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2013年11月20日水曜日

風疹抗体検査

風疹は、風疹ウイルスによって引き起こされる急性熱性発疹性疾患で、日本では"三日はしか"と呼ばれています。

子供が感染しても症状は軽くてすぐに治ってしまいますが、妊娠初期に妊婦が感染した場合は先天性風疹症候群が大きな問題となっています。

効果的な治療法は無く、ワクチンによる予防が最も効果的な方法です。

また、昔から風疹に一度感染した人は免疫ができて二度とかからないと言われていますが、歳を重ねるとともに風疹の中和抗体が低下して再度感染することが近年明らかになっています。

【感染経路と症状】

風疹ウイルスは感染者の鼻汁に含まれ、飛沫感染または直接接触によって感染します。

潜伏期間はおよそ2~3週で、初期症状としては微熱、頭痛、倦怠感、鼻水、せき、痛みのないバラ色の口蓋斑点が出現します。

顔、耳後部から、赤く癒合性のない点状の紅斑(発疹)が全身に広がり、多くは3~5日程度で消えますが、20~25%は発疹が出現しない人もあります。

大人が感染した場合は発熱や発疹の期間が小児に比べて長く、関節痛がひどいことがあり、一週間以上仕事を休まなければならない場合もあります。

【検査法】

血清を用いてのCF法(Comlement Fixation Test:補体結合試験)、HI法(Hemagglutination Inhibition Test:赤血球凝集抑制試験)、EIA法EIA法(Enzyme Immunoassay:酵素免疫測定法)などがあります。

※検査法によって判定基準が異なります※

【EIA法による判定】

・抗体価8倍未満:陰性

地域で風疹が流行していたり、風疹患者と接触すると感染するリスクが高くなるので、人ごみや子どもの多い場所をできるだけ避け、風疹ワクチンを接種するなどして、感染を防ぐ必要があります。

・抗体価8~45倍:適度の抗体がある

適度の感染予防抗体があるので、普通は心配ありませんが、風疹患者と濃厚な接触をした場合は追加検査を受ける必要があります。

・抗体価45倍以上:高抗体価(HI法及び、風疹IgM抗体を測定、またはIgG-EIA及び風疹IgMを測定して、最近の感染かどうかを調べる)

【IgM抗体とIgG抗体について】

IgM抗体は、感染直後からすぐに上昇し、その後徐々に減少して行きますが数ヶ月間は陽性となっています。

IgM抗体が陽性の場合は、風疹ウイルスに感染していると判断できます。

IgG抗体は、感染したあと約1ヶ月後より陽性となり、数ヶ月間から数年から10年間抗体価の高い状態が続きます。

【IgM抗体とIgG抗体検査による感染の判断について】

・IgG抗体が陽性でIgM抗体が陰性の場合は、過去に風疹に感染したか、風疹ワクチンを接種が原因と判断されます。

・IgM抗体が陽性でIgG抗体が陰性の場合は、最近感染したと判断されます。

・IgM抗体とIgG抗体が共に陰性の場合は、過去から現時点まで感染はなかったと判断されます。

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