血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2021年8月22日日曜日

新型コロナウイルスについて-37.新型コロナウイルスの変異株 ラムダ株-

 ラムダ型変異ウイルス(C.37)は2020年8月にペルーで最初に見つかり、その後、南米を中心に拡大し、2021年7月31日時点で31カ国で見つかっています。

ペルー、チリ、エクアドル、アルゼンチンなどの南米の多くの国で見つかっており、特にペルーでは新規感染者の90%以上がラムダ型によるものと言われています。

世界的な拡大を受けて、世界保健機関は2021年6月14日にこの変異ウイルスを「ラムダ」と命名し「注目すべき変異ウイルス(VOIs; Variant of Interest)」に指定しました。

2021年7月20日にペルーから羽田空港に到着した30代女性から検出されています。

このラムダ株の特徴としては、スパイク蛋白の特徴的な変異として、G75V、T76I、del247/253、L452Q, F490S, D614G, T859Nという7つの遺伝子変異があります。

しかし、現時点だはこれらの変異がウイルスにどのような変化をもたらすのかの情報が限られています。

このラムダ株の感染力は、従来の新型コロナウイルスと比べると、感染力が増強しているのではないかという実験室レベルの研究が報告されてきていますが、まだデータは限られていてはっきりとは分かっていません。

このラムダ株は、アルファ株やデルタ株では、従来のウイルスと比較して感染した場合に重症度が高くなるとされていました。

ラムダ株に感染した場合にも従来よりも重症度が高くなるのかについてはまだよく分かっていません。

ベータ株、ガンマ株、デルタ株のそれぞれは、ワクチンの効果が低下することが分かってきています。

ラムダ株についても、中和抗体に対する抵抗力が強くなっているとする実験室での研究があり、またベータ株よりもさらにワクチン効果が落ちるのではないかとする研究報告もあり、多少なりともワクチンの効果が落ちる可能性があることが指摘されています。

しかし現時点ではワクチン効果がどの程度落ちるのかははっきりと分かっていません。

ラムダ株についてはまだまだ不明な事が多く、2021年7月31日時点ではどれくらいの脅威であるのか判断することは難しい状況です。

今後日本国にも侵入する危険性があると懸念されています。


2021年8月15日日曜日

人獣共通感染症-8.細菌性人獣共通感染症としての炭疽症-

 炭疽症は、炭疽菌による感染症で、ヒツジやヤギなどの家畜や野生動物の感染症であるが、ヒトに感染することもあることから人獣共通感染症の分類されています。

炭疽菌は1876年ドイツの医師で細菌学者でもあったロベルト・コッホ(1943~1910)によって発見されています。

また、1881年フランスの生化学者で細菌学者でもあったルイ・パスツール(1822~1895)は弱毒生菌ワクチンと開発しましたが、このワクチンで得られる免疫はごく弱いことから今日では利用されなくなっています。

【感染経路】

ヒトへの感染経路としては、炭疽症になった動物との接触やその毛皮や肉から感染します

基本的にはヒトからヒトへは感染しません。

炭疽菌は皮膚からの感染が最も多いが、芽胞を吸いこんだり、汚染した肉を不十分な加熱で食べた場合にも感染してしまいます。

自然発生は極めてまれです。

【炭疽という意味】

炭疽とは「炭のかさぶた」の意味であり、英語名のAnthraxはギリシャ語で「炭」の意味で、この名称は皮膚炭疽の症状で黒いかさぶた(瘡蓋)ができることに由来しています。

【炭疽症の分類】

炭疽症には、炭疽菌が顔、首、手などの皮膚の小さな傷から侵入し、1~7日後ニキビ様の小さな掻痒性または無痛性の丘疹が現れ、周囲には発疹と浮腫が現われる"皮膚炭疽症"、肺に感染して起きる"肺炭疽症"、炭疽菌が食物つ共に口から入り感染する"腸炭疽症"に分類されます。

【致死率】

治療しない場合の致死率は、皮膚炭疽症は10~20%、肺炭疽症は90%と極めて高い、腸炭疽症は25~50%です。

【検査】

確定診断は炭疽菌の分離同定によって調べます。

最近ではPCR検査が利用されています。

【治療法】

ペニシリン・テトラサイクリンなどの抗生物質により治療可能。

ヒトからヒトへの感染はないので、隔離の必要はありません。

早期に治療すれば治癒する。

【予防ワクチン】

炭疽病のワクチンは日本には無く、アメリカで1社が製造するのみで、。しかも副作用の可能性が高いことから、この予防接種はあまり推奨されないのが現実です。

【発生状態】

日本国内では1965年8月、岩手県西根町で乳牛が炭疽病で死亡したため死亡牛は一度は埋められましたが、掘り起こされて売買された結果、1965年88月26日までに牛肉を食べた33人が下痢、腹痛を訴えて疑似患者として手当てを受けた事例がありますが、それ以降2021年8月まで発生はありません。

2021年8月中国国内での発生が報告されています。


2021年8月8日日曜日

新型コロナウイルスについて-36.なぜこんなに新型コロナウイルスの変異株が増加するのか??-

 ウイルスは生き残るために変異するのが基本なんです!!

要するにすべての生物は、子孫を残すために変異していき、生き残れるものだけが生き残っていくのです。

このことは、進化生物学的に考えると、ウイルスに変異体が現れるのは当たり前なのです。

ウイルスは常に変異し続けて、半日から1日で世代交代をし続けます。

要するに変異株が出現するスピードは極めて早いわけです。

ウイルスは変異することにより、人の免疫カから逃れたり、ワクチンから逃れるわけです。

変異の過程で免疫力から逃れる、あるいはワクチンから逃れる仕組みを見に付けたウイルスは、その変異株が大勢を占めて流行してきます。

ワクチンの防御システムを破る変異株が出てくれば、感染源のある地域では、その変異株が一気に蔓延する可能性があります。

ワクチンは、その地域にある感染源に一気にできる限り多くの人に接種して、変異株が出現する前に感染源をなくすことが、進化生物学的に考えると大切なのです。

感染力のより強い変異株は、より生き残りに長けていたので、あっと言う間に従来のものと置き換わってしまうわけです。

無数の変異のなかに1個でも免疫をかいくぐる仕組みを持った変異株は、ワクチンの抵抗性を獲得したウイルスとして、あっと言う間に地域にそして全国に拡散してしまいます。最も大事なことは、ウイルスにそのような変異を起こす時間的なゆとりを与え無いことなんです。

変異してて流行をの時間を与えることは限りなく危険な行為だということになります。

進化はその突然変異を決して見逃しません!!、

そして瞬またたく間に抵抗性を持った変異株が蔓延してしまいます。

ウイルスは絶えず変異していて進化生物学的に考えると、ワクチン抵抗性を持ったウイルスはいつ出現しても不思議ではありません。

いったん変異株が現れると、ワクチン接種というウイルスに対しての選択圧から逃れたその変異株は、一気に蔓延してしまいます。

それはワクチンの開発そのワクチンに対する抵抗性ウイルスとの「鼬ごっこ」を繰り返し続けなくてはならなくなってしまいます。


2021年8月1日日曜日

新型コロナウイルスについて-35.モデルナアームとは何-

 ファイザー社製とモデルナ製新型コロナワクチンの両者もメッセンジャーRNAタイプのワクチンで同じ種類に属しますが、モデルナワクチンにはある特有の副反応”モデルナアーム”が出現することで話題になっています。

モデルナアームは、一時的なアレルギー反応の一種で、痒みやヒリヒリした痛みを感じますが、1週間ほどで自然に消えるので心配はありません。

モデルナアームは、接種後7日前後に起こります、海外では"COVID-arm(コビッドアーム)"とも呼ばれていますが、アメリカでモデルナワクチンの接種が始まった2021年1月にはすでに多数報告されています。

出現頻度は3~4%で、25~30人の接種につき1人ほど起こる計算となります。

起きるのはほとんどが女性(80%以上)で、若い年齢(中央値38歳)に明らかに多いことが分かっています。

人種による発症頻度の違いは未だはっきりしていませんが日本でも欧米と同程度の報告が確認されています。

接種した腕のみに出現し逆側の腕には見られず、おおよそ1週間程度で自然消退します。

またファイザー社製ワクチンでは1例も報告がなく、モデルナ社製ワクチンに特有の現象のようです。

モデルナアームは、遅延型アレルギー(IgG由来のアレルギー反応)の一種ではないかと考えられています。

現時点では、重症の即時型アレルギーであるアナフィラキシーとは関連がないとされていますので、仮に1回目の接種でモデルナアームが起きた人でも、2回目は予定通りのスケジュールで接種して問題ありません。

2回目の接種時も同様の症状が出ることが多く、皮膚症状の出現は1回目より少し早まることが多いですが、皮膚症状が重くなるということはないようです。

対処法としては、冷やしてかゆみを抑える、もし、痛みが酷く我慢できない時は、アセトアミノフェンやロキソニン、イブプロフェン等の非ステロイド性抗炎症薬の内服で軽くなることもあります。

ステロイドなどの抗炎症薬の塗り薬を使用する、などの対応をして自然に治まるのを待ちます。

症状が特に酷い、または数日経過しても症状が治まらない時は、皮膚科医に相談することをお勧めします。

またワクチン接種の2回目は逆の腕に接種することが一般的ですが、同じ腕に接種してはいけないということはありません。

2回目のワクチン接種時の問診時に、腕にどのような症状が出たかを医師に伝えて下さい、その意志の判断で1回目接種した反対側の腕に接種するように言われた場合はその指示に従って下さい。

【モデルナアーム】




2021年7月25日日曜日

新型コロナウイルスについて-34.ワクチンの有効率とは?-

 ある種のワクチンを接種して、有効率95%というと「ワクチンを打った100人のうち95人が発病しない」という意味ではありません。

それではこの有効率とはどのようにして計算するのでしょうか?

例えば、新型コロナウイルスのワクチンを接種した場合で考えてみますと、

新型コロナウイルスワクチンを接種していない状態の人が100人いて、その100人のうち50人が新型コロナウイルスに感染した仮定とします。

その100人が新型コロナウイルスのワクチンを接種した場合、新型コロナウイルスに感染した人は5人としますと、ワクチンを接種していない場合と比べて発病者数は45人減少したことになり、割合に直すと90%減ったことになります。

この「ワクチンを打たなかったときに発病した人数が、ワクチンを打ったら何%減ったか」という割合が“有効率”なのです。

実際の数値を当てはめて計算してみますと、

Ⅰ.ワクチン接種した人の合計21500人

・発症者8人(X)

Ⅱ.ワクチンを接種しなかった人の合計21500人

・発症者162人(Y)

有効率の計算式は以下の通りとなります。

◎有効率=1-(X÷Y)

実際上記の数字を当てはめて計算しますと以下の通りになります。

◎有効率=1-(8÷162)=0.9506となり95%ということになります。

2021年7月18日日曜日

日本紅斑熱患者激増!!

2020年日本国内において日本紅斑熱の患者が420件と過去最多になっています。

本症は紅斑熱群リケッチアの一種の"リケッチア・ジャポニカ"を保有するマダニに刺咬されて感染しますが、ヒトからヒトへの感染は起こりません。

媒介ダニは、キチマダニ、フタトゲチマダニ、ヤマトマダニなどで、これらのマダニに咬まれることによって感染します。

千葉以西の太平洋側を中心に発生していましたが、近年では青森や新潟などに拡大しています。

野山に入ったときにこれらのマダニに刺咬され感染しますが、全てのダニがリケッチアをもつわけではなく、リケッチアをもつ"有毒ダニ"に刺咬されたときだけ感染します。

【症状】

有毒マダニに刺咬された2~8日後に頭痛、発熱、倦怠感を伴って発症します。

ツツガムシ病と同様に発 熱、発疹、および刺し口が主要三徴候で、ほとんどの症例にみられます。

【検査所見】

ツツガムシ病と同様にCRPの上昇、AST ALTの上昇、白血球減少および血小板減少などがみられます。

【診断法】

確定診断は主に、間接蛍光抗体法による血清診断があります。

病原体診断としては、末梢血中からのリケッチアDNA 検出検査があります。

【治療法】

第一選択としてテトラサイクリン系の抗菌薬を使用します。

【致死率】

およそ0.91%と言われています。

【予防法】

むやみに野山に入らないようにするのが一番の予防策ですが、やむを得ず立ち入る際には、

1.皮膚の露出を少なくしダニの付着を防ぐ

2.ダニ忌避剤を使用する

3.帰宅後入浴し、注意深く付着ダニの除去を行う。

この際、感染を防ぐためダニを指でつぶさず、頭部をピンセットなどで摘んで除去する。

【ご注意】

最近のキャンプブームで野山でのキャンプをする人が増加しています、その結果感染者は広がる傾向にありますのでくれぐれも感染対策を行いマダニに咬まれないように気をつける必要があります。

2021年7月11日日曜日

新型コロナウイルスについて-33.デルタ変異株-

 現在世界各国でデルタ変異株が大流行してます。

現在ワクチンしか予防策がないとされていますが、果たしてそうなんでしょうか?

デルタ変異株はインドで流行が始まり、イギリス、米国でも流行してます。

2021年7月9時点での報告では、先月の6月1ケ月の人口100万人あたりの感染者数はインドのデリーでは88%減少していますが、ロンドンでは逆に398%増加してます。

この違いはイベルメクチンを使用したインドは、デルタ変異株は大幅に減少しているとの分析がなされています。

ではなぜアフリカでは新型コロナウイルの感染は拡大していなのか?

現在のアフリカでのワクチン接種率は、1%以下です、この理由はワクチンの費用が高くて購入できない国が多いからです。

しかし新型コロナウイルの流行は先進国に比べて感染者数が少ないという事実があります。

アフリカでは寄生虫感染症のオンコセルカ症があります。

この治療薬としてイベルメクチンが使用されています。

その結果イベルメクチンは数億人のオンコセルカ症の患者を救いました。

アフリカではイベルメクチン使用後に新型コロナウイルスの流行が始まりましたが、先進国のように大流行していません。

この結果イベルメクチンは新型コロナウイルスに有効であると多くの専門家が指摘しています。

2021年7月8日のネイチャー誌には、デルタ変異株は過去の新型コロナウイルスの感染やワクチン接種で体内にできた抗体を回避するとの報告がされています。

ワクチン接種が進んだイギリスやイスラエルでのデルタ変異株の流行がこれを証明しています。

日本人の大村智博士の開発したイベルメクチンを再度見直、治療薬としての有効性を早急に科学的に分析すべきと思います。

海外ではデルタ変異株に対するイベルメクチンの効果は評価されているのになぜ日本政府や医療関係者は検討しないのかは疑問で思います。

更に日本のメデイアもデルタ変異株に対するイベルメクチンの有効性を報道をしないのはなぜなんでしょうか?

皆さん疑問に思われませんか??