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2021年5月16日日曜日

新型コロナウイルスについて-25.スポーツ庁が購入したという"空間除菌"をうたう空気清浄機の有効性について-

2021年5月現在、医薬品医療機器法(薬機法)にもとづいて新型コロナ対策を標榜できる空間除菌の家電や雑貨はありません。

従ってスポーツ庁が購入したという"空間除菌"をうたう空気清浄機は、新型コロナウイルスの予防には全く意味がありません。

※新型コロナウイルス感染症対策として"空間除菌"をうたう空気清浄機は、人への有効性や安全性が未確立な技術であり、その有効性は医学的には証明されていません※

空気中の新型コロナウイルス対策として、厚労省は「こまめな換気」のみを推奨してます。

感染症対策の専門家は、「空間除菌」については「不安ビジネスでもあり、人々や社会に負担を増やしているのはよくない」と、指摘してます。

スポーツ庁が購入すると国によるお墨付きがあるとの誤解を一般に与えることから、極めて問題であると言えます。

役人は専門的な知識もなく、専門家に相談すること無く、税金を無駄に使用しているとしか言えません。

本当に嘆かわしいことです。


2021年5月9日日曜日

新型コロナウイルスについて-24.インド変異株-

 2020年10月頃インドのマハラシュトラ州で出現

特徴としては、スパイクタンパク質にふたつの変異

南アフリカ型及びブラジル変異株にみられるE484K変異と米国カリフォルニア州で確認されたL452R変異が同時に見られる二重変異株で、B.1.617と呼ばれています。

世界20ケ国で見つかっている。

日本国内では2021年4月26日時点で21件見つかっている。

「二重変異株」とも呼ばれ、免疫が働きにくくなったり、感染力が強まったりする可能性があるが、ワクチンの効果への影響ははっきり分かっていない。

現在、世界で拡大している新型コロナウイルスの変異株の中には、特に注意すべきものとしてVOC(variant of concern:懸念される変異株)やVOI(variants of interest:注意すべき変異株)などがあります。

VOCにはイギリス由来、南アフリカ由来、ブラジル由来の変異株が指定されています。

VOIには先日フィリピンからの入国者から見つかった変異株や、前述のカリフォルニア株などが指定されています。

このインド由来の変異株B.1.617が今後VOCやVOIに指定されるかどうかについては、

・感染性の増加の有無

・重症度の増加の有無

・再感染リスクの増加やワクチン有効性低下の可能性

などについての情報が集積されるのをもう少し待たなければなりません。

2021年5月2日日曜日

新型コロナウイルスについて-23.空間除菌グッズに騙されないように!!その2-

 某メーカーのサイトには「ウイルスを99%除去できる」などといった宣伝文句が書いてありますが、これは空間除菌グッズに空気中を漂うウイルスや細菌を不活化させる一定の働きがあるのは本当ですが、これは限られた、実験室の条件下でウイルスを除去出来るということにほかなりません。

日常生活で実際に使用される環境下でウイルスを除去出来る性能を持っていなければ何の役にも立ちません。

要するに消費者が、「ウイルスを99%除去できるから新型コロナの感染予防にも役に立つのだろう」と誤解するのは消費者の勝手ということになります。

消毒剤や治療薬は、試験管内や動物実験で良い効果が得られて、実際に使用すると全く効果がなく、逆に害が大きかったりすることはよくあります。

そのために世に出るまでには、大規模な臨床試験で効果や安全性を確認します。

このような大規模な臨床試験で効果や安全性を調べるには、多くの時間と多くの費用がかかります。

そのことから、「効果がありそう」という誤解を維持させ続けたまま「雑貨」で売り続けているのです。

感染を予防する可能性を否定出来なくても、空間除菌をやることはやらないよりはましだと考える人もいますが、これは空間除菌に害がなければの話です。

ウイルスに影響を及ぼす薬剤で、人体にはまったくの安全という化学物質はほぼ存在しません。

短時間で空気中のウイルスを不活化できる濃度の化学物質は、同時に人に有害である可能性が大なのです。

被害を防ぐために安全性を優先して濃度を薄くすると今度は効果がなくなってしまいます。

販売されている商品がそれぞれの使用条件下で、ウイルスを不活化できるが人体に害のない適正な濃度を維持できるとは限りません。

そもそもそんな適正な濃度があるのかどうかも疑問なのです。

空間除菌製剤による健康被害は実際発生しています。

咳、呼吸器、悪心のほか、重症度の高いものとして首からぶら下げるタイプの空間除菌製剤によって化学熱傷が起きたという事例が複数報告されています。

これらの被害に対して、製造販売しているメーカーは、『適切に使用すればこうした事故は起こらない』と言うかもしれませんが、本当に感染予防効果が明確であれはその言い訳は通用するかもしれませんが、効能があるのかどうかもわからないのに、使い方を間違えれば重大事故が起きうる製品を使うのは極めて非合理的です。

健康被害の起きるリスクの高い"雑貨"を念の為あるいは万が一のときのために使用するにはあまりにもリスクが大きすぎます。

空間除菌グッズには、医学的には感染予防効果が証明されていないこと、使い方によっては重大な健康被害が発生することを製造販売しているメーカーははっきりと告知する義務があると思います。

新型コロナウイルスの大流行で、人々は藁をもすがる思い出で製品を買って感染対策をせざるを得ない人々の弱みに付け込むことは許されるべきではないと思います。

国も指摘するだけでなく、取締をしてほしいものです。

少し長くなりましたが、ご容赦下さい。

2021年4月25日日曜日

新型コロナウイルスについて-22.空間除菌グッズに騙されないように!!その1-

 空中に消毒薬を拡散させることで空気を消毒すると称する、いわゆる「空間除菌」は、数多く宣伝されています。

据え置きタイプ・首から下げるタイプ・スプレータイプなどさまざまな商品が販売されていますが、空間除菌によって新型コロナウイルスの感染を予防できるという臨床的証拠(医学的根拠)はありません。

先進国においても空間除菌を推奨している公的機関もありません。

厚生労働省のサイトには、下記の注意を促しています。

『消毒剤や、その他ウイルスの量を減少させる物質について、人の眼や皮膚に付着したり、吸い込むおそれのある場所での空間噴霧をおすすめしていません」「これまで、消毒剤の有効かつ安全な空間噴霧方法について、科学的に確認が行われた例はありません。また、現時点では、薬機法に基づいて品質・有効性・安全性が確認され、「空間噴霧用の消毒剤」として承認が得られた医薬品・医薬部外品も、ありません」』

それでは空間除菌グッズは何に分類されるのでしょうか?

そもそも空間除菌グッズは、医薬品や医薬部外品ではなく単なる"雑貨"なのです。

全てのメーカの宣伝文句を注意してよ~く読んでみますと、「新型コロナの感染予防に効果がある」とは一言も書かれていません!!

医薬品や医薬部外品ではなく"雑貨"であるのに、感染予防の効果効能をうたうと法律違反になります。

新型コロナの流行以前から、空間除菌グッズを販売する会社は、景品表示法に基づいて消費者庁からしばしば措置命令を受けています。

消費者にはあたかも感染予防効果があると誤認させる一方で、消費者庁からは処分を受けないように考えて広告表現を工夫して宣伝する才能は大したものと言わざるを得ません。

続く


2021年4月18日日曜日

新型コロナウイルスについて-21.新型コロナウイルス抗体検査について-

 新型コロナウイルス抗体検査には抗体即日検査と抗体精密検査の二種類があります。

抗体即日検査は15分ほどで検査結果が判明し、新型コロナウイルスのIgM抗体、IgG抗体どちらが陽性が出たかというのも判別することが可能です。

抗体精密検査は検査結果が判明されるまで2~4日ほどかかりますが、抗体即日検査よりも精度が高いと考えられています。

この検査の欠点としては陽性となった場合、IgM抗体、IgG抗体のどちらが陽性であったのか判別することはできません。

即日抗体検査はイムノクロマト法を利用した検査です、

【IgM抗体とIgG抗体について】

基本的にIgM抗体が感染初期に現れ、比較的早い段階で消失し検出できなくなります。

IgM抗体が陽性の場合は、過去1週間以内に感染した可能性が高いということになります。

それに比べてIgG抗体は比較的感染後遅い段階で現れ、長期間検出可能と言われています。

IgG抗体が陽性の場合は、過去数ヶ月以内に感染した可能性があり、抗体が体内に存在していることになります。

IgM抗体、IgG抗体ともに陽性だった場合は、現在進行形で新型コロナウイルスに感染している可能性が考えられます。

【注意す.べきこと】

IgM抗体、IgG抗体ともに陰性であっても新型コロナウイルスに対する抗体が検出できなかったことを確認しただけで、新型コロナウイルスの感染を完全に否定する事はできません。

また、新型コロナウイルスのワクチンを接種し、抗体ができると陽性となります。

【検査キットの信頼性】

・IgGの感度100% 特異度98.9%

・IgMの感度100% 特異度97.8%

※抗体陽性は、「過去に感染した可能性が?い」ということを意味するのみ※

?:抗体アリ≠感染防御免疫アリとは言えません

? :抗体検査は、ウイルスに対する免疫反応を検出することから、必ず特異反応であるとは言い切れません

キットにより検出感度や特異性が異なるのが難点で、正確な診断をするための検査とは言いにくいです。

一般的にウイルス感染後、IgM抗体は1~2週間(感染初期)、IgG抗体は2~3週以降(回復期)に出現します。

※国立感染症研究所の評価によりますと、イムノクロマト法を用いた抗体検査キットの評価では、発症後2週間後のIgM抗体陽性率は59.4%、IgG抗体陽性率は96.9%と報告されています※

※2021年4月現在、厚生労働省が認可した簡易キットは『エスプラインR SARS-CoV-2(富士レビオ社製)』・デンカ株式会社の「クイックナビ-COVID19Ag」・株式会社タウンズの「イムノエースSARS-CoV-2、キャピリア SARS-CoV-2」がありますが、これ以外のネット通販のキットは厚生労働省が認可した簡易キットではないことからこれらキットを使用する場合は自己責任で利用することになります※


2021年4月11日日曜日

新型コロナウイルスについて-20.変異株についてのまとめ-

 変異株についてまとめてみますと以下のようになります。

(1)英国型(N501Y変異)

スパイクタンパク質の501番目のアミノ酸がチロシンに置換したN501Y変異した株。

感染力の増加が懸念されています。


(2)南アフリカ型とブラジル型(N501Y変異+E484K変異)

N501Y変異に加えて、484番目のアミノ酸がリジンに置換した変異(E484K変異)株。

感染力の増加と免疫効果への影響が懸念されています。


(3)新たな変異株(E484K変異のみ)

N501Y変異を持たずE484K変異のみを持つ新たな変異株。

海外から持ち込まれたと推測されています起源は不明。


【N501Y変異株の問題点】

E484K変異が注目されるのは、「免疫逃避」と呼ばれる性質があるからとされています

E484K変異がない新型コロナウイルスに感染したり、既存のワクチンを接種したりして得た免疫の効果の一部が、E484K変異ウイルスに対しては十分に効かない可能性が複数の実験で指摘されていることです。

E484K変異株に対しては、既存のワクチンがある程度効果が認められるとする説と、効果がないという説に分かれています。


【日本国内での変異株の現状】

・英国型・・・803例

・南アフリカ型・・・16例

・ブラジル型・・・55例

・新たな変異株(E484K変異)・・・1123例

※2021年4月5日の国立感染症研究所の資料から作成※

2021年4月4日日曜日

新型コロナウイルスについて-19.変異株について-

 どの種のウイルスも増殖の過程で変異を引き起こしますが、変異のスピードや変異によるウイルスの性質が変化するかは、それぞれのウイルスによって異なります。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、平均して2週間に1回程度のサイクルで変異していると考えられています。

この変異ではウイルスの性質が大きく変わることはまれですが、変異によって作られるたんぱく質を構成するアミノ酸が変われば性質が変わる場合が起こりえます。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のSpikeタンパク質の多重変異を特徴とする変異株は、以下のものが確認されています。

・英国VOC-202012/01(B.1.1.7)

・南アフリカ501Y.V2(B.1.351)

・ブラジル501Y.V3(P.1)

新たな変異としてはE484Kが確認されています。

このE484K変異は磁石のNS極を逆転させるような極性を反転させる際立った変異とされていて、現在注目を浴びています。

このE484K単独でワクチンの効き目がなくなるわけではありませんが、少なからず効果が減弱する可能性が指摘されています。

次回からこれらの変異株について解説してきます。