血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2023年4月2日日曜日

2022年1年間のHIV感染者といきなりエイズの現状

 全国の保健所や医療機関などでHIVへの感染が確認された人は速報値で870人でした。


前の年より187人、率にして18%減少していて、過去20年で最も少なくなりました。


この減少は本当に減少しているのか、それとも新型コロナウイルス流行に伴う検査を受ける人の減少による減少なのかは分かっていません。


現在梅毒の大流行が続いていることからしても、HIV感染者数は本当に減少しているとは言い切れません。


また、2022年1年間に"いきなりエイズ"の数がおよそ30%も存在していました。


このことはHIVに感染するような危険な行為をして、検査を受けずに放置して体調が悪くなった時までHIV検査を受けない人が多いということになります。


当然のことながらHIV感染が判明したときにはすでにエイズを発症してしまっていたということになります。


HIVに感染するような行為をしてしまったときには、必ず適切な時期に検査を受けて"いきなりエイズ"だけは防ぐことです。


早期に発見して早期に治療することによりエイズの発症は抑えることが可能となっています。


一度エイズを発症してしまうと治療の効果が悪くなってしまいます。


2023年3月26日日曜日

現在の梅毒流行の現状-17.梅毒の治療の際に起きる発熱について-

 梅毒の治療に抗生物質を投与されると、1~4時間以内に発熱、筋肉痛、悪寒、頭痛といった症状が出るケースがあります。


そしてこの症状は、24時間前後で収まります。


これをヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応(Jarisch-Herxheimer reaction:JHR)と言います。


ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応とは、梅毒トレポネーマに対する免疫反応によるものと考えられていて、 発熱は24時間以内に解熱しますが、アセトアミノフェンなどの解熱剤が使用される場合もあります。


この反応は抗生物質の投与から24時間以内に、10%~35%の人で発熱・頭痛・悪寒・全身の倦怠感・皮疹が生じることがありますが、自然に改善していきます。 


これが起きる原因は抗生物質を投与することで、抗生物質によって梅毒トレポネーマが大量に破壊されたときに生じる物質が原因と言われています。


この反応を知っておかないと治療を受ける上でかなり不安になるので、よく理解しておく必要があります


ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応は、持続性ペニシリン注射剤に依ってだけ起こるのではなく、その他のペニシリン系抗菌剤でもおこります。


ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応は、起きてもすぐに収まりますし、これが起きたから梅毒が悪化するわけでもありませんので心配はありません。

2023年3月19日日曜日

現在の梅毒流行の現状-16.梅毒トレポネーマ感染予防はどうすればよいのか-

 2023年3月19日時点でも梅毒の流行は収まることはなく、患者数は全国的に増加しています。


今回は梅毒トレポネーマの感染防止について解説させていただきますので、再度確認されて感染予防に努めてください。


梅毒は梅毒トレポネーマによって引き起こされる性感染症の1つで、感染者との性的接触によって感染します。


梅毒は放置すると、神経系や心臓に深刻な障害を引き起こす可能性があるため、予防は非常に重要です。


そして感染するような行為をしてしまったときには、必ず適切な時期に梅毒検査を受けて早期に治療することが必要です。


梅毒は抗生物質の投与で完治します。


以下は、梅毒感染を予防するためのいくつかの方法です。


1.セックスの安全を確保する


梅毒は、感染者との性的接触によって感染しますから、感染者がいる場合、セックスの際にはコンドームを使用することが重要です。


しかしコンドームでは完全に感染予防ができないということもお忘れなく。


2.定期的な検査を受ける


性的活動をする人は、梅毒の検査を受けることが推奨されます。


検査は、感染がなくても定期的に受けることが望ましいです。


感染が疑われる場合は、早期に治療を受けることが重要です。


3.感染が疑われる場合は早期に治療を受ける


梅毒は、早期に発見して治療を受けることで完治しますので、感染が疑われる場合は、速やかに皮膚科を受診してください。


4.他の性感染症の予防も重要


梅毒と同様に、他の性感染症も性行為によって感染しますので予防のためには、セックスの際には常にコンドームを使用することが重要です。


以上のような方法で、梅毒感染を予防することができますし、仮に感染していたとしても早期に発見され早期に治療することによって早期に完治します。


性的な健康を維持するためにも、定期的な検査と感染予防の意識を持つことが大切です。

2023年3月12日日曜日

現在の梅毒流行の現状-15.2023年2月下旬の梅毒患者の現状-

 2023年2月26日時点での梅毒患者数は、1937人と依然として高水準となっています。


直近の梅毒患者173人の病期を分析しますと、下記の通りです。


1.早期顕症Ⅰ期梅毒  75人


2.早期顕症Ⅱ期梅毒  54人


3.晩期顕症梅毒  3人


4.無症候梅毒  40人


5.先天性梅毒  1人


以上の病期を分析してみますと、


※1.梅毒トレポネーマに感染しても症状のない無症候梅毒が40人23%(40/173)も存在していることです。


このことは取りも直さず梅毒トレポネーマに感染しているにも関わらずそのことを知らずに放置している人が多いことを著しています。


従いまして、梅毒トレポネーマに感染するような行為をしてしまった場合は必ず適切な時期に梅毒検査を受けることです。


※2.先天性梅毒が1人存在していますが、これは梅毒が家庭内に深く浸透して、妊婦検診で梅毒検査を受けていないことが推測されます。


※3.梅毒トレポネーマに感染後3週間程度で症状の現れる早期顕症Ⅰ期梅毒患者は75人43.4%(75/173)と患者全体の半数以下しかないことは、早期に症状の出ない患者が多いことを物語っています。


※4.梅毒トレポネーマに感染後6~8週間程度で症状の現れる早期顕症Ⅱ期梅毒患者は54人31.2%(54/173)と患者全体の30%前後しかないことは、やはり早期に症状の出ない患者が多いことを物語っています。


3と4からも梅毒トレポネーマに感染しても明らかな症状の出ないことが多いので、梅毒トレポネーマに感染するような行為をしてしまった場合は必ず適切な時期に梅毒検査を受ける必要が有ることを証明しています。

2023年3月5日日曜日

現在の梅毒流行の現状-14.2023年2月中旬の梅毒患者の現状-

 国立感染症研究所は、2023年2月28日の感染症発生動向調査週報2023年第7週(2月13日~2月19日)で2023年の新規梅毒患者は、1687人と発表しています。


この患者数は、2022年年同期の累計報告件数1182件を40%以上も上回る数となっています。


このままの状態で患者数が増加すれば、2023年1年間の新規感染者報告件数は18000人を超える可能性となってきています。


要するに日本全国で梅毒流行が依然として続いていることになります。


この流行に危惧して多くの保健所では無料の検査を拡充しています。


梅毒トレポネーマに感染するような行為をしてしまったときには、必ず適切な時期に梅毒検査を受けてください。


受けるときの注意としては、保健所で実施している検査法をよく調べてどの様な検査を実施ているかを確かめて、適切な時期に検査を受けるようにしてください。


参考資料として以下に【東京都性感染症ナビ】を紹介しておきますので参考にしてください。


【東京都性感染症ナビ】

2023年2月26日日曜日

現在の梅毒流行の現状-13.TP法による梅毒即日検査を受ける際の注意点-

 イムノクロマト法によるTP梅毒即日検査は、梅毒トレポネーマに対する抗体(TP抗体)を検出する簡易検査法です。


血液で検査をして、およそ15分程度で結果が分かる簡易検査のため、一般的に広く利用されています。


この検査は梅毒トレポネーマに対する抗体を検出することから、カルジオリピンによるSTS検査(RPR検査)より偽陽性反応の出現率が低いのが特徴です。


STS検査(RPR検査)は、梅毒トレポネーマに感染しておよそ4週で陽性となりますが、TP法による梅毒即日検査は8週間が経過しないと陽性とはなりません。


即ち梅毒トレポネーマに感染する機会があってから、8週間が経過して受けないと信頼できる結果が得られません。


それ以前に受けるとTP抗体の量が少なく、梅毒トレポネーマに感染していても陰性(偽陰性)となってしまいます。


そのためTP法による梅毒即日検査を受ける時期は、感染する機会があってから8週間経過して受ける必要があります。


ここで注意しなければならないことは、保健所で実施している無料の梅毒即日抗体検査の殆どがTP法による梅毒即日検査です。


そのために早く感染を知りたいと考えて不安に行為から8週間前に検査を受けてしまいますと、仮に感染していたとしても陰性となってしまいます。


従いまして、保健所で実施している梅毒検査はどの様な検査であるかを事前に確かめて受ける必要があります。


かなりの人が保健所で誤った検査の受け方をしている人がいることが確認されています。


2023年2月19日日曜日

現在の梅毒流行の現状-12.梅毒トレポネーマ感染をいち早く知るには-

 2023年2月5日時点での梅毒患者数は、1113人と依然として日本国内で梅毒が大流行しています。


梅毒トレポネーマは性行為やキスなどのオーラルセックスでも感染します。


最近では梅毒トレボネーマに感染しても典型的な症状の出ない無症候性梅毒が増加しているしていることから、感染するリスクのある行為をしてしまったら、必ず適切な時期に梅毒検査を受ける必要があります。


早期発見して早期治療することにより服用する抗生物質の期間は短くなり、注射による治療も1回で済みます。


梅毒トレポネーマ感染をいち早く知る検査法として"IgM-FTA-abs検査"があります。


★※梅毒トレポネーマ感染を早く知ることが出来る検査法は、IgM-FTA-abs検査です※


IgM-FTA-abs検査はIgM型のTP抗体を検出するための検査法です。


梅毒に感染した初期には、IgM抗体が先に出来て、その後IgG抗体が出来ます。


このIgM抗体は、梅毒に感染後1週間程度で身体中にできることから、IgM-FTA-abs検査は梅毒に感染後1週間で受ければ信頼出来る結果が得られます。


★IgM-FTA-abs検査は、特殊な検査法ですが、どこの医院でも検査会社に依頼て受けることができますが、受けたいと医師に行っても、"当院では検査していない"・"そんな検査は知らない"・"そんな検査はない"と、言われるとの相談をよく受けますが、IgM-FTA-abs検査はどこの医院で受けることは可能ですが、現実としてIgM-FTA-abs検査を知らない医師も多くいます★


本来梅毒の専門診療科は皮膚科です、従って皮膚科専門医はIgM-FTA-abs検査のことを熟知していますのでIgM-FTA-abs検査を受けるのであれば皮膚科だけの看板を上げている皮膚科専門医を受診されることです。


ここで注意しなければならないことは、IgM-FTA-abs検査と勘違いしてしまう検査法としてFAT-abs検査があります。


FAT-abs検査は、IgG型のTP抗体を見つけますから、IgM-FTA-abs検査より遅く陽性となります。


FAT-abs検査は、感染後3~4週後にTPHA検査より早く陽性となりことから、STS陽性、TPHA陰性の場合の梅毒鑑別に利用されます。


梅毒トレポネーマ感染後早く陽性となる順番は、以下のとおりとなります。


1.IgM-FTA-abs検査


感染後1週間


2.FTA-abs検査


感染後3週間


3.STS検査(ガラス板法、RPR検査)


感染後4週間


4.TPHA検査


感染後5~6週間


5.迅速TP抗体検査


保健所等で使用されている検査


感染後5~6週間