血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2020年7月13日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-27.-新型コロナウイルスのワクチン製造は非常に難しい!!-

新型コロナウイルスは、インフルエンザウイルスやHIVと同じように、『DNA』ではなく、『RNA』を遺伝子に持つウイルスです。

このRNAウイルスの場合は、効果的なワクチンを作るのは極めて難しいことが知られています。

その理由は、二重らせんという安定的な構造を持つDNAに対し、一重らせんのRNAはその構造が不安定で遺伝子が変異しやすいからなのです。

HIVワクチンがHIVが発見されてもなお30年が経過した時点ても今で完成していないことや、インフルエンザウイルスが流行している間にウイルスの遺伝子が変異してウイルスに対するワクチンが効きにくくなったり、まったく効かなくなったりするのことからもワクチン開発の難しさが理解できるはずです。

新型コロナウイルスもインフルエンザ同様に遺伝子が変異するスピードが非常に速いことから、2019年12月中国で発生して以来、世界各地に広がっていく過程で変異を繰り返し、2020年7月ですでに数百の変異があるという報告があります。

そのためにワクチンが完成しても、開発当初とは異なる遺伝子のウイルスが蔓延していれば、せっかく出来上がったワクチンも一部のウイルスにしか効かないことも十分にありあり得ることです。

2018年に『免疫を抑制するたんぱく質「PD-1」を発見し、がん治療薬「オプジーボ」の開発に大きく貢献した功績』でノーベル生理学・医学賞(2018年)を受賞した本庶佑京都大学特別教授(1942~)も上記の理由で新型コロナウイルスワクチンの日本でのワクチン開発、治験など現実離れした話と警鐘を鳴らしておられます。

予防ワクチンが可能な限り早く出来上がるのを願う次第です。

2020年7月5日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-26.COVID-19ワクチンは何時頃できる-

ワクチンの歴史を見てみますとこれまでに歴史上最速で完成したワクチンは、風疹ワクチンですが、これも4年の歳月を必要としました。

一部の専門家はバイオ技術の発展や認可過程の短縮化などにより、うまくいけばCOVID-19ワクチンは、1年~1年半で出来上がると発言していますが、そう簡単には完成しないと発言している専門家もいます。

確かにHIVワクチンは、HIVが発見されてから30年も経過していますが未だに完成はしていませんし、完成の目処も立っていません。

現在COVID-19ワクチンは、全世界で150種類以上が研究途上にあり、2020年7月時点で17種類が臨床試験に入っていますが、使用可能なワクチンは未だ完成はしていません。

2020年6月28日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-25.蚊は新型コロナウイルス(SARS-CoV2)を媒介するのか?-

マラリア・デング熱・日本脳炎などの多くの感染症が蚊によって媒介されることから、新型コロナウイルスもそうではないかという心配がされていましたが、蚊は新型コロナウイルスを人に感染させることはないという報告がされています。

2020年6月25日イタリア・高等衛生研究所(Istituto Superiore di Sanita: ISS)とイタリア・ベネチア動物予防試験所(Istituto Zooprofilattico Sperimentale delle Venezie:IZSVe)は、ヒトスジシマカもイエカも新型コロナウイルスを媒介できないと報告しています。

新型コロナウイルスに感染した人の血液を吸血しても新型コロナウイルスは、蚊の体内では増殖できなことからして、蚊からの感染は起こらないと報告してます。

この報告から蚊に刺されることで新型コロナウイルス感染に感染する可能性を排除したことになります。

世界保健機関(WHO)も、吸血昆虫の蚊が新型コロナウイルスを媒介する可能性があるという証拠は何もないとすでに発表していますが、今回の研究はこれを裏付けたことになります。

現時点では新型コロナウイルスは蚊などの吸血昆虫からの感染は起こらないようです。

2020年6月21日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-24.次亜塩素酸水についての再認識-

次亜塩素酸水の製法については、電気分解によるものと次亜塩素酸ナトリウムなどを酸で中和したものの2つが主流です。

他にも数種類の製造法があるようです。

厚生労働省の告示では、「次亜塩素酸水」と表記できるものは塩水を電気分解したものに限られますが、身の回りで販売、使用されている「次亜塩素酸」「次亜塩素酸水」を名乗る製品でこの製法表記のある製品は殆ど存在していません。

まして濃度表記のないものが大部分であることからすなわち如何わしい物があるということです。

更に「安定型複合塩素」と表記されたものは、一体何が入っているのか全く分かりません。

次亜塩素酸は、不安定なために製造後時間がたつと分解してしまい有効性は失われてしまいます。

従って製造年月日が分からなければいつまで使えるかがわからないにもかかわらず、とこ製造年月日を明記した商品は見当たりませんでした。

使用期限表記は当然殆どの製品に無く、あってもいつからいつまでかがわからないような製品は安心して使用できません。

従って今出回っている次亜塩素酸水は、使用しないのが得策です。

次に注意しないといけないことは、有効性に付いての表示なのですが、現在市中で販売されている次亜塩素酸製品(主成分を次亜塩素酸とするもの)は、基本として雑貨であって、消毒薬として販売されていません。

これは厚生労働省において薬機法の審査、承認を受けているものがないからなのです、要するに従って消毒薬としての効能を記載することは、薬機法などの法令違反になる可能性があります。

安全性や効能については、まず科学的、医学的合意がなされる必要があります。

○○大学で検査した、✕✕試験センターで試験したと言ってもそれは根拠(エビデンス)にならないのです。

安全性や効能については、まず科学的、医学的合意が形成され、その上で担当省庁による承認を得て初めて製品として成り立ちます。

現時点での「次亜塩素酸水」あくまで私的試みの読み物であっても有効性について医学的・科学的根拠となり得るものはまず無いです。

安全性についてもこれも医学的、科学的根拠がなく全く話しにはなりません。

「弱酸性」であるから安全と謳う製品がたいへんに多いのですが、弱酸性であることは安全性の根拠にならないことを理解しておいてください。

2020年6月14日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-23.次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水の使用を間違えないように-

新型コロナウイルスの感染予防対策として次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水が広く使用されていますが、誤った使用をすると人体に悪影響を与えるので注意が必要です。

1.次亜塩素酸ナトリウムの使用について

次亜塩素酸ナトリウムの溶液は、家庭用塩素系漂白剤(ハイター・キッチンハイターを薄めた溶液)を指し、除菌や抗菌をうたうスプレーなどに含まれる「次亜塩素酸水」とは全く別物です。

次亜塩素酸ナトリウムの溶液は、ドアノブや手すりなどの消毒には使用できますが、その場合も皮膚を保護するためのゴム手袋が必須で、水拭きでぬぐう必要もあます。

次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒薬の噴霧は、吸引すると有害となり、嘔吐などの症状を引き起こす可能性があることから、絶対に噴霧してはいけません。

【次亜塩素酸ナトリウム液(希釈)の作り方】

1.原液濃度が5%?6%の塩素系漂白剤を用意。

2.500mlのペットボトル1本の水に、5ml(ペットボトルのキャップ1杯)の塩素系漂白剤を入れる。

3.ペーパータオルなどに十分に薬液を含ませて拭いた後、水拭きをしますが、直接手に触れないようゴム手袋をはめて使用するなどご注意ください。

2.次亜塩素酸水

次亜塩素酸水は、塩酸や食塩水を電気分解して作ることができます。

※次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)を水で薄めても次亜塩素酸水は出来ません※

経済産業省の独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)が、2020年5月29日、次亜塩素酸水の消毒の有効性について「判定に至らず、引き続き検証実験を実施する」と発表しています。

世界保健機関(WHO)も「消毒剤を人体に噴霧することは、いかなる状況であっても推奨されない」とする見解を示しています。

次亜塩素酸水の噴霧器について、有効性や安全性が明確ではない現時点では人のいる空間での噴霧はしてはいけません。

しかし市場に出回っている次亜塩素酸水の消毒商品の多くが「空間除菌」を謳っていますが、その効果は疑問視されています。

※独立行政法人・製品評価技術基盤機構によると、販売状況を確認できた81品目中、少なくとも66品目が空間除菌をうたっていますが、効果は疑問視されています※

2020年6月9日現在、「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスに対する効果については、検証試験が継続中であり、まだ結論は出ていません。

「次亜塩素酸水」で手指消毒に関しても、独立行政法人・製品評価技術基盤機構は手指、皮膚での利用の是非について何らかの見解も示していません。

あらゆる感染症に共通となりますが、新型コロナウイルスの感染対策としては、石鹸と流水による念入りな手洗いが基本となり最も有効な対策です。

次亜塩素酸水は紫外線に弱く揮発性が高いため有効期間が短く、ボトルなどで保管すれば半日程度で効果がなくなるものもあります。

食品工場などで使用される際にはその場で製造して使用されており、この場合は効果がなくなっていないので有効ですから、仮に使うなら使う直前に製造してすぐに使用する方法が間違いないということです。

各メディアの報道に振り回されることなく、何が正しいかを見極める必要があります。

2020年6月8日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-22.-新型コロナウイルスを予防すると表示している商品にご注意!!

新しい感染症が流行すると必ずと言ってその感染症の予防・治療効果があるなど効能を謳った商品が出現します。

例を上げると、免疫力向上によるウイルス対策などと表示された黒にんにくなどの健康食品や、光触媒と銀イオン新型コロナウイルス対策用コーティング剤などとしたスプレー剤や、感染しにくくなる食品などです。

新型コロナウイルスへの予防効果をうたった健康食品などには、その根拠がないので、くれぐれも騙されないように気をつけてください。

消費者庁も注意を呼びかけています。

消費者庁は、"免疫力を高める"などとして新型コロナウイルスに予防効果があるようにうたった黒ニンニク、ミカン、海藻類、お茶などを用いた健康食品や除菌スプレーなどを販売する35の事業者に対し、景品表示法違反などのおそれがあるとして改善要請などを行いました。

消費者には「効果を裏付ける根拠があるものはない」と注意を呼びかけていますので、騙されて購入しないようにしてください。

また、最近話題の次亜塩素酸水はついても、消費者庁は消毒・除菌をうたう商品情報を5月に公表し、名前の似ている「次亜塩素酸ナトリウム」も「噴霧して吸ったり目に入ったりする健康に害を及ぼす可能性がある」と注意喚起をしています。

※「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスに対する効果については、検証試験が継続中であり、まだ結論は出ていません※

※参照サイト
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20200515_2.html

世界保健機関も消毒剤の人体への噴霧は推奨しないと、注意を呼びかけています。

経済産業省は、2020年5月29日、次亜塩素酸水の噴霧についてまとめた資料を公表し、「新型コロナへの有効性は確認されていない」ほか、世界保健機関の「消毒剤の人体への噴霧はいかなる状況でも推奨されない」という見解のほか、目の腫れや呼吸困難など健康被害とみられる国内の報告2例も紹介しています。

2020年5月31日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-21.次亜塩素酸水 噴霧使用は控えて-

独立行政法人製品評価技術基盤機構(National Institute of Technology and Evaluation:NITE)は、新型コロナウイルスの消毒目的で利用が広がっている「次亜塩素酸水」について、2020年5月29日時点では有効性は確認されていないとする中間結果を公表しました。

独立行政法人製品評価技術基盤機構では、噴霧での使用は安全性について科学的な根拠が示されていないなどとして、控えるよう呼びかけています。

検証では、2つの研究機関で酸性度や塩素の濃度が異なる次亜塩素酸水が、新型コロナウイルスの消毒に有効かどうかを試験した結果、一部にウイルスの感染力が弱まったとみられるデータもありましたが、十分な効果がみられないデータもあるなどばらつきが大きく、有効性は確認できなかったということです。

今回特に注意を呼びかけていることとしては、次亜塩素酸水は噴霧することで空間除菌ができるとして販売されるケースが少なくないことについて、人体への安全性を評価する科学的な方法が確立していないことや、国際的にも消毒液の噴霧は推奨されていないことなどを紹介する文書を合わせて公表しました。

独立行政法人製品評価技術基盤機構は、"加湿器などで噴霧すること"、"スプレーボトルなどで手や指、皮膚に使用すること"は、安全性についての科学的な根拠が示されていないことから使用しないように呼びかけています。

そもそも消毒薬を空気中に噴霧して使うことはありませんし、本来の使用目的は「物の表面」の消毒です。

空気中に噴霧すると人が吸い込む可能性があり危険ですから行うべきではありません。

一部の販売業者は、"次亜塩素酸水は次亜塩素酸ナトリウムと違って安全です、食品にも使えるくらいですから"というセールスをしているようですが、食品に使った場合も食べる前には残留しないように除去することが決められており、完全に除去されています。

次亜塩素酸水は口に入れることを前提に使われるものではありません。

このように間違った宣伝をしているのは、次亜塩素酸水そのものの効能を理解していないのか、儲け主義で誤ったことも平然と言っているのかは定かではありませんが、使用者として我々は気をつけなければいけません。

最近では居酒屋チェーン店でも、入店前に次亜塩素酸水を浴びる謎の装置をくぐることを求められるお店もあるようですが、これは全く殺菌効果がない上に健康被害が出る恐れがあり危険ですし、更に企業や自治体においても次亜塩素酸水の噴霧器を置いて加湿器のようにミストで“空中除菌”をしているのを見かけますが、これは全く効果がなく、健康被害が起こるリスクが高いことです。

厚生労働省の結核感染症課は、「もし物に対する効果があるとしても、噴霧に効果はない」と効果を否定していますし、また「空中を漂う有効成分がウイルスと出合う確率は極めて低い」としたうえで、「感染予防に役立つ見込みがなく、濃度など条件次第では有害になりうるので使用はやめてほしい」と求めています。

実際病院での使用例も確認していないそうです。

その上現時点において、「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスへの有効性は確認されていません。

以上のことをまとめますと、

1.消毒剤を人体に噴霧することは、いかなる状況であっても推奨されない。これは、肉体的にも精神的にも有害である可能性があり、感染者の飛沫や接触によるウイルス感染力を低下させることにはならない(WHOの見解)。

目の腫れや呼吸困難など健康被害とみられる国内の報告2例があります。

2.消毒剤噴霧は、空気や表面の除染のためには不十分な方法であり、一般衛生管理には推奨されない(CDCの見解)。

3.消毒液噴霧による人体への安全性については、確立された評価方法が存在していない。

4.液体の販売にあたって、製法(電気分解、混和等)や原料が明記されていないものが多い(品質に問題があるものが多く存在している)。

5.販売にあたって、製造日及び使用可能期間、使用可能期間中における次亜塩素酸濃度の低減について明記していないものが多い。

6.食品添加物であることを根拠として、人体への安全性を謳っているものがある(間違い)。

7.有人空間での「次亜塩素酸」等の噴霧によるウイルス対策が、公式に認められていると誤認させるような表示を行う例がある(過大広告)。

8.亜塩素酸水として販売されている製品は、製法(電気分解、混和等)や原料が明記されておらず、液性をpH値によって明記しないものも多く、安全性も根拠不明なものが多いと専門家や専門機関が指摘していますから、飛びついて使用することは避けるべきです。

9.次亜塩素酸水と従来から新型コロナウイルス対策として物品の消毒に使用することが推奨されている「次亜塩素酸ナトリウム」とは別のものです。