2026年、静かに忍び寄る『死のウイルス』致死率75%のニパウイルスが、再び世界を試そうとしています。
数回に分けてこの危険なニパウイルスについて解説させていただきますのでお付き合いください。
◎インドで現在懸念されているニパウイルス(Nipah virus: NiV)について
1. 最新の流行状況(2026年1月時点)
2026年1月、インドの西ベンガル州コルカタにおいて、新たなクラスターが発生しています。
現在の発生規模: 西ベンガル州で少なくとも2名〜5名の感染が確認されています(情報源により数に幅がありますが、当局は慎重に確認中)。
特徴: 今回の流行では**院内感染(Nosocomial transmission)**が報告されており、感染者には医師や看護師が含まれています。
対応状況: 約200名の接触者が特定され、追跡・隔離が行われ現時点(1月27日のインド政府発表)では、これら接触者の検査結果はすべて陰性であり、大規模な拡大は食い止められている状況です。
地域的背景: インドではケララ州で毎年のように発生していましたが、西ベンガル州での発生は2007年以来、約19年ぶりとなります。
2. 疫学的分析
ニパウイルスは、世界保健機関(WHO)が「パンデミックの可能性がある優先疾患」の一つに指定している極めて危険なウイルスです。
自然宿主: **オオコウモリ(フルーツバット)**です。
感染経路:動物からヒト: ウイルスに汚染された果実(コウモリが食べ残したナツメヤシの樹液など)の摂取、または感染した豚との接触。
ヒトからヒト: 感染者の体液(唾液、尿、血液)への直接接触で、今回のコルカタの事例のように、医療現場での防護不足が原因となることが多いです。
致死率: 非常に高く、**40%〜75%**に達します。これはエボラ出血熱に匹敵する数字です。
系統: マレーシア型(NiV-M)とバングラデシュ型(NiV-B)があり、インド・バングラデシュで流行するのは**人から人への感染力がより強い「バングラデシュ型」**です。
3. 医学的・臨床的特徴
感染すると、数日から2週間程度の潜伏期間を経て発症します。
症状の進行
初期症状: 発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐、喉の痛みなど、インフルエンザに似た症状。
重症化: 急性呼吸器感染症(重度の呼吸困難)や、致死的な脳炎を引き起こします。
神経学的後遺症: 生還しても、約20%の人にけいれんや性格変化などの後遺症が残ることがあります。また、数ヶ月から数年後に脳炎が「再燃」する稀なケースも報告されています。
診断と治療
診断: RT-PCR検査やELISA法による抗体検査が行われます。
治療: 現在、承認された特効薬やワクチンは存在しません。
対症療法: 重症患者に対する集中治療が主です。
最新動向: 2025年12月からオックスフォード大学などが世界初のフェーズ2治験(ワクチン)を開始しています。
また、一部の臨床現場では抗ウイルス薬「レムデシビル」が試用されるケースもあります。
4. 予防と対策
インドへ渡航する場合、あるいは現地の状況を把握する上でのポイントです。
・接触回避: コウモリが生息するエリアを避け、地面に落ちている果実を食べない。
・未殺菌飲料の回避: ナツメヤシの樹液などの生飲みを避ける。
・手洗いの徹底: 感染予防の基本ですが、ウイルスはアルコール消毒や石鹸に弱いです。
※注記: 現在のインド当局の発表では、監視体制が強化されており、パニックになる段階ではありませんが、医療従事者の感染が見られた点は警戒が必要です。
0 件のコメント:
コメントを投稿