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2025年10月23日木曜日

感染症速報-31.2025/26年シーズン:インフルエンザワクチン接種で流行に備えましょう!-

 💉日本ワクチン学会は、2025/26年シーズンのインフルエンザワクチン接種を**「強く推奨する」との声明を発表しました。

昨シーズンはインフルエンザの報告数が過去最多**となり、国内外の人の移動増加も相まって、今シーズンも感染が拡大する懸念があります。

この記事では、インフルエンザワクチンの医学的な重要性と、最新の情報を分かりやすく解説します。


◎医学的視点:なぜインフルエンザワクチン接種が重要なのか?

インフルエンザは単なる「強い風邪」ではなく、インフルエンザウイルスは重症化すると、肺炎、脳炎・脳症、心筋炎などの深刻な合併症を引き起こし、命に関わることもあります。

ワクチン接種の最大の目的は、インフルエンザの発症そのものを予防することに加え、重症化や死亡を予防することにあります。

特に免疫力が低下しがちな方にとっては、身を守るための最も効果的な手段です。

また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が続くなか、インフルエンザとの同時流行を防ぎ、発熱外来などの医療機関の負担を軽減する「社会的意義」も非常に大きいとされています。

重症化リスクが高い方(接種が強く推奨される方)特に以下のグループは、インフルエンザが重症化するリスクが高いため、必ず接種を検討してください。

・65歳以上のご高齢者

・基礎疾患(心臓、腎臓、呼吸器、免疫機能などの慢性疾患や糖尿病など)を持つ方生

・後6ヶ月以上のお子様

・妊婦(胎児に影響はないとされており、重症化予防のメリットが大きい)


◎2025/26年シーズン:最新のワクチン情報と供給状況


1. 新型インフルエンザワクチンは「3価」に今シーズン、日本で主に供給されるインフルエンザワクチンは、従来の4価(A型2株+B型2株)から、B型株の一つが除外された**「3価ワクチン」**になります。

・A型株2種類*A/ビクトリア/4897/2022(H1N1)+A/パース/722/2024(H3N2)

・B型株 1種類B/オーストリア/1359417/2021(ビクトリア系統)


【背景にある疫学的な変化】

1.B型インフルエンザウイルスには山形系統とビクトリア系統の2つがありましたが、近年、B型山形系統のウイルスが世界的にほとんど検出されなくなったため、国際的な専門家の推奨に基づき、ワクチンから除外されましたがこれは、ウイルス流行状況を反映した最新の対策です。

2. 供給は潤沢に見込み今シーズンのワクチン供給量は約5,293万回分と、昨シーズン(4,581万回分)を上回る量が見込まれており、供給不足の心配はないとされています。

さらに、例年通り9月下旬から医療機関への出荷が開始されるため、早期の接種準備が可能です。


◎新しいワクチンの選択肢

近年、特に免疫効果を高めるための新しいタイプのワクチンが承認され、選択肢が増えています。

1.高用量ワクチン特徴: 従来のワクチンよりも抗原量が約4倍多く含まれています。

対象は60歳以上の成人で、効果としては高齢者は免疫反応が弱くなる傾向があるため、抗原量を増やすことで、**より高い免疫効果(防御効果)**が期待されます。

2024年12月に承認されました。

2.経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト):鼻にスプレーして噴霧するタイプの生ワクチンで針を使わないため、注射が苦手な方や幼いお子様にとって大きな利点です。

対象:は一般的に2歳から19歳未満で、効果:は接種部位(鼻粘膜)で局所免疫(粘膜免疫)が誘導されることも期待されます。

2024年3月に承認されました。


💡アドバイス: これらの新しいワクチンが自分に合っているか、接種が可能かどうかは、かかりつけ医とよく相談して決めましょう。


最適な接種のタイミングとその他の予防策接種のタイミングインフルエンザの流行は、例年11月下旬から12月上旬に始まります。

ワクチンの効果は接種後約2週間で発現し、その後約5ヶ月間持続するため、流行開始に間に合わせるためには、10月から11月中の接種が最も推奨されます。

日常生活で大切な予防策ワクチン接種と並行して、日頃からの基本的な感染対策を続けることが、インフルエンザの拡大を防ぐ鍵となります。

※手洗い、手指消毒、外出後や食事前は、石鹸と流水での手洗いやアルコール消毒を徹底しましょう。

※咳エチケットとマスクの着用は 症状がある場合はもちろん、混雑した場所ではマスクを着用しましょう。

※こまめに窓を開けるなどして、室内の空気を入れ替えましょう。

※規則正しい生活:をして十分な睡眠とバランスの取れた食事で、免疫力を高めておきましょう。


【参考資料】

『2025/26 シーズンに向けたインフルエンザワクチン接種に関する考え方とトピックス 』


【追加の話】

◎季節性インフルエンザは、ウイルスが少しずつ変異しながら毎年流行するもので、多くの人が免疫を持っています。

◎一方、新型インフルエンザは、抗原性が大きく異なる新しいウイルスが出現し、ほとんどの人が免疫を持っていないため、全国的に急速に広がり、社会に大きな影響を与える可能性があります。


2025年10月21日火曜日

感染症速報-30.😱【緊急警報】8万人超の異常事態!長引く咳、「百日咳」再拡大の医学的・疫学的真実と5つの対策-

 🚨はじめに:なぜ今、百日咳がここまで危険なのか?

現在、日本国内で百日咳(Pertussis)の感染報告数が記録的なレベルで急増しています。

2025年の累計患者数は10月14日時点で8万人を突破し、これは集計方法変更後の過去最大規模です。

パンデミック後の現在、「ただの長引く風邪」として見過ごされがちなこの病気が、公衆衛生上、なぜここまで憂慮すべき事態となっているのか。

その医学的・疫学的な背景と、私たちが今すぐ取るべき対策を最新情報に基づいて分析し、5つのポイントに絞って解説します。


1. 疫学的異常事態:「免疫の切れ目」と感染サイクル加速の脅威

【分析:疫学・公衆衛生】

百日咳の患者数が過去最高を更新している背景には、高齢化とは異なる疫学的要因が強く影響しています。

最大の要因は**「免疫の減弱(Waning Immunity)」**です。

小児期の予防接種(DPT-IPV)で獲得した免疫は、一般的に5~10年で徐々に低下し、現在の成人(特に思春期以降)は、集団として**「免疫の切れ目」にあり、これが感染の温床となっています。

また成人は軽症化しやすいため、診断されずに日常生活を送り、無意識のうちに感染源となり、最も重症化リスクの高いワクチン未接種の乳児**へと感染サイクルを加速させています。

さらに、COVID-19による非特異的感染対策(マスク、ソーシャルディスタンス)の緩和が、百日咳菌という飛沫感染を主とする細菌の伝播機会を一気に増やし、爆発的な感染拡大(アウトブレイク)を引き起こしています。


2. 医学的な最大リスク:乳児の「無呼吸発作」と重篤な合併症

【分析:医学・小児科学】

百日咳は成人にとって「しつこい咳の病気」で済みがちですが、特に生後6カ月未満の乳児にとっては生命を脅かす病気です。

乳児は気道が狭く、典型的な激しい咳発作(痙咳期)を起こす力が弱いため、むしろ咳発作がなく、代わりに呼吸が止まる「無呼吸発作」を起こしやすいという特徴があり、これは突然死に直結する危険な症状です。

さらに、重度の肺炎や百日咳脳症(菌が産生する毒素による脳障害)といった不可逆的な合併症のリスクも高く、早期の適切な診断と治療が必須です。

【最新医学情報】

この乳児を重症化から守るための国際的な戦略として、**「コクーン戦略(Cocoon Strategy)」と妊婦への接種(Tdap)**が推奨されています。

特に妊婦への接種は、胎盤を通じて抗体を乳児に移行させ、生後間もない時期の重症化を予防する最も効果的な手段として注目されています。


3. 成人の診断困難性:なぜ「長引く風邪」と誤診されるのか?

【分析:医学・診断学】

百日咳拡大の裏側には、成人の**「診断率の過小評価」**という重大な問題があります。

百日咳菌の毒素による咳は非常に特徴的ですが、成人では既存の免疫や再感染により症状が非典型的になりやすく、「咳が2週間以上続く」という遷延性咳嗽として扱われがちです。

カタル期の初期症状は普通の風邪と区別不能!!!

痙咳期も、成人では「ウープ」という笛のような百日咳特有の吸気音が出ないケースが多い

医療機関側も、長引く咳に対して一般的な呼吸器疾患の検査を優先しがち

この診断の遅れが、感染期間の長期化(百日咳の治療薬であるマクロライド系抗菌薬は咳発症から2~3週間以内の投与が最も効果的)と、知らない間に周囲へ菌を拡散させる原因となっています。


4. 緊急対策:ブースター接種の再評価と「疑う」意識の徹底

【対策:公衆衛生・予防医学】

この異常事態を収束させるには、以下の2点における意識改革と行動が必要です。

1)「疑いの閾値(いきち)」を上げる: 2週間以上続く咳がある場合、自身で「風邪」と断定せず、百日咳の可能性を強く疑い、医療機関を受診し受診時には「百日咳の検査を希望」と明確に伝えることが、PCR法や血清抗体法による早期診断と適切な抗菌薬治療開始(周囲への感染拡大阻止)に繋がります。

※「疑いの閾値(いきち)」とは、医学や疫学において、ある疾患の可能性を考慮し、検査や診断的介入を行うかどうかの判断基準となるレベルを指す言葉です※

2)成人へのブースター接種の検討: 現在、多くの先進国で成人や思春期への百日咳含有ワクチンの**追加接種(ブースター)**が推奨されています。

特に、医療従事者や、乳児・高齢者と日常的に接する機会の多い方は、自身の予防と、最も弱い世代を守る「守り手」としての役割を果たすため、かかりつけ医と接種の必要性について相談することが急務です。


5. 最新の知見:公衆衛生における「非特異的対策」の再認識

【分析:疫学・感染制御学】

COVID-19パンデミック中に徹底された**「非特異的対策」**(マスク、手洗い、換気)は、特定の病原体だけでなく、百日咳菌のような飛沫・接触感染する全ての呼吸器感染症に対して有効です。

感染対策の緩和は社会経済活動の回復には不可欠でしたが、その反動として百日咳の伝播が激化した事実は、公衆衛生の視点から非常に重要な教訓となります。

咳や鼻水などの症状がある際は、周囲への配慮として、咳エチケットの徹底と手指衛生の励行を習慣化し、社会全体で感染リスクを最小化する努力が、今後も求められます。


百日咳は治療可能な細菌性疾患で、各人の意識と行動が、感染の鎖を断ち切り、特に未来ある乳児たちの命を守ることに直結します。

2025年10月19日日曜日

感染症速報-29.【警鐘】新型コロナ、第41週の報告で「増加傾向」!油断禁物!特に子どもの感染と高齢者の重症化に警戒を!-

 皆さん、こんにちは。

今回のブログでは、2025年第41週(10月6日~10月12日)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況に関する報告書を、医学的・疫学的な視点から徹底分析し、最新情報とともにお届けします。

「5類移行で普通の風邪になった」と思っていませんか?データは**「まだ終わっていない」**と警鐘を鳴らしています。


🚨 発生状況の分析:全国的な「増加傾向」が明確に!

報告書によると、第41週の全国の報告数は14,303件、定点当たり報告数は3.72でしたが注目すべきは、昨年同期の2.38と比較して増加傾向にある点です。

これは、季節の変わり目である秋口に体調を崩しやすい人が増えることや、主流株が「NB.1.8.1株(ニンバス)」や「PQ.2株」などの感染力が高いオミクロン株系統に置き換わっていること(※最新の検索情報による)が影響している可能性があります。

専門家は、2025年に入っても感染者数は増加傾向にあることを示しており、基本的な感染対策を緩めるべきではないことを示唆しています。


🏢 地域差の拡大:三大都市圏とその周辺での警戒レベル

報告数が多いのは、**埼玉県(824件)、東京都(987件)、愛知県(848件)**など、大都市圏とその周辺地域です。

人口密度が高く、人流が多いこれらの地域では、感染拡大のリスクが引き続き高い状態にあります。

地域の実情に応じて感染対策レベルが異なるため、お住まいの地域や訪問先の感染状況を把握することが、個々人のリスク管理に不可欠です。


👦 👧 年齢別の傾向:「子ども」と「高齢者」に異なる警戒ポイント

1. 子どもたちの感染拡大(10歳未満の報告数が突出)

年齢別の定点当たり報告数では、10歳未満が0.59と最も高い数値を示しているのは、学校や園など集団生活の場での感染伝播が活発であることを示しており、子どもを持つご家庭は特に注意が必要です。

また、最新の知見(※検索情報による)では、現在の主流株の症状は喉の痛みや発熱など、従来の風邪と似た症状が中心ですが、中には後遺症に悩まされるケースも確認されています。

2. 高齢者の「重症化リスク」の現実

一方、入院患者の届出数は1,719件で、年齢別では80歳以上が最も多いという事実が報告されています(28,221件)。

ICU入室患者は49件、人工呼吸器利用は13件と、重症化の指標となる数値も確認されています。

このデータは、高齢者層における重症化リスクが依然として高いことを明確に示しており、高齢者や基礎疾患のある方への感染防御が最重要課題であることを裏付けています。


💡 今後の行動で気をつけるべきこと:最新の疫学データからの提言

この報告書は、2025年4月7日以降、サーベイランスの定点数が変更されているという注意書きがあります。

これは、過去のデータとの単純な比較は難しいものの、足元の感染増加傾向と重症者の構成を理解するための重要な資料となります。

多くの人の目につくように、今改めて、以下の行動を呼びかけます。

◎基本的な感染対策の徹底:マスク着用の有無にかかわらず、手洗い・手指消毒、咳エチケットは最も基本的な予防策です。

◎高齢者・基礎疾患のある方への配慮:重症化リスクの高い方と接する際は、特に体調管理に気をつけましょう。

◎体調不良時の対応:風邪症状(特に喉の痛み、発熱、倦怠感)がある場合は、無理せず休養し、重症化リスクに応じて早めの医療機関への電話相談・受診を検討してください。(※5類移行に伴い、医療費は自己負担が発生します。)

◎ワクチンの検討:高齢者や基礎疾患のある方は、重症化予防の観点から推奨されているワクチン接種(XBB.1.5対応など)について、改めて医療機関と相談することが重要です。

新型コロナウイルスは、決して「終わった病気」ではありません、流行は依然として続いています。

データに基づき、適切な知識と警戒心を持って、秋冬の感染シーズンを乗り越えましょう。

2025年10月16日木曜日

感染症速報-28.鼻にスプレーするだけの💉痛くないインフルエンザワクチン!?「フルミスト」を徹底解説-

【痛くないインフルエンザワクチン!?「フルミスト」とは】

毒性を弱めた生きたインフルエンザウイルスを使用し、作用メカニズムは弱毒化された生きたウイルスが、自然感染に近い形で鼻や喉の粘膜で増殖しこれにより、血液中のIgG抗体に加え、「分泌型IgA抗体」(粘膜の免疫)も作り出されます。

この抗体が、体内でウイルスが増殖するのを防ぎ、重症化を防ぐことが主な目的です。

◎粘膜免疫による感染予防効果: フルミストは、インフルエンザウイルスが侵入する鼻や喉の粘膜に直接免疫をつけます。これにより、感染そのものを防ぐ効果が期待できます。

◎細胞性免疫による重症化予防: 生ワクチンであるため、ウイルスに感染した細胞自体を破壊する細胞性免疫も作られ、抗体だけでなく重症化を防ぐ高い効果も期待できます。

◎対象年齢は2歳から19歳未満で、注射が苦手な子供に適していることから注射が苦手な子どもにとって大きな選択肢となりつつあります。

2024年から日本国内でも接種が可能になりました


👍 フルミストのメリットと注意点(デメリット)

✅ メリット

◎「痛くない」最大の利点: 注射の痛みやトラウマがないため、子どもにとって負担が非常に少ないです。

◎接種回数が少ない: 13歳未満でも1回接種で完了するため、通院の手間やコスト(交通費・保護者の休みなど)が削減できます。

◎株違いでも効果に期待: 粘膜免疫の性質上、予測と異なる株が流行した場合でも、ある程度の交差免疫が期待できます。


⚠️ 注意点(デメリット・接種できないケース)

◎費用が高め: 自由診療のため医療機関によりますが、一般的に注射2回分よりやや高くなる傾向があります(約8,000円が目安)。自治体の助成制度を確認しましょう。

◎副反応: 注射部位の腫れや痛みはありませんが、鼻水や鼻づまりが起こることがあります(程度は軽度)。

◎接種不可のケース:重症のぜんそくの方(刺激で発作誘発の可能性)・免疫不全(病気や治療によるもの)の人・ゼラチンアレルギーがある人・アスピリンなどの一部の解熱鎮痛剤を服用している人。


【アレルギーについて】 

どちらのワクチンも製造過程で鶏卵を使用しますが、フルミストは注射型より卵成分がやや多く残る可能性があります。

重症な卵アレルギーや、ワクチンの成分に重いアレルギーがある方は、必ずかかりつけ医にご相談ください。


💡 まとめ

フルミストは、注射の痛みがなく、感染予防に高い効果が期待できる革新的なワクチンですが、接種対象や体調によっては適さない場合もあります。

お子様の健康状態や生活スタイルに合わせて、かかりつけの小児科医とよく相談し、最適な予防接種の方法を選びましょう。

あなたのお住まいの自治体では、フルミストの費用助成はありますか?調べてみる価値がありそうですね。













2025年10月12日日曜日

感染症速報27.異例の早期流行!インフル・新型コロナワクチンは接種すべきか否か?-

 🚨 2025年秋、異例の「ダブル流行」に警戒!

今年の秋は、例年とは違う感染症の状況にあります。

◎インフルエンザは、流行開始の目安を2週連続で超え、例年より約1ヶ月早い異例の早期流行となっています。

学級閉鎖も増加しており、今後の本格的な流行に備える必要があります。

◎新型コロナウイルスは、報告数は減少傾向にあるものの、依然として少なく特に高齢者層では入院が続いており、季節性のウイルスとして弱者に重い打撃を与えるリスクは残っています。

インフルエンザも新型コロナも症状だけでは区別が難しく、両方の検査が行われています。

※この「ダブル流行」の状況では、特に警戒が必要です※


🛡️ ワクチンが果たす「重症化予防」という大切な役割

こうした状況を踏まえ、インフルエンザと新型コロナ、それぞれのワクチンはどのような効果が期待できるのでしょうか?

※インフルエンザの場合成人の医療機関受診リスクが36~54%(米国/日本) 低下し、入院リスクも41~55%低下、更に感染しにくくなり重症化もしにくくなる。

※新型コロナは、65歳以上の入院予防効果(日本)63.2%、救急受診予防効果(米国)33%低下し、特に重症化や入院リスクを低下させる。

いずれのワクチンも「感染を完全に防ぐ万能薬」ではありませんが、重症化や医療機関への受診・入院のリスクを有意に低下させるという高い有効性が確認されていることからしてこれは、個人を守ると同時に、医療システムを守る上でも非常に重要です。


📢 なぜコロナワクチンの接種率が低いのか?

新型コロナウイルスは弱毒化しているものの、日本感染症学会など3学会は共同で見解を発表し、接種を強く推奨しています。

その理由は、新型コロナによる年間死亡者数がインフルエンザよりも依然として多いためです。

しかし、昨シーズンの新型コロナワクチンの接種率は、インフルエンザワクチンの半分以下という自治体が多く、このギャップが課題となっています。


✅ 接種の判断は「メリットがあるか」で

ワクチン接種は、決して**「正しいか/間違いか」の二択ではなく、「自分や家族にとってメリットがあるか/ないか」**という意思決定です。

接種を強く推奨される人は65歳以上の高齢者、慢性呼吸器・心疾患、糖尿病、肥満など基礎疾患のある人、免疫抑制状態にある人。

接種を検討すべき人とは、あくまでも個人判断となり、若年者層、医療機関や介護施設に頻繁に出入りする人(自他を守るため)。

接種後には一時的な発熱や倦怠感などの副反応が起こることもありますが、ハイリスク者においては「感染した際の重症化リスク」と「ワクチンの副反応リスク」を比較し、重症化を避けるメリットの方が大きいと判断するのが医学的・公衆衛生的見解です。


💡 まとめ:冬に備えて今すぐできること

インフルエンザが早期流行し、新型コロナも継続的に存在する今シーズンは、感染対策の「ガードを上げる」ことが求められます。

1)ワクチン接種: 特にハイリスクの方は、インフルエンザと新型コロナの両方のワクチン接種を強く検討しましょう(同時接種も可能です)。

2)基本的な感染対策の徹底: 手洗いやうがい、マスク着用(必要な場面で)、換気や湿度の管理を徹底しましょう。

※異例の流行に備え、適切な予防行動で自分と大切な人を守りましょう※

2025年10月5日日曜日

感染症速報26.🚨 【全国で流行入り】インフルエンザが「異例の早さ」で本格シーズン突入!-

厚生労働省は2025年10月2日、インフルエンザが全国的な流行シーズンに入ったと発表しました。

これは、全国の定点医療機関あたりの患者報告数が、流行開始の目安とされる1.0人を超えたことを意味します。

注目すべきは、この流行入りが**「去年より約1か月早い」**という異例のタイミングである点です。

ではなぜ、これほど早くインフルエンザの波が押し寄せたのか。医学的・疫学的な最新分析を踏まえ、その重要性と私たちが今すぐ取るべき対策を解説します。

1. 異例の早期流行を招いた「2つの疫学的な要因」

例年、インフルエンザの流行シーズンは12月頃に始まり、ピークは1月~3月頃ですが、2025年は季節が深まる前に感染が拡大しています。

専門家が指摘する主要な要因は以下の通りです。

(1) 免疫負債(Immunity Debt)の影響

新型コロナウイルスのパンデミック期間中、徹底的な感染対策(マスク、手洗い、活動制限)により、インフルエンザウイルスへの自然な暴露機会が激減しました。

その結果、特に子どもたちを中心に、集団全体のインフルエンザに対する免疫(防御力)が低下しています。

この「免疫負債」があるため、例年より少ないウイルス量や早い時期でも、感染が広がりやすくなっていると考えられます。

(2) 季節外れの環境と国際的な往来

専門家は以下の点を指摘しています。

猛暑と空調環境: 猛暑により、多くの人がエアコンを強く効かせた屋内で過ごす時間が増えました。

インフルエンザウイルスは、**「乾燥し、温度が下がる」**環境で活性化し換気が不十分な冷房の効いた部屋は、ウイルスの拡散リスクを高める温床となり得ます。

国際的な人の移動: 大阪・関西万博など国際イベントの開催や、水際対策の緩和により、海外からの観光客が増加しています。

すでにインフルエンザが流行している国からの入国者がウイルスを持ち込み、国内の早い流行開始の引き金になった可能性が考えられます。

2. 今シーズンのインフルエンザの重要性とリスク

「インフルエンザなんて毎年かかるもの」と軽く見てはいけません。

早期流行は、以下の点で特に警戒が必要です。

重症化リスクの集中: 流行が早まることで、ワクチン接種が進んでいないタイミングで感染が拡大し、特に高齢者や基礎疾患を持つ方、乳幼児などの重症化リスクが高い層が大きな影響を受ける可能性があります。

医療機関の逼迫: 例年より早い時期にインフルエンザ患者が増えることで、新型コロナウイルスやその他の季節性感染症の患者と重なり、地域の医療機関に大きな負荷がかかることが懸念されます。

3. 最新情報を踏まえた「最優先の感染対策」

厚生労働省は、手洗いやマスク、換気などの基本対策を呼びかけていますが、この早期流行の状況において、特に注力すべき対策があります。

✅ 最優先事項:インフルエンザワクチンの早期接種

日本では例年12月~3月が流行期のため、12月中旬までに接種を終えることが推奨されていますしかし、今年はすでに流行期に入っています。

接種のメリット: ワクチンは発症を完全に防ぐものではありませんが、重症化や合併症を防ぐ上で最も有効な手段です。

接種タイミング: 流行の波に乗り遅れないよう、特に重症化リスクの高い方は、かかりつけ医と相談の上、できるだけ早く接種を検討してください。

✅ 環境対策:換気の徹底

猛暑が落ち着いた今も、空調を使用している室内では換気が非常に重要です。

定期的に窓を開けて空気の入れ替えを行うか、換気扇や高性能フィルターを活用し、室内のウイルス濃度を下げましょう。

✅ 基本対策の再徹底

◎手洗い: 外出後や食事前だけでなく、こまめに石鹸と流水で手を洗う習慣を再徹底しましょう。

◎咳エチケットとマスク: 咳や症状がある場合は必ずマスクを着用してください。また、人混みや混雑した場所へ行く際も、マスクの着用は有効な防御策です。


【まとめ】


インフルエンザの全国的な早期流行は、季節の変わり目における公衆衛生上の大きなサインです。

過去数年で免疫状況が変化している中、一人ひとりの意識的な行動が、自分自身と大切な人を守ることにつながります。

この情報を参考に、今一度、ご家族や職場の感染対策を見直しましょう。

2025年10月3日金曜日

感染症速報-25.🚨 早くも到来!東京のインフルエンザ流行シーズンを医学的・疫学的に検証-

 東京都が発表した「インフルエンザ流行シーズン入り」は、例年と比較して極めて早い時期の到来であり、公衆衛生上の懸念が高まります。

当ブログでは、この早期流行の背景を医学的・疫学的な観点から分析し、最新の情報を踏まえた感染対策を詳しく解説します。

1. 流行シーズン入りの基準と今回の状況の特殊性

💡 流行開始の定義

インフルエンザの「流行シーズン入り」は、定点医療機関あたりの患者報告数が1.0人を超えたときが目安とされてこれは、地域内でインフルエンザの感染が広がり始めたことを示す重要な指標です。

📈 東京の状況(最新情報に基づく検証)

元の文章にある「先月28日までの1週間で1.96人」という報告数は、流行開始の目安(1.0人)を大幅に上回っており、都内でインフルエンザがすでに勢いよく拡大していることを示しています。

極めて早い流行期入り: 例年、日本でのインフルエンザの本格的な流行は12月〜3月頃にピークを迎え、流行シーズン入りも11月以降となることが多いですが、今年は10月に流行シーズン入りしたということで、これは過去のパターンから逸脱した異常な早期流行と言えます。

過去の早期流行としては、2023年度も比較的早い時期に流行が始まりましたが、今回はさらに前倒しになった可能性が示唆されます(※検索結果には2024年の11月以降の情報が含まれており、記事の時期によって流行の進展に時間差があることがわかりますが、10月の流行シーズン入りは早いことに変わりありません)。

2. 早期流行の背景にある疫学的要因

ではなぜ、これほど早く流行が始まったのでしょうか?主な疫学的要因として、以下の点が考えられます。

🦠 免疫負債(Immunity Debt:イミュニティ・デット)の影響

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック期間中、徹底された感染対策(マスク、手洗い、外出自粛)により、インフルエンザを含む多くの呼吸器感染症への暴露機会が減りその結果、特に子どもたちを中心に、集団としての**インフルエンザに対する自然免疫が低下している(=免疫負債)**状態にあります。

この免疫の空白期間により、例年より低い感染レベルでも流行が拡大しやすくなっていると考えられます。

※「イミュニティ・デット」(免疫負債)とは、COVID-19パンデミック中に人々が感染対策(ロックダウン、マスク着用など)を徹底した結果、通常のウイルスや細菌にさらされる機会が減り、集団免疫が低下した状態を指す概念です※


🌏 世界的な流行パターンの変化

近年、特に南半球など海外で、インフルエンザの流行開始時期が変化し、通年的な流行が見られる報告があり国際的な往来が回復する中で、これらの変化が日本に持ち込まれ、例年とは異なるタイミングで流行が始まる可能性があります。

🏫 集団生活における感染拡大

インフルエンザは特に**小児(14歳以下)**で患者報告数が多い傾向があり、学校や保育施設での集団生活を通じて感染が急速に拡大し早い時期に流行が始まると、学級閉鎖などの影響も早期に出やすくなります。

3. 最新情報を踏まえた感染対策の徹底

本格的な流行の波に備えるため、東京都が呼びかける対策に加え、医学的に推奨される最新の対策を徹底しましょう。

【感染予防の具体的な行動と医学的根拠】

◎ワクチン接種:最重要対策で日本では例年12月〜3月が流行期のため、12月中旬までに接種を終えるのが望ましいとされています。

ワクチンは発症予防だけでなく、重症化予防に極めて有効で特に高齢者、基礎疾患のある方、妊婦、乳幼児は優先的に接種を。

◎手洗い・消毒:**「こまめな手洗い」**を徹底。石鹸と流水による手洗いは、接触感染の主要な経路を断ち切る基本です。

◎換気:定期的な換気により、室内のウイルス濃度を下げることが重要で特に集団で過ごす場所では、窓を開ける、換気扇を回すなど、空気の流れを作りましょう。

◎マスク着用:**「咳エチケット」**として推奨。感染者や症状のある人が着用することで、飛沫によるウイルス拡散を効果的に防ぎますので人混みや換気の悪い場所での着用も有効です。

◎体調管理:十分な休養とバランスの取れた栄養摂取で免疫力を維持することが大切で体力が低下していると、感染しやすく重症化リスクも高まります。

⚠️ 重症化リスクの高い人

65歳以上の高齢者、5歳未満の小児(特に2歳未満)、妊婦、慢性疾患を持つ方などは、重症化のリスクが高いです。症状が現れたら速やかに医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。

早期の流行シーズン入りは、インフルエンザが今年は例年以上に警戒すべき感染症であることを示しています。

皆で適切な対策を講じ、健康な冬を迎えましょう。


『インフルエンザが東京都でも流行シーズンに突入(2024年11月14日)』