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2021年10月10日日曜日

新型コロナウイルスについて-41.デルタ株“空気感染”する?!-

 感染力が強いデルタ株の流行が主流になるにつれ"新型コロナは空気感染する"と考える人が多く出てくるようになりました。

新型コロナウイルスは本当に空気感染するのでしょうか??!!

今、わかっていることをまとめました。

2020年2月当初は新型コロナウイルスの感染対策にあたっていた日本の専門家は、下記のような感染の特徴に気付きました。

新型コロナウイルス流行の最初の頃、世界保健機関や各国の権威ある研究機関は、新型コロナウイルスの感染は、以下の2つと考えていました。

1.咳をしたり、大声を出した際に出される飛沫に含まれるウイルスからの"飛まつ感染"。

2.ウイルスが付着した手で鼻や口を触ることで感染する"接触感染"。

その後の感染経路を調査した結果、密閉された空間で一定の時間、ウイルスが含まれたごく小さな飛沫がしばらく漂い、それを吸い込むことで感染することが分かりました。

咳などで口から出た飛沫は、空気中に漂わずすぐに落ちてしまいますが、空間を漂う"マイクロ飛沫"による感染があることに気付いたのです。

この発見をもとに、日本で考え出された感染対策として、手洗いや消毒・マスク無しでの会話を避ける・「密閉・密集・密接」の3密を避けるという対策が生まれ、世界保健機関や世界各国の研究機関などでも紹介されるようになった訳です。

それでは感染力が強いと言われているデルタ株が主流になった現在、さらに感染しやすくなって"空気感染"が発生しているのでしょうか??

その前に空気感染とは どのような感染なのでしょうか。

感染者から体の外へ出た唾液などの飛沫が乾燥し、その中のウイルスが感染力を持ったまま空気に漂って広がり、これを吸い込むことで起きるのが空気感染と言います。

この空気感染は、直径5マイクロメートル(1000分の5ミリ以下)の"飛沫核"が数時間空中を漂い、同じ空間にいる人が吸い込んで感染することから、対策は極めて難しいとされています。

空気感染は同じ部屋の離れた場所で咳をしても、同じ部屋の中にいる多くの人が感染するとされています。

米国の疾病対策センター(CDC)によりますと、空気感染するのは結核菌・はしか・水ぼうそう・帯状疱疹の各ウイルスに限られているとしています。

はしかのウイルスの感染力は強く、感染対策を取らない場合、1人から12~18人に感染すると言われています。

新型コロナウイルスは、飛沫よりは小さいものの飛沫核ほど小さくはなく、一定の時間空間を漂うマイクロ飛沫での感染があるとされてきました。

米国疾病予防センターは、デルタ株の感染力や広がり方は、従来の株より2倍以上の感染力があり、ワクチン接種なしではより重症化する可能性があることなどウエブサイトには記載されていますが、"空気感染"についての記載は見当たりません。

日本国内でも政府の分科会が2021年8月中旬にまとめた提言でも「感染力の強いデルタ株で感染拡大が起きやすくなっている」と言いつつ、「主な感染様式はこれまでと変わらず、飛沫、もしくはマイクロ飛沫と考えられ、これまでの対策を徹底する必要がある」としています。

一方、米国疾病予防センターの内部資料では、従来の新型コロナウイルスでは、1人の患者は平均1.5人~3.5人程度に感染させていたのに比べ、変異株のデルタ株では平均5~9.5人程度に感染させる可能性がある記載されいて、最も高い感染力の場合には「水ぼうそうと同程度の感染力」がある可能性があると推定しています。

日本国内の専門家の多くは、デルタ株の感染力が強いが、現在時点では空気感染するという証明はされていないと発言しています。

デルタ株で感染力が強いのは患者が排出するウイルス自体の量が多いことが影響している可能性を指摘しています。

感染者から吐き出されるウイルス量が非常に多くなっていることから、あたかも空気感染するように見えるの可能性も否定できず、今後さらなる分析が必要とされています。

2021年10月時点において新型コロナウイルスは空気感染するという確たる証明はされていません。

しかし現実デルタ株には、空気感染を疑わせるほどの感染力があることは事実です。


2021年10月3日日曜日

抗体依存性感染増強とはなに

 抗体依存性感染増強(antibody-dependent enhancement:ADE)とは、ワクチンの接種などにより起こりうる現象です。


本来、ウイルスなどから体を守るはずの抗体が、免疫細胞などへのウイルスの感染を促進し、その後、ウイルスに感染した免疫細胞が暴走し、本来体を守るべきシステムがあろうことか症状を悪化させてしまうという現象ということになります。


現在抗体依存性感染増強の詳細なメカニズムについてはほとんど解明されていません。


これまでに、複数のウイルス感染症で抗体依存性感染増強に関連する報告が一部されています、例えば、重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome:SARS)や中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome:MERS)に対するワクチンの研究では、フェレットなどの哺乳類動物にワクチンを投与した後、ウイルスに感染させると症状が重症化したとの報告があり、これは抗体依存性感染増強が原因と考えられています。


今まで新型コロナウイルスに感染し、自然免疫を獲得した人の間では抗体依存性感染増強のような問題は見られないことが複数の研究で示されています。


しかし最近では新型コロナウイルスに感染すると、感染を防ぐ中和抗体ばかりでなく、感染を増強させる抗体(感染増強抗体)が産生されることが発見されています。


新型コロナウイルスワクチンによる抗体依存性感染増強の危険性は2020年から一部の専門家らにより指摘されてきましたが、影響はないとする見方が大半でした。


またデルタ株に関して、ウイルスのトレードマークであるスパイクタンパク質に対する親和性が驚くほど高まったことにより、ワクチンが感染を促進したと考えられています。


そのことからして一部の専門家は、新型コロナワクチン接種により、SARS-CoV-2感染時に抗体依存性感染増強が起こることを懸念しています。


ファイザー社、或いはモデルナ社のワクチンでは中和作用のある抗体が十分に産生され、Th1細胞活性化も誘導されるため、抗体依存性感染増強が起こる可能性は極めて低いと考えられています。


実際にこれらのワクチンは、感染防御だけでなく、重症化防止にも有効であることが証明されています。


そのことからして新型コロナワクチン接種により誘導される抗体が結合しにくい新規変異株の出現や、経年的な抗体価低下への懸念は当然残こりますが、抗体依存性感染増強によるデメリットがワクチンのメリットを上回る可能性はどの段階においても極めて低いと考えられています。


2021年9月26日日曜日

エンデミック、ハイパー・エンデミック、エピデミック、 アウトブレイク、パンデミックの違いと定義

最近良く目にするエンデミック、ハイパー・エンデミック、エピデミック、 アウトブレイク、パンデミックの違いと定義について解説いたします。


 ・エンデミック(endemic:特定感染)

定義・・ある感染症が一定の地域で一定の患者が発生したり、一定の季節に繰り返し発生すること

【例】アフリカの一部の地域で一年を通じて流行しているマラリア。


・ハイパー・エンデミック(hyperendemic:特殊感染)

定義・・特定の地域の集団で他の地域と比較して感染症がより高い確率で持続的に流行していること。

【例】A国において患者が300人に1人なのに対し、他の一部のBやCの地域では、5人に1人が患者が発生している場合、A国でハイパーエンデミックが起こっていると言える。


・エピデミック(epidemic:過感染)

定義・・ある集団や一定の地域の中で予想以上に感染症の患者数が増加すること。

【例】毎年発生する季節性のインフルエンザ


・アウトブレイク(outbreak:感染症集団発生)

定義・・ある一定期間内に、ある限られた範囲内あるいは集団の中でたちの悪い疾患や感染症感染者が予想よりも多く発生すること。

医療施設内で起こる院内感染によるアウトブレイクは「院内アウトブレイク」と呼ぶこともある。

【例】2018年に福岡県内で発生した医療機関の接触者を中心とした麻疹患者の発生

2010年5月に始まり2011年10月に終息宣言が出された藤沢市民病院での「バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)によるアウトブレイク」


・パンデミック(pandemic:人獣共通感染症の世界的大流行を表す意味)

定義・・世界各地の国や地域でエピデミックが発生すること。

【例】現在の新型コロナウイルスの流行

【アウトブレイクとパンデミックは似た概念】

アウトブレイクは限られた範囲における感染の流行を言いますが、パンデミックは感染が世界的規模に発展した状態を言います。

両者は相対的な表現であるためパンデミックとアウトブレイクの境界はそれほど明確ではありません。

2021年9月19日日曜日

人獣共通感染症-9.ライム病-

 ライム病(ライムボレリア症:Lyme borreliosis)は、ノネズミやシカ、野鳥などを保菌動物とし、マダニ科マダニ属 Ixodes ricinus 群のマダニに媒介されるスピロヘータの一種のボレリアの感染によって引き起こされる人獣共通感染症です。

野生動物では感染しても発症しませんが人、犬、馬、牛では発症して種々の臨床症状を引き起こします。

ライム病の由来は、アメリカコネチカット州のライム及びオールドライムで1975年に最初に確認されたことに由来しています。

ライム病は、シュルツェマダニなどのマダニに咬まれることにより感染します。

マダニの活動は暖かい時期、春先から秋くらいまでが多いので、この時期にマダニによる感染症を発症することが多い傾向がみられます。

米国では毎年30000人を超えるライム病患者が報告されており大きな社会問題になっています。

日本国内でもライム病に罹ることがあります。

※一般家庭内でよく見られるイエダニから感染することはありません※

2020年には17人の患者報告があります。

特にライム病の報告が多いのは北海道で年間10例弱の患者が報告されています。

保健所に届け出がされていない事例も含めるともっと多くのライム病患者が存在していると考えられています。

シュルツェマダニは寒い地域に分布しており、北海道は全域にいますが、本州では標高の高いところにのみ分布しています。

従って北海道に住んでいる人や旅行で登山をする場合、本州でも標高の高い地域に暮らしている人や、登山をする人もライム病に注意が必要となります。

【ライム病の症状】

感染初期(Ⅰ期)

マダニに咬まれてから数日から1ケ月以内にマダニに咬まれた箇所を中心とする限局性の特徴的な遊走性紅斑を呈することが多い傾向があります。

随伴症状としては、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感などのインフルエンザ様症状を伴うこともあります。

遊走性紅斑の出現期間は数日から数週間といわれ、形状は環状紅斑または均一性紅斑がほとんどです。

播種期(II 期) 

体内循環を介して病原体が全身性に拡散することから、皮膚症状、神経症状、心疾患、眼症状、関節炎、筋肉炎など多彩な症状が見られる。

感染後期(III期)

感染から数カ月ないし数年を経過してから播種期の症状に加えて、重度の皮膚症状、関節炎などを呈すると言われています。

幸いなことに日本においては、感染後期に移行したとみられる症例は現在のところ報告されていません。

【検査法】

1.EIA(Enzyme Immunossay)またはIFA(Immumofluorescent Assay)によって検査を実施して、陽性または偽陽性となった場合にはウエスタンブロット法で確認検査を実施する。

2.神経症状を発症した患者では、骨髄液をBSK2培地に接種し、34 ℃ で2 - 4週間培養し、病原体を分離する。

【治療法】

一般的に用いられる抗菌薬としては、ペニシリン、アモキシシリン、セフトリアキソン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、テトラサイクリンなどがあります。

神経ライム症の場合は髄液移行の良いセフトリアキソンが第一選択薬となります。

小児例の場合にはアモキシシリンが主に使用されています。

現在のところ、わが国を含め世界的に薬剤耐性菌出現の報告はありません。。

皮膚症状のみであれば、アモキシシリンやドキシサイクリン、セフトリアキソンなど適切な抗生剤を14日間内服すれば完治がみこめます。

全身症状が強く、皮膚症状も範囲が広い場合は3週間から1ケ月治療を要することもあります。

また顔面神経麻痺を生じた場合は入院のうえ点滴治療を10~14日間位続けることもあります。

※患者個人の免疫能や合併症の有無によって治療期間が異なることがあります※

日本国内においては感染予防ワクチンは存在していません。

【予防方法】

野山でマダニに咬まれないないことがもっとも重要となります。

マダニの活動期(主に春から初夏、および秋)に野山へ出かけるときには、

むやみに藪などに分け入らないこと、マダニの衣服への付着が確認できる白っぽい服装をすること、衣服の裾は靴下の中にいれ虫よけをしマダニを体に近寄らせないことなどを心がける必要があります。

また万一咬まれた時には、口器(体内に刺し混んでいる部分)を残さず虫体を潰さないように体から抜き取って下さい。


2021年9月12日日曜日

新型コロナウイルスについて-40.ブレイクスルー感染とは-

 新型コロナワクチン接種を2回受けてるにも関わらずワクチンの予防効果を突破して新型コロナウイルスに感染することを意味します。

新型コロナのワクチンは、2回目の接種を受けてから2週間程度で十分な免疫の獲得が期待されますが、それ以降に感染した場合を"ブレークスルー感染"と言います。

どの感染症に対するワクチンでも、その効果は100%ではありません!!、この事をよく理解しておく必要があります。

ブレイクスルー感染が起きる原因

1.予防ワクチンの感染予防効果が十分に発揮されていない。

2.新型コロナウイルスの変異等でウイルスの感染性が高くなっている。

3.多くの新型コロナウイルスに被爆する。

4.予防ワクチンの効果が低下している。

現在"ブレークスルー感染"が増えているのは感染の中心が、デルタ株に置き換わっているからです。

"ブレークスルー感染"が発生しているからワクチン接種は意味のないことなのでしょうか?

いいえこれは違います!!

"ブレークスルー感染"であっても、ワクチン接種によって、重症化を防ぐ効果は高いレベルで維持されるということです。

ワクチン接種の先進国であるイスラエルにおいても、ファイザー製のワクチンは、従来型の新型ころなウイルスに対して、感染そのものを防ぐ効果が91.5%あったと報告されています。

イスラエルの場合、その後、感染の中心が、ほぼ「デルタ株」に置き換わったことからワクチンの感染や発病を防ぐ効果は、64%まで低下してしまったとされています。

しかし、イスラエルでの流行がデルタ株に置き換わっても、感染リスクは64%まで低下してしまいましたが、入院を必要としない症状は、93%と高いレベルを維持していることから、"ブレークスルー感染"であっても、ワクチン接種によって、重症化を防ぐ効果は高いレベルで維持されるという調査結果が得られています。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告からも、2回のワクチン接種を済ませた人が、新型コロナウイルスのブレークスルー感染のために亡くなる恐れは0.001%未満と低頻度にとどまっているという報告もなされています。

日本国内においても、デルタ株に置き換わりつつあることから、ワクチンの予防効果が低下してこれからも"ブレークスルー感染"の発生は多くなると考えられていますが、感染しても重症化を防げる意味からもワクチン接種は重要となれます。

ワクチンを過信せずに従来から行っている、手洗い・正しいマスクの着用・密を避ける・ソウシャルディスタンスなどで感染予防をすることは一層大切なことと言えます。



2021年9月5日日曜日

新型コロナウイルスについて-39.新型コロナウイルスの変異株 ミュー株ー

 2021年9月1日厚生労働省は、南米コロンビア由来の変異した新型コロナウイルス"ミュー株(B.1.621)"が、2021年6月と7月に国内の2空港の検疫で初めて確認されたと発表しました。

この2例は2021年6月26日に、アラブ首長国連邦(UAE)から到着した40歳代女性と、2021年7月5日に英国から着いた50歳代女性から確認されたということです。

この2名はいずれも無症状だった。

世界保健機関(WHO)が2021年8月30日に注目すべき変異株(Variant of Interest VOI)と位置づけて"ミュー株"と命名しています。

この"ミュー株"は、ワクチンの効果を低下させる可能性があると指摘されています。

注目すべき変異株(Variant of Interest :VOI)は感染力が強いインド由来の"デルタ株"よりは警戒レベルが低い変異株に分類されています。

"ミュー株"は、今年1月にコロンビアで発見され、南米や欧州など30ケ国以上で報告されている変異株です。

英国ではこれまで30件のミュー株感染例が報告されいて、このうち一部は、新型コロナワクチンを2回接種したにもかかわらず感染しています。

2021年8月、ベルギーの特別養護老人ホームでは、2回のワクチン接種を受けた7人"ミュー株"に感染して死亡しています。

"ミュー株"の免疫回避の程度や感染力などについてはさらなる研究が必要で、今後より詳細な調査がなければ、いくつかの事例をもとに一般化することはできないということです。

2021年8月29日日曜日

新型コロナウイルスについて-38.モデルナ製新型コロナワクチンの副作用について-

 厚生労働省の研究班は2021年7月21日、モデルナ製の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン被接種者を対象に行ったコホート調査の最新結果を公表ました。

※コホート調査とは、ある集団の健康上の変化を把握して、体質や生活習慣などと将来発症する病気との関連を調べる研究です※

その結果は1回目接種後に比べ2回目接種後で副反応の発現率が高く、およそ90%に倦怠感、80%に発熱、70%に頭痛が認められたと報告しています。

発熱に関してはファイザー製ワクチンの発現率40%と比べて2倍高く、接種後に1週間以上経過して腕の接種部位が赤くなり、痒みを伴う遅延性皮膚反応、いわゆるモデルナ・アームがモデルナ製では高率であるなど、同ワクチンの副反応の特徴と注意点が明らかになりつつあります。

※両者のワクチンもメッセンジャーRNAタイプのワクチンで同じ種類に属しますが、モデルナワクチンにはある特有の副反応”モデルナアーム”が出現することで話題になっています※

※モデルナアームは、一時的なアレルギー反応の一種で、痒みやヒリヒリした痛みを感じますが、1週間ほどで自然に消えるので心配はありません※

モデルナアームは、海外では"COVID-arm"とも呼ばれていますが、アメリカでモデルナワクチンの接種が始まった2021年1月にはすでに多数報告されています。

出現頻度は3~4%で、25~30人の接種につき1人ほど生じる計算となります。

起きるのはほとんどが女性(80%以上)で、若い年齢(中央値38歳)に明らかに多いことが分かっています。

人種による発症頻度の違いは未だはっきりしていませんが日本でも欧米と同程度の報告が確認されています。

接種した腕のみに出現し逆側の腕には見られず、おおよそ1週間程度で自然消退します。

またファイザー社製ワクチンでは1例も報告がなく、モデルナ社製ワクチンに特有の現象のようです。

モデルナアームは、遅延型アレルギー(IgG由来のアレルギー反応)の一種ではないかと考えられています。

現時点では、重症の即時型アレルギーであるアナフィラキシーとは関連がないとされていますので、仮に1回目の接種でモデルナアームが生じた人でも、2回目は予定通りのスケジュールで接種して問題ありません。

2回目の接種時も同様の症状が出ることが多く、皮膚症状の出現は1回目より少し早まることが多いですが、皮膚症状が重くなるということはないようです。

対処法としては、冷やしてかゆみを抑える、鎮痛薬のアセトアミノフェンを内服する、ステロイドなどの抗炎症薬の塗り薬を使用する、などの対応をして自然に治まるのを待ちます。

また2回目を逆の腕に接種することが一般的ですが、同じ腕に接種してはいけないということはありません。

ファイザー製とモデルナ製ワクチンとの副反応の比較は以下の通りとなっています。


1.1回目接種後の副反応は両ワクチンでほぼ同様の傾向が見られた。

2.2回目接種後の副反応の発現率は、鼻水を除く、発熱、接種部位反応、発赤、疼痛、腫脹、硬結、熱感、痒み、全身症状、倦怠感、頭痛のいずれもモデルナ製ワクチンで高率に起こっていた。

3.副反応の比較は次の表のとおりです。

発熱・発赤・熱感・頭痛などの副反応がモデルナ製ワクチンでは効率に発生しています。

4.遅延性皮膚反応はモデルナ製は2%、ファイザー製0.1%で顕著な差が見られています。

5.女性で副反応の頻度が高く、多くの症状は若いほど高頻度で発生する傾向が見られています。

2021年8月22日日曜日

新型コロナウイルスについて-37.新型コロナウイルスの変異株 ラムダ株-

 ラムダ型変異ウイルス(C.37)は2020年8月にペルーで最初に見つかり、その後、南米を中心に拡大し、2021年7月31日時点で31カ国で見つかっています。

ペルー、チリ、エクアドル、アルゼンチンなどの南米の多くの国で見つかっており、特にペルーでは新規感染者の90%以上がラムダ型によるものと言われています。

世界的な拡大を受けて、世界保健機関は2021年6月14日にこの変異ウイルスを「ラムダ」と命名し「注目すべき変異ウイルス(VOIs; Variant of Interest)」に指定しました。

2021年7月20日にペルーから羽田空港に到着した30代女性から検出されています。

このラムダ株の特徴としては、スパイク蛋白の特徴的な変異として、G75V、T76I、del247/253、L452Q, F490S, D614G, T859Nという7つの遺伝子変異があります。

しかし、現時点だはこれらの変異がウイルスにどのような変化をもたらすのかの情報が限られています。

このラムダ株の感染力は、従来の新型コロナウイルスと比べると、感染力が増強しているのではないかという実験室レベルの研究が報告されてきていますが、まだデータは限られていてはっきりとは分かっていません。

このラムダ株は、アルファ株やデルタ株では、従来のウイルスと比較して感染した場合に重症度が高くなるとされていました。

ラムダ株に感染した場合にも従来よりも重症度が高くなるのかについてはまだよく分かっていません。

ベータ株、ガンマ株、デルタ株のそれぞれは、ワクチンの効果が低下することが分かってきています。

ラムダ株についても、中和抗体に対する抵抗力が強くなっているとする実験室での研究があり、またベータ株よりもさらにワクチン効果が落ちるのではないかとする研究報告もあり、多少なりともワクチンの効果が落ちる可能性があることが指摘されています。

しかし現時点ではワクチン効果がどの程度落ちるのかははっきりと分かっていません。

ラムダ株についてはまだまだ不明な事が多く、2021年7月31日時点ではどれくらいの脅威であるのか判断することは難しい状況です。

今後日本国にも侵入する危険性があると懸念されています。


2021年8月15日日曜日

人獣共通感染症-8.細菌性人獣共通感染症としての炭疽症-

 炭疽症は、炭疽菌による感染症で、ヒツジやヤギなどの家畜や野生動物の感染症であるが、ヒトに感染することもあることから人獣共通感染症の分類されています。

炭疽菌は1876年ドイツの医師で細菌学者でもあったロベルト・コッホ(1943~1910)によって発見されています。

また、1881年フランスの生化学者で細菌学者でもあったルイ・パスツール(1822~1895)は弱毒生菌ワクチンと開発しましたが、このワクチンで得られる免疫はごく弱いことから今日では利用されなくなっています。

【感染経路】

ヒトへの感染経路としては、炭疽症になった動物との接触やその毛皮や肉から感染します

基本的にはヒトからヒトへは感染しません。

炭疽菌は皮膚からの感染が最も多いが、芽胞を吸いこんだり、汚染した肉を不十分な加熱で食べた場合にも感染してしまいます。

自然発生は極めてまれです。

【炭疽という意味】

炭疽とは「炭のかさぶた」の意味であり、英語名のAnthraxはギリシャ語で「炭」の意味で、この名称は皮膚炭疽の症状で黒いかさぶた(瘡蓋)ができることに由来しています。

【炭疽症の分類】

炭疽症には、炭疽菌が顔、首、手などの皮膚の小さな傷から侵入し、1~7日後ニキビ様の小さな掻痒性または無痛性の丘疹が現れ、周囲には発疹と浮腫が現われる"皮膚炭疽症"、肺に感染して起きる"肺炭疽症"、炭疽菌が食物つ共に口から入り感染する"腸炭疽症"に分類されます。

【致死率】

治療しない場合の致死率は、皮膚炭疽症は10~20%、肺炭疽症は90%と極めて高い、腸炭疽症は25~50%です。

【検査】

確定診断は炭疽菌の分離同定によって調べます。

最近ではPCR検査が利用されています。

【治療法】

ペニシリン・テトラサイクリンなどの抗生物質により治療可能。

ヒトからヒトへの感染はないので、隔離の必要はありません。

早期に治療すれば治癒する。

【予防ワクチン】

炭疽病のワクチンは日本には無く、アメリカで1社が製造するのみで、。しかも副作用の可能性が高いことから、この予防接種はあまり推奨されないのが現実です。

【発生状態】

日本国内では1965年8月、岩手県西根町で乳牛が炭疽病で死亡したため死亡牛は一度は埋められましたが、掘り起こされて売買された結果、1965年88月26日までに牛肉を食べた33人が下痢、腹痛を訴えて疑似患者として手当てを受けた事例がありますが、それ以降2021年8月まで発生はありません。

2021年8月中国国内での発生が報告されています。


2021年8月8日日曜日

新型コロナウイルスについて-36.なぜこんなに新型コロナウイルスの変異株が増加するのか??-

 ウイルスは生き残るために変異するのが基本なんです!!

要するにすべての生物は、子孫を残すために変異していき、生き残れるものだけが生き残っていくのです。

このことは、進化生物学的に考えると、ウイルスに変異体が現れるのは当たり前なのです。

ウイルスは常に変異し続けて、半日から1日で世代交代をし続けます。

要するに変異株が出現するスピードは極めて早いわけです。

ウイルスは変異することにより、人の免疫カから逃れたり、ワクチンから逃れるわけです。

変異の過程で免疫力から逃れる、あるいはワクチンから逃れる仕組みを見に付けたウイルスは、その変異株が大勢を占めて流行してきます。

ワクチンの防御システムを破る変異株が出てくれば、感染源のある地域では、その変異株が一気に蔓延する可能性があります。

ワクチンは、その地域にある感染源に一気にできる限り多くの人に接種して、変異株が出現する前に感染源をなくすことが、進化生物学的に考えると大切なのです。

感染力のより強い変異株は、より生き残りに長けていたので、あっと言う間に従来のものと置き換わってしまうわけです。

無数の変異のなかに1個でも免疫をかいくぐる仕組みを持った変異株は、ワクチンの抵抗性を獲得したウイルスとして、あっと言う間に地域にそして全国に拡散してしまいます。最も大事なことは、ウイルスにそのような変異を起こす時間的なゆとりを与え無いことなんです。

変異してて流行をの時間を与えることは限りなく危険な行為だということになります。

進化はその突然変異を決して見逃しません!!、

そして瞬またたく間に抵抗性を持った変異株が蔓延してしまいます。

ウイルスは絶えず変異していて進化生物学的に考えると、ワクチン抵抗性を持ったウイルスはいつ出現しても不思議ではありません。

いったん変異株が現れると、ワクチン接種というウイルスに対しての選択圧から逃れたその変異株は、一気に蔓延してしまいます。

それはワクチンの開発そのワクチンに対する抵抗性ウイルスとの「鼬ごっこ」を繰り返し続けなくてはならなくなってしまいます。


2021年8月1日日曜日

新型コロナウイルスについて-35.モデルナアームとは何-

 ファイザー社製とモデルナ製新型コロナワクチンの両者もメッセンジャーRNAタイプのワクチンで同じ種類に属しますが、モデルナワクチンにはある特有の副反応”モデルナアーム”が出現することで話題になっています。

モデルナアームは、一時的なアレルギー反応の一種で、痒みやヒリヒリした痛みを感じますが、1週間ほどで自然に消えるので心配はありません。

モデルナアームは、接種後7日前後に起こります、海外では"COVID-arm(コビッドアーム)"とも呼ばれていますが、アメリカでモデルナワクチンの接種が始まった2021年1月にはすでに多数報告されています。

出現頻度は3~4%で、25~30人の接種につき1人ほど起こる計算となります。

起きるのはほとんどが女性(80%以上)で、若い年齢(中央値38歳)に明らかに多いことが分かっています。

人種による発症頻度の違いは未だはっきりしていませんが日本でも欧米と同程度の報告が確認されています。

接種した腕のみに出現し逆側の腕には見られず、おおよそ1週間程度で自然消退します。

またファイザー社製ワクチンでは1例も報告がなく、モデルナ社製ワクチンに特有の現象のようです。

モデルナアームは、遅延型アレルギー(IgG由来のアレルギー反応)の一種ではないかと考えられています。

現時点では、重症の即時型アレルギーであるアナフィラキシーとは関連がないとされていますので、仮に1回目の接種でモデルナアームが起きた人でも、2回目は予定通りのスケジュールで接種して問題ありません。

2回目の接種時も同様の症状が出ることが多く、皮膚症状の出現は1回目より少し早まることが多いですが、皮膚症状が重くなるということはないようです。

対処法としては、冷やしてかゆみを抑える、もし、痛みが酷く我慢できない時は、アセトアミノフェンやロキソニン、イブプロフェン等の非ステロイド性抗炎症薬の内服で軽くなることもあります。

ステロイドなどの抗炎症薬の塗り薬を使用する、などの対応をして自然に治まるのを待ちます。

症状が特に酷い、または数日経過しても症状が治まらない時は、皮膚科医に相談することをお勧めします。

またワクチン接種の2回目は逆の腕に接種することが一般的ですが、同じ腕に接種してはいけないということはありません。

2回目のワクチン接種時の問診時に、腕にどのような症状が出たかを医師に伝えて下さい、その意志の判断で1回目接種した反対側の腕に接種するように言われた場合はその指示に従って下さい。

【モデルナアーム】




2021年7月25日日曜日

新型コロナウイルスについて-34.ワクチンの有効率とは?-

 ある種のワクチンを接種して、有効率95%というと「ワクチンを打った100人のうち95人が発病しない」という意味ではありません。

それではこの有効率とはどのようにして計算するのでしょうか?

例えば、新型コロナウイルスのワクチンを接種した場合で考えてみますと、

新型コロナウイルスワクチンを接種していない状態の人が100人いて、その100人のうち50人が新型コロナウイルスに感染した仮定とします。

その100人が新型コロナウイルスのワクチンを接種した場合、新型コロナウイルスに感染した人は5人としますと、ワクチンを接種していない場合と比べて発病者数は45人減少したことになり、割合に直すと90%減ったことになります。

この「ワクチンを打たなかったときに発病した人数が、ワクチンを打ったら何%減ったか」という割合が“有効率”なのです。

実際の数値を当てはめて計算してみますと、

Ⅰ.ワクチン接種した人の合計21500人

・発症者8人(X)

Ⅱ.ワクチンを接種しなかった人の合計21500人

・発症者162人(Y)

有効率の計算式は以下の通りとなります。

◎有効率=1-(X÷Y)

実際上記の数字を当てはめて計算しますと以下の通りになります。

◎有効率=1-(8÷162)=0.9506となり95%ということになります。

2021年7月18日日曜日

日本紅斑熱患者激増!!

2020年日本国内において日本紅斑熱の患者が420件と過去最多になっています。

本症は紅斑熱群リケッチアの一種の"リケッチア・ジャポニカ"を保有するマダニに刺咬されて感染しますが、ヒトからヒトへの感染は起こりません。

媒介ダニは、キチマダニ、フタトゲチマダニ、ヤマトマダニなどで、これらのマダニに咬まれることによって感染します。

千葉以西の太平洋側を中心に発生していましたが、近年では青森や新潟などに拡大しています。

野山に入ったときにこれらのマダニに刺咬され感染しますが、全てのダニがリケッチアをもつわけではなく、リケッチアをもつ"有毒ダニ"に刺咬されたときだけ感染します。

【症状】

有毒マダニに刺咬された2~8日後に頭痛、発熱、倦怠感を伴って発症します。

ツツガムシ病と同様に発 熱、発疹、および刺し口が主要三徴候で、ほとんどの症例にみられます。

【検査所見】

ツツガムシ病と同様にCRPの上昇、AST ALTの上昇、白血球減少および血小板減少などがみられます。

【診断法】

確定診断は主に、間接蛍光抗体法による血清診断があります。

病原体診断としては、末梢血中からのリケッチアDNA 検出検査があります。

【治療法】

第一選択としてテトラサイクリン系の抗菌薬を使用します。

【致死率】

およそ0.91%と言われています。

【予防法】

むやみに野山に入らないようにするのが一番の予防策ですが、やむを得ず立ち入る際には、

1.皮膚の露出を少なくしダニの付着を防ぐ

2.ダニ忌避剤を使用する

3.帰宅後入浴し、注意深く付着ダニの除去を行う。

この際、感染を防ぐためダニを指でつぶさず、頭部をピンセットなどで摘んで除去する。

【ご注意】

最近のキャンプブームで野山でのキャンプをする人が増加しています、その結果感染者は広がる傾向にありますのでくれぐれも感染対策を行いマダニに咬まれないように気をつける必要があります。

2021年7月11日日曜日

新型コロナウイルスについて-33.デルタ変異株-

 現在世界各国でデルタ変異株が大流行してます。

現在ワクチンしか予防策がないとされていますが、果たしてそうなんでしょうか?

デルタ変異株はインドで流行が始まり、イギリス、米国でも流行してます。

2021年7月9時点での報告では、先月の6月1ケ月の人口100万人あたりの感染者数はインドのデリーでは88%減少していますが、ロンドンでは逆に398%増加してます。

この違いはイベルメクチンを使用したインドは、デルタ変異株は大幅に減少しているとの分析がなされています。

ではなぜアフリカでは新型コロナウイルの感染は拡大していなのか?

現在のアフリカでのワクチン接種率は、1%以下です、この理由はワクチンの費用が高くて購入できない国が多いからです。

しかし新型コロナウイルの流行は先進国に比べて感染者数が少ないという事実があります。

アフリカでは寄生虫感染症のオンコセルカ症があります。

この治療薬としてイベルメクチンが使用されています。

その結果イベルメクチンは数億人のオンコセルカ症の患者を救いました。

アフリカではイベルメクチン使用後に新型コロナウイルスの流行が始まりましたが、先進国のように大流行していません。

この結果イベルメクチンは新型コロナウイルスに有効であると多くの専門家が指摘しています。

2021年7月8日のネイチャー誌には、デルタ変異株は過去の新型コロナウイルスの感染やワクチン接種で体内にできた抗体を回避するとの報告がされています。

ワクチン接種が進んだイギリスやイスラエルでのデルタ変異株の流行がこれを証明しています。

日本人の大村智博士の開発したイベルメクチンを再度見直、治療薬としての有効性を早急に科学的に分析すべきと思います。

海外ではデルタ変異株に対するイベルメクチンの効果は評価されているのになぜ日本政府や医療関係者は検討しないのかは疑問で思います。

更に日本のメデイアもデルタ変異株に対するイベルメクチンの有効性を報道をしないのはなぜなんでしょうか?

皆さん疑問に思われませんか??


2021年7月4日日曜日

新型コロナウイルスについて-32.新型コロナウイルスは蚊によって媒介されることがあるのか?-

 蚊は日本脳炎、デング熱、マラリアなど媒介させます。

それでは蚊が新型コロナウイルスを媒介させることはないのでしょうか?

その可能性は限りなく低いと考えられています。

新型コロナウイルスが蚊によって媒介されるには、以下の条件があります。

1. ヒトが感染した際に新型コロナウイルスが血液中から検出される。

蚊が吸血した際に、吸血されたヒトの血液中にウイルスが存在しなければ蚊蚊が吸血した際に蚊の体内に入ることができません。

ヒトが感染した際に新型コロナウイルスが血液中に検出されるかに関しての調査では、新型コロナ患者から採取された血液検体から新型コロナウイルスが検出されたのは、1%と極めて低い結果が得られています。

軽症・中等症では血液中に新型コロナウイルスが検出されることは稀なんです。

2. 新型コロナウイルスが蚊の体内で増殖することが出来る

現時点では蚊の体内で新型コロナウイルスは増殖しないことが確認されています。

3. 蚊からヒトの血液に注入された新型コロナウイルスがヒトの体内で増殖することが出来る

この証明は極めて難しいのが現実です。

新型コロナウイルス感染者の血液を採血し、針刺し事故を起こして感染した事例が発生すれば血液からの新型コロナウイルスの感染はあると言えますが、現時点まで針刺し事故での新型コロナウイルスの感染は発生していません。

上記1~3のことからして、現時点では蚊からの新型コロナウイルスの感染はないと結論付けられています。

しかし蚊から感染する病気があることから、蚊に刺されないように虫よけを使ったり、肌の露出をできるだけ少なくするなどの対策をしておく必要はあります。

2021年6月27日日曜日

新型コロナウイルスについて-31.新型コロナワクチン接種後に発熱や頭痛が…市販薬は飲んでいいの?-

 厚生労働省が開設したサイト「新型コロナワクチンQ&A」にも、「ワクチンを受けた後に熱が出たら、どうすれば良いですか」「ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬を飲んでもよいですか」といった項目が開設されていますので一度ご覧ください。

これらの疑問に対し、サイトでは「ワクチンによる発熱は接種後1~2日以内に起こることが多く、必要な場合は解熱鎮痛剤を服用するなどして、様子をみていただくことになります」などと回答されています。

市販の解熱鎮痛剤では、イブプロフェンやロキソプロフェンといった非ステロイド性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs:NSAIDs)やアセトアミノフェンなどがあり、厚労省のサイトでは「ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただけます」と記載されています。

アセトアミノフェンは妊娠中・授乳中の女性も使うことが可能です。

ただし、咳やのどの痛み、味覚・嗅覚がなくなる、息切れなどのワクチン接種後の副反応としては通常、起こりにくい症状が見られる場合や、薬によるアレルギー症状やぜんそくが起きた経験がある人、妊娠中・授乳中の女性や病気の治療中の人は、市販薬を服用する前にかかりつけ医によく相談されることです。

しかしワクチン接種後発熱や頭痛が起きることがあるからと言って、発熱や頭痛といった副反応の症状が出る前に予防的に解熱鎮痛薬を繰り返し飲むのは現時点で推奨されてないので予防のための服用はしないほうが良いでしょう。

ワクチン接種よる発熱か、新型コロナウイルス感染症かを見分けるには、発熱以外に、咳や咽頭痛、味覚・嗅覚の消失、息切れ等の症状がないかどうかが、手がかりとなります。

※ワクチンによる副反応の発熱では、一般的にはこれらの症状はみられません※

ワクチン接種後、2日間以上熱が続く場合や、症状が重い場合、ワクチンでは起こりにくい上記の症状がみられる場合には、自己判断で薬を服用せずに医療機関を受診することをお勧めします。

ワクチン接種後の発熱等に使用可能な薬剤の代表的な製品を一部紹介しておきますので参考にしてください。

○イブプロフェン系薬剤

・ブルフェン

・イブ

・エスタック

・ナロンメディカル

○ロキソプロフェン系薬剤

・ロキソニン

・バファリンEX

・エキセドリンLOX

・セレコックス

・ナスキサシン

○アセトアミノフェン系薬剤

※アセトアミノフェンは比較的、副作用が少ないですが、人によって肝機能障害を起こすことがあるため、市販のアセトアミノフェンは用量が低く抑えられているのだと思います※

・カロナール

・タイレノールA

・バファリンルナ

・ノーシン

・セデス

2021年6月20日日曜日

新型コロナウイルスについて-30.現在使用中の新型コロナワクチンは、変異株の感染予防となるのか??-

 多くの専門家は、幾つかの有効なワクチンが集団免疫の達成を助ける可能性があることに希望を抱いていましたが、これが打ち砕かれそうです。

ワクチン接種と過去の感染が組み合わさることで、他人への感染をほぼゼロにできる可能性があると期待していましたが、これが幻想となる可能性が高くなってきています。

2021年2月の南アフリカでのワクチン臨床試験データは、感染力の強い変異株がワクチンの効果を弱める可能性があるだけでなく、感染したことのある人の自然免疫をもくぐり抜ける恐れがあることが指摘されました。

南アフリカ型やブラジル型の新たな変異株を巡ってここ数週間に出てきたデータは、楽観的な見方を打ち砕いたと報じられています。

専門家らの考え方としては、新型コロナウイルスは一定の地域や季節に一定の罹患率で広がり続けるウイルスとして地域社会に残るだけでなく、今後何年も発症者や死者の多大な犠牲を招く可能性が大きいとの見方に変化しつつあります。

従ってワクチン接種が始まっても今後も、特に高リスクの人々は、習慣としてのマスク着用や、感染急増時の混雑回避などの対策が今後も必要となりそうです。

このことは米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長もワクチン接種後であっても、変異株が出てきているのならば「自分はこれからもマスクを着用したい」といみじくも語っています。

要するに小さな変異株が出現するだけで、これが次の流行急増を誘発し、いつ生活が正常化するかの見通しをがらりと変えてしまうということになりかねないということです。

新しく出現した新型コロナウイルスに関しては、人の免疫システムがどのように戦うのかが解明されていないことから今後も色々な問題か発生しても不思議ではありません。

しかし、予防接種により多くの国で、感染率の低下、優先接種された人々の重症化や入院が劇的に低下した例も報告されています。

2021年6月13日日曜日

新型コロナウイルスについて-29.イベルメクチンは新型コロナウルス感染治療に有効なのか?-

 新型コロナの変異株の蔓延で感染爆発が起きていたインドで、2021年5月を過ぎてから、その状況に変化が生じています。

インドの各州が抗寄生虫病の特効薬「イベルメクチン」の本格投与に踏み切ってから、感染者数・死亡者数ともに減少し続けています。

イベルメクチンは、大村智・北里大特別栄誉教授が発見、開発し、2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した抗寄生虫薬です。

イベルメクチンは今、新型コロナコロナウイルスのパンデミックで再び世界中の注目を集めている。

試験管レベルの研究で、新型コロナウイルスがヒトの細胞内で増殖する際に、ウイルスのたんぱく質の核内移行を妨害し、増殖を抑制することが明らかにされています。

世界的に見てもその有効性が確認されています。

WHOはイベルメクチンは効果がないと言っていますが、これは信用できません。

その理由としては、WHOは以前、マスクは要らないという方針をとっていましたが、今は一転してマスクが重要だと言っています。

WHOの考え方はその時の政治的背景で左右されている可能性が高いです。

今のWHO言うことはあまり信用できません。

イベルメクチンの新型コロナへの効果が注目される端緒になったのはアフリカでした。

アフリカは医療体制が整っている国は少ないにも関わらず国によっては感染者数が思ったほど増えていない国があります。

内容としてはイベルメクチンを配った国は感染者が少なく、配っていない国は感染者が多かったという事実があります。

例をあげますとアフリカで「投与ありの国」の感染者数は、10万人当たり131人で、「投与なしの国」が925人となり、死亡者数は、投与国が10万人当たり2.1人で、投与していない国は28・4人と、13倍以上の開きがあります。

このデータからしてもイベルメクチンの有効性を推し量ることが出来るのではないでしょうか?

日本国内においての研究においても80%に効果があるというデータが得られています。

現在イタリア・イギリス・日本・フランス・アメリカなど、先進国も治験を開始していることからして、今後先進国の結果がオープンにされれば、イベルメクチンの使用に反対する一番の理由がなくなってしまうので、情勢は変化して効く使い方が明らかになってくると考えられています。

新型コロナウイルス感染者に対する有効な薬剤がない現在、副作用がほとんどなく、有効性の高いイベルメクチンの使用を国はもっと推し進めてほしいものです。

イベルメクチンの知名度はアビガンに比べて低いことと、本来は駆虫薬なので、新型コロナウイルスに効くという認識がほとんど持たれていません。

また新型コロナの治療なのにどうして虫下しの薬を飲ませるのかと、抵抗を抱いてしまう人も多いののが現実でしょう。

※日本ではイベルメクチンは厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症COVID-19診断の手引き」に記載されている治療薬です※

2021年6月6日日曜日

新型コロナウイルスについて-28.新型コロナウイルスの国内製造ワクチンの現状-

 国内の主なワクチンの開発現状を簡単に解説します。

1.塩野義製薬 国立感染症研究所/UMNファーマ

コロナウイルスのタンパク質を遺伝子組み換え技術で作成(遺伝子組み換えワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を2020年12月から開始

2.第一三共 東大医学研究所

コロナウイルスのmRNAを使用(mRNAワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を2021年3月から開始

3.アンジェス 大阪大学/タカラバイオ

コロナウイルスのDNAを人に投与(DNAワクチン)

※2021年3月、第Ⅱ/Ⅲ相の参加者500人全員に接種が終わり、今後数カ月の経過観察をした後、2021年内に大規模な第Ⅲ相試験に入る予定

4.KMバイオロジクス 東大医科学研究所/国立感染症研究所

不活化したコロナウイルスを使用(不活性化ワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始(2021年3月)

いずれのワクチンもまだ第Ⅲ相試験が行われていないか、完了してないことから申請にはまだ先となります。

感染予防ワクチンは、有効性が高いことも必要ですが、安全性が更に必要となります。

2021年5月30日日曜日

新型コロナウイルスについて-27.ワクチン接種の際にシリンジを引く逆血の確認は必要なのか?-

 ワクチン接種をする三角筋などの筋肉注射では通常大きな血管はないため、海外では逆血確認のシリンジを引く必要はないとされています。

これはあくまで予防接種についてのみの場合です。

予防接種において、筋肉注射でも皮下注射でもシリンジを引くと「痛い」ので不利益を被る人のほうが多いことからCDCの予防接種ガイドラインにも逆血確認は必要ないと記載されています。

確かに一昔前まではワクチン接種で逆血確認が必要と言われていました。

しかし医学は日々進歩しており、時代とともに医学はどんどん新しい知識や知見を学んでいく必要があります。

予防接種の筋肉注射を受けて接種者が逆血確認のためにシリンジを引かなくても間違いではありません。

いつまでも旧態依然の方法に固執することは出来ません。

現在世界の多くの国々では、生ワクチン以外のワクチンはこの筋肉注射での予防接種が広く一般的に行われています。

これは痛みも少なく、ワクチンによっては効果もより高いからです。

人は誰でももそうですが、昔から慣習的に行っていることを急に変えるという事に躊躇する気持ちや不安になる気持ちを抱くのが常です。

ワクチン接種が多い小児科の分野では、以前より筋肉注射への理解や知識を深めようとする動きはすでに行われています。

筋肉注射は垂直に針を刺すことから見た目は痛そうに思われがちですが、実際は皮下注射と比べると痛みなども少なく利点が多いのです。

痛みは人それぞれ感じ方に差がありますから、筋肉注射が皮下注射より痛みが少ないというのは海外での研究や海外での経験からわかっている一般的な知識として申し上げています。

人によっては筋肉注射の方が皮下注射より痛いと感じる人もいて当然ですし、その逆もそうです。


2021年5月23日日曜日

新型コロナウイルスについて-26.新型コロナウイルスの変異株に対してワクチンはどの程度効果あるのか?-

 2021年5月12日、横浜市立大学の研究グループがファイザー製ワクチンを接種した医療従事者105人を対象に感染予防に役立つ中和抗体がどの程度作られているか調査した結果を発表しました。

2回接種では変異株別に見ると、

・イギリス株は94%

・南アフリカ株は90%

・ブラジル株は94%

・インド株は97%

・カリフォルニア株は97%

・ニューヨーク株は98%、

・E484K変異のある由来不明株は97%

・従来株は99%

の人に感染予防効果が期待できる量の中和抗体が確認されたということです。

このことは、2回のワクチン接種で90%以上の人に感染予防効果のある中和抗体が確認されたことになります。

1回接種では中和抗体の出来る割合は、平均で57%と低くなります。

この調査結果は調査対象者が100人と少ないことから、確定的に事は言えないと思いますが、取り敢えず感染予防効果があることが明らかになったことは明るい道がひらけそうです。

今後調査対象を増やしてさらなる分析が必要となります。

2021年5月16日日曜日

新型コロナウイルスについて-25.スポーツ庁が購入したという"空間除菌"をうたう空気清浄機の有効性について-

2021年5月現在、医薬品医療機器法(薬機法)にもとづいて新型コロナ対策を標榜できる空間除菌の家電や雑貨はありません。

従ってスポーツ庁が購入したという"空間除菌"をうたう空気清浄機は、新型コロナウイルスの予防には全く意味がありません。

※新型コロナウイルス感染症対策として"空間除菌"をうたう空気清浄機は、人への有効性や安全性が未確立な技術であり、その有効性は医学的には証明されていません※

空気中の新型コロナウイルス対策として、厚労省は「こまめな換気」のみを推奨してます。

感染症対策の専門家は、「空間除菌」については「不安ビジネスでもあり、人々や社会に負担を増やしているのはよくない」と、指摘してます。

スポーツ庁が購入すると国によるお墨付きがあるとの誤解を一般に与えることから、極めて問題であると言えます。

役人は専門的な知識もなく、専門家に相談すること無く、税金を無駄に使用しているとしか言えません。

本当に嘆かわしいことです。