血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2012年1月8日日曜日

性行為感染症検査-2.性器クラミジア検査-


性器クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスによって引き起こされる性行為感染症のひとつです。

男性の性器クラミジア感染症は、尿道に軽い炎症を引き起こし、排尿時に尿道が僅かに痛んだり、尿道から濃い分泌物が少し出ることから異常にに気づきますが、症状が軽い場合は、感染に気づくことはありません。

女性の場合は、全くといってよいくらい症状がなく、ほとんの人が感染に気づくことはありません。

仮に症状が出ても、わずかなおりものがや、不正子宮出血や下腹部痛が出る程度です。

男女とも多くの感染者が、感染に気づくことなく放置して、パートナーや第三者に感染させていることが危惧されています。

男性の検査法

早朝あるいは、排尿からかなり時間が経った後の排尿の最初の尿には、分泌物が多く含まれているのでこれを検査に使用します。

昔のようにペニスに綿棒を入れて検査をすることはありません。

尿でクラミジアの核酸増幅法(PCR法、およびLCR法)などの抗原検査法を行います。


女性の場合

子宮頸管から綿棒で組織の一部を拭い取り、その組織でクラミジアの核酸増幅法(PCR法、およびLCR法)などの抗原検査法を行います。

また、女性の場合は尿による検査は一般的には実施しません。

検査を受ける時期は、男女とも感染するリスクのある行為をした次の日から受けることができますが、余裕を持って1週間前後で受ければよいでしょう。。

※最近では、子宮頸部、尿道、肛門などを綿棒で軽くこすってその場でクラミジアを調べる迅速検査が多く利用されています。

※過去から現在までの間にクラミジアに感染したことがあるかどうかを血液で調べるクラミジア抗体検査もありますが、信頼性が低いことから検査を受ける価値はありません。

理由としては、血液でのクラミジアのIgG抗体とIgA抗体という2種類のクラミジア抗体を調べますが、過去の感染と現在の感染の区別化つきにくいことと、治療が完了してもIgG抗体だけでなくIgA抗体も陽性となることがあるために、感染中なのか治癒しているのは鑑別ができないからです。

2012年1月5日木曜日

性行為感染症検査-1.HPV検査-


HPV(ヒトパピローマウイルス)は、女性が生涯で50-80%が感染すると言われており、仮に感染しても、ほとんどが自覚症状もなく、生体の免疫力でHPVが体外へ排除されてしまうと言われており、ほんの一部の人がHPVを体内から排除できず、HPV感染が持続することで病気になります。

HPVが引き起こす病気としては、性器コンジローマ、子宮頸がん、腟がん、外陰がん、喉頭咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなどがあります。

子宮頸がんの99%が、HPVの持続感染が原因でがんになると言われています。

HPVは、100種類を超える型に分類されており、子宮頸がん発生に関連するHPVは13種類(16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68)で、これらをハイリスク型と呼んでいます。

またコンジローマの原因となる2種類の型(6、11)も存在します。

HPV検査は、グループ検査と型判定検査の2種類があります。いずれの方法においても子宮頸腟部から細胞を採取して検査を行うものです。

次に、HPVが男性に及ぼす影響ですが、現時点ではHPVが男性に与える影響については、不明な点が多く、稀に高リスク型HPVが陰茎がんなどを引き起こすことがあります。

しかし、これは、子宮頚がんの発生に比べてはるかに低い頻度です。

男性の場合は、入浴の際に陰茎亀頭部周辺を綺麗に洗う事によって陰茎がん発生の予防が可能だからです。

男性がHPVに感染すると、HPVが尿道から前立腺内に侵入して留まり、精液の中に混じり排出されることがあるので、HPVの混ざった精液によってセックスパートナーへ感染する可能性も当然あります。

女性のHPV検査は、積極的に行われていますが、男性のHPV検査はあまり行われていません。

その理由としては、陰茎以外にも肛門周辺、肛門内、尿道口、陰茎亀頭部周辺にもHPVは存在するため検査範囲が広すぎるためです。

更に、HPVに感染しても症状が殆ど無いことからして、感染していても気づくことがないことから、積極的にHPV検査を受ける男性はほとんでいないようです。

1.グループ検査

子宮頸がんの発生に関連の深い13種類のHPV感染の有無を判定する方法で、13種の型のいずれかに感染していれば陽性となりますが、どの型に感染しているかを特定することはできません。

2.型判定検査は

どのHPV型に感染しているのかを調べる検査です。

2012年1月1日日曜日

明けましておめでとうございます。

急な用務で更新が遅れていますが、数日後から更新を開始いたしますのでご期待ください。

今年も皆様のお役に立てる情報を発信して行きますので、よろしくお願いします。

血液の鉄人

2011年12月26日月曜日

腫瘍マーカー6.SCC(扁平上皮癌関連抗原、squamous cell carucinoma-related antigen)-


6.SCC(扁平上皮癌関連抗原)

SCCは、扁平上皮がん細胞から抽出された抗原で、腺癌がん未分化がんで陽性率は低いが扁平上皮癌がん高い陽性率を示す。

血液中のSCCは、子宮頚部、肺、食道、皮膚の扁平上皮がんで高値を示し、扁平上皮がんの診断や治療効果の判定に利用されます。

がん以外にもアトピー性皮膚炎や気管支炎、結核、腎不全などでも高値を示すことがあります。

SCCの基準値

1.5ng/ml以下

SCCの測定値が基準を超えた場合は、子宮がん(頸部扁平上皮がん)、肺がん、食道がん、頭頸部がん、子宮筋腫などが疑われます。

症状と合わせて判断し、食道がんが疑われる場合は、上部消化内視鏡検査、肺がんの場合は、気管支内視鏡検査や痰の中の細胞を診る喀痰検査、子宮頸部がんの場合は膣細胞診などを行って、診断を下します。

※がんがなくても、喫煙者では高くなることがあります。

2011年12月23日金曜日

腫瘍マーカー5.CA19-9(carbohydrate antigen19-9)-


5.CA19-9(carbohydrate antigen19-9)

CA19-9は、ルイス(Lewis)式血液型物質に関連した腫瘍マーカーのひとつです。

血液中のCA19-9は、消化器系の腫瘍のスクリーニングなどに用いられますが、特に膵臓・胆道がんや胃がん、大腸がん、肝臓がんで基準値が高くなりま。

その為に膵臓・胆道がん治療効果の判定や再発の早期発見に効果を発揮する検査です。

さらに肺がん、乳がん、卵巣がんなどでも高値を示します。 CA19-9の数値が高く、CA-125やCA-50なども高値のときは、婦人科系のがんが疑われ、これらの腫瘍マーカーをあわせて検査することは卵巣がんの早期発見に有効です。

そのほか、糖尿病、慢性肝炎、胆石症、胆嚢炎、慢性膵炎、子宮筋腫、良性卵巣腫瘍などでも陽性となります。

CA19-9の基準値

37U/mL以下

1.基準値が2倍を超えた場合

膵臓をはじめとする消化器系の臓器など、腺細胞(消化器や生殖器の一部を作っている細胞)でできているところのがんがあるかどうかを、腹部超音波検査や腹部CTなどで精密検査します。

2.基準値が2倍以内の場合

がんの存在を疑って検査を進めますが、がん以外でもこの程度は上昇することがあり、がんが見つからないときは経過を観察します。

CA19-9が高値を示すと、すい臓がんや胆道がんなど、消化器系のがんが疑われますが、
肝硬変、肝炎、慢性膵炎、胆石症などの、がんより良性の病気でもCA19-9が増加する事がありますが、その場合は37~100U/mlとほとんどが比較的低い数値となります。

数値が100U/ml以上の場合は、がんである確率が高いので、がんが発見できない場合でも経過観察が必要になります。

2011年12月20日火曜日

腫瘍マーカー4.CA15-3(carbohydrate antigen15-3)-



4.CA15-3(carbohydrate antigen15-3)

CA15-3はヒト乳脂球の膜上に存在する抗原(MAM-6)を使って作製した抗体が認識する抗原です。

血液中のCA15-3は、乳がんに対する特異性は高いが、原発乳がんよりむしろ進行性乳がんや再発乳癌がんの陽性率が高いため、再発の予知や治療効果の判定として有用な腫瘍マーカです。

そのために、乳がんのスクリーニング検査として用いられています。

さらに乳がんの再発・転移の追跡に有用とされています。

CA15-3の基準値

30U/ml以下

1.進行がんになると、基準値を超える率は10%以上となり、再発例では40%以上となります。

2.再発部位により基準値を超える率は異なり、リンパ節や骨への転移では約30%であるのに対して、肝臓などの内臓転移では75%と高率に基準値を超えます。

3.卵巣がんや肺がん、前立腺がんでも数値は上昇し、がん以外の病気では、子宮内膜症や骨盤炎症性疾患、肝炎でも高値を示します。

さらに、CA15-3は加齢と共にやや上昇傾向を示しますが、妊娠前期には低値となります。

検査値が基準値を超えた場合には、CEAなど他の腫瘍マーカーの検査をしたり、胸部X線検査、骨シンチグラム、CT検査などを組み合わせてがんの存在を確認する必要があります。

2011年12月16日金曜日

腫瘍マーカー3.CEA(癌胎児性抗原)-


3. CEA(癌胎児性抗原)

CEAは大腸癌組織の抽出物で、胎児の消化管にも存在する癌胎児性抗原です。

血液中のCEAは、食道、胃、直腸等の消化器系の腫瘍マーカーとして広く用いられていますが、進行性胃がんの30~40%にしか検出されません。

乳癌や卵巣癌などの多くの腫瘍で高値となるため臓器特異性が低いことから、CEAの検査のみでがんの診断はできません。

また、CEAが高くなる場合は、進行がんが多く、早期がんの診断には適さないので注意が必要です。

CEAの基準値

5.0ng/ml以下

CEAの値が高値である場合、体のどこかにがんがある可能性が高いので、症状にあわせてほかの血液検査やX線造影、超音波、CTなど消化器系を中心に精密検査も必要になります。

また、CEAが高値を示した時のがんは進行性であり、CEAの高値ががんによる場合は上昇傾向を示すため、1~2ヵ月後に再検査を行い、これで変動がなければ、高値でも問題のないときもあります。

しかし、基準値の倍以上ではがんの疑いが濃厚、4倍以上では転移がんが疑われます。

健康な人でも約3%の人は基準値を超える場合があるのと高齢でもやや上昇する傾向があります。

がんを切除したり、抗がん剤治療でがんが縮小したりするとCEAの値は低下します。

※CEAは、ヘビースモカーでも疑陽性となることがあります。