血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2015年6月24日水曜日

膠質反応について-3.ZTT-

【ZTTとは】

Zinc sulfate turbidity test (硫酸亜鉛混濁試験)の頭文字を取った検査です。

【ZTTは何を調べる検査】

肝硬変などにより肝機能が低下すると、血清たんぱくのうちアルブミンが低下し、γ-グロブリンが上昇します。

γ-グロブリンが増加すると、肝臓の線維化、慢性肝炎や肝硬変に進展していることが疑われるため、この検査を実施してその程度を調べることができます。

γ-グロブリンの中のIgGとIgMと相関します。

ZTTは肝臓疾患を見つけるための検査というよりも、すでに慢性肝炎や肝硬変を発症した人の経過観察で、肝臓の症状が改善されているかどうかを確認するための指標によく用いられます

【どのようにして検査するのか】

検査前日の夕食の後は絶食し、翌日の空腹時に採血をし、血液を遠心分離し得られた血清成分に検査試薬の硫酸亜鉛バルビタール緩衝液を加えてその混濁の程度を測定することにより、IgGの量を測定します。

【基準値】

2~12 U(Kunkel単位)

※免疫機能の活性と比例するので、免疫機能を抑制する副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)や抗がん剤を長期投与していると、ZTTの数値は低くなります※

※基準値は医療機関によって異なる場合があります※

【異常値と疑われる疾患】

高値:高脂血症、急性及び慢性肝炎、自己免疫性肝炎、肝硬変、肝細胞がん、慢性炎症、膠原病など

低値:脂肪肝、胆汁うっ滞症、ネフローゼ症候群、糸球腎炎、骨髄腫、無グロブリン血症、糖尿病、

【異常が見られたら】

特異性が低い検査ですから、異常値となった場合には蛋白分画やAST、ALT、LDH、ALPなどの肝機能検査やCRP、抗核抗体、IgM-HA抗体など関連する検査を実施して総合的に判断します。

血液検査の前日に脂肪分の多い食事を取った場合にはγ-グロブリンが増加しやすくなり、数値が高くなる傾向があります。

【ZTTでHIV感染の判断はできるのか】

この検査は、血清中のγ-グロブリンの増加の度合いを調べる検査ですから、HIV感染に特異的な検査ではないのでHIV感染の判断には利用できません。


HIVに感染して肝機能障害やリウマチ,膠原病などがないにも係わらず,ガンマグロブリンの値やZTTの値が高値になる場合がありますが、ZTTの値が高値になったからHIVに感染しているとはいえません。

HIV感染の判断は適切な時期にHIV検査を受けないと分かりません。

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