血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2012年10月7日日曜日

性交行為感染症検査-15.ヒトパピローマウイルスタイピング(HPVタイピング)-その3.PapiPlex(TM)法-


HPVタイピング解析法:PapiPlex(TM法)

PapiPlex(TM)法は、株式会社ジェネティックラボで開発されたHPV解析法で、迅速・簡便なおかつ低コストで高い再現性を有する優れた検査です。

PapiPlex(TM)法の検出感度は、反応液中に100コピーのHPVゲノムDNAが存在すれば、16種類全ての型で検出・同定が可能です。

【同定可能なHPV型】

HPVの6、11、16、18、30、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66の16種類が特異的に検出できます。

更に複数の型のHPVが感染していた場合でも各々の型について同定することもできます。

【保険点数】

2000点で、健康保険が適応となりますから、自己負担は3割で600点即ち6000円です。

※受診してこの検査を受けると検査代金以外に、初診料・検査管理料・採血料などが加算されます※

2012年9月30日日曜日

性交行為感染症検査-15.ヒトパピローマウイルスタイピング(HPVタイピング)-その2.検出可能なタイプとは-


HPV検査は、14種のHPVハイリスク型の中の一種でも感染が見られれば「陽性」となり、その後細胞診で定期的な追跡検査が行われます。

しかし、この検査では感染しているHPVの型別の判定や、尖圭コンジローマを起こす6型・11型の診断はできません。

感染しているHPVの型を調べるのがHPVタイピング検査です。

HPVタイピング検査は、子宮頸癌と関係が深いハイリスク型の中で、特に日本人と関係が深い14種類(16,18,31,33,35,39,45,51,52,53,56,58,59,68型)と、子宮頸癌とは直接関係はありませんが性行為感染症のひとつの尖圭コンジローマを引き起こす6,11型の感染の有無も調べることが可能です。

HPVは、およそ80%の人が一度は感染しますが、多くは自然に体内から消えていきます。

がんになるのは、体内から消えることなく持続的に感染が続いたごく一部の場合です。

男性が問題になるのは6型、11型の感染によるイボの発症ですが、尖圭コンジローマは感染してから、3週間~8ケ月(平均で3ケ月)しないと、イボが発現して来ません。

そのイボは、男性では亀頭周辺だけでなく陰裏、肛門周辺や外尿道口など、女性では外陰部、膣、子宮頚部、肛門周辺や外尿道口などに出来ます。

当然この検査は、女性だけでなく男性も受けることが可能です。

2012年9月23日日曜日

性交行為感染症検査-15.ヒトパピローマウイルスタイピング(HPVタイピング)-その1.検査の意義


HPVはヒトの皮膚、膣、口腔などに感染してイボをつくるウイルスです。

このウイルスの中には子宮頸がんを引き起こす型があり、それらを「ハイリスク型」呼び、14種類が知られています。

また、「ローリスク型」と呼ばれる6型、11型は尖圭コンジローマを引き起こしますが、これらは子宮頸がんとは関係ありません。


HPVは、現在100種類以上の遺伝子型が同定されています。

例えば、子宮頸癌からは16, 18, 31, 33, 35, 39,45, 51, 52, 56, 58, 59, 68, 82, 26,53,66の各型が証明されています。

HPVの6型、11型は尖圭コンジローマの原因です。これらは子宮頸がんとは関係ありません。

子宮頸がんを引き起こすHPVは、16型、18型がその代表で、16型が全体の過半数、HPV18型が約10%を占めています。

この「ハイリスク型」のHPVの感染があるかどうかを調べる検査をHPV検査と言いますが、このHPV検査では、「ハイリスク型」のどの型に感染しているのかは判断できません。

その為に、高度な技術を用いてHPVの遺伝子(DNA)の型を解析し、HPVの遺伝子型を調べる検査が「HPVタイピング検査」です。

2012年9月16日日曜日

A型肝炎検査-5.HAV-RNA検査-


HAV-RNA検査は、血液中及び糞便中のHAVを直接検査する最も信頼性の高い検査ですが、現時点において技術的に確立された測定法がないことと、HAV-RNAを検査する検査キットがありません。

更にHAV-RNA検査を実施してたとしても、特殊検査となり健康保険の適用外であるために日本においては日常検査としては実施されていません。

従って、HAV感染の判断はIgM-HA抗体が第一選択肢となります。

IgG-HA抗体は、過去の感染を調べる検査で、衛生状態の悪い国へ出張・旅行をする前にはこの検査を受けて陰性であれば、HAV感染防御抗体がないいことからA型肝炎ワクチンを接種しておくことが無難です。

近年オーラルセックスによるA型肝炎の感染も報告されていますので注意が必要です。

2012年9月9日日曜日

A型肝炎検査-4.IgG-HA抗体検査-


IgG型抗体は、IgM型抗体にやや遅れて1~4週後に陽性化しますが、その後も長期間陽性のままとなります。

IgG-HA抗体を測定する理由としては、過去にHAVに感染したかどうかを調べることにあります。

【基準値】

単位:Cut off index

測定方法:EIA法

陰性 0.8未満

判定保留 0.8~1.2未満

陽性 1.2以上

※測定に使用する機種によっては、数値が若干異なる場合があります※

【検査結果の解釈】

陰性 過去にも現在もHAVに感染していない。

陽性 過去にHAVに感染し、現時点では治癒したと判断でき、再度HAVに感染することはありません。

A型肝炎の感染予防にはA型肝炎ワクチンがありますが、IgG型抗体が陽性の場合には、ワクチンの接種は必要ありません。

2012年9月2日日曜日

A型肝炎検査-3.IgM-HA抗体検査-


HAVに感染すると血液中に発症の初期(1~4週間)からIgM-HA抗体が出現し、約3~6カ月後に消失します。

血液中のIgM-HA抗体を検査して陽性であれば、最近HAVに感染したことを意味します。

従ってA型肝炎の鑑別診断にはIgM-HA抗体の測定がより確実な手段となります。

【基準値】

測定方法:EIA法

単位:Cut off index

陰性  0.8未満

判定保留  0.8~1.1

陽性  1.2以上

【検査結果の解釈】

陰性  HAVに感染していない。

陽性  3~6ケ月以内にHAVに感染したことを意味します。

2012年8月26日日曜日

A型肝炎検査-2.HA抗体検査-


A型肝炎検査は、血液中のHAVに対する抗体を調べます。

血液を採取して、血液中にHA抗体(A型肝炎ウイルスに対する抗体)が存在しているかを調べます。

HAVに感染したA型肝炎患者の血液中には、発症の初期にはIgM-HA抗体が出現し、約3~6カ月後には消失します。

一方、IgG-HA抗体は、IgM-HA抗体にやや遅れて1~4週後に血液中に出現しますが、その後も長期間陽性を持続します。

HA抗体検査は、

①IgM-HA抗体検査

②IgG-HA抗体検査

の2種類の検査があります。

これら検査についての意義・検査結果の解釈等は、次回解説致します。