血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2021年12月12日日曜日

新型コロナウイルス-47.オミクロン株に感染した場合の症状-

2021年12月11日現在世界50カ国以上で感染者が報告されていて、国内では4人の日本人の感染者が出ています。


オミクロン株に感染した場合の症状としては、現時点では無症状の人もかなり多く、強い頭痛、喉の痛み、体の痛み、気分が悪くなることが主な症状です。


一方、他の株感染でみられた現時点では、味覚・嗅覚異常はほとんどなく、酸素吸入療法を必要とするケースは無いようです。


更にオミクロン株に感染してで死亡したという報告はありません。


反面他の株に比べてオミクロン株は感染力が極めて高いのが特徴で、海外での報告では3倍ほど感染力は強いとされています。


南アフリカなどでは、2~3週間で75%の感染者がデルタ株からオミクロン株に変化しているとの報告が課されています。


オミクロン株が出現してから僅かしか経過していないことから、ワクチンの有効性や死亡率などは現時点でははっきりと分かっていません。


感染者が今後増加するにつれて死亡率が高くなる危険性は否定できていません。


2021年12月5日日曜日

新型コロナウイルス-46.オミクロン株の現状-

 オミクロン株は、2021年11月11日にボツワナで採取された検体から初めて発見され、その後南アフリカ共和国からも見つかっています。


その後南アフリカ共和国では新規感染者数が急増しています。


2021年12月3日時点でオミクロン株の症例が確認された国や地域は日本を含め36カ国になっています。


これまでに世界中で報告されているオミクロン株による症例のうち、重症度に関する情報が得られているものでは、約半数は無症状で、残り半数は軽症とのことです。


現時点では、重症化した症例や入院、死亡例は報告されていません。


今後ワクチン非接種者、高齢者にも感染が広がれば重症者が増えてくる可能性はあり得ることです。


オミクロン株は、30を超える変異を持ち、感染成立に関わるスパイク蛋白にも多くの変異があることから、ワクチンの効果を低下させ、再感染のリスクを高める可能性が懸念されています。


実際にこれまでにワクチン接種者でも感染例が報告されていますが、ワクチン接種による感染予防効果は時間とともに低下しますので、この報告だけでオミクロン株のワクチンへの影響を推し量ることはできません。


ワクチン接種者や回復者の血清のオミクロン株や疑似ウイルスに対する中和能力を評価する研究が必要ですが、この結果が得られるまでは数週間はかかるものと思われます。


2021年12月3日世界保健機関(WHO)の緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は「オミクロン株」に対して、「既存のワクチンを改良する必要性を示す根拠はない」と述べていますが、現在の世界保健機関の言うことは説得力がありません。


2021年12月の時点ではオミクロン株は、デルタ株より感染力が強く、病原性も高い変異ウイルスなのか、感染力は強いものの、重症化の割合は低い変異ウイルスなのか全くわかっていません。


私たちができる対策は、三密を避ける・マスク着用・十分な手洗いなどこれまでと変わりません。


厚生労働省の専門家会合も、ワクチン接種の推進に加えて、マスクの着用、消毒や密を避けるといった基本的な対策を続けるよう呼びかけています。

2021年11月28日日曜日

新型コロナウイルス-45.南アフリカで見つかった新型コロナウイルスの変異株オミクロン-

 2021年11月26日世界保健機関は南アフリカで新たに見つかった新型コロナウイルスの変異株「B.1.1.529」に対して、懸念される変異株(Variant of Concern : VOC)に指定し、オミクロンと命名しました。


この変異株は2021年11月9日に南アフリカで初めて見つかり、同月24日に南アフリカによって世界保健機関に初めて報告されています。


オミクロン株は多数の変異があり、デルタ株など他の懸念される変異株(VOC)よりも再感染リスクが高いことを示す「暫定的な証拠」があり、感染拡大のペースも速い可能性があるとした。

従来のPCR検査で検出は可能ですがオミクロンの感染力・重症度・ワクチンに対する効果・治療などに関しての分析は今後数週間以上かかるとされています。


※懸念される変異株(VOC)は最も危険視される変異株の分類に属し、現在世界の主流株となっているデルタ株や、アルファ株やベータ株、ガンマ株が指定されています※


この変異株は南アフリカで急速に感染が拡大し、周辺国にも広がっていることから、感染力が強い可能性があり警戒が必要とされています。


ここでひとつ素朴な疑問がおこります。


世界保健機関は、新型コロナウイルスの変異株の命名方法として24文字のギリシャ文字を順番に使うと言っていながら今回はその順番を変えたことです。


一つ前の変異株はミュー株ですから本来ならこの変異株には、ミューの次のニューを使うはずですが、今回はなぜかニューとクサイのふたつを飛ばしてオミクロンを使いました。

これは何故なのでしょうか?


現在の世界保健機関のやることは全てといつて良いくらい一貫性がなく、信用できない国際機関となっています。


このことは多くの人が疑問に思っていることと思います。


【日本国内の動き】


2021年11月26日国立感染症研究所は、オミクロン株の警戒レベルを3段階中2番目に高い「注目すべき変異株(Variants of Interest:VOI)」に位置づけました。


日本国内では2021年11月26日までに国内や検疫で見つかってはいません。


このオミクロン株の性質は「十分な情報が得られていない」発表されていて監視態勢を強化しています。

2021年11月21日日曜日

HIV感染のタイムテーブル

 1.感染後5日間は、暗黒期(eclipse period)と呼ばれどの検査法でも感染を証明することは不可能です。


2.感染後6~8日においては、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で検出可能とされていますが、実際は11日以降に受けることで感染を見逃すことはありません。


3.感染後13~18日においては、HIV-1ウイルス蛋白(p24抗原)が検出可能となるりますが、その量が少ないと見逃す可能性が高いことから、感染後30~50日以内に受ければ見逃すことはありません。


※p24抗原は、HIV-1のカプシドの構造蛋白で、感染初期に検出され抗体陽転(seroconversion)すると消失します※


※HIV抗体が産生される前比較的初期HIV感染を検出できます※


3.感染後20日でIgM抗体検出が可能となりますが、やはり血液中のIgM抗体が少ないと見逃してしまいます。


4.感染後30日でIgG抗体検出が可能となりますが、やはり血液中のIgG抗体が少ないと見逃してしまいます。


第四世代のHIVの簡易検査は、HIV-1の「構造蛋白」p24抗原とIgM、IgGの抗体検出可能とされていてp24が感染後13~18日からわかることからして、不安な行為から3週間経過していればほぼ判定可能と言われていますが、人によっては血液中のp24抗原とIgM、IgGの抗体の量が少ない場合偽陰性となってしまいます。


従って第四世代のHIVの簡易検査は不安な行為から30日以降に受ければ偽陰性は防止できます。


5.確認検査


HIVスクリーニング検査で陽性となった場合、HIV-1とHIV-2をWestern Blotting(WB)法で鑑別確認を行いますが、この検査は感度が悪いことから、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で陽性となった場合や抗原抗体検査の早い時期に陽性となった場合は、あまり役に立たない検査です。


早期に陽性となった場合は、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で確認検査を行います。


HIV-2とはHIV-1発見より数年後に発見されたウイルスで西アフリカに多く、HIV-2に感染してもAIDSはめったに発症しません(LTNPs : long-term non-progressorsと言います)。


HIV感染して5年後AIDSを発症しないのはHIV-1が67%、HIV-2は100%という調査結果があります。


HIV-2が特に多い地域は、象牙海岸、ブルキナファソ、ギニアビサウ、セネガル、ガンビアなどの西アフリカ諸国です。


HIV-2は核酸増幅検査(リアルタイムPCR)やp24抗原で見つけることは出来ず、抗体検査のみでしか検出できませんので、HIV-2の感染を疑った場合は、確認検査としてWB法を行います。


HIV-2抗体は感染後12週で検出可能となりますから、現在でもHIV抗体検査でしか見つけられません。


日本国内でのHIV-2感染者は数例しか見つかっていません。

2021年11月14日日曜日

新型コロナウイルス-44.新型コロナワクチンの種類-

2021年11月 時点で使用されている新型コロナワクチンについて解説いたしします。


1.ドイツビオンテック/米ファイザー製やモデルナ製は、mRNAというウイルスの遺伝子コードの一部を注射することで人間の免疫システムを活性化して感染予防するワクチンです。

※有効性 90%


2.英国アストラゼネカ製は、チンパンジーがかかる風邪ウイルスを遺伝子操作したもので、「スパイクたんぱく質」と呼ばれる新型コロナウイルスの一部の「設計図」が含まれ、これを体内に接種することで生体はスパイクたんぱく質を作り始めます。


そして人の免疫系がこれを攻撃することを学習し、やがて実際に新型コロナウイルスが体内に入ったときには、同じようにこれを攻撃できるようになるワクチンです。


※有効性 76%


3.中国製ワクチンは、新型コロナウイルスを化学的に処理して不活性化した新型コロナウイルスの一部を使って体の免疫系を刺激する不活化ワクチンです。


※有効性 79%とされていますが、実際はもっと低いと考えられています※


※※妊婦に対する安全性や、高齢者や基礎疾患のある人への安全性と有効性のほか、承認後の安全性監視手続きで発覚した副反応の評価について、信頼できる科学的証拠が足りないとも指摘されています※※


4.ロシア製スプートニクスVワクチン


ロシア2020年8月、世界に先駆けて国産ワクチンのスプートニクVを承認し使用し始めましたが、最終段階の大規模な治験の結果が出る前だったため、安全性を疑問視されています。


このワクチンはアデノウイルスウイルスベクターワクチンで、コロナウイルスのタンパク質を作る遺伝子を改良したヒトの風邪ウイルスを使って体内に運び、免疫反応を引き起こす。


医学雑誌ランセット誌のコメントは批判の背景として、開発のスピードや透明性の欠如があったと指摘しています。


有効性は91.6%とされています。


まとめ


新型コロナワクチンの開発で、異なる有効性のデータが表れるのは中国製ワクチンだけでなく、スプートニクスV、英アストラゼネカ、ドイツビオンテック/米ファイザー製やモデルナ製も同様です。


問題は中国やロシアの開発メーカーは欧米企業に比べて安全性や試験に関する情報の開示が少なく、疑いを高めているということです。


2021年11月時点では、日本国内に置いて認可されたワクチンは、ファイザー製、モデルナ製、英アストラゼネカ製の三種類だけです。


中国製とロトア性ワクチンは日本国内では認可されておらず使用されていません。


日本製ワクチンは未だ1社も認可されていません。

2021年11月7日日曜日

2020年1年間のHIV感染者とAIDS患者数

 1.新規HIV感染者数・・・750人


2.新規AIDS患者数・・・345人


3.新規HIV感染者数と新規AIDS患者数総数・・・1095人


4.新規HIV感染者の感染経路と年齢層


・同性間感染・・・543人(全HIV感染者報告数の約72%)


・異性間感染・・・96人(全HIV感染者報告数の約12%)


・薬物注射・・・5人


・母子感染・・・1人


※年齢別では特に 20~40 歳代が多い※


5.新規AIDS感染者の感染経路と年齢層


・同性間感染・・・190人(全AIDS感染者報告数の約55%)


・異性間感染・・・57人(全AIDS感染者報告数の約16%)


・薬物注射・・・3人


・母子感染・・・0人


※年齢別では特に 30~50 歳代が多い※


6.まとめ


1)2020年の新規HIV感染者報告数は、2019年より減少しており、4年連続での減少となっていますが、新型コロナウイルス流行による検査者の減少が影響している可能性は否定できません。


2.新規HIV感染者及び新規AIDS患者報告の感染経路は、性的接触によるものが80%以上を占めており、やはり男性同性間性的接触によるものが多い。 


2021年10月31日日曜日

新型コロナウイルス-43.マスクの種類別の新型コロナウイルスの予防効果-

 まずマスクの正しい使用法とは、


1.マスクは鼻にフィットさせてしっかりとした着用を徹底し、感染リスクの比較的高い場面では、過能な限りフィルター性能の高い不織布マスクを着用し、三密のいずれも避け、特に人と人との距離は十分に取る。


2.いくらマスクをしっかりと着用していても、室内で会話時間は可能な限り短くし、大声は出さないように心がける。


3.当然換気には注意する。


国立研究開発法人・理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」によるシミュレーション結果から判明した、マスク着用者が吐き出す飛沫のカット率は以下のとおりです。


【マスク着用者が吐き出す飛沫のカット率】


1.不織布マスク・・80%


2.ウレタンマスク・・50%


3.布マスク・・66~82%


【他人から吐き出される飛沫のカット率】


1.不織布マスク・・70%


2.ウレタンマスク・・35~45%


3.布マスク・・30~40%


この結果からして不織布マスクとそれ以外のマスクの性能差、とりわけ頻用されているウレタンマスクの性能の低さは明白となっています。


この差からして感染力の非常に強いデルタ株でこの差はかなり大きいと推測されます。


※敏感肌や皮膚疾患があるため、かぶれ防止で不織布以外のマスクを選択している方は、不織布マスクと皮膚の間に綿ガーゼを挟む・マスクの接触部分の汗をこまめに拭くなどで、一定のかぶれ防止効果が得られます※


マスクでの感染予防において装着法が重要となります。


不織布マスクを着用する際には鼻の部分をフィットさせ、着用時はまずノーズピースをきちんとフィットさせ、そこを抑えたままプリーツを引き延ばして顎にかけ、最後に耳ゴムをかけることでマスクと顔面の隙間を過能な限り少なくすることが感染対策して重要となります。


外出は必要最低限しかしなかった、更に外食もせず、職場でも常にマスクをしていたが感染してしまったと嘆く話をよく耳にすることがありますが、これは何故なんでしょぅか?


これらを分析しますと以下のことが明らかになっています。


1.勤務先でマスクをしていたが、窮屈になり顎マスクにした時に隣席の人と会話をした。


2.休憩所や更衣室でマスクを外した時に他の人と会話をした。


3.混み合っていた喫煙所に入ってタバコを吸った時。


デルタ株が流行している現在1~3の行為は当然感染リスク高い行為となってしまいます。


また、ウイルス量が多いデルタ株の場合、当然ながらマイクロ飛沫感染のリスクが高まるため、室内の換気も今まで以上に重要となります。


換気を行う場合は、窓や扉を2ケ所以上開けて空気の流れを作ることが重要です。


窓が1箇所しかない場合は、空気の流れを作るために扇風機や換気扇を併用して空気の流れを作り換気できるようにすることです。