血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2016年4月15日金曜日

セカンドオピニオン-3.利用することの意味合い-

セカンドオピニオンを利用する際の注意として、ファーストオピニオン(はじめの意見)を大切にする必要があります。

セカンドオピニオンを利用したがどの意見を選んでよいかわからなくなってしまうことのないように、最初に求めた担当医の意見(ファーストオピニオン)を十分に理解しておくことが重要となります。

最初の診察で、自分自身の病状・進行度、なぜその治療法を勧められるのかなどについて十分に理解しないまま、セカンドオピニオンを受けてもかえって混乱する結果となってしまいセカンドオピニオンを利用した意味がなくなってしまいます。

以下にセカンドオピニオンを利用する際の注意事項をまとめてみました。

1.セカンドオピニオンを受けるためには、担当医に、セカンドオピニオンを受けたいと考えていることを伝えて診療情報提供書(紹介状)、血液検査や病理検査・病理診断などの記録、CTやMRIなどの画像検査結果やフィルムを準備してもらう必要があります。

2.セカンドオピニオンを受ける医師や病院の選び方としては、最近では"セカンドオピニオン外来"を設置しているところがふえています。

3.セカンドオピニオンをどこで受けるかがわからない時には、がん診療連携拠点病院などのがん相談支援センターに問い合わせると、その地域のセカンドオピニオン外来を行っている病院や、専門領域などの情報を得ることができます。

4.ガンと診断されて手術を勧められたけれでも手術よりも放射線治療を検討したいといった、具体的な治療方法に関する希望がある場合には、ガンの放射線治療を専門とする医師にセカンドオピニオンを受けるという方法もあります。

5.セカンドオピニオンを受けるために必要な手続き(受診方法、予約、費用、診察時間、必要な書類など)は、医療機関によって異なりますから事前に確認が必要となります。

6.セカンドオピニオン外来は、基本的に公的医療保険が適用されない自費診療で、病院によって費用が異なることも念頭に入れておく必要があります。

7.セカンドオピニオンを受けるときには、限られた時間を有効に利用するために何を相談したいかを事前に整理しておく必要があります。

2016年3月28日月曜日

セカンドオピニオン-2.利用するには-

セカンド・オピニオンを求める場合、まずは主治医に話をして他の医師への診療情報提供書を作成してもらう必要があります。

そして紹介先を受診し意見を求めることになります。

意見を求められた医師は、これまでの治療経過や病状の推移を把握しないことには適切な助言をすることが難しいからです。

現在かかっている医療機関からの資料は、セカンドオピニオンを求められる側の医師にとって、患者の状態を客観的に評価し、適切な助言を伝えるために非常に重要な情報となりうるわけです。。

しかし、意見を求められた医師が新たに検査を実施することも当然あります。

セカンド・オピニオンは、診療ではなく相談になるため、健康保険給付の対象とはならず、全額自己負担となります。

しかし、保険医療機関を受診し保険証を提示して、患者が一般外来での保険診療を希望する場合は、保険診療の取扱いとなります。

2016年3月16日水曜日

セカンドオピニオン-1.これは何??!!-

セカンドオピニオンとは、現在診察・治療を受けている主治医以外の医師に治療法の意見を求めることを言います。

セカンドオピニオンが広がっている背景には、主治医のみに診療を任せるのではなく患者自身やその家族も治療の決定に関わる医療に変化してきたという社会背景があります。

医療は常に進歩し続け次々と新しい治療法が開発されています。

現在の医療は専門性が高まった背景により、医療全ての分野を一人の医師が把握することは到底出来ません。

更に医師個人や医療機関によって当然受けられる治療法は異なるここと、全て最良の治療を受けることは出来ません。

現在の医療情勢下では、患者自身や家族にとって最善だと思える治療を患者と家族と主治医との間で判断するために別の医師の意見を求めることが必要となってきています。

セカンドオピニオンは、治療を受ける医師を変えるとの誤解がありますが、医師を一方的に変えるのではありません。

今治療を受けている医師や医療機関に対して、不満などがある場合には転院・転医となりますが、セカンドオピニオンを受けることが即転院・転医にはなりません。

セカンドオピニオンを受けたのち、結果的に別の医師が提供する治療を受けるために医師を変えることは当然あります。

主治医との関係が悪くなることを心配してセカンドオピニオンを言いだせない人も多くおられるのが現実ですが、主治医と共に最良の治療を選択するということがセカンドオピニオンの前提ですから今治療を受けている主治医との関係が悪くなることはありません。

自分がこれから受ける治療法について納得するためにもセカンドオピニオンは必要となります。

現実的な問題としてセカドオピニオンを正しく理解していない医師や、プライドの高い医師がセカンドオピニオンを取得したいと申し出た患者さんに対して転院や転医を薦める場合がありますので、そこは医師を見極める必要があります。

セカンドオピニオンを否定する医師と共に今後の治療を続けていけるのかどうかをよくよく吟味する必要があります、なぜなら一つしかない命を預けるわけですから。

2016年2月23日火曜日

アレルゲン検査-MAST33-

陽性頻度の高い代表的なアレルゲン33項目を一度に測定可能な検査です。

【アレルゲンの項目】

Ⅰ.吸入系アレルゲン 15項目

花粉

1.スギ
2.ヒノキ
3. ハンノキ春~夏
4. オオアワガエリ春~夏
5. カモガヤ春~夏
6. シラカンバ夏~秋
7. ブタクサ夏~秋
8. ヨモギ

室内ダスト

9. ハウスダスト
10. コナヒョウヒダニ
11. イヌ皮屑
12. ネコ皮屑

真菌

13. アルテルナリア
14. カンジダ

その他

15. ラテックス
※ラテックス手袋で皮膚炎を起こす人や、小児ではゴム風船などにも注意が必要※

Ⅱ.食物系アレルゲン

1. 卵白
2. オボムコイド
3. 牛乳
4. 小麦
5. ソバ
6. エビ
7. カニ
8. ピーナッツ
9. 大豆
10. コメ
11. ゴマ
12. 牛肉
13. 豚肉
14. 鶏肉
15. マグロ
16. サケ
17. バナナ
18. キウイ

【検査に必要な血液量】

血清0.5mlで検査可能です。

【陽性となった場合】

MASTで陽性となった場合どのアレルゲンで陽性反応となったかがわからないことから、
項目の経過観察にシングルアレルゲン検査を行う必要があります。

【判定基準】

MASTクラス  
  0       0 ~ 1.39ルミカウント     判定・・・・ 陰性
  1       1.40 ~ 2.77ルミカウント     判定・・・・疑陽性
  2       2.78 ~ 13.4ルミカウント    判定・・・・陽性
  3            13.5 ~ 58.0ルミカウント    判定・・・・陽性
  4           58.1 ~ 119ルミカウント   判定・・・・陽性
  5           120 ~ 159ルミカウント    判定・・・・陽性
  6           160 ~ 200ルミカウント    判定・・・・陽性

2016年2月8日月曜日

脂質検査-5.LH比-

【LH比とは】

脂質異常症の診断で最近"LH比"が重視されています。

LH比とは、LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値で示される比率です。

LDLとHDLは別々に考えるのでなく、両方のバランスが重要とされ、LH比はその目安として注目されています。

【LH比は何故注目されているのか】

LDLコレステロールが140未満の人でも心筋梗塞になる場合もあることと、HDLコレステロールが高くてもまれに動脈硬化を起こすことが明らかになり、今まで言われてきた基準値内でも動脈硬化になる可能性が指摘され、そこで注目されたのがLH比です。

【基準値】

1.5以下・・・健康的な状態

2.0以上・・・動脈硬化の疑いあり

2.5以上・・・血栓ができている可能性あり

【LH比の考え方】

LH比が高いほど、血管中の悪玉のLDLコレステロールの比率が高く、善玉のHDLコレステロールの割合が低くなります。

従ってLH比が高いことは動脈硬化になりやすく、脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こす危険性が高くなります。

【LH比を下げるには】

LH比を下げるには、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールを減らし、かつ善玉コレステロールであるHDLコレステロールを増やす必要があります。

LDLコレステロールが正常値でも、HDLコレステロールが低めであれば、LH比は当然高くなります。

また、HDLコレステロールが正常値で、LDLコレステロールが高めの場合も同様となります。

重要な事は、LDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスです。

【LH比を下げる手段は】

LH比を下げるには、適度な運動を心がけること、禁煙、それから食生活に気を付けること、この3つが基本です。

2016年1月26日火曜日

脂質検査-4.LDLコレステロール-

LDLコレステロールは、肝臓でつくられたコレステロールを各臓器に運ぶ働きをしている低比重リポたんぱくですが、このLDLコレステロールが血液中に増えすぎると、血液内に使われなかった余分のコレステロールが残り血管に染み込んでしまいます。

これが動脈硬化を引き起こす原因となります。

この動脈硬化の最大の危険因子となるのが、一般的に「悪玉」と呼ばれているLDLコレステロールです。

【検査目的】

動脈硬化を促進するのはLDLコレステロールですから、正確に脂質異常症を判定するには、総コレステロールの値よりもLDLコレステロールを測定することが必要となります。

成人病検診や一般検診で検査されます。

【基準値】

70~139mg/dl

【異常値】

高値…脂質異常症、動脈硬化、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、肥満など

低値…肝硬変、甲状腺機能亢進症、先天性無βリポ蛋白血症、慢性肝炎など

【低LDLコレステロール血症とは】

低コレステロールでは低栄養や死に至るリスクが高くなることが認められており、その点からみると実は低LDLコレステロール血症も恐ろしいということを認識しておく必要があります。

"LDLコレステロール値が低いほど死亡率が高まる"、"LDLコレステロール値が低いほどがんの発症率が高くなる"といったデータ報告があります。

また、LDLコレステロール値が低いと、"血管が破れやすくなる"、"免疫力が低下する"、"貧血を起こしやすくなる"ともいわれています。

【おまけ】

総コレステロール値に関係なく、LDLコレステロールの値が高いというのが良くありません。

高い場合には過食を避けて運動量を増やすように生活を改める必要があります。


2016年1月17日日曜日

脂質検査-3.HDLコレステロール

血液中のコレステロールは、たんぱく質と複合体を形成してリポタンパクとして存在しています。

リポタンパクは、比重の重さによって高比重リポタンパク(HDL:high density lipoprotein)、低比重リポタンパク(LDL:low density lipoprotein)、超低比重リポタンパク(VLDL:very low density lipoprotein)、カイロミクロン(cylomicron)の、4種類に分類されています。

これらの内、コレステロールを主に運んでいるのがHDLとLDLで、HDLに運ばれているコレステロールをHDLコレステロール、LDLに運ばれているコレステロールをLDLコレステロールと呼んでいます。

HDLコレステロールは、血液中の余分なコレステロールを回収して肝臓に運び戻し、動脈硬化を防ぐことから、"善玉コレステロール"とも呼ばれています。

【検査目的】

HDLコレステロールの値を調べることで、動脈硬化などのリスクがわかります。

【基準値】

40~70mg/dl

※検査方法や施設によって若干異なります※

【異常値】

低い場合・・・脂質代謝異常、動脈硬化、糖尿病、心筋梗塞、高血圧など

総コレステロールや LDL, 中性脂肪が正常でも、動脈硬化が進行し「高血圧、糖尿病、肝硬変、虚血性心疾患」などが発生しやすくなります。

高い場合・・・コレステロール転送たんぱく欠損症

総コレステロール値も高くなっていることが多く、やはり望ましいことではありません。

【受診時または検査時の注意点】

HDLとLDLのバランスが重要で、コレステロール値が高めでもHDL値が高く、LDL値が低めなら問題がありません。

逆の場合は、将来狭心症や心筋梗塞などの病気を招く危険性が高いので注意が必要となります。

【おまけ】

HDLコレステロールは、上記でも記しましたように、各組織からコレステロールを肝臓に運ぶ働きがあり、抗動脈硬化作用があるため、高いほうが冠動脈疾患になりにくいといわれています。

現在のところ、HDLコレステロールが低い場合や、高HDL血症のように高すぎる場合も注意が必要です。

男性より女性のほうが高い値を示しますが、閉経後はほぼ同じ値を示します。

これは女性ホルモン(エストロゲン)が影響しているためです。

エストロゲンは、LDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロールを増やす働きがあるために、閉経によってエストロゲンの分泌量が低下すると、HDLコレステロールは閉経前よりも低い値となります。

適度な運動、適度な飲酒はHDLコレステロールを増加させる傾向があります。

喫煙する人やや肥満の人は、HDLコレステロールが減少する傾向があるので注意が必要です。

※LDLコレステロールについては次回解説いたします※