血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2026年3月5日木曜日

花粉食物アレルギー症候群の話-1.リンゴで口がピリピリ?「花粉食物アレルギー(PFAS)」の正体ー

 「花粉症だから鼻水がつらい…」だけでは済まないのが現代のアレルギー。

最近、特定の果物や野菜を食べて**「口の中が痒い」「喉がイガイガする」**という人が急増しています。

実はこれ、**「花粉食物アレルギー症候群(PFAS)」**という、免疫システムの“勘違い”から起こる現象なんです。

※花粉食物アレルギー症候群(PFAS:Pollen-Food Allergy Syndrome)※


1. なぜ「花粉」なのに「食べ物」で反応するの?

私たちの体には、外敵を攻撃する**「免疫パトロール隊」**がいます。PFASが起きる仕組みは、まるで刑事ドラマのような「誤認逮捕」です。

・指名手配: 花粉症の人は、免疫が特定の花粉(シラカバやスギなど)を「敵」として指名手配しています。

・そっくりさんの登場: 果物や野菜の中には、その花粉とタンパク質の形が**「そっくりなもの」が存在します(これを交差反応**と呼びます)。

・誤認逮捕(発症): それを食べると、パトロール隊が「あ!指名手配犯(花粉)が来た!」と勘違いして攻撃を開始。その結果、アレルギー症状が出てしまうのです。


2. PFASを見分ける「3大特徴」

普通の食物アレルギー(卵や牛乳など)とは少し性質が違います。

◎症状は「口の周り」に集中!

食べた直後(5分以内)に、唇や喉がピリピリ、耳の奥が痒い…といった症状が出ます。別名「口腔アレルギー症候群(OAS)」とも呼ばれます。

◎「新鮮な生」ほど危ない!

原因となるタンパク質は熱や消化液に弱いのが特徴で、ジャムや缶詰なら平気だけど、生だとダメ、というパターンが多いです。

花粉症」のあとにやってくる!!

まずは鼻炎などの花粉症があり、その数年後に特定の食べ物で違和感が出るようになるのが一般的です。

【参考資料】

『近年急増する「花粉食物アレルギー症候群」17歳で1割以上に発症~交差反応でりんご、キウイに特に注意~』


続く

2026年3月3日火曜日

性感染症アラカルト-6.梅毒を正しく知る:早期発見のためのガイド-

 梅毒は、「梅毒トレポネーマ」という細菌が引き起こす感染症でかつては不治の病と恐れられましたが、現在は適切な飲み薬や注射で完治が期待できる病気です。

しかし、放置すると全身の臓器に深刻なダメージを与えるため、「正しく恐れ、早期に発見する」ことが何より大切です。


1. なぜ感染するのか?(感染ルートの医学的分析)

梅毒トレポネーマは、主に**「粘膜や皮膚の直接的な接触」**によって人から人へと感染します。

感染源は「硬性下疳」: 感染者の性器や肛門周囲、唇や口腔粘膜にできた硬性下疳には、大量の梅毒トレポネーマが潜んでいます。

性行為全般が対象: 通常の性交だけでなく、オーラルセックス(口)やアナルセックス(肛門)を通じて、粘膜から梅毒トレポネーマが侵入します。

目に見えない傷からも: 皮膚や粘膜に目に見えないほどの小さな傷があるだけで、そこから感染が成立します。


2. 注意すべき「サイン」:見逃しやすい初期症状

梅毒の最大の特徴は、**「症状が出たり消えたりする」**ことでこれが発見を遅らせる原因になります。

【初期:第1期】

感染して約3週間後、性器・口・肛門などにしこりや潰瘍ができます。

これらは痛みまずないことが多く、放置しても自然に消えてしまいますが、体内では梅毒トレポネーマは増え続けています。

【数ヶ月後:第2期】

梅毒トレポネーマが血液に乗って全身に広がります。

手のひら、足の裏、体に**「赤い発疹(バラ疹)」**が現れます。

この発疹は**「かゆみがない」**のが大きな特徴です。







3. 放置するとどうなるか?

「痛みがないから」「発疹が消えたから」と放置すると、数年〜数十年かけて脳や心臓、血管などの大きな臓器が壊され、命に関わる合併症を引き起こします。


4. 私たちがすべきこと

梅毒は、梅毒検査を受けなければ診断できません。

**「かゆみのない発疹」や「心当たりのあるしこり」**があれば、すぐに皮膚科や産婦人科、泌尿器科を受診しましょう。

保健所などでは匿名・無料で検査を受けられます。

パートナーと一緒に検査・治療を受けることが、再感染(ピンポン感染)を防ぐ唯一の方法です。


【医学的アドバイス】

梅毒は「過去の病気」ではなく、今まさに流行している病気ですが、早期治療を行えば、後遺症なく治すことができます。

少しでも不安があれば、自己判断せずに医療機関へ相談してください。


【参考資料】


『厚生労働省「梅毒に関するQ&A」』

国立健康危機管理研究機構「梅毒(詳細版)」

日本性感染症学会「性感染症 診断・治療ガイドライン 2020」

日本感染症学会「梅毒診療の考え方」