血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2014年1月10日金曜日

痛風の検査-2.尿酸について-

尿酸とは、プリン体と呼ばれる物質の代謝産物で、このプリン体を多く摂取すると高尿酸血症となり、痛風を引き起こすことになります。

尿酸の結晶は比重が高く重力に引かれて足部に沈着しやすいため、痛風発作(痛風性関節炎)は足趾(特に母趾MP関節)に好発します。

アルコールは肝臓で尿酸が作られるのを促進し、血液中の尿酸濃度を上昇させることから痛風のリスクを高めることになります。

すべてのアルコールが血液中の尿酸濃度を上昇させるリスクが有るわけではなく、

1.ビールは最もリスクが高い。

2.ワインは痛風のリスクを高めることはない。

3.焼酎やウイスキーはそれほど痛風のリスクは高くはありません。

食べ物にも痛風を引き起こすリスクを有するものはあります。

肉特にレバーや魚(カツオ・イカ類・マイワシの干物)に含まれるプリン体も痛風のリスクを高めるますが、野菜に含まれるプリン体は痛風のリスク高めることはなく、果糖は急速に代謝されてアシドーシスを引き起こしやすく、酸性下で尿酸が析出しやすくなります。

このことからして、果糖を構成体に持つ砂糖の多いドリンクを好んで飲用したり、果糖を含むフルーツジュースの摂取も痛風のリスクを増大させる原因の一つとなっています。

見逃しやすいのは、健康食品にも多くのプリン体が含まれているものがあるということです。

特に、DNA/RNA、ビール酵母、クロレラには極めて多くのプリン体が含まれていますで、注意が必要です。

2014年1月1日水曜日

恭賀新春

新しい年を迎え皆様方のご健康をお祈り申し上げます。

本年も皆様方のお役に立てるよう、臨床検査についてわかりやすく尚且つ最新の情報が提供できるように頑張っていきます。

また様方のご支援をよろしくお願いいたします。

血液の鉄人

2013年12月31日火曜日

痛風の検査-1.痛風とは何?-

痛風は西洋では古くから知られた病気ですが、日本においては明治以前までは存在しなかった病気とされています。

痛風が日本で増加し始めたのは1960年代からです。

この原因として考えられることは、食生活が欧米化し動物性タンパク質や動物性脂質を取りすぎるようになったことが指摘されています。

現在日本では、およそ60万人の痛風患者が存在すると推定されています。

そして患者の90%以上が男性で、年齢層としては40~50歳代に多く存在しています。

女性の場合は、ほとんどが閉経後に痛風となり生理がある間には痛風にはなることはまずありません。

その理由としては、女性ホルモンの一種のエストロゲンが関与しています。

エストロゲンは体内の尿酸をスムーズに体外へと排出させる働きがあることから、エストロゲンの分泌のない男性は尿酸値が高くなります。

一方、女性はエストロゲンのおかげで痛風に罹りにくいわけですが、卵巣からエストロゲンの分泌が止まる時期、つまり閉経後は痛風に注意する必要があります。

痛風は、高尿酸血症を原因とした関節炎を引き起こす疾患で、発作の箇所の痛みが風が吹く様に足・膝・腰・肩・肘・手や胸骨など全身の関節を移動し、そして風の副強さが強まったり穏やかになったりする様に痛みが激しくなったり和らいだりを繰り返すことから命名されたとされています。

また、風にあたっても激しく痛むからとの説もあります

痛風になると関節に激烈な痛みが起こりますが、この痛みは耐え難いものです。

患部の腫れた箇所の側を猫が通った時に起こるかすかな空気の動きでも激痛が走るとも言われています。

2013年12月4日水曜日

マイコプラズマ肺炎の抗原検査

マイコプラズマ肺炎は、ほとんどの人の咽喉に生息しているマイコプラズマニューモニアという病原体によって引き起こされる肺炎です。

マイコプラズマは、感染力が弱く、発病率も低いため健康な人の場合はまず発病しません。

しかし、体力が低下している時や、咳をしている人の近くにいてマイコプラズマを一度にたくさん吸い込むと発病します。

日本人の場合、5歳までに65%の人が感染し、成人になるまでに97%の人が感染しています。

マイコプラズマの潜伏期間は1~3週間程度で、一般的な症状はせき、発熱、頭痛、倦怠感で、普通の風邪と見分けがつかず診断や治療・入院が遅れる場合がが多くみられます。

普通の風邪と異なるのは、咳に痰がからまず長く続き、胸や背中の筋肉が痛くなることがあるという点と、38度以上の高熱を伴うということです。

秋から冬にかけて流行することが多く、一度流行すると広範囲に広がり、6~7ヶ月間程度蔓延し、一昔前まではオリンピックの開催時期に流行したため"オリンピック病"とも呼ばれていましたが、最近は毎年のように流行しています。

マイコプラズマに感染すると、免疫を獲得しますがこの免疫は生涯続く免疫ではなく、再感染する場合が多いです。

殆どの場合、抗生物質の投与で完治しますが、最近では抗生物質の効きにくいマイコプラズマ肺炎もかなり増加してきています。

【マイコプラズマ肺炎の検査】

血清抗体検査がありますが、この検査では血液中にマイコプラズマ抗体ができていないと感染していても陰性となってしまいます。

しかし、マイコプラズマの抗原を見つける検査では、マイコプラズマに感染すれば直ぐに検出可能となります。

【リボテスト マイコプラズマ】

イムノクロマト法による検査で、マイコプラズマの“L7/L12”に固有な領域を識別するモノクローナル抗体を用いることにより、咽頭うがい液を使用して、15分で判定できます。

【判定方法】

陽性:コントロールラインとテストラインの両方に赤紫色のラインが出現。

陰性:コントロールラインのみに赤紫色のラインが出現。

判定不能:コントロールラインに赤紫色のラインが認められない(再検査)。

※テストラインに赤紫色のラインが出現してもコントロールラインに赤紫色のラインが認められない場合も判定不能とし、再検査を実施します※

2013年11月27日水曜日

HIVのリアルタイムPCR検査


この検査は、HIV-1の遺伝子の一部である核酸を化学的に増幅させて調べる検査法です。

HIV-1の遺伝子の一部である核酸を化学的に増幅させて調べる検査ですから、感染してから11日以降に受ければ信頼できる結果が得られます。

HIV-1の遺伝子の一部である核酸を調べる検査法ですから、当然のことながらHIV-2を検出することは出来ません。

2013年11月現在、HIVのリアルタイムPCRではHIV-2を検出することは出来ません。

※一部研究室レベルでは、特殊なPCR検査法でHIV-2を検出出来る検査法が行われていますが、一般の医療機関やクリニック、保健所ではこの検査を受けることは出来ません※

※血液センターで実施されているNAT検査は、HIV-2を検出することは可能ですが、NAT検査は血液センター専用の検査ですから医療機関やクリニック、保健所ではこの検査を受けることは出来ません※

※※NAT検査でHIV-2が検出されるから、検査目的の献血は絶対にしてはなりません※※

2013年11月26日の厚生労働省と日赤発表のような献血血液からのHIV感染を引き起こすことになりますから(詳細は新医学と切手の極意の『医事通信』に掲載しております)。
                            ↓
                    http://tetsujin.hiho.jp/iji/iji.html

2013年11月20日水曜日

風疹抗体検査

風疹は、風疹ウイルスによって引き起こされる急性熱性発疹性疾患で、日本では"三日はしか"と呼ばれています。

子供が感染しても症状は軽くてすぐに治ってしまいますが、妊娠初期に妊婦が感染した場合は先天性風疹症候群が大きな問題となっています。

効果的な治療法は無く、ワクチンによる予防が最も効果的な方法です。

また、昔から風疹に一度感染した人は免疫ができて二度とかからないと言われていますが、歳を重ねるとともに風疹の中和抗体が低下して再度感染することが近年明らかになっています。

【感染経路と症状】

風疹ウイルスは感染者の鼻汁に含まれ、飛沫感染または直接接触によって感染します。

潜伏期間はおよそ2~3週で、初期症状としては微熱、頭痛、倦怠感、鼻水、せき、痛みのないバラ色の口蓋斑点が出現します。

顔、耳後部から、赤く癒合性のない点状の紅斑(発疹)が全身に広がり、多くは3~5日程度で消えますが、20~25%は発疹が出現しない人もあります。

大人が感染した場合は発熱や発疹の期間が小児に比べて長く、関節痛がひどいことがあり、一週間以上仕事を休まなければならない場合もあります。

【検査法】

血清を用いてのCF法(Comlement Fixation Test:補体結合試験)、HI法(Hemagglutination Inhibition Test:赤血球凝集抑制試験)、EIA法EIA法(Enzyme Immunoassay:酵素免疫測定法)などがあります。

※検査法によって判定基準が異なります※

【EIA法による判定】

・抗体価8倍未満:陰性

地域で風疹が流行していたり、風疹患者と接触すると感染するリスクが高くなるので、人ごみや子どもの多い場所をできるだけ避け、風疹ワクチンを接種するなどして、感染を防ぐ必要があります。

・抗体価8~45倍:適度の抗体がある

適度の感染予防抗体があるので、普通は心配ありませんが、風疹患者と濃厚な接触をした場合は追加検査を受ける必要があります。

・抗体価45倍以上:高抗体価(HI法及び、風疹IgM抗体を測定、またはIgG-EIA及び風疹IgMを測定して、最近の感染かどうかを調べる)

【IgM抗体とIgG抗体について】

IgM抗体は、感染直後からすぐに上昇し、その後徐々に減少して行きますが数ヶ月間は陽性となっています。

IgM抗体が陽性の場合は、風疹ウイルスに感染していると判断できます。

IgG抗体は、感染したあと約1ヶ月後より陽性となり、数ヶ月間から数年から10年間抗体価の高い状態が続きます。

【IgM抗体とIgG抗体検査による感染の判断について】

・IgG抗体が陽性でIgM抗体が陰性の場合は、過去に風疹に感染したか、風疹ワクチンを接種が原因と判断されます。

・IgM抗体が陽性でIgG抗体が陰性の場合は、最近感染したと判断されます。

・IgM抗体とIgG抗体が共に陰性の場合は、過去から現時点まで感染はなかったと判断されます。

2013年11月13日水曜日

ロタウイルス検査-ラピッドエスピー《ロタ》検査-

【ロタウイルスとは】

ロタウイルスはレオウイルス科に属するウイルスで、1973年に下痢を起こした患児から初めて発見され、電子顕微鏡で車輪のような形に見えることから、このウイルスはラテン語の「車輪」を意味する"ロタ(rota)"と命名されました。

【感染について】

ロタウイルスは、非常に感染力が強く特に免疫力の弱い小児(6ヶ月~2歳)期に必ずと言っていいほど感染する病気です。

症状としては、水のような多量の下痢便で、便の色も白っぽくなることから"白色便性下痢とも呼ばれています。

更に激しい嘔吐を伴うことも多いことから、"嘔吐下痢症"、"小児仮性コレラ"などとも呼ばれています。

秋から冬にかけて流行することから"冬季下痢症"とも呼ばれます。

ロタウイルスに汚染された唾液や便や食べ物が口から入ることにより、1~3日の潜伏期間をへて下痢が始まります。

ロタウイルスは、およそ1週間便中に排泄され感染源となります。

ロタウイルスは増殖力が強く、10個前後の少ない数が体内に入っても発症することがあります。

ロタウイルスは、嘔吐物や大便には多く含まれていますが、一部は飛まつとなって空気中を飛び回り、感染を繰り返しますから、家族でひとりの感染者が出ると家族全員が感染することがよくあります。

ロタウイルス感染は、乳幼児だけでなく、大人にも感染します。

免疫が低下した大人(とくに高齢者)は感染しやすくなりますので注意が必要となります。

【治療法】

ウイルスが原因なので、特効薬は無く対処療法のみとなります。

激しい下痢が起こりますが、下痢止めを使用すると逆にロタウイルスが排泄されず症状が長引くことがあるので使用しないで、下痢で失われた水分や電解質を補うことが重要となります。

嘔吐や下痢によってロタウイルスが体内から排出されれば、症状は速やかに改善しますので、普段健康な人は全く心配はありません。

乳幼児や小児の場合嘔吐を伴い飲み物が飲めない場合は、点滴治療が必要となります。

【ラピッドエスピー《ロタ》検査キットについて】

金コロイド粒子を用いたイムノクロマトグラフィーの原理に基づく簡易キットです。

採取した糞便を希釈用緩衝液中に十分に混ぜあわせた後に、サンプリングループを抜き取り、そのままの状態で、1~2分放置後、チューブ内に、テストストリップを矢印の向きが下向きになるように挿入し、ストリップの先を検体溶液に浸漬させた状態で15~30℃で、10分間静置反応させます。

【判定方法】

結果を目視判定します。

1. 陽性:テストストリップのコントロールラインと判定ライン両方に、赤~紫色のバンドが確認出来る。

2.陰性:テストストリップのコントロールラインのみに赤~紫色のバンドが確認され、判定ラインにバンドが確認出来ない。

3.判定保留:テストストリップのコントロールライン上に赤~紫色のバンドが現れない場合は、たとえ判定ラインに何らかのバンドが形成されたとしても、その試験結果は無効となり再度検査をし直す必要があります。

【注意点】

ロタウイルスに感染していても糞便中のロタウイルス抗原の濃度がキットの検出感度以下の場合や、糞便の採取が不十分であった場合にも陰性となる可能性があります。