"空気感染"が発生しているのでしょうか??

その前に空気感染とは どのような感染なのでしょうか。

感染者から体の外へ出た唾液などの飛沫が乾燥し、その中のウイルスが感染力を持ったまま空気に漂って広がり、これを吸い込むことで起きるのが空気感染と言います。

この空気感染は、直径5マイクロメートル(1000分の5ミリ以下)の"飛沫核"が数時間空中を漂い、同じ空間にいる人が吸い込んで感染することから、対策は極めて難しいとされています。

空気感染は同じ部屋の離れた場所で咳をしても、同じ部屋の中にいる多くの人が感染するとされています。

米国の疾病対策センター(CDC)によりますと、空気感染するのは結核菌・はしか・水ぼうそう・帯状疱疹の各ウイルスに限られているとしています。

はしかのウイルスの感染力は強く、感染対策を取らない場合、1人から12~18人に感染すると言われています。

新型コロナウイルスは、飛沫よりは小さいものの飛沫核ほど小さくはなく、一定の時間空間を漂うマイクロ飛沫での感染があるとされてきました。

米国疾病予防センターは、デルタ株の感染力や広がり方は、従来の株より2倍以上の感染力があり、ワクチン接種なしではより重症化する可能性があることなどウエブサイトには記載されていますが、"空気感染"についての記載は見当たりません。

日本国内でも政府の分科会が2021年8月中旬にまとめた提言でも「感染力の強いデルタ株で感染拡大が起きやすくなっている」と言いつつ、「主な感染様式はこれまでと変わらず、飛沫、もしくはマイクロ飛沫と考えられ、これまでの対策を徹底する必要がある」としています。

一方、米国疾病予防センターの内部資料では、従来の新型コロナウイルスでは、1人の患者は平均1.5人~3.5人程度に感染させていたのに比べ、変異株のデルタ株では平均5~9.5人程度に感染させる可能性がある記載されいて、最も高い感染力の場合には「水ぼうそうと同程度の感染力」がある可能性があると推定しています。

日本国内の専門家の多くは、デルタ株の感染力が強いが、現在時点では空気感染するという証明はされていないと発言しています。

デルタ株で感染力が強いのは患者が排出するウイルス自体の量が多いことが影響している可能性を指摘しています。

感染者から吐き出されるウイルス量が非常に多くなっていることから、あたかも空気感染するように見えるの可能性も否定できず、今後さらなる分析が必要とされています。

2021年10月時点において新型コロナウイルスは空気感染するという確たる証明はされていません。

しかし現実デルタ株には、空気感染を疑わせるほどの感染力があることは事実です。


2021年10月3日日曜日

抗体依存性感染増強とはなに

 抗体依存性感染増強(antibody-dependent enhancement:ADE)とは、ワクチンの接種などにより起こりうる現象です。


本来、ウイルスなどから体を守るはずの抗体が、免疫細胞などへのウイルスの感染を促進し、その後、ウイルスに感染した免疫細胞が暴走し、本来体を守るべきシステムがあろうことか症状を悪化させてしまうという現象ということになります。


現在抗体依存性感染増強の詳細なメカニズムについてはほとんど解明されていません。


これまでに、複数のウイルス感染症で抗体依存性感染増強に関連する報告が一部されています、例えば、重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome:SARS)や中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome:MERS)に対するワクチンの研究では、フェレットなどの哺乳類動物にワクチンを投与した後、ウイルスに感染させると症状が重症化したとの報告があり、これは抗体依存性感染増強が原因と考えられています。


今まで新型コロナウイルスに感染し、自然免疫を獲得した人の間では抗体依存性感染増強のような問題は見られないことが複数の研究で示されています。


しかし最近では新型コロナウイルスに感染すると、感染を防ぐ中和抗体ばかりでなく、感染を増強させる抗体(感染増強抗体)が産生されることが発見されています。


新型コロナウイルスワクチンによる抗体依存性感染増強の危険性は2020年から一部の専門家らにより指摘されてきましたが、影響はないとする見方が大半でした。


またデルタ株に関して、ウイルスのトレードマークであるスパイクタンパク質に対する親和性が驚くほど高まったことにより、ワクチンが感染を促進したと考えられています。


そのことからして一部の専門家は、新型コロナワクチン接種により、SARS-CoV-2感染時に抗体依存性感染増強が起こることを懸念しています。


ファイザー社、或いはモデルナ社のワクチンでは中和作用のある抗体が十分に産生され、Th1細胞活性化も誘導されるため、抗体依存性感染増強が起こる可能性は極めて低いと考えられています。


実際にこれらのワクチンは、感染防御だけでなく、重症化防止にも有効であることが証明されています。


そのことからして新型コロナワクチン接種により誘導される抗体が結合しにくい新規変異株の出現や、経年的な抗体価低下への懸念は当然残こりますが、抗体依存性感染増強によるデメリットがワクチンのメリットを上回る可能性はどの段階においても極めて低いと考えられています。


2021年9月26日日曜日

エンデミック、ハイパー・エンデミック、エピデミック、 アウトブレイク、パンデミックの違いと定義

最近良く目にするエンデミック、ハイパー・エンデミック、エピデミック、 アウトブレイク、パンデミックの違いと定義について解説いたします。


 ・エンデミック(endemic:特定感染)

定義・・ある感染症が一定の地域で一定の患者が発生したり、一定の季節に繰り返し発生すること

【例】アフリカの一部の地域で一年を通じて流行しているマラリア。


・ハイパー・エンデミック(hyperendemic:特殊感染)

定義・・特定の地域の集団で他の地域と比較して感染症がより高い確率で持続的に流行していること。

【例】A国において患者が300人に1人なのに対し、他の一部のBやCの地域では、5人に1人が患者が発生している場合、A国でハイパーエンデミックが起こっていると言える。


・エピデミック(epidemic:過感染)

定義・・ある集団や一定の地域の中で予想以上に感染症の患者数が増加すること。

【例】毎年発生する季節性のインフルエンザ


・アウトブレイク(outbreak:感染症集団発生)

定義・・ある一定期間内に、ある限られた範囲内あるいは集団の中でたちの悪い疾患や感染症感染者が予想よりも多く発生すること。

医療施設内で起こる院内感染によるアウトブレイクは「院内アウトブレイク」と呼ぶこともある。

【例】2018年に福岡県内で発生した医療機関の接触者を中心とした麻疹患者の発生

2010年5月に始まり2011年10月に終息宣言が出された藤沢市民病院での「バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)によるアウトブレイク」


・パンデミック(pandemic:人獣共通感染症の世界的大流行を表す意味)

定義・・世界各地の国や地域でエピデミックが発生すること。

【例】現在の新型コロナウイルスの流行

【アウトブレイクとパンデミックは似た概念】

アウトブレイクは限られた範囲における感染の流行を言いますが、パンデミックは感染が世界的規模に発展した状態を言います。

両者は相対的な表現であるためパンデミックとアウトブレイクの境界はそれほど明確ではありません。

2021年9月19日日曜日

人獣共通感染症-9.ライム病-

 ライム病(ライムボレリア症:Lyme borreliosis)は、ノネズミやシカ、野鳥などを保菌動物とし、マダニ科マダニ属 Ixodes ricinus 群のマダニに媒介されるスピロヘータの一種のボレリアの感染によって引き起こされる人獣共通感染症です。

野生動物では感染しても発症しませんが人、犬、馬、牛では発症して種々の臨床症状を引き起こします。

ライム病の由来は、アメリカコネチカット州のライム及びオールドライムで1975年に最初に確認されたことに由来しています。

ライム病は、シュルツェマダニなどのマダニに咬まれることにより感染します。

マダニの活動は暖かい時期、春先から秋くらいまでが多いので、この時期にマダニによる感染症を発症することが多い傾向がみられます。

米国では毎年30000人を超えるライム病患者が報告されており大きな社会問題になっています。

日本国内でもライム病に罹ることがあります。

※一般家庭内でよく見られるイエダニから感染することはありません※

2020年には17人の患者報告があります。

特にライム病の報告が多いのは北海道で年間10例弱の患者が報告されています。

保健所に届け出がされていない事例も含めるともっと多くのライム病患者が存在していると考えられています。

シュルツェマダニは寒い地域に分布しており、北海道は全域にいますが、本州では標高の高いところにのみ分布しています。

従って北海道に住んでいる人や旅行で登山をする場合、本州でも標高の高い地域に暮らしている人や、登山をする人もライム病に注意が必要となります。

【ライム病の症状】

感染初期(Ⅰ期)

マダニに咬まれてから数日から1ケ月以内にマダニに咬まれた箇所を中心とする限局性の特徴的な遊走性紅斑を呈することが多い傾向があります。

随伴症状としては、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感などのインフルエンザ様症状を伴うこともあります。

遊走性紅斑の出現期間は数日から数週間といわれ、形状は環状紅斑または均一性紅斑がほとんどです。

播種期(II 期) 

体内循環を介して病原体が全身性に拡散することから、皮膚症状、神経症状、心疾患、眼症状、関節炎、筋肉炎など多彩な症状が見られる。

感染後期(III期)

感染から数カ月ないし数年を経過してから播種期の症状に加えて、重度の皮膚症状、関節炎などを呈すると言われています。

幸いなことに日本においては、感染後期に移行したとみられる症例は現在のところ報告されていません。

【検査法】

1.EIA(Enzyme Immunossay)またはIFA(Immumofluorescent Assay)によって検査を実施して、陽性または偽陽性となった場合にはウエスタンブロット法で確認検査を実施する。

2.神経症状を発症した患者では、骨髄液をBSK2培地に接種し、34 ℃ で2 - 4週間培養し、病原体を分離する。

【治療法】

一般的に用いられる抗菌薬としては、ペニシリン、アモキシシリン、セフトリアキソン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、テトラサイクリンなどがあります。

神経ライム症の場合は髄液移行の良いセフトリアキソンが第一選択薬となります。

小児例の場合にはアモキシシリンが主に使用されています。

現在のところ、わが国を含め世界的に薬剤耐性菌出現の報告はありません。。

皮膚症状のみであれば、アモキシシリンやドキシサイクリン、セフトリアキソンなど適切な抗生剤を14日間内服すれば完治がみこめます。

全身症状が強く、皮膚症状も範囲が広い場合は3週間から1ケ月治療を要することもあります。

また顔面神経麻痺を生じた場合は入院のうえ点滴治療を10~14日間位続けることもあります。

※患者個人の免疫能や合併症の有無によって治療期間が異なることがあります※

日本国内においては感染予防ワクチンは存在していません。

【予防方法】

野山でマダニに咬まれないないことがもっとも重要となります。

マダニの活動期(主に春から初夏、および秋)に野山へ出かけるときには、

むやみに藪などに分け入らないこと、マダニの衣服への付着が確認できる白っぽい服装をすること、衣服の裾は靴下の中にいれ虫よけをしマダニを体に近寄らせないことなどを心がける必要があります。

また万一咬まれた時には、口器(体内に刺し混んでいる部分)を残さず虫体を潰さないように体から抜き取って下さい。